知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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『ネメアを出したんだから、流石にカリュドーンまでは出さねぇだろ』『最近のD×Dはオリジナルのものを多く出していて神話系は少ないし、原作的に引っかかるようなことはないはず』と考えて生み出したキャラ。それがカリュドーン。

『槍』で『猪ないし豚』と言うことで、ブータン達を思いついた方々へ。正解です。ここのカリュドーンはUKパンク達を元ネタにしています。


第23話 イレギュラー達、決意する

Side in

 

ビックリ仰天、謎の声の主はカリュドーンの猪だった!

 

何てな。俺と結菜は知っている。何故かって?そこの四条が寝ている間に自己紹介したからだよ。とは言えども、俺もギリシャ神話の有名アニマルがこいつの中にいると知ったその時はビックリした。

 

「あ、アタランテ?」

 

「反則前提でなきゃ負けなかったほどの俊足の英雄。お前が考えているのは多分fate の方。こいつはそのfateの奴の大元と戦った猪。それが神器ってのに封じられたもんだ。ほら、オルタの肩に猪の奴があるだろ?あれだよ」

 

そう説明するが、どうもピンと来ていない様子の四条。こいつ、こんなに物分かりの悪い奴だったかぁ?

 

「要するにあなたに呪いも祝福ももたらす守護獣みたいなものです、四条君」

 

「あ、なるほどぉ!」

 

「『それで分かるのかよぉ!?』」

 

結菜の説明に納得した四条に俺とカリュドーンが呆れる。

 

『もういい!俺様が強引に記憶を流す!それで理解しろ!』

 

「は?って、おぉおおおおああああ!!?」

 

白目をむいてビクビクする後輩。正直言って、変な光景だ。ただ、俺も似たようなことをされたし、馬鹿には出来ない。その似たようなことで、今の俺があるんだからな。

 

しばらくの間暇になったので、俺は自販機でお茶を3本買って、1本を結菜にあげた。残った内の1本を四条の隣に置く。ここの自販機って珍しく和紅茶なんて置いてある。たまに来てみるか。

 

「はぁ……はぁ……!」

 

『どうだ、これで分かったか!』

 

すごい量の汗をかいている四条。どうやら終わったらしい。

 

『俺様はドライグやアルビオンの野郎共とは違って器用なんだ。ありがたく思えよ』

 

「よ、よく分からん」

 

『まだ分からんか!』

 

「ちげーよ!事を飲み込むのに時間がかかるってことだよ!」

 

『それならよし!』

 

ファーストコンタクトだと言うのに随分仲がいい様子だ。

 

説明せねばならないな。このおしゃべり神器、『神猪の槍』(カリュドーン・ボア)について。

 

その名前から分かるように、アタランテの逸話で有名なカリュドーンの猪。どうやら生まれた時にとんでもない力を持っていたため、神によって力を分離させられてそこら辺のすごい魔猪にその力を分けた。結果、2頭もカリュドーンの猪が生まれた。その後は普通に勇士たちによって倒され……ることなく、勇士から逃げきった先でゼウスとポセイドンと戦い、惜敗して死亡、魂で彷徨っていたら聖書の神に神器にされたとのことだ。

 

神器の能力は主に二つ。再生力強化,パワーの増大化。どれもステゴロすることしか考えていないものだ。ただ、単純な成長性とかならネメアの獅子の方がすごいんだとか。ネメアの獅子ってあれだよな、ヘラクレスの十二の試練の。それも神器って奴になってんのか。

 

言いたいこと?『神器ってよく分かんねー』かな?何か、アザゼルさんからそんな話を聞いた覚えがあるようなないような気がする。

 

カリュドーンの言うことには、その神器の能力ってのも段階的に解放されていくらしい。なお、四条が天寿を全うしていれば目覚めることはなかったそうだ。

 

「それで、先輩たちは一体どういうことなんすか?てか、この現状ってどういうことなんすか?疑問ばかりで整理がつかないんすけど」

 

四条がそう言う。だろうよ。俺だって余りに急展開すぎて追い付けていない節があるからな。それでも何とか事態を飲み込めているのは、ラヴィニアのこととかクレーリアさんのことかがあったからだろうよ。

 

「とりあえず、一番重要なことを言う。お前、このままだと死ぬ」

 

「……はい?」

 

残念だが、四条君はただ延命したに過ぎない状況に今いる。

 

端的に言えば、今の四条ではカリュドーンの力を制御しきれず、勝手に暴走して、耐えきれなくなった体が自爆しかねない。

 

「お前の神器は文字通り『破壊の権化』だ。その力は強大にも程がある。それに今のお前は耐えきれない。下手に力を使えばパンクしてからの自滅だ。耐えられたら耐えられたで、周囲を破壊する。その癖して、力自身が勝手に動き出す。後は分かるな?その上で言うが、お前はその力を支配出来ると思うか?支配して、自由に操れるか?」

 

そう言うと、無言になる四条。だろうな。『大いなる力には大いなる責任が伴う』。こいつにはそれが突然降りかかって来たんだ。判断も鈍るのはしょうがない。

 

「力には責任がある。他者から強引に渡されたものであってもな」

 

「なら……ならどうしろって言うんです?」

 

そう聞いてきた四条。そこから先はドキンダムさんのお仕事なのだが……。

 

「話はついた。こっちはどうだ?」

 

ドキンダムがこっちに来てそう言う。あっちもあっちで色々終わったらしい。

 

「今後の神器の振り方について」

 

「なるほどな。ちょうどいい。俺が説明する」

 

そう言って四条の方を見るドキンダム。

 

「俺はドキンダムX。ドキンダムでいい。こいつの寄生虫をやっている」

 

「寄生虫?」

 

「今のは自虐ネタだ、気にすんな。四条、お前の力は放置すれば周りを巻き込んでの破壊活動に繋がり、最終的にお前も死ぬ。最悪の獣となって、お前は暴れることになる。お前の大切なものを全て、お前自身で壊すことになる」

 

今の四条は弱い。一般人に毛が生えた程度にすぎない。そんな奴に神の時代の力を御せるとは到底思えん。最終的に暴走でもされて、こちらにも迷惑がかかったらたまったもんじゃない。ま、だからこその策があるのだが。

 

ドキンダムの言葉を聞いて、表情が曇る四条。

 

「だがな、そこの馬鹿がそれを望んでいない。可愛がっている後輩に、そんな残酷な運命を背負わせたくないと思っている」

 

「先輩?」

 

俺の方を見てくる四条。若干気恥ずかしいので視線をそらすと、結菜がくすっと笑った。

 

「そこで聞きたい。四条零児、お前は力が欲しいか?」

 

「力?」

 

「今より強くなれば、その猪野郎の力を制御出来るようになる。何ならお前を殺した野郎みたいなものから、お前の大切なものを守れるようになる」

 

『猪野郎とはひどいブー。俺様とて、歴代でも最大クラスの性欲を持っているけど、それでもまともな奴を殺したくはないブー』

 

そう言うと、少しうつむいて考え出す四条。

 

「兵藤は置いておけ。その上で言うが……さぁ、どうする?力に無責任になって敬愛する先輩によって殺されるか、それともその先輩の背を追うことが出来るだけの力を手にするか。破壊者のままか、破壊者から守護者に変わるか。選べ」

 

静寂が生まれる。どうであれ、四条は日常を手放すことになる。償いと言うわけじゃないが、俺はこいつの為に命をかけるつもりでいる。

 

静寂を破るようにコーヒー缶が潰される。

 

「やってやる」

 

「お?」

 

「やってやるさ。全部、なんて言わない。それでも、俺の手が届く所は皆守る。それだけの力が欲しい……もっと力が欲しい……!」

 

涙ぐんだ目でそう言う四条。どうやら、今後の身の振り方が決まったようだ。

 

俺とドキンダムは目を合わせる。

 

「なら決まりだ。予定は後で伝えるが、四条と結菜は俺達が鍛える。お前らの力は危険だからな」

 

「え、私も?」

 

結菜が驚いてそう言う。俺も俺でちょっと驚いた。何で結菜さんまでも?と思っていると、ドキンダムが俺を親指で指さしながら続ける。

 

「言っておくが、この馬鹿はとことん女心の分からない馬鹿だが、とてつもなく強い。手加減してもなおヘラクレスなんてゴミ扱い出来る程度にはな。そんな男と、共に歩むならそれ相応の力がいる」

 

「そ、それは……」

 

ドキンダムの言葉に、言葉が詰まる結菜。そう虐めなさんな、ドキンダムさんや。てか、共に歩むってなんだよ。

 

「その様子だと分かっているようだし、いいだろう。そう言うことだ。それじゃあ、閉廷、解散」

 

「腹が減った。戻る」

 

そう言って、俺の中に戻っていくドキンダムとアポロヌス。

 

こうして、公園には俺と結菜、それと四条の三人が残った。その後は解散した。兵藤のことは後日に回すことで決定した。今の四条は疲れている。そんな状況で色々やるのは厳しいからな。

 

しかしながら、ただのデートの帰り道だったってのに、とんだ面倒ごとに巻き込まれた。このままでは俺は今の幸せを手放すことになるのでは?

 

いや、絶対に手放すもんか。この幸せは誰にも渡さない。俺の愛は決して負けないことを、証明してやるんだ。

 

――『随分面白いことになっているわね』

 

おや、お目覚めですか、ユノハ様。

 

――『ええ、この後だけど、少しだけあなたを見ていられなくなりそうだから、顔を見せておこうってね』

 

それはわざわざありがとうございます。

 

――『それにしても、カリュドーンの猪ねぇ……。随分な大物を味方にしたじゃない』

 

味方って、そんなもんじゃないです。あくまでも『力に振り回されないだけの力を手に入れさせる』ってことの手伝いをするだけです。

 

――『だとしても、こいつはあなたに永遠の捧げる覚悟があるわよ?』

 

きもっ!急にホモくさいこと言わないでくださいよ!

 

――『ごめんって。まぁ、それでもあなたに恩義があるのは確か。それに、斎藤結菜って女は本当にあなたに永遠を捧げるつもりよ?』

 

冗談でもそう言うことを言うのはよくないっすよ、ユノハ様。全く、困ったお方だ。そうでなくとも、女性絡みで苦しんでいる俺に、そんなことを言うのはよくないっす。

 

――『ダメだこりゃ』

 

こうして、割とガチ目のstay nightを決めた俺。この後どうなるんでしょうか。助けてください、神様。

 

――『いいわよ。手伝ってあげる』

 

……何でこういう時はフットワークが軽いんですかねぇ。

 

Side out

 

 

 

「あ、そうだ。おい、四条」

 

「何でしょうか、岸波先輩?」

 

「結菜にはさっき言ったからいいが……俺のバイクロボ姿のこととかお前の神器のこととか、他の奴らにばらしたら……分かってんな?」

 

「う、うっす!」

 

『しっかりしてくれ、零ちゃん……』

 




四条零児の名前ですが、実は神器の方から決めてそこから『零ちゃん』呼びをさせるために逆算して考えました。実は最初から遊戯王の彼らをモデルにしていたわけじゃないんですよね。
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