知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
ここ数年のアドバンスってずっと『モルトorGR』でしたし老人には辛かったです。何なら、公式の異常なまでのモルト推しのせいでここにモルトどころかアイラやグラタレすらも嫌いとかの類の感情を持つに至ったうp主がいます。公式、頼むからロージアとボロフはともかく、サソリスとメタルアベンジャーも強化してくれ。
Side in
赤ドラゴンことドライグさんを見下ろす。片腕を失い、若干ピクピク震えている。ああも悶絶しているのは、禁断の力を込めた影響なのか?
まぁ、今はそんなことはどうだっていい。ユノハ様、一つお聞きしたいことが。
――『何?』
これって俺が本当に倒していいんですかな?
――『そりゃあいいでしょうよ。何でそんな質問をわざわざするの?』
いやね、ランスロットと紅蓮ってガブリエルさんとセラフォルーさん達が倒すんでしょ?
――『(んー、正確に言うと多大な犠牲の後に『あれ』が介入して神滅具にするのだけど……ま、いっか!) そうね。その通りよ』
となるとさ、俺がここで倒すと本来の道筋から外れるわけじゃん。そこまでは俺の目的と一緒だからいいのよ。問題は、ガブリエルさんとセラフォルーさんたちのメンタルの方なのよね。
――『メンタルぅ?』
そう、メンタル。ここでさ、俺が二頭とも倒してしまっても構わないけど、それだとここにいる人たちは『転んでもまた立ち上がる』ってことを学べなかったり、それこそ元々それを分かっていても俺がそれを否定することになっちゃうでしょ?
――『あー、イーヴィルトリガー的な?『圧倒的力によって自分の正義が変わってしまい、結果世界が混乱に陥る』的な?』
そうそう、そう言うこと。とりあえずそんな感じ。俺のせいで怠惰に突っ走ったらそれはそれで何だか嫌だからね。ランスロット……
――『いい加減アルビオンとドライグって呼んでやれよ……』
うっす。ドライグさんは倒そうと思うけど、アルビオンさんの方はどうしようかと思っててさ。
――『なら、とどめの美味しい所だけ持って行けば?それ以外は、それこそ煽動すればいいじゃない』
煽動?俺、そんなに弁舌に長けた覚えはないよ?
――『ヒント:爆煽動アイラ』
……ああ、なるほど。俺の中の禁断パワーがそれなりに影響するってことね。
――『ま、嘘なんですけど』
オッケー。なら、それっぽいことでも言うわ。
――『ちょ、おま……』
俺はそっとガブリエルさんたちの方を見る。何やら二人の周りにはお知り合いと思しき人達もいる。
てか、数が多い!さっきまで散らばっていた奴らが皆ここに集まってる!わしは親カルガモか!?
「あの赤いのは俺が叩く。君達は援護をしてくれ。もしまだ難しいなら、今は休むことだ。君達なら出来るはずだ」
そう言うと、何やら空気が悪くなっていく。何だかどんよりとしてきたな。
……少し理解出来た。
そんな風に考えているとうつむくガブリエルさんが口を開いた。
「無理です……」
……ああ、何となく否定していたが、それもダメだったようだ。
「私達では……二天龍を倒すなんて……」
その言葉が波のように広がる。
「私達、頑張ったんだよ?それでも無理だったの……」
セラフォルーさんがそう言う。
より一層その言葉が、周りの皆を闇へと落としていく。
「俺達は……うまくやったんだ。もう……限界だ……」
ごっつい体つきの黒い羽を生やした男性がそう言う。随分イケボだ。だからこそ、余計に俺を苛立たせる。
「我々には、もう力は残されていないんです。最初から無茶な戦いだった……」
ガブリエルさん、ついに折れたことを言う。うーん、ちょっと無理。苛立ちが限界。
俺はガブリエルさんの前まで出る。
「?」
不思議そうに俺を見る。わりぃな、俺は聖人でも麦わらの一味のコックでもないんだ。やる時はやるぞ。
俺は軽くだが、ガブリエルさんの頬を平手打ちで叩いた。パチンといい音が響く。
「え?」
呆気にとられる皆。そんなに不思議か。そんなに豆鉄砲を食らうようなことだったか。許せサスケ。
「言っておくが、俺は神でもなければ魔王でもない。ただの人間だ。だからこそ、言えることがある」
「何を言って……」
「俺は、今のお前らが心底むかつく。何が『もう無理だ』だ?何が『もう限界だ』だ?笑わせるな。まだ何も終わっちゃいないじゃないか。立派な命がある。立派な魂があるじゃないか。だからこそ、未来を紡ぐ義務がある。人間の魂を受け継ぎ、受け継がせる役目がある。それをお前達は無責任に放棄するのか?」
俺だって嫁さんと生きたかった。だけど、そうはいかなくなった。寧ろ女を侍らせろなんて神からの通達まで来る始末だ。それでも、俺は生きていかねばならない。俺が情けない姿をさらして、愛する人が泣くようなことがあってはならないからだ。
周りを見渡す。皆表情が暗い。ったく、どいつもこいつも……
「俺はこの戦いの始まりが何なのか分からない。それでも『助けたい』って思ったからここに来た。諦めない強さを信じて、ここに来た。これは、お前達が始めた戦いなんだろう?だったら最後がどうであれ、俺に頼り切らずに走り切るんだ」
それでも良くならない空気。どっちかと言うと、煮え切らない感じの雰囲気だ。スゥー……
ぶちっ!
――『あ、いったな』
「お前達!!!」
俺が大声を出すと一斉にビクッとする皆。
「他者にお前達の未来の道を渡してんじゃねぇよ!!お前達の未来はお前達自身のもんだろ!!何故そんな簡単に諦めるんだよ!?何故簡単に捨てられるんだよ!?どれだけてめぇ自身の未来を欲しても二度と手に入らない奴らだっているんだぞ!!たかがあんなちんけなトカゲモドキに未来を渡すな!!つかみ取れよ、未来を!!己の手で、己の未来をよ!!その身に持つ『人間の魂』を輝かせ続けろ!!その命を燃やせ!!」
俺は拳を握り、天へと突きあげる。
「お前達には力がある!!その心に光がある!!未来を諦めない心がある!!俺のような道半ばで諦めたカスとは違う!!眩しく、強い光がある!!立て!!立って戦え!!」
段々と空気が変わっていく。どうやら効き目はあったようだ。っつーか道半ばって……いや、色々あった人生だ、間違いなく道半ばで諦めたことなんて星の数ほどある。
「それでも……それでも未来を捨てようというのであれば、ここで黙って指をくわえて見ていろ。そして全てが終わった時、己の惨めさで押しつぶされ続けていればいい」
腕を下ろしながら俺はそう言い放ち、ドライグの方を見る。どうやら空を飛んで俺と視線を合わせに来たようだ。
「ブラックゾーンと言ったな……?貴様、どこの者だ……?」
どこの、か。馬鹿正直に『異世界の人間です』なんて言っても信じてもらえる気がしない。
――『実際そう。それに、あなたと言う未知で強大な力に依存する可能性だってある。私の存在を知った暁にはもっとひどいことになるでしょうね』
ほなら、適当にはぐらかしますか?
――『そうね、それが一番』
んじゃ、そうしますか。
てか、そうなるとさっきの名乗りでブラックゾーンを名乗ったのは正解だったな。
「さぁな?少なくとも、このちっぽけな地球で測れるような場所じゃないのは確かだ」
「……車輪か」
人の話を聞けって。てか、そんなに車輪が気になるか。
――『まぁ、この時代にバイクはないし。珍しいものなのは確かね』
へぇ、そうなのね。てか、バイクのない時代ってどんだけ昔やねん。
「哪吒の一族か……?いや、あの帝釈天がわざわざ俺達に介入など……」
「ナタクかなんかは知らんが、そんな正義狂いと一緒にすんな。俺は人間だ。醜いほどに欲深い、ちっぽけな存在さ」
拳を握って構える。狙うは鱗に満ちた眉間。
「いいだろう!貴様はハエ共は違う!こちらも容赦はせんぞ!!」
ドライグさんもドライグさんで口から炎を吐く態勢に入った。
「だからこそ足掻くのさ。こんな人生でも、誰かに誇れるくらいの美しさがあったって言ってもらえるようにな」
一瞬でドライグさんとの距離を詰め、拳をその眉間に突きだす。いや、突きだすと言うより拳を叩きつけると言った方がいいだろう。要はげんこつだ。
「しゃおらぁ!!」
ごぎゃん!と言わんばかりの音を立てる。さながらどっかの中将じじいのげんこつを食らった海賊のようだ。
地面にめり込むドラゴン。すごい光景だが、ボーっとしている暇はない。俺はすぐに奴の上の方に回りこむ。
「一発かますぞぉ!」
俺は右拳に力を込めてみる。拳が光を放ちだした。どす黒い悪意を感じるようなものではなく、また純粋な破滅と言う方向にも感じない。自分で言うのもあれだが、『勇気』の光に思える。
「ぐぉあああああ!!!」
ドライグさんが声にもなっていないような叫びで立ち上がり、こちらに口を向ける。明るいものが見える辺り、こちらへの攻撃を諦めるつもりはないらしい。いいガッツだ。少しだけ見直したよ。だけど、すごいいい人でおっぱいのデカい美人さんを殺そうとした時点で俺の中ではギルティなんや。
ただ、だからと言って制裁のためにこのまま突撃することが出来ない。何故かと言えば、拳の光がチャージし切ってないからだ。このままだと攻撃をもろに受けることとなる。別にいいんだけどそれはそれとして何だかなぁと言う思いが強い。
――『何だかなぁってなんだよ……』
こう、言葉に出来ない感情ってあるでしょ?それですよ、ユノハ様。
――『そんな『愛ですよ』みたいに言われても……』
それにですよ、あんだけボロボロなこともあってか、大した攻撃にはならなさそうって言うのが感じられるんですよね。今のドライグさんは満身創痍。それでも俺に抗うために最後まで戦おうとしている。あれ?こうして文字にすると彼も捨てたもんじゃないのでは?
――『はいはい、そうね』
ま、今はガブリエルさんやセラフォルーさんのボインちゃんたちが優先や。
――『やべぇ。まともだった部分がハジケたせいで、こっちの頭が痛くなってきたぞ』
だったらマッチョの男性も込みにすればいいんすか?
――『……もうそれでいいわ』
うっす。
俺は上の空だった視線をドライグさんに向ける。見れば火球が飛んできているではないか。おぉ……これは直撃コースだ。だが効かん。
効かない攻撃を前に俺は微動だにしない。だって、ここで動くと集中が切れそうだし。多分慣れれば動きながらでもいいだろうけど、これが初戦のワイやぞ?そんなことが出来るとお思いで?それに、ワイは不器用なんや。
という訳で大人しく攻撃を受け入れることにした俺、棒立ちを決める。それでも、攻撃が効かないと分かっていても、ちょっと怖いな。
――『あら、無敵の人なあなたがそんな弱音を……』
だって、こちとら小市民なんですよ?無敵でも鉄でもないんです。こういう荒事とかは知らない世界だったし、そもそもこんなファンタジー世界なんて縁もゆかりもないリアルの世界、と言うよりリアルそのものだったんですから。
そうこうしているうちに近付く火球。妙にゆっくり感じる。まるで男塾の10秒が3分の理論みたいだ。
目を瞑ることもない。ただ淡々と右拳に力を込めていく。『出来る』と『慣れている』は別だと社会人人生で分かっていたはずなのに調子に乗った俺への罰にはちょうどいいだろう。
全てを受け入れたその時、目の前に三つの光が放たれた。その光は火球と衝突し、そして相殺されて、消滅した。どうやら、俺は無事のようだ。
光が放たれた先を見る。そこにいたのはさっき説教した人達の中にいた三人。ガブリエルさんとセラフォルーさん、んでもってごつめの偉丈夫。肩で息をしているが、それでもその目は死んでいなかった。さっきとは大違いだ。
――『どうやら、あなたの声が届いたようね。周りを見なさい』
周りを見渡す。皆……ではないが、さっきまで諦めていた人間が明らかに減っている。俺の説教が効いたようだ、強大なドラゴンと言う絶望から立ち上がったんだ。
こりゃぁ、気合が入るね。
柄にもなくうれしくなってしまった。よーし、ちょっとばかり気合を入れるぞー。
チャージが完了した拳を突きだす。
「皆がどうしようもない時、俺と言う切り札が
気分が乗ったので、気障ったいことを言いながら俺はドライグへと突撃する。拳のエネルギーが漏れ出し、俺の体を光が覆う。俺視点でもそこそこ神秘的なのだから、外から見たらさぞすごいだろう。
「ぐぉおおお!!!」
ドライグが再び炎を吐く。俺はその中に突入し、炎を拳で引き裂いていく。
炎を引き裂き切ると目の前にはドライグが立たっていた。よし、じゃあ死ね(直球)
俺はそのままドライグの頭に拳をヒットさせる。すると不思議な感覚が全身を襲ったと思ったら、地面に立っていた。何があったんだと不思議に思って後ろの気配に目を向けると、そこにはドライグが立っていた。
え、貫通した?肉抉った?
――『貫け龍拳からのピッコロ大魔王したわけじゃないわよ』
じゃあ、どうして俺が地面に立ってるんすか?
――『あなたのその勢いで出した技、解析したらクリムゾンスマッシュみたいなことになっているらしいわよ?』
え、えぇ……。そんな物騒なことになってたの?
――『で、突っ込んで行っている姿はまるで英雄奥義バーニング銀河、迫力だけならドルマゲドン・ビッグバンって所かしら?それだけ他を魅了するようなものがあったのよ』
表現が分かるようで分からんな。
そんな風に呑気にしていると、爆破が起きる。ドライグさんが爆発した。大変だ!ドライグ司令が爆発する!
「ほわぁああああ!!!」
……ごめん、俺が振ったからってそんな叫びで締めなくていいのよ、ドライグさん?
爆発が終わると、そこにはぶっ倒れたアルビオンがいた。見た感じ、もう立ち上がる気配はない。よし、とりあえずいっちょ上がり。次は残りのドラゴンだ。
そんな中でドスンと音が鳴る。目の前にでっかいもんが降り立ったからだ。
それは、お目当てのアルビオンさんって奴だった。
「お前がこいつをやったのか」
「らしいな」
俺がそう返すと随分不満げな様子になるアルビオンさん。
「ブラックゾーンさん!」
後ろ、と言うより上から声をかけられる。振り向くと、地面に降り立ったガブリエルさんとセラフォルーさん、ごっつい男性がいた。
「大丈夫か?」
「何とかな。てか、男性よ。名前は?」
いい加減面倒なのでその名を聞くことにする。
「ば、バラキエルと言う」
「オッケー、バラキエルさんね。で、三人とも無事なようで何よりだ」
そう言うと、上から殺気が飛んできた。俺は即座に三人の近くに寄り、上に向かって防御用のバリアを貼る。
ビターン!!と大きな音が響く。バリアの先にあるのはアルビオンさんの手。どうやらそのまま踏みつぶそうと言うわけだったらしい。
「随分せっかちだな、トカゲ風情が」
「呑気にしている方が悪い。赤いのがやられた以上、こちらも油断するわけにはいかんからな」
おやおや、殺る気満々だ。それじゃあ、こっちも気合を入れよう。
「ガブリエルさん達は下がって……」
「分かりました。我々も戦います!」
「了解だよ!私も思いっきりやっちゃうから!」
「なら、俺も諦めずに最期までやりきろう」
え、そこまで俺は言ってないんだけど……。まぁ、折角湧いた皆のやる気を削ぐわけにもいかん。そのようにしてもらおう。てか、サーゼクスって誰?ミカエルとかアザゼルはギリギリ分かる。その背中の翼からも嫌な察しの突き方が出来てしまう。けどさ、そのシャアとゼクスとか言う無責任放浪の極み共の合わせ技みたいな名前誰よ?
てかそうなると、もしかしなくてもガブリエルさんって聖書でお馴染みのあの天使?
――『そうだよ(説明してない神)』
わ、わぁ……!(ちいかわ) 俺、とんでもない方に説教しちゃったよ!いや、今は切り替えだ。そのことは後回し!いっそ忘れるに限る!
「それじゃあ、俺はこの馬鹿ドラゴンを何とするとすっかな」
力を込めて、バリアを押し込む。すると、アルビオンさんがバランスを崩した。
俺達は一斉に飛び立つ。
「油断をしないと言ったが……随分なものだ……!」
「お褒めの言葉、ありがとう。でも、今はその気分じゃない」
そう返す。アルビオンさんもどうやら警戒を強める様子で、隙が少しだけ減った、気がする。視線はアルビオンさんに向けたまま。警戒は怠らない。
「今です!皆さん!」
「行くよ!皆!」
「我らの力を見せる時だ!」
ガブリエルさん、セラフォルーさん、バラキエルさんの声が響くとアルビオンさんの方へと光が雨あられのように降り注ぐ。お、おぉ……随分やる気に満ちておられる……。
「ぬぉお!?ハエ共め、まだやるか!」
どうやら、人の心はまだ潰えていないらしい。抗い、戦い続ける。そんな光景が広がっている。
なら、俺だってここで見ているだけにもいかんだろうな。一応、ああなっているのも俺が悪いようなもんだし。
握り拳に力が入る。白いドラゴンは嫌いだ。主にミラダンテⅫ。だからと言って、赤いドラゴンも赤いドラゴンで、モルネクからドラゴ大王がめくられた時とかバクテラスで出てくるヴァルキリアスとか死ぬほど嫌だったなぁ。
そんな風に思いを馳せていると後ろの視線が妙に熱いのに気付いた。振り向くと、金髪のイケメンと赤……っつーより紅の髪のイケメン、それとヒゲのダンディ。彼らの後ろに多くの人がいるのを見る限り、どうやら彼らが元締めっぽい。んじゃ、少しだけ談笑でもすっか。
談笑と言う名の、その心折れかけている心の簡易的な蘇生をね。
Side out
この手の展開にありがちな男省きをどうかと思い、堕天使サイドからバラキエルに出張してもらいました。
とりあえずチラシの裏から始めて、後々表に出そうと思っています。余り人目のつかないチラシの裏でも見てくださる方がいてありがたいです。