知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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筆がノリノリだったので投稿。
気が付くと結構な数のお気に入り数。ありがたい限りです。今後もがんばってまいります。


第39話 長い夜の始まり

Side in

 

試合の翌日の夜。俺は招待状を持って部屋に立っていた。服装は制服。ここから先はそれなりの衣服である必要性が出てきたからだ

 

始まりはグレイフィアさん。この招待状を渡してきたのは彼女だが、その時にこんなことを言っていた。

 

―「ここより先は魔王様方の機嫌を損ねることはありません。あなたの思うがままに行動してください」

 

この招待状は転送装置の機能もあり、これの封を切れば、ただいま行われているであろうグレモリーさんの結婚式の会場まで飛んでいけるそうだ。

 

どうしろってんねん……あれか?間男しろってか?気に入らねぇ。そんな立場にはなりたくねぇ。あいにくNTRは趣味じゃねぇんだ。

 

でも一つ突撃の大義名分をつけるなら……

 

「兵藤の奴のお礼参りに行くか」

 

あいつ、今日の昼にこんなメッセージを送って来ていた。

 

―『俺じゃあもう無理です。俺達には、もう岸波先輩しかいないんです。助けてください』

 

俺もあのフェニックスを騙ったクソ野郎は気に入らんからな。ちょっと殴り飛ばしに行くか。『新郎の心労を増やす』って言うクソ寒ギャグで一発余興にもなるだろうしな。

 

さて……全員集合。

 

――『何だ?』

 

――『何用だ?』

 

――『何よ?』

 

お前ら、一応聞いておくが……俺はここでブラックゾーンになっていいと思うか?

 

――『ドキンダム的にはなっていいと思うダム。油断大敵って奴だな』

 

無難で玉虫色の回答だね、ドキンダム。

 

――『我はどうでもいい。いっそ我の威光で焼き払うか?』

 

あんたの威光はマジで焼き払いかねないのでNGだ、アポロヌス。

 

適当なことを言う2名に対し、ユノハ様は真剣に答えてくれた。

 

――『ブラックゾーンにならなくとも勝てる。だけど、あなたの心はそれを許さないでしょう。ならなるべき。でも、もしブラックゾーンになれば、あなたの平穏は二度と手が届かなくなるわ』

 

……ですよね。俺がブラックゾーンになったら、間違いなく騒ぎになる。何せ、神器って奴とは明らかに形態が違うんだから。

 

それでも、あのフェニックスは本気でぶん殴りたいって気持ちがある。俺の持っていた畏怖とかじゃない。もっと根源的な怒りだ。憎しみでもない、透き通った怒り。それが俺の中にある。

 

――『それに、あの子たちばかり情報を開示してばかりじゃない。リアス・グレモリーだけじゃなくて、斎藤結菜も四条零児も。いい加減あなたもブラックゾーンであることを開示したら?』

 

ハハッ、確かにそれはそうですね。不公平だったな。じゃあ。今回は『いい機会だから』ってことにしておこう。

 

……皆、俺のことを馬鹿だと笑ってくれ。俺は、あの馬鹿なガキ共の熱に当てられた。あいつらだけが頑張っているのが許せなくなった。あいつだけじゃない、四条と結菜だってそうだ。俺ばかりが現実から逃げようとしていた。

 

大切な友達一人守れずして、何が男だ。どうして生きていられようか。

 

安寧、平穏。俺が求めた全て。俺はそれらを投げ出す。それでも、俺についてきてくれるか?

 

――『『『勿論』』』

 

ありがとう。死人にはもったいない連中だ。お前らも、あいつらも。

 

結菜と四条にもメッセージを送った。『もし俺がただの人間じゃなかったら?』って。そうしたら二人とも同じ返答をした。

 

―『だから何だ。お前が岸波大地なことには変わらない』

 

ああ、そうだったな。兵藤、お前に『自分らしくあれ』とか説教していながら、俺の方が自分のことが何者かも分かっていなかったようだ。そんなことを、俺の大切な友達と後輩は教えてくれた。自分が自分じゃなくなる程に若くなってしまった。青臭いのも悪くないと思ってしまった。

 

そうだ、俺は岸波大地だ。ただの死人で、人間。大きな愛を受けてここまで来た。

 

深呼吸を一つ。暗い部屋には変わらず月光が差し込む。綺麗だなぁ……これを綺麗と思えるように、俺は戦おう。

 

俺は招待状を破こうと手に力を込める。すると扉を叩く音がした

 

「ダイチさん、少しいいでしょうか?」

 

アーシアの声だ。

 

「いいよ」

 

「失礼します」

 

そう言って部屋に入って来たアーシア。その表情は悲しそうにしている。

 

「……行かれるのですね?」

 

「ああ」

 

彼女も何となく分かっているんだろう。俺がとんでもないことをやらかすって。だからこそ、俺の身を案じてくれている。優しい子だ。

 

俺がアーシアの優しさを感じていると彼女が俺に抱き着いてきた。優しく、そして強く。顔を胸に埋めるように押し付けて。

 

「あなたには行ってほしくないです。行けば、きっとあなたは元の道に戻れなくなる」

 

「……そうだな」

 

聡明だな、アーシア。俺の思っていたことをこんなにも読み取るなんて。

 

「でも、あなたは止まらない。だってそれが、私の大好きな『岸波大地』さんですから」

 

「アーシア……」

 

その優しさに心が震える。思わずその頭をそっと撫でてしまった。

 

「ダイチさん……」

 

「俺は人間だ。人間で沢山だ。そんな奴でも出来ることをやってくる」

 

「はい……!」

 

「必ず、帰ってくる。待っていてくれ、アーシア」

 

「待ってます。あなたの帰りと、皆の笑顔を……!」

 

そっとアーシアを離す。

 

思えば、色んな人の愛を受けてきた。父さん、母さん、遥輝。家族だけじゃない。寿水さんに黒歌、結菜、アーシア、グレモリーさんに姫島さん。皆いい人ばかりだ。死人の俺がここまで生きてこられたのは、皆のおかげだ。こんなにも満足できることがあるか。

 

それじゃあ、そんな皆に誇れるように気合入れていくか。

 

「それじゃあ、アーシア。いってきます」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

俺は招待状の封を切った。目の前が光に包まれる。

 

 

○○○

 

 

目の前に広がるのはパーティー会場。豪勢な場。俺みたいな庶民には永遠に関係ないはずの場所だ。

 

目からはシャンデリアの輝き、鼻からは料理のいい匂いが感じられる。

 

さて、と。

 

「だ、誰だ!?」

 

俺の周囲を警備員みたいな奴らが5人くらいで取り囲んだ。お仕事ご苦労様です。

 

遠くにはウェディングドレスを着た紅髪の女の子が一人。随分おめかしを決めている。懐かしさすら感じるこの光景だが、今から俺はそれをぶっ壊す。

 

「全く、わがままお嬢様の相手も楽じゃないね。だろ?」

 

「え!?あ、いや」

 

俺は警備員に突然話を振る。いや、不審者の言葉を真に受けてどうすんよ。もっとしっかりしなさい。

 

ウェディングドレス姿の女性に目を向ける。俺の目が腐っていなければ、あれはグレモリーさんだ。そしてその隣にいるのは、憎きフェニックス。

 

ここが祭りの場所か。

 

周囲を見渡す。明らかに歓迎されていない雰囲気だけかと思ったら、どっちかと言うと驚きの方が強そうだ。

 

……おい、待て。今視線にちらっと映ったから見直してみたが、グレモリー眷属一同もいるのかよ。しかも期待と喜びの様子だ。兵藤に至っては救世主の来訪を喜んでいるようじゃねぇか。

 

全く、世話の焼けるガキ共だ。お前らの始めた物語だってのによぉ……

 

とりあえず、名乗りを上げるだけ上げておくか。

 

「君の親愛なる友人にして、ただの人間のご登場だ。ちょっと遅刻したが許してくれ、グレモリーさん」

 

そう言うと口元に手を当て、涙を流すような様子のグレモリーさん。遠目で見えにくいが、目元がキラキラしているので涙だと思いたい。

 

さ、やることは大方やった。残るはただ一つ。そこにいるお前だ、フェニックス。

 

「さぁさぁ、お礼参りの時間だぞ、フェニックス!よくもうちのガキ共を馬鹿にしてくれたな!覚悟しな!」

 

今年二度目のカチコミである。前回のような屑共を相手取るわけじゃないが、今回も手心は加えられんぞ。せいぜい腹くくれよ。

 

俺が呑気にしていると、周囲を囲んでいた警備員。手に持っているのは鋭利な刃のもの。周囲の人間の目は厳しい。明らかに歓迎されていないよな。その中でグレモリーさん一派だけが何だか喜んでいるのは解せないけれど。

 

ま、今からやるのは『グレモリーさんと兵藤のお礼参り』だ。それもそうだろうな。

 

とりあえず、無用な争いを避けたい気持ちはあるので警備員さん達にはどいてもらおう。

 

「あんたら」

 

俺が口を開くと警戒を強める。そんなことある?俺だぞ?しょうもない人間にそうなる?

 

「悪いが、武器を下ろしてそこをどけ。俺とて無用な殴り合いはしたくない」

 

そう言うと一人だけ武器を下ろす。その様子を見て、周囲の警備員は何やらお怒りの様子。そりゃ、仕事を放棄したんだもんな、怒られるよ。

 

でも、今回は武器を下ろした人が正しいよ。

 

「警告はしたからな」

 

俺はそう言ってグッと力を拳と足に込める。

 

俺ってこの人間態でもそこそこのパワーとスピードが出るんです。しかもそれに見合うだけの異常な反応速度も。そのせいで身体測定とかで手加減する羽目になったりするんだが、今回はそう言うのはいいだろう。だって、こいつらグレモリーさんと同じ気配……悪魔の気配がするんだもの。木場のスピードが許されるんだからこっちだって人外なパワーとか出してもいいはずだ。

 

込めた力を解放するように高速移動。そして武器を下ろした警備員以外の武器を拳で砕きつつ、その腹に拳を叩き込む。

 

俺が高速移動しすぎなせいで、スローモーションのようにゆっくりと天井へと飛んでいく姿が見える。何だろうな、このMGRのような光景、シュールだ。

 

元々立っていた場所に戻る。そうだ、折角だしポーズもしておこう。そうだな、うーん……レッドゾーンZのポーズにしておくか。

 

拳を床にそっとつける。するとスローモーションが解除されたようにボトボトと落下する警備員さん達。どうやら、高速移動から俺の感覚が普通に戻ったようだ。ドライグさん達の時は直感で全部やっていたから分からなかったけど、この力を意識し出した結果こんなクロックアップみたいなことになり出した。これも次第に慣れていかないといけないな。

 

殴られた人達は皆泡を吹いて倒れている。残っているのは武器を下ろした一人だけだが……

 

「ひっ……!!」

 

完全に戦意をなくしている。流石に彼を殴る義理はないので放置だ。

 

俺は立ちあがる。会場は俺の姿が危険に思えたのか、ざわついている。

 

「諸君、痛かったかねー?w」

 

とりあえず煽っておくか。

 

「何者なのだ……!」

 

「私の『騎士』よりも速いぞ……?!」

 

「本当に人間なのか……?」

 

声が聞こえてくるが、どうやら俺にビビっている様子。ちょっと脅すつもりもあったけど、それにしては効きすぎたか?

 

――『いつまでこんな所に立っている。さっさと行くとこにいけ』

 

うーっす、厳しいねぇドキンダムさん。しょうがない、歩を進めるとしましゅ。

 

おっと、そうだ。だったらついでに。

 

俺はグレモリーさんの眷属一同の方を向いて、足を進めた。一歩一歩と進めるが、妙な笑顔がちょっとむかつく。

 

彼らの前に立った。さて、超短くお説教だ。こいつらは個人的に気に入らんことをしたからな。

 

「おい、木場」

 

「はい」

 

「お前、フェニックスとの戦いで挑発に乗っただろ?」

 

無言だが、虚を突かれたような表情の木場。その様子を見るに、どうやら説教されるとは思っていなかったようだ。

 

「塔城、それと姫島。お前らはお前らで手加減したな?3人まとめて言うが、あの様はなんだったんだ?肝心な時に戦えないと、永遠に後悔するだけだからな、全く……」

 

そう言うと悔しさのにじみ出る3人。恨みを買いたくないし、このまま言うだけ言っての感じも嫌だからフォローもちゃんとしないとな。

 

「力を縛った割には善戦したな、お前ら。やれることもやっていた。よくやったんじゃないか?今後は注意しな」

 

じゃあ、残りいくか。

 

「兵藤」

 

「はい」

 

「お前は説教無し」

 

「そうっすよね……はい?」

 

どうやらこいつは今の流れで自分にも説教の矛先が向くかと思っていたらしい。まぁ、そうなるよな。

 

「弱くて経験のない奴なりに、お前はよくやったよ」

 

俺はその空っぽの頭を撫でてやる。この歳になると素直に褒められることもなくなるし、やっておいて損はないだろう。

 

「今回は、グレモリーさんとお前の頑張りに免じて『特別に』お礼参りに来てやった。感謝しろ」

 

「っ!?……はい!」

 

妙に汚い顔の兵藤。まぁ、色々あるんだろうよ。

 

言うことは言った。俺はフェニックスの方を見る。さて、標的は定まった。後はあれが俺の挑発に乗るかだが……まぁ、適当に『女を手に入れて即退散とは、とんだ臆病者だなフェニックス家とは』とでも言っておけばいいだろ。

 

俺は再び足を進めた。

 

「全く、どいつもこいつも馬鹿ばかりでやってられん」

 

思わず漏れる愚痴。

 

「注意した矢先に挑発に乗る馬鹿」

 

お前だぞ、木場。

 

「主の未来がかかった戦いで己の身の可愛さを優先する馬鹿」

 

お前だぞ、塔城。

 

「それらを束ねる立場を放棄して、自分の力を出し惜しむ馬鹿」

 

お前だぞ、姫島。

 

「俺の言ったことを鵜呑みする馬鹿」

 

お前の……いや、俺のせいでもあるな、兵藤。

 

「そんな馬鹿の上に立つ小さな世界の『王』」

 

今回の花嫁様にまで直接の罵倒は出来んよ。

 

「どいつもこいつも馬鹿ばかり。どうにかならんのかと思っちまう……ま、そんなガキ共を可愛がった俺も大概馬鹿なんだがな」

 

気が付くとその『王』の前に立っていた。誰も割り込むことをしないのだ。皆さん、ちょっとくらいこの不届き者を何とかしようと思わないんですか?

 

「よぉ、グレモリーさん。お礼参りに来たぜ」

 

「岸波、君……!」

 

ボロボロと涙を流すグレモリーさん。結婚式の特別なものなのかは知らないけれど、涙を流しても崩れないメイクにちょっとびっくりした。これは全国の花嫁さんに朗報ですな。

 

「貴様、ここをどこだと思って……」

 

「ちょっと黙ってろ」

 

瞬間、俺からオーラが発せられ、風となってこの会場を走る。それを受けて、皆静かになる。ごめんなさい、ちょっとカッとなっただけなんです。だから喋って。

 

で、フェニックスの方を見る。うーん、ビビっている。これでは戦う前から決着がついてしまったようなものではないか。仮に戦えても弱いもの虐めになる気が……

 

「少し遅刻気味だったかな?まぁ、緊急時でない時のファルビウムやアジュカに比べたら早い方だけれどね?」

 

後ろから声をかけられた。誰でしょうか?なんて思って振り向くとそこには……

 

「サーゼクス様、この人間は一体!?」

 

「ちょっとした余興でね。彼に出てきてもらったんだ」

 

「よ、余興ですか……?」

 

……悪魔ってもしかして寿命長いパターンですこと、ドキンダム?

 

――『そうダムね。2000年以上は平気で生きるダム』

 

じゃ、じゃあこの紅髪の男性って……

 

――『お前が昔お説教した男。だよな、ユノハ様?』

 

――『ええ、合ってるわよ』

 

なんてこった、じゃあブラックゾーンの伝承って下手したら『誰かが言い出したことを伝えた』んじゃなくて『この人がずっと言っていた』ってパターンになるのか?!

 

じゃあ、言い訳出来ないじゃん。『ちょっと伝承に似ているだけの赤の他人』とか言い張ることが出来ないってことじゃん。

 

――『え、あなたここまで来て逃げようとしていたの?』

 

逃げられるに越したことはないじゃないですか、ユノハ様。ブラックゾーンについて話すのも四条と結菜だけでいいかなぁって思ってました。

 

――『うっわぁ、ドン引き』

 

うるせぇ!

 

てか、生きていたとかそう言うことは置いておくとしてだな、この人は一体グレモリーさんとどんな関係なのよ。結婚式に呼ばれるってことはそれなりの近しい人で……

 

「お兄様……」

 

お兄様ぁ!!??お兄ちゃんなの!!??ブラザー!!??遥輝にとっての俺ぇ!!??

 

――『そんなマニフェストでドキンダンテ捲った時みたいな反応しなくても……』

 

そんなこと言ってもよぉ、ユノハ様よぉ……

 

「リアス・グレモリー、リーアの夫となる君の実力をもっと知ってほしいと思ってね。ただ、下手な相手では君の相手にならないし、僕みたいに親族では意味がない。だからと言って、リーア達にもう一度戦わせて、仮にリーア達が勝ってしまっては君の勝利はまぐれになる。だからこそ、リーア達を鍛えたと言う彼の出番だ」

 

「し、しかし……」

 

「お願い出来るかな?」

 

「くぅっ……承知しました」

 

何やらとんとん拍子で話が進んで行く。話の感じを見るに、どうやら俺のお礼参りについてこのお兄さんは肯定的なようだ。うれぴー、こいつもまとめて責任取らせてやらぁ。

 

「それでは準備をさせよう。それと、君の眷属を全員出動させなさい」

 

「何ですと!?いくら何でも人間相手にそれは……!」

 

「この男を舐めない方がいい、と僕の勘が言っていてね。ライザー君にはこれを杞憂で終わらせてほしい」

 

「ぬぅ……承知しました。お前達、準備をしろ!」

 

俺のお礼参りについて話を進めている。内容は俺のリンチだ。うーん、大丈夫?俺がリンチしかねないよ?持ってくるなら大軍勢じゃないと。しかも、俺の記憶が正しけりゃ、こいつの眷属って皆女だったよな?気が引けるけど、『戦士』として来る以上はちゃんとやらないとアマゾネスCEOみたいなことになりそうだしなぁ……

 

ま、無理な脅しとかしなくて済んだってことでいいだろう。そう思おう。戦いの前に緊張したり考え事をしていては本領発揮出来ないからな。

 

「岸波君はそれで納得してくれるかな?」

 

「いいですよ?何ならあなたも一緒に戦いますか?多少は良い感じになりそうですし」

 

「まだ侮辱するか、人間!!」

 

「うーん、それもいいね。最近は体を動かしていないし」

 

「サーゼクス様!?」

 

「お兄様!?」

 

「でも、僕が参加すると『貴族の戦いに魔王が介入した』となってしまうからね。ライザー君どころフェニックス家のメンツまで潰れかねない。他家に何を言われるかも分からないし、今回は遠慮しておこう」

 

「あら、残念」

 

魔王ね。俺、ドイツか何かの曲だったりドラクエくらいしか知らないんだけど。あとはヴァー君の名前の奴。デスシラズは魔『壊』王だし。

 

しかしながら、この人も偉くなったのね。凡そ、あの戦いで生き残ったことが評価されたか?そもそも魔王って世襲じゃないのね、知識欲が刺激されたわ。

 

 

○○○

 

 

はい、てなわけで準備完了。式場の中心にバトルフィールドが作られた。俺の目の前には10人近くの女の子とフェニックス。たまげた、リンチの態勢じゃないか!俺が手加減する理由が『女だから』以外なくなるぞ!

 

俺も俺で準備した。と言っても、制服が汚れると嫌なので上着だけグレモリーさんに預けてきただけだが。

 

首を左右に動かして軽い柔軟体操をする。準備は完了。さて、戦術を考えよう。とりあえず、相手の様子をうかがうことは必須だ。事前にどうしてくるかはグレモリーさん達の戦いで粗方は分かっているが、あっちもあっちで手の内を隠している可能性だってある。手を隠していた姫島さん達のせいでその可能性が捨てきれなくなったからな。

 

うーん、この体は丈夫だってことを利用して、最初はノーガードで全部受けてみるか。相手を立てる意味でもそうしようっか。

 

「それでは、準備はいいかな?」

 

「うっす。いつでもどうぞ」

 

審判役のグレモリーさんのお兄様がそう言う。そういや、グレモリーさんってお兄様がどうとかこうとかで結婚に夢を持ったんだよな。じゃあ、こいつが全部悪くね?

 

「ああ、そうだ。審判」

 

「何だい?」

 

「こうしていらん騒ぎを起こすきっかけはあんただ。この戦いが終わったら……あんた一発殴っていい?」

 

「貴様、どこまでサーゼクス様を侮辱すれば気が済むのだぁ!!」

 

「お前は後!」

 

騒ぐフェニックスにビシッと指をさして黙らせる。俺の言葉を受けて、サーゼクスさんとやらは笑った。

 

「アッハッハッ!そうだね。思えば、僕にもそれなりの責任がある。いいだろう、君が勝ったら思う存分僕を殴ってくれ」

 

「言ったな。じゃあ、やる気出すか」

 

拳を突き合わせる。さて、気合入れていこう。何せ、うちのガキ共のメンツが関わってんだからな。

 

「それじゃあ、始め!」

 

戦いの火ぶたが切って落とされた。

 

Side out




そろそろ大地君も本気で頑張る時。
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