知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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『ストーリー性って何だろう』と思い、考えたり調べたりしてみたのですが、個々の主観を排除するのは難しい要素だなと思うに至る次第。鉄血2期みたいなのが『ストーリー性がない』って言うのなら、指標になりそうですが......うーん......。


第42話 お礼参りの拳

Side in

 

手をグーとパーを繰り返して体の調子を確かめる。うん、好調だ。

 

「お、お、お前ぇ!?その姿は……!」

 

「この姿がどうかはいいだろ。俺は今からお前をぶっとばす。俺は、お前みてぇな奴が『フェニックス』を冠しているのが気に入らねぇんだよ!!」

 

一瞬でフェニックスの前に立って、構えを取る。それは大きな一撃を入れるための構え。

 

「しゃぁっ!!」

 

右拳を強く突き出し、正拳突きをする。拳がフェニックスにめり込んでいく。力が奴の体を突き抜け、そして……

 

ゴォオン!!

 

轟音を立てて奴の上半身を吹き飛ばした。目の前にはフェニックスの下半身だけが残っている。とりあえず、兵藤の分のお礼参りはいいか?

 

妙な近さを感じたので俺は少し後退して様子を見る。

 

見ているが……中々再生しないな。どういうことよ、ユノハ様。

 

――『これ、RPGで例えると分かりやすいのよ』

 

ほほぉ。

 

――『普通の連中が『負傷が出来ると同時にHPが減って、HPが0になると負傷のしすぎで没』って言うのに対して、フェニックスのは『傷のみの踏み倒しにHPを使って、HPが0になれば踏み倒せず没。そもそも傷以外は踏み倒せない』って感じ』

 

なるほど、ドキンダム、ヘルプ。

 

――『はぁあああ……(クソデカため息) 普通が『バトルに勝ったら破壊』、フェニックスは『進化元の数だけパンプアップでデフォがパワー0のクリーチャー。メテオバーンで破壊を回避。バウンスとマナ送り、パワー0化はマジ無理』。以上』

 

投げやりな……ああ、でもドキンダムの説明で何となくユノハ様の言いたいことは分かったぞ。つまり、あいつは俺の予想通り傷以外なら死ぬし、何なら殺し続ければ死ぬんだな?

 

――『Exactly』

 

オッケー。それじゃあ……

 

「早くしろ。殺し続けられないだろ」

 

そう言う俺。なお、まだ再生しない。待って、マジで殺しちゃった?

 

俺が不安になっていると下半身から炎の渦が生まれ、そしてそこから奴の上半身が戻っていった。

 

「はぁ……はぁ……!!」

 

随分呼吸を荒げている。そんな大変だったかね、再生は?そういやピッコロさんも再生にはエネルギーを使っていたな。じゃあ、これもまた自然の摂理ってことか。

 

「な、何だよお前ぇ!!」

 

「何だよって……」

 

俺は頭をポリポリと掻いて答える。

 

「ただの、人間だ」

 

『あ、ビンゴ♡(失神)』

 

「ドライグ……?ドライグ……?!誰か!誰かドラゴン専門の医者は?!!」

 

何やら外野がうるさくなってきた。『貴族をいたぶるな』ってか?そんなこと言われても俺にはどうしようもないよ。じゃあ、兵藤みたいなやり方でひと思いにやるか?それこそ揉めそうだな……それしか無いならそうするけど。

 

「ただの人間なことがあるか!ブラックゾーンはサーゼクス様やセラフォルー様を救った悪魔の英雄だ!何ならレイヴェルのお気に入りだ!お前如きがそんな高貴な存在なわけがあるか!!」

 

うげー!こいつ厄介ファンかよ!やめろよ、そう言うの!気持ち悪いんだよ!

 

「お前、そのセラフォルーさんって人の前でブラックゾーンが『ただの人間だ』って言ったことは知らない口?」

 

「何だとぉ?!」

 

「何なら、お前らも人間として見ているってことも」

 

慌てふためくフェニックス。どうやらこの辺りはあいまいらしい。結構重要に思っていたんだけどなぁ。そっか、ダメだったかぁ。

 

肩を落とし、俺はフェニックスを見つめる。

 

「じゃあ、そのブラックゾーンってものの現実を見せてやるよ」

 

俺は拳に禁断の力をごくわずかに溜める。後は調整して殴って終わり。

 

もう終わりにさせよう。こいつのせいで疲労が半端なくなった。何なら全てが面倒くさくなった。要するに萎えた。何が厄介ファンだ、そんなものは害悪以外何もんでもない。

 

でも、こいつはグレモリーさんと兵藤のお礼参りの対象だ。最後まで付き合ってもらおう。

 

俺の拳の変化を見てあからさまにビビるフェニックス。そんなフェニックスが面白いことを言う。

 

「これは悪魔の未来のためのものだぞ!それが何でお前に関係ある!!?」

 

「知らん!知らんからここにいる!」

 

即答してしまった。

 

悪魔の未来、ねぇ。貴族同士の婚姻とか家の繋がりとかよく知らんし、面倒なことは分かる。だけど、今はそんなのはどうだっていい。俺はお礼参りしたいんだ。

 

そもそも、こいつらの観念的に『強い奴こそ正義』っぽいし、だったら俺は正義の中の正義以外何者でもないだろう。言っていて気持ち悪くなった。何だよ、正義の中の正義って。五飛やめろ。

 

「どいつか知らんが、『助けてほしい』と俺の名を呼んだ馬鹿がいた!あいにく見知らぬ奴なら手を伸ばさない!そんなお節介になったつもりはないからな!勝手に死んでろ!だがな、手が届く所にいる奴がそう言ったのに助けなかったら、その日の夕飯が不味くなんだよ!」

 

自然と拳に力がこもる。ちょっと青臭く、そして熱くなってきた。それでも、間違いは言っていない。俺の偽りない心である。

 

「だから手を伸ばす!それこそが、ちっぽけな俺が出来る最善の手だ!」

 

禁断の力の調整が出来た。じゃあ、ぶん殴るか。

 

「おい、お前不死なんだろ?あの兵藤ですら覚えてるくらい自慢したんだろ?だったらこの程度耐えるだろ?当然だよな?」

 

そう言うが俺が一歩歩くたびに後ずさりするフェニックス。ああ、ありゃダメだ。完全に心が折れている。いわゆる、『戦意喪失』ってのだ。こうなったら殴る気も失せるし、そもそも待ったが入ると思うんだが……審判はサボってんのかな?その声がない。ってことは、このまま殴っていいってことだよな?じゃあ、殴るか。

 

「俺の知っているフェニックスってのはな、文字通りいくらでも復活してくるし、しつこいし、死に際に呪いをまき散らす。その上、殴り合いも強いと来た。迷惑極まりない存在なんだよ!それをてめぇ……!!余計なことを思い出させやがってぇ!!」

 

前世の嫌な思い出の数々が俺の脳裏に沢山よぎりつつも、一歩一歩と歩みを進める。

 

「なっ……なっ……」

 

「弱い者いじめってよくないよね。俺もそう思う。でも、弱い者のせいで俺の大切な人達が傷つくってのなら、いくらだって弱い者いじめしてやるよ」

 

「ひっ!?」

 

恐怖にかられた表情で俺に炎で攻撃してくるフェニックス。残念、その炎程度じゃ効かねぇんだ。

 

「そもそも、だ。俺はな、女の涙が苦手なんだ。だからこそ、それを利用する女も嫌いなんだが……まぁ、いい。そんな女の涙が、しかもグレモリーさんっつー俺にとって特別な人の涙が流されたんだ。で、お前はその下手人。許されると思うかね?」

 

足に力が入る。うーん、我ながら俺はおこだ。結構頭に血が上っている。落ち着きたいけど、落ち着けそうにない。いかんな、GWか夏休みは寺籠りだな。

 

「さっきのは兵藤の分だ。で、これがグレモリーさんの分。『ただの人間』の特別なお礼参りだ、じっくり味わえ」

 

ちょっとカッコつけて終わりにするか。

 

深呼吸を一つ。そして俺は叫んだ。

 

「フェニックスがナンボのモンじゃぁああああ!!」

 

「うわぁあああああ!!!」

 

俺は拳を振りかぶる。フェニックスの顔面に拳がめり込んでいく。人を殴る感触は気持ち悪くて仕方ない。でも、内心スカッとしている自分がいる。どんどん悪逆に落ちていくような気がしてならない。そんなのは俺が許さない。だからこそ、本当に悪逆に落ち、その道を愉悦するようになったら、それこそ自害でもなんでもしてやる。

 

だからさ……ドキンダム、アポロヌス、ユノハ様。いざとなったら、俺を殺してください。

 

――『こいつ、いっつも面倒ごとばかり押し付けるな』

 

――『我に命令するな。貴様に価値がなくなれば殺してやる』

 

――『介錯くらいはしてあげる』

 

ありがとう、皆。

 

拳が振り抜かれた。フェニックスがぶっ飛んでいく。見た感じ、フェニックスの奴は気に入らねぇが丈夫そうなのは評価できるので、ぶっ飛ばして放置でいいだろ。

 

ぶっ飛んだ先で倒れたままのフェニックスを見つめる。立ち上がる気配はない。どうやら終わったらしい。

 

さて、流石に審判もこれなら来るだろう。

 

「そこまでだ…………流石だね、ブラックゾーン。あの頃と何も変わっていない」

 

そう言って審判の人が来た。あの頃、ねぇ。俺は変わらずにここまで来れたか不安で仕方ないよ。

 

「人は変わるものだ。だけど、俺も俺で変わりたくないものもある人間ですからね。下らん意地を張ってここまで来ましたよ」

 

「そっか……その強さに、僕達は惹かれたんだよね」

 

お、おう……この人、随分持ち上げてくれるね……。まるでグレモリーさんみたいだぁ……いや、この人がお兄様だったんだ、そりゃ似るか。

 

「君の完全な勝利で戦いは終わった。誰も文句は言えない。さぁ、リーアの所に行きなさい」

 

リーア……ああ、リアス・グレモリーのリアスでリーアか。別に行く用事もないけど……行っておくか。ここまでアルティメット間男して式を荒らして『お前と話すことなんざあるか!帰る!』するのは空気が読めなさすぎだし。

 

俺はグレモリーさんの方を向く。俺の上着を抱きしめて涙を流している。そんなに俺のお礼参りがうれしかったか。何だか、やった甲斐があったな……

 

あ、そうだ。

 

俺はグレモリーさんのお兄様の方へと足を進める。

 

「ん?」

 

疑問に思っている様子のお兄様。そうだろうな、きっと忘れているからな。でも、俺は忘れてないぞ。

 

「アブソリュート・パワーフォース!」

 

俺はお兄様の前に立ち、その胸に拳を当てる。やけに力を込めて叫んでパンチしたが、マジで何でもない軽い、じゃれ合いレベルのパンチだ。

 

呆気にとられるお兄様。ああ、これ、分かってないパターンか。

 

「約束通り、『一発』だ。マジでぶん殴ってグレモリーさんを泣かせるのも忍びないから、これくらいにしておく」

 

そう言って、俺はグレモリーさんの方へと急いで足を運んだ。後ろから小さく笑う声が聞こえたのは気のせいじゃない。

 

さて、俺は足早にして立っているグレモリーさんの前に来た。目の前には俺の上着をがっちり掴んで離さない様子のグレモリーさん。うーん、どうやって切り出せば……とりあえず、お茶を濁すか。

 

「結婚式に花嫁の涙はタブーだ。たとえ新郎をぶっ潰してでも止める必要がある。そう思わねぇか?」

 

「うん……うん……!」

 

涙を流すことをやめないグレモリーさん。うーん、どうしよう……これ以上泣かれてもなぁ……

 

俺は困り果てて両手を広げる。

 

「俺の胸に飛び込む?金属の体だから硬いけど」

 

冗談めかしてそう言うと、グレモリーさんが飛び込んできた。俺は彼女を抱きしめて倒れないようにする。

 

「ダイチ……ダイチ……!」

 

俺のこと、下の名前で呼んでる。そんなに近しい人になったか、俺は。何だかうれしいが、青さも感じる。

 

こうして、俺の間男行為は終わった。何とも言えない罪悪感がありつつも、それをかき消すレベルでデカい『スカッとするぜぇえええ!!(シュトロハイム並感)』な爽快感がある。何より、グレモリーさんの悲しみの涙を止められたんだ、アーシアにも自慢出来るオチにはなったと思う。

 

Side out




当サイトにあるようなものだと、フェニックスの一件はチートにチートを重ねたオリ主が解決するって言う感じが多い気がします。それこそ『マジで関係ない外部の圧倒的暴力でねじ伏せる』的な。『大災害がやって来て全部台無しにする』的ニュアンスが近いですかね。どうしようもないものが来て、それに便乗するリアス達と言う構図が出来ることが多い気がします。
でも、原作だと関係者かつ力も経験もない超下っ端が超上の立場の相手に対して理論もなく歯向かうと言う構図で、『これ、もしサーゼクス達がうまくやらなかったら極刑もんだろ』と思ったこともありました。そもそもどれだけ正当化しようが、間男行為には変わらないってのが個人的にも思うものがある点だったり。これ、リアスも滅茶苦茶怒られないと、それこそ悪魔で言う『対価』って奴に見合わないような......気にしたら負けか。
何つーか、そう言うところも愛されてきたのが原作なのだなって。
まぁ、何はともあれ一旦事は収束に向かうと言うことで。
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