知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
朝が来た。絶望の朝だ。昨日のことがあって、余計に苦しい。苦しすぎてシイタケになるわね。ユノハ様はしばらく話しかけられないとのこと。悲しいなぁ。
今日も変わることなく、朝食を着て、服を食べて……
――『逆だ、間抜けぇ』
もうね、俺逃げたいよドキンダムさんや。でも、四条があんな覚悟を見せたらさ、逃げるわけにもいかないだろ。
そもそも、前日の最後に俺のことを黙っておくように脅したんだもん。それで逃げるのは流石にダサい。
何がダサいんだ?あれ?よくわかんないや。……疲労が限界に来たか?学校に行く前にコンビニで疲労回復ドリンクでも買って飲んでおくか。
「ご主人様、何かあった?」
「いや、大丈夫だよ黒歌。うん、本当に」
「ほんとぉ……?」
珍しく一緒に朝食を食べている黒歌がジト目でこちらを見る。そんなに誤魔化せてない?困った、それでは俺がまるで異常みたいじゃないか。
――『『自分のことを既婚者だと思っている一般異常独身男性』』
疲労と困憊の中、朝食を食べて、着替えて登校する。遥輝だけじゃない、両親と黒歌にも心配されながらの登校だ。何だろう、朝日が眩しすぎる。日陰を歩きたいなぁ。
――『地獄兄弟か、貴様は』
うるさいやい。太陽の不死鳥には分かるまいよ、この気持ちは。人間と言うのは複雑なんだよ。
今日は皆のヒロインである結菜様と合流することなく、のんびりと登校した。皆いつもと変わらなくていいね。うらやましい……。
いや、待て。何だ?校門が妙に騒がしいぞ?
しっかりした人だかりが出来ているんで、気になって近づいてみる。そこには兵藤とグレモリーさんがいた。面白いコンビだし、グレモリーさんほどの美人と登校しているなんて羨ましいぞ兵藤。
が、正直に言って俺の興味は大してそこにはない。
「どういうことだぁ?」
どうして兵藤はここにいる?
そんな疑問が脳を駆け巡る。四条の言う通りなら、あいつは死んだはずだ。だが、死体は見つからなかった。変な落ちだったはずだ。
あいつが嘘を言うようなことはない。何より、それが嘘ならどうしてあの時、四条が殺されたのかってことになる。だと言うのに、兵藤の奴はあんなにピンピンしている。
四条が見間違えたとかの線が無くなるなら、実は生きていたってパターンか?でも、それだとどうやって生き延びたんだ?四条の話から察するに、致命傷だったんじゃないのか?
うーん、どういうことなんだぁ?
「岸波先輩!大変なんです!」
「グレモリー先輩がぁ!」
そんな風に思考を駆け巡らせていると、後輩たちが泣きついてきた。何だ何だ?流石に目が覚めるぞ、おい。
「落ち着け、何があった?」
俺がそう訊くと、女子生徒が答える。
「グレモリー先輩と、兵藤の奴が一緒に登校してきたんです!!」
……今日も平和だなぁ。
○○○
兵藤の奴が騒ぎを起こしたことに苦しみを覚えながらも、兵藤が無事なことに対する疑念を抱えつつ、俺の教室に入る。そこには質問攻めにあっているグレモリーさんがいた。人気者ってのは辛いもんだ。グレモリーさんは美人だし、余計にそうなんだろうな。
てか、そこをどくんだ。グレモリーさんの隣が俺の席なんだよ。
「ほら、どいたどいた。そこ、俺の席なんだよ。つーか、グレモリーさんが困ってんだろ。ゴシップも別にいいが、それくらいにしておけ」
実際、グレモリーさんも質問攻めに遭っていてお困りの様子だった。ちょっとした助け船も出せていいことをした気分だ。
俺の言葉を受けて、各々席に戻っていくグレモリーさんを囲んだ衆人達。さて、俺の平穏はこれからだ。
何て俺は俺で現実逃避しながら俺は席に着いた。窓の外を見る。うーんいい天気だ。今日の1限目は数学だ。死ね(文系並感)。
「ありがとうね、岸波君」
隣からお礼を言われる。その声の主は勿論グレモリーさんだ。
「礼を言われるようなことはしてないが」
「ふふっ、そう言うことにしておくわ」
余裕の笑みを浮かべるグレモリーさん。俺の助け船はいらなかったかもしれない疑惑が上がる。まぁ、それはそれとして俺が席に座れないから問題なんだけどな。
「ったく、どいつもこいつも浮ついて……」
「私も皆も、そう言うのが好きな年ごろじゃない。寧ろあなたが枯れすぎているのよ」
暗に言われれる『ジジイすぎワロタ』。泣けるで。こんなにも若い子に言われるんだから余計に心に響く。主に痛みが。
「これでも、グレモリーさんとか姫島さんを見て、心が潤っているはずなんだがな」
「あら、いつもの口説き?朝から随分元気ね」
口説きねぇ。そんなつもりはないんだけどなぁ。どうしてそう捉えられちゃうんだろう。俺も俺で注意はしているんだけどさぁ。
――『おい、アポロヌス。こいつ末期すぎでは?』
――『(せんべいを咀嚼する音)』
――『アポロヌス?』
――『そんな今更なことを言うな。我とてイラっとしている』
それにしても元気かぁ。絶対女性方面でのことをからかわれているよな。よーし、ここは若々しく、仕返ししちゃおう。
「そうだな、どこかの誰かさんへの嫉妬心が、元気につながったんだろうよ。俺だってグレモリーさんのような美人と一緒にいられるならうれしいもんさ。あの後輩君にはもったいないって思っちまうくらいにはな」
そう言うと頬を赤く染めるグレモリーさん。あら、可愛い。いつもの年齢詐欺じみた大人っぽさじゃなくて年相応の可愛さじゃないか。良きものを見た。
「あら~?今回はリアスが負けですわね?」
すごくにやつきながらグレモリーさんにそう言いながらやってきた姫島さん。すごい生き生きとしている。いつもはグレモリーさんに窘めるふりをしておちょくられているからか。彼女も彼女で年相応の可愛さがある。
「う、うるさいわよ朱乃!いつもはあなたが負けているくせに!」
「そうですわね。でも、今回は違いますから。ねぇ、岸波君?」
「黙秘する」
「それは肯定じゃない!」
想像以上にいつもの鬱憤が溜まっている様子の姫島さん。俺らに対して、可愛らしく怒るグレモリーさん。まぁ、これが彼女達の友情ってことにしておこう。
「もう、岸波君ったら……」
そんな可愛らしい声を聞いているとスマホのバイブが鳴る。見ると四条からのメールだ。メールって言うかSNSって言う奴?いわゆるL〇NEってのだ。
スマホのロックを解除してメッセージを見る。
―『兵藤の奴、無事なようですけど、一体どういうことっす?』
メッセージを送って来たのは四条。彼もどうやら疑問に思っている様子。だよなぁ、そうなる。俺だってそう思っているんだもん。
―『とりあえず後で聞いてみる。正直、一番困惑しているのはお前の方だろう?』
そうメッセージを送るとすぐに返信が来た。
―『そうっすね、ちょっと信じられないっす。俺も少し話を聞いて回ってみます』
俺もすぐに返信をする。
―『あんまり他の連中に聞きすぎるなよ、余計な面倒を起こす可能性もある』
そう返信するとチャイムが鳴った。前世から嫌いだった数学を向き合う時が来たのだ。覚悟決めないとなぁ。
それはそれとして、何故点Pは動くんだ。兄貴は待ってやれよ。
○○○
放課後になった。兵藤についてだが、案の定全く騒ぎになっていない。何なら、あいつの妄言である女についても噂になっていない。四条にはあいつが死んだあの日の後に『何があっても騒ぐなよ』と予め釘を刺すことに成功していたので、あいつも兵藤に対して四条の突撃インタビューはしていないだろう。本当に、居心地が悪い。とは言うが、この違和感の無さは四条から話を聞いていなかったら素通りしかねんな。それほど何もない。
この後の予定だが、先に述べておく。四条と結菜を鍛えるための面倒ごとをすることになっている。と言っても、ドキンダムがドキンダムXたる禁断パワーとアポロヌスのアポロヌス・ドラゲリオンたる不死鳥パワーで何とかするらしい。つまり俺は奴らを運ぶための長距離バスってことだ。全国のバスドライバーさん、いつもありがとうございます。
で、俺は二人の為に指定した公園にまで行かねばならないってわけだが、兵藤の様子を見るために、2年のクラスのある階へ顔出ししに行くことにした。
帰りの準備も完了し、2年の教室がある場所まで来た。雑踏の中兵藤を探していると、さながらモーセの如く人海を割る人影がこちらへと近づいてきた。
そこに、俺の目的の人物がいた。
「よぉ、兵藤」
「あ、岸波先輩」
兵藤一誠。どこからどう見ても死んだようには思えない男。こうして近くで見ると、その異様さが余計に伝わってくる。
それと、前までとは違う雰囲気。具体的に言えば、グレモリーさんとかと似たような感覚。まるで人外のようなオーラを感じる。
そしてその兵藤を挿んで連行しているように見える人物が二人。
「どうも、岸波先輩」
「どうもです」
「うっす、木場。それと、塔城さん」
イケメンと美少女銀髪ロリが兵藤を挿んでいる。周囲からは黄色い声が上がる。それと、腐った女の子の声も。俺知ってんだからな。お前らが俺をネタに腐った本を書いていることをよぉ……。
イケメンの方が木場祐斗と言う。2年生で、文字通りイケメン。金髪でイケメン。兵藤によれば、勉学も運動もどちらも出来るそうだ。かぁーっ!滅ぼしたくなるくらいに二物を与えてんな、天さんよぉ!
まぁ、それだけであればこいつの名前を覚えることはなかっただろう。
木場だが、その瞳の奥に深すぎる闇が見える。『復讐』とか『怨嗟』とか。悪魔が好みそうな感情が彼に渦巻いているように感じる。余りに闇を感じるせいで、名前が一文字違いのオルフェノクの彼を思い出すくらいだ。木場には彼のような迷走の末に大切なものをその手からこぼしたようなことはしない人生を送ってほしい。
そして、もう一人。美少女銀髪ロリの塔城小猫さん。可愛い。以上。嘘です、もっと語ることがあります。
とても寡黙な子と言う印象を受ける塔城さん。彼女は兵藤と木場とは違って1年だ。入学式の時から『今年はとても可愛らしい子が入って来た』なんて話題になっていたな。いかにも猫耳の似合いそうな子だと思うのは俺が古い人間だからだろう。おのれ黒歌め、俺に猫耳の良さを植え付けやがって。
そんな彼女だが割とネットミームにも強いことを俺は知っている。俺がちょっとした話の間に挟んだネットミームに反応してくれたのが証拠だ。本当だもん!
それととても重要なことだが、彼女の中から感じるものがある。それの何が重要かと言うと、恐ろしい程に黒歌のものと似ていることだ。一応人外である黒歌と同じものが、だ。別にその力についてどうこう言うつもりはない。だって、黒歌のものだし。ただ、その酷似っぷりがすごいのだ。あそこまで似ているのは、もう生き別れた姉妹とでも言わねば説明がつかないレベルだ。
ま、乳と尻とタッパのデカさは違うんですけどね(笑)
「岸波先輩、失礼なことを考えていませんか?」
「とんでもない。寧ろそう言うのは兵藤が考えている」
「流石に俺だってそんなことは……」
「エッチ」
「ちょっとぉ?!」
ジト目で兵藤を見る塔城さん。面白い子だ。こういう子が妹だったらさぞかし華やかな人生だったろうよ。現実はデカい大人のお姉さん達に囲まれたパラダイスなんだが。
さて、ちょうど兵藤もいるし、昨日のことを聞くか……
いや待てよ?冷静に考えたら、何で兵藤の死を俺が知っているんだ?
そりゃあ、四条から聞いたから兵藤の死を知っている。そんなことは当然だ。だが、傍から見れば『本人しか知りえない情報を俺が持っている』ってことになる。それはもう怪しさ満点なんてもんじゃない。四条に釘を刺した手前で俺がそう言うことを言うのはあれなのでは?
ほなら、黙っておくか。余計なことは口にしない。これ、処世術。
「あ、先輩。そう言えば聞きたいことがあるんすよ」
「何だ?」
兵藤が俺にそう訊いてくる。何だ、エロ本の話か?
「ゆう……じゃなくて、俺の彼女について知ってますか?」
……これ、誤魔化した方がいい奴か?まさか、こいつの方からそれを聞かれるとは思わなかったんだが?どうする、ドキンダム?
――『黙ってろ』
こういう時ドライになるよね、ドキンダムさん。
「さぁな。お前の変わらない妄言など知ったことじゃない」
「この人まで零と同じこと言ってるよ。ってことは俺の夢だったのか……?」
「それ以上行くなら付き合いきれんが?何で俺が後輩の妄想に付き合わされるんだよ」
「それ、場合によっては俺が可哀そうな人になりませんか?」
「ああ!」
「ひでぇ!」
うやむやにしてみたが、多分大多数が『お前は知っている』と捉えるような言い方をしてしまった。実際、木場と塔城さんの目つきが変わったし。
まぁ、こうして漫才して誤魔化せたならいいや。てか、四条まで同じことを言ってたのか。
「で、お前は二人に何で連行されているんだ?」
俺がそう訊くと木場が時計を見て、ほほ笑む。
「彼に用事がありまして。時間があるから行こうか」
「けっ、イケメンがよぉ……何でハンバーグに挿まれたグリンピースの気分を味わわねばならないんだよ」
普段からグレモリーさんと姫島さんに絡まれる俺と同じことを言い出す兵藤。何でこんな所で感性が似通わねばならんのよ。
「どうやら忙しいらしいな。足を止めさせてすまんな」
「いいえ、とんでもないです」
「岸波先輩、それでは」
「それじゃっす、岸波先輩」
「んじゃ。グリンピース頑張れよ、兵藤」
「萎えますけどやるだけやってみます」
そう言って歩いていく3人。後ろ姿を見るが、本当に違和感のあるトリオだ。何の接点があっての組み合わせなんだ?
ま、いっか。こういう時はあれだろ。『なるようになる』って奴だ。他人に言うのは無責任だが、自分を納得させるのに使うなら不安の解消にもなる。最近学んだことだ。
俺はふと思い出したラヴィニアのおっぱいを脳内に浮かべながら四条と結菜との集合場所まで行くことにした。
そういや、木場に塔城さんってオカ研のメンツだったよな?兵藤にオカ研ぐるみで何か用なのか?
Side out
お気づきかもしれませんが、0章の加筆に加えてこの章もさらに加筆されたせいで、現時点で話数が既に前作の3章くらい分まで増えています。出来る限りコンパクトにしたい所。