知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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第43話 取り戻した笑顔

Side in

 

花嫁さんの涙を止めるのと後輩の期待に応えると言う、やるべきことはやった。もう暇だが、ちょっと残業しよう。

 

俺は周囲を見渡す。えーっと、それっぽい人は……あ、いた。

 

「グレモリーさん」

 

俺はそう言ってグレモリーさんに声をかける。

 

「『リアス』って言って」

 

「え?」

 

急な要求である。あれか?『私が下の名前で呼んだのだからその対価として下の名前で呼べ』ってか?悪魔らしいって言うか何と言うか。

 

「『リアス』って呼んで、ダイチ」

 

むーん……何だか変に青臭く感じるが……いいか。今後のことはまた今度考えよう。

 

「リアス」

 

「何、ダイチ?」

 

随分ウキウキなリアスだが、今は置いておこう。彼女に聞きたいことがあるんだ。

 

「あそこにいる男性、君のお父様か?」

 

俺が指さす方向にいるのはリアスそっくりの紅髪を持ったダンディ。俺が指さしたのが見えたのかちょっと困惑している。

 

「ええ、そうよ?それがどうかしたのかしら?」

 

「ちょっと話を通してくる」

 

「話?」

 

「まぁ、あれだ。『間男やってすいません』って感じの奴」

 

そう言うと、リアスはクスっと笑った。

 

「あなたってそう言うところが律儀よね」

 

「そう育てられたからな。じゃ、行ってくるから、リアスは眷属の所に行ってやんな。君がいれば多少は安心するだろうよ」

 

「そうね、そうさせてもらうわ」

 

そうやり取りをして、俺はグレモリーパッパの所に行った。

 

小走りで到着し、出来る限り威圧感のないように立つ。

 

「どうも、リアス・グレモリーさんのお父様ですね?」

 

「あ、ああ。そうだね。リアスの父だ」

 

よし、確認は取れた。話を続けよう。

 

「娘さんの学友をさせていただいております、岸波大地です。普段からお世話になっております」

 

「これはご丁寧に」

 

さて、本題だ。

 

「この度はこのような場にいらぬ騒ぎを持ち込んだこと、大変申し訳ございませんでした。私の首一つで収まるのであれば、いくらでも差し出しましょう」

 

「そ、そんな……息子の大恩人で娘の友人に害するなどとんでもない。そこまで堕ちていないよ」

 

パッパの隣の美人も頷いている。グレモリーさんのお姉さんかお母様かな?どことなく雰囲気が似ている。

 

それにしてもグレモリーパッパは随分気のいい人だ。だからこそ気は引けるけど、ちょっと脅そう。

 

「申し訳ないですが、一つ脅しを」

 

「脅し?」

 

そう言うと身構えるグレモリーさん親族お二人。

 

「私の家族に手を出すな」

 

そう言うと少し固まるお二人。そんな大層なことはしないよ。ほら、肩の力を抜いてください。

 

「俺には家族がいる。彼らを傷つけられるのは何物にも代えがたいほどの苦痛であり、世界を滅ぼしていいと思うほどの怒りを起こします。故に、彼らへの手出しだけはやめてもらいたい」

 

ああ、そうだ。もう一つ、気になった点を言っていない。

 

「それと……此度の婚約、相当焦りましたね」

 

そう言うと、驚いた様子のお二人。どうやら心当たりがあるようだ。

 

「フェニックスと娘さんの戦い。実に良かったですね。『ゲームをよく知る経験者』に対して『机上論しか知らない素人』がよくやったと思います。下馬評を覆しかけた。だからこそ、あれではフェニックスの名には泥が付くでしょう。『本気でやっていながら、素人に負けかけた経験者』とね。そのような相手に嫁がせるのは……些か急ぎすぎでは?」

 

そう言うと、親族お二人はちょっと驚いて、そして苦笑いした。

 

「そうだね、我々は急ぎすぎたのかもしれない」

 

そう言うパッパ。すると後ろから声をかけられた。

 

「余りに耳が痛いですな、グレモリー卿」

 

振り向くとそこにいたのは金髪の男性。こちらもダンディ。

 

「おや、フェニックス卿」

 

フェニックス卿?ってことは、この人がフェニックスパッパってこと?

 

「グレモリー卿、今の言葉が余りに刺さりすぎて帰ってふて寝したいくらいです」

 

「そう卑下なさらないでください」

 

フォローを入れるグレモリーパッパ。

 

「どうも、ブラックゾーン殿。私はライザー・フェニックスの父だ」

 

なるほど、このダンディがフェニックスパッパと言うわけか。

 

「ご丁寧にどうも。ブラックゾーンと言われている岸波大地です」

 

挨拶を軽く済ませると、フェニックスパッパの言葉は続く。

 

「ブラックゾーン殿の言う通り、今回の婚約のためのゲームでのライザーは少しお痛が過ぎた。元々才能にかまけていた部分があって、その油断をまんまとリアス・グレモリーの『兵士』に突かれたのです。結果、ゲームどころか悪魔としても新人であるあの『兵士』に負けかけた。陰で嗤われるのは、避けられなかったでしょう。可愛い息子とは言え、少し説教がいりますな」

 

「フェニックス殿……」

 

何やら反省モードの様子。いや、どうなんだ?暗に俺のことを馬鹿にしているのか?でも、悪意とかは感じない。その手のものがあれば、間違いなく俺の中の禁断の力が騒ぐだろうからな。だからこそ分からん……

 

「それにグレモリー卿。ブラックゾーン殿の言葉通り、我々は急ぎすぎた」

 

「……仮にも次の世代に恵まれた状況だと言うのに、その次の世代を犠牲にしてまでも更なる世代を求めてしまった。ブラックゾーン殿のお怒りも尤もですな」

 

「もう仕方ない。我々は先の戦いで地獄を見たのだから。次の世代を、子供たちを失うかもしれなかったのだ。実際にそうして断絶したお家は少なくない。だからこそ、我々は一層欲深くなった。時代のうねりに、屈してしまった。いけませんな、ここまで情けないと先代に説教されてしまう」

 

「フェニックス卿、そのような恐ろしいことは言わないでください……想像しただけで……」

 

フェニックスパッパの言葉を受けて胃の辺りをそっと撫でるグレモリーパッパ。その表情は、何かトラウマを思い出したかのようだった。

 

『はっはっはっ』と品よく笑うフェニックスパッパ。その表情が突然真面目になる。

 

「グレモリー卿、そうでなくともサーゼクス殿筆頭の魔王方の影響で変わりつつあった時代と社会ですが……ブラックゾーン殿の復活でそれは更に力を増し、そして加速するでしょう。おそらく、その流れは大きな家すらも抗えないほどに巨大化すると思っている。その中で、我々はその流れに乗るようにしなければならない」

 

「……奇遇ですな、フェニックス卿。私も同じことを思っていた所です」

 

時代?社会?何だかスケールがデカいな。小市民の俺には関係ないかな?

 

「我々フェニックス家も変わる覚悟をしていたつもりですが……思った以上だ。今後は、婚姻など関係なく手を取り合いたいものです」

 

「慈悲あるお言葉に感謝したい、フェニックス卿」

 

そう言って握手するお二人。どうやら険悪じゃないようだ。よかった、俺のせいでどうにかなっていたら自害していたよ。

 

「それにしても……グレモリー卿にとっての彼は余りに代えがたい存在ですな。息子さんにとっての命と心の恩人であり、娘にとっての恩人ですか。はっはっはっ、これは頭が上がりませんな!」

 

「私が四苦八苦する姿を遠目で眺めていただければ幸いですよ、フェニックス卿」

 

「はっはっはっ、そうさせてもらおう。さて、長話も過ぎた。グレモリー卿も忙しくなるだろうから、この辺でお暇させてもらおう」

 

「本日はありがとうございます、フェニックス卿」

 

「とんでもない」

 

話が終わったようだ。俺もこうしてダンディになりたいなぁ。なれる未来が見えないんだけどな。

 

――『むーりー』

 

この禁断野郎、あとでぶっ飛ばしてやる。

 

フェニックスパッパが立ち去ろうとする。その時、何かを思い出した様子。

 

「ああ、そうだ。ブラックゾーン殿」

 

「はい」

 

俺に用か?何だ?

 

「うちの娘のレイヴェルは君のファンなんだ。何なら、ライザーも実はね。今度会う時は仲良くしてもらえると嬉しい」

 

レイヴェル?誰?ライザー……は多分フェニックスのことだよな。俺、そのライザーってのを殴ったばかりなんだけど、いいの?そんなこと言って?ファンサービスくらいならするけど。

 

「こんな自分でいいのであれば……」

 

「そう遠慮しないでくれ。そうだ、いつでもフェニックス家に遊びに来るといい。その時は歓迎しよう」

 

そう言って立ち去ったフェニックスパッパ。俺、フェニックス家の住所は知らないんだけど。

 

そして残された俺。

 

「私、皮肉とかよく分からないので何とも言えないのですが、今後とも皆様と仲良くさせていただけると言うだけでありがたいです」

 

「いいさ。それに、フェニックス卿の言葉は皮肉でもなんでもない、本心だよ」

 

この手に詳しいグレモリーパッパがそう言ってくれるだけでありがたい。心にしみる。

 

「さて、私達はこれから色々仕事がある。君は、リアス達の所に行きなさい」

 

ああ、そうだった。リアス達のことを置き去りにしていたな。申し訳ないことをした。

 

「それではお言葉に甘えて。失礼しました」

 

そう一礼して俺はリアスの方へと急いだ。

 

 

 

 

 

「大昔の大英雄だと言うのに、若く、そして眩しい。変わるべき所は変わり、変わらない部分も同時に持つ。忘れていたことを思い出したよ、ヴェネラナ」

 

「そうですね、あなた。でも、あなた以上にサーゼクスの方が興奮していますよ、きっと」

 

 

○○○

 

 

眠い体に鞭を打ち、俺はグレモリーさん達のいる場所に足を運んだ。その道中、一つやることを思いついたので、それをするために真っすぐ歩いた。

 

「よーっす、ガキ共。皆大好きバイク野郎のブラックゾーンが来たぞー」

 

俺はそう小粋なジョークを言いつつ合流する。何やら見知ったような気がする二つの後ろ姿がある。誰だろう?

 

そう思っていると、オカ研の皆とその謎の二人が振り向いた。その二人の正体はなんと、俺のよく知る人物だった。

 

「支取さんに真羅さん?何でここに?」

 

そう、支取さんと真羅さんの生徒会メンバーの二人だった。何で彼女らがここに?リアスと仲がいいのか?にしては、俺に対する『人間、帰レ』なムードだったさっきのことを考えると、彼女らが人間である可能性は低いだろう。もしそうだったら、もっと隅っこにいるだろうし。

 

ってことは、二人とも悪魔?

 

――『何故貴様はその察しの良さを普段から発揮しない……』

 

――『仕方ねえだろ、馬鹿なんだから』

 

馬鹿にされながら、俺は二人に問いかける。

 

「え、二人とも悪魔とかなの?」

 

「はい、そうですね。生徒会の面々は皆悪魔です……ではなくて!岸波君、あなたは一体!?」

 

支取さんの新鮮なノリツッコミだ、ありがたがっておこう。で、俺が一体なんだと言われてもねぇ……

 

「ただの人間かな?」

 

「そ、そう言うことではなくて……!」

 

そう言うが、妙に信用されていない。うーん、一回変身を解除するか。

 

俺は人間の姿に戻る。首を回してリラックス。よし、オッケー。

 

「ほら、人間だろ?」

 

「ソーナ、彼がこう言う鈍感を極めた人間だってあなたも知っているでしょう?」

 

「……そうでしたね、椿姫」

 

「何かは知らんが不服を申し立てる」

 

「やめなさい、ダイチ。あなたの負けは確実よ」

 

リアスに肩をポンと叩かれてなだめられる。18の子に慰められる大の大人とか恥ずかしくないんですか?(自虐)

 

てか、やることせんといかん。

 

「グレモリー眷属一同兵藤抜きの皆さんに言いたいことがある」

 

「何すか、その二郎みたいな言い方」

 

兵藤のツッコミは無視し、俺はグレモリー眷属の方を向く。彼らも何か察したのか、俺の方をしっかりと見てくれる。

 

「さっきはすまなかった、皆」

 

俺は頭を下げる。

 

「こんな誰かの面前で叱るべきじゃなかった。やるなら、もっと個別でやるべきだった。辱めるつもりはないが、それでも結果的にはそう捉えられてもおかしくない。だから、謝罪する。申し訳なかった」

 

さっきのグレモリー眷属3人への説教、どう見ても前世の研修で習ったパワハラの一種だった。最低な男の行為をしてしまった。だから謝罪する。

 

俺が頭を下げていると、小さく笑う声が聞こえてくる。思わず頭を上げると、そこには笑顔の3人がいた。

 

「先輩は律儀ですね」

 

塔城さんがそう言う。

 

「実際にそうだった以上、僕らの方が悪いと思います。だから謝罪はしないでください」

 

木場がそう言う。

 

良い後輩たちや。こんな俺を許してくれるなんて、自分にはもったいないと思っちまう。

 

「もしどうしてもと言うのなら……リアスじゃなくて私を選ぶと言うのもいいですよ?それでチャラにしましょうか?」

 

「朱 乃 ?」

 

「あらやだ、怖いですわ。助けてください、岸波君?」

 

何やらおこのリアスを見て俺に抱き着いてきた姫島さん。お、おぱぱぱぱぱ……!!

 

「あーけーのー!!」

 

「やーん♡」

 

「……少しうらやましいですね」

 

「そうね、ソーナ……ソーナ?」

 

「あ!いえ、何でもありません!」

 

俺をおもちゃにして盛り上がる中、後ろから声をかけられる。

 

「ブラックゾーンさん、なのね?本当に、本当にそうなのね?」

 

振り向くとそこにいたのは、すげー見知った顔。一回しか会っていないのに、記憶にしっかり刻まれている女の子。

 

「……セラフォルーさん?」

 

俺がその名前を呼ぶと何やら感極まって様子で、俺に抱き着いてきた。リアスと姫島さんは彼女の動きに合わせて、俺から離れた。

 

「え、えーっと……」

 

困惑しかない俺。いや、だって何年振りの再会よ?ざっと10年はあるだろ?もう、赤の他人になっていると思ってたんだし……いや待て?そういや、いつぞやにリアスが『ブラックゾーンの名が残っているのはセラフォルー様のおかげ』とか何とか言っていたような気が……

 

彼女が悪魔なのは知っている。あの時、翼を見て判断したからな。ただ、なぁ……

 

「お、お姉様ぁ?!」

 

支取さんがそう言う。え、お姉様?それって、セラフォルーさんのことだよね?君、セラフォルーさんの妹なの?

 

「私のこと、覚えてくれてた……!」

 

セラフォルーさんが抱き着きながらそう言う。セラフォルーさんもセラフォルーさんで俺が忘れているって思っている。『人間、忘れるから生きていけるでヤンス』ってことで通すには無理があった体験だったしなぁ。

 

「君みたいな可愛い子を忘れるほど、俺は刹那的な快楽主義者になった覚えはないけど」

 

そう言うと、抱きしめる力を一層強くするセラフォルーさん。お、おっぱ……!

 

――『こいつ、どこまで女たらしになれば……』

 

女たらしなど失礼だな、ドキンダム。俺はただ可愛い子はしっかり覚えているだけだ。

 

――『……もういいよ、それで』

 

俺はセラフォルーさんの両肩を掴んで離す。

 

「まぁ、積もる話も色々あるだろうけど、とりあえず……」

 

俺は右手を出す。セラフォルーさんは涙に塗れた顔を笑顔にして、同じく右手を出し、握手した。

 

「久しぶり、と言うには長いか」

 

「うん……長すぎだよ……」

 

可愛らしく文句を言うセラフォルーさん。こちらもこちらで色々あったんすよ、申し訳ねぇ。そもそも、表に出たくないってのが本音だったんで。

 

「色々お話したいけど、今は魔王のお仕事があって時間がないから。また今度ね」

 

魔王。魔王?この子も?セラフォルーさんも出世したの?すげーや、俺の知り合いが二人も魔王になってらぁ。てか、そうなると俺の同級生二人が魔王の妹ってことになるよな?どんな確率だよ。

 

「ああ、待っているよ」

 

「今度は長く待てないから。それに……」

 

そう言って周りを見るセラフォルーさん。

 

「一番になるのにライバルもいっぱいいるし!」

 

そう言って駆けていくセラフォルーさん。変わらないな、彼女も。悪魔ってあんなもんなのかな?じゃあ、リアスや支取さんも今の感じが何百年も続くってことか。すげー、マジモンの不老長寿って奴やん。

 

それにしても、一番?なんのことだ?

 

 

 

 

 

 

「先輩」

 

「何だ、兵藤?」

 

「今の上裸の先輩、写真撮って女子に売っていいっすかね?」

 

「しばかれたいか?」

 

○○○

 

 

「そう言うことで、この家にお世話になります」

 

結婚式襲撃から数日も経っていない日のこと、リアスが我が家に来た。今はテーブルを囲んで話し合いをしている。何でだろうね、俺って厄介事を運ぶペイルライダー的サムシングなのか?

 

言っておくが、リアスのことが厄介だとは思っていない。彼女に起こったことが厄介だと言うのだ。

 

何でも、今まで借りていたマンションの部屋を解約されていたんだとか。しかも、すぐにそこを出なきゃいけなくなったらしい。抗議したが、事情をよく知らなかったご両親が違約金まで払い終わっていたらしく、もう退くに退けない状況に彼女はなった。不幸とかそう言うレベルじゃねぇぞ!?

 

で、困っていた所にアーシアのことを思い出したリアスは俺ん家に駆け込んだ。俺の両親はこれについてどう反応したかと言うと……

 

「ご両親のことは恨まないであげてね?」

 

「こんな家で良ければいいよ?」

 

ウェルカムですね、はい。びっくりだよ。相手は年頃の女の子やぞ?いや、アーシアもそうだけどさ、リアスに関しては俺と同い年やぞ?息子と同い年どころか同級生なんやぞ?そんなよく気軽にホームステイを引き受けたね……

 

所で遥輝はと言うと……

 

「むー……」

 

警戒している。大丈夫、彼女は邪悪なおっぱいじゃない。

 

「部長さんも、なのですね……」

 

「大丈夫、無理なことはしないわ。でも、負けるつもりもないわよ?」

 

「の、望む所です!」

 

同席しているアーシアもアーシアで何やら意思を固めたようだ。

 

「グレモリー、ね……」

 

「ダイチ、彼女は?」

 

リアスがそう訊く女性。アーシアの時にはいなかったし、疑問に思うのも無理はないだろう。ならば答えるのが世の情け。

 

「最上寿水さん。俺が昔からお世話になってる方」

 

「よろしく、とは言わないわよ、グレモリーの娘」

 

「……ダイチ、一応聞きたいのだけれどいいかしら?」

 

「いいけど、何?」

 

何やらリアスも気になる点があったよう。何でしょうか?

 

「このお家、もしかして悪魔の存在を知っている?何だか、妙に悪魔の気配がするって言うか……」

 

「うん」

 

「そう……え?知っているの?」

 

俺のあっさりとした答えに驚くリアス。

 

「悪魔の存在は知ってるよな、父さん、母さん?」

 

俺がそう訊くと頷いた両親。それを見て、額に手を当てるリアス。

 

「リアス、どうした?」

 

「いえ、あなたが豪胆なのがちょっと分かった気がしたの」

 

何やら若干馬鹿にされているような気がするのは被害妄想だと思いたい。

 

「それにしてもダイチちゃん」

 

「何すか、寿水さん?」

 

「『彼女』のこと、どうするの?」

 

その瞬間、我が一家が凍り付いた。そ、そういや最近出張気味で家にいないことが多い『あいつ』ってリアス的には……

 

「『彼女』とは?」

 

やっべ、リアスが食いついちゃった。堤防釣りしていたら糸を切る魚が食いついた時くらい不味い。

 

慌てすぎて変な動きをし出す我が一家。無言でリアスを睨む遥輝。そんな中、テーブルの横に魔方陣が展開された。あっ……

 

「ただいまー。ご主人様いるー?仕事先でキレイな鰈をもらったから煮つけにして欲し……」

 

無言になる我が家。次の瞬間、声が響き渡った。

 

「グレモリーぃい!!?」

 

「く、黒歌ぁ!!?」

 

我が一家+寿水さん頭を抱える。いや、遥輝だけ麦茶を飲んでいる。

 

「ななななん、何であなたがダイチの家に?!!」

 

「そう言うあんたこそ、ただの同級生の分際でここにいるのよ?!!!」

 

「それは今はいいのよ!!」

 

「良くないにゃ!!ご主人様、これ、どういうこと?!!」

 

俺は訳アリな二人を抑えることにした。

 

「あー、とりあえず二人とも一旦落ち着いて。黒歌、鰈を台所に置いたらこっちに座って」

 

「で、でも!」

 

「いいから。大丈夫、お前のことはたとえ世界を滅ぼしても守る」

 

「ご主人様……」

 

何やらときめきの感情を抱いている様子の黒歌。流石俺の美声、黒歌に『ごす、ASMR作らねぇか?』って言われるだけあるぜ。

 

「だ、ダイチ。彼女は……」

 

「知っている。だからこそ、君にも話す。それが、俺ん家で暮らすための、ある種の代償だ」

 

「ダイチ……」

 

その後、黒歌が台所に鰈を置いてきて、黒歌のことについての話が始まった。

 

正直ね、ペラペラ話すことでもないとは分かっている。何なら、悪魔側のリアスにとっては敵以外何者でもないんだし。でも、彼女の信頼を勝ち取るにはこうするしかない。

 

どうしたもんかなぁと思っていると黒歌の話が終わる。リアスの反応はと言うと……

 

「ねぇ、黒歌。一応聞くけど、それは本当なのね?」

 

「ご主人様に誓って」

 

そう言うと、リアスが頭を抱えてしまった。

 

「リアス?」

 

「いいの、ダイチ。ちょっと知っている話が大きく違いすぎて混乱しているだけ」

 

そう言い、少し時間を置くと顔を上げたリアス。

 

「分かったわ。とりあえず、あなたのことは黙っておくことにするわ。余りに度し難い話すぎて理解を拒むけど、ダイチに嫌われたくないし」

 

「さっすが貴族様!話が分かるにゃ!」

 

どうやら黒歌は今後も我が家にいられるようだ。その事実に、俺達岸波一家は安堵した。ただ、リアスは話をやめなかった。

 

「でも、こっちもこっちであなたに言いたいことはあるの」

 

「言いたいこと?」

 

俺がそうオウム返しをすると、リアスが語り出した。それは何と黒歌の妹についてのこと。

 

何でも、黒歌の妹は黒歌が正当防衛をした後、『危険因子』として判断された且つ『いなくなった姉の代理』として死刑になりかけていたんだとか。そこをリアスのお兄様が『リアスに監視させる』と言う名目で眷属化させることで何とか死刑は免れた。

 

正直言って、胸糞悪い。黒歌姉妹は完全に被害者だってのに、殺して黙らせようなんて野蛮が過ぎる。

 

ただ、そこが俺にとって一番の話のピークではなかった。

 

「あなたの妹『白音』は、今駒王学園で『塔城小猫』として生きているわ」

 

「なっ!?」

 

「そんな!?」

 

その真実に、俺とアーシアは驚嘆するしかなかった。だってよ、あのネットに詳しい後輩こと塔城さんが黒歌の妹だなんて思いも……

 

いや、待てよ?塔城さんが黒歌の妹ってなら、あの子の中にある黒歌そっくりの謎パワーに説明がつくぞ?

 

となると、一つ気になった点がある。

 

「なぁ、黒歌」

 

「何、ご主人様?」

 

「お前の妹……塔城さんってさ、お前の言う『仙術』って奴は使えるのか?」

 

そう言うと、黒歌は頷いた。

 

「その制御とかについては……」

 

「多分だけど、単純に仙術を操る才能なら私以上ね。ただ、才能に対して肉体が追い付いていない。だから、慣れていないあの頃に力を使うと制御不能になって、人格破綻で済んだら安い方だった。でも、あいつらはそんなことお構いなしだったってこと」

 

ビキッ……!!!!

 

「ダイチ、気持ちは分かるわ。だけど、落ち着いて」

 

「ご主人様……」

 

「……すまん」

 

思わず拙者の怒りが有頂天になりそうだった。落ち着け、遥輝を怖がらせるな。

 

遥輝を見る。麦茶を飲んでいる。可愛い。

 

こちらに気付いた様子の遥輝。

 

「兄さん、どうしたの?」

 

「遥輝はかっこいいなって」

 

「むふー!」

 

遥輝は可愛いなぁ!!!!!

 

「ねぇ、黒歌?もしかして彼って……」

 

「大丈夫にゃ、いつか慣れる」

 

「……そう」

 

俺が遥輝を眺めているとリアスが話を続けた。

 

「とりあえず、皆には黙っておくわ。お兄様への報告も……下手なことは言わない方がいいから無しにした方がいいかしら?」

 

「んにゃ、一応『日本国内で黒歌を見つけたって報告があった』程度でいいじゃないかにゃ?流石に悪魔でも東京のど真ん中からあたし一人見つけるのは無理っしょ?それくらいなら、あんたのお兄ちゃんへの義理通しくらいにはなるはずにゃ」

 

「そうね。それに、どこかの誰かさんのせいであなたに労力を割いていられないのが今の冥界だから、まずあなたの捜索は出ないと思うわ」

 

リアスがそう言って俺の方を見る。え、俺ってそんな大罪人扱いされてんの?ちょっと前まで英雄視されていたのに?今時流行りの『追放もの』って奴?

 

リアスの言葉に首をかしげる寿水さんと黒歌。

 

「グレモリー?黒歌ちゃんって相当大物だったはずよね?いくら何でも冥界が動かないってことはないんじゃないかしら?」

 

「自慢じゃないけど、あたしって出会ったら即射殺レベルの悪人だったはずだけど?」

 

そんな悲しい現実を言う二人に対し、リアスもリアスで首をかしげる。

 

「え、二人はダイチのことを知らないの?」

 

「何にゃ、まるで『私の方が先にいっている』みたいな言い方。ムカつくにゃ」

 

「そうじゃないわよ。ねぇ、ダイチ?」

 

「んあ?何だ?」

 

リアスが俺の耳に近付いて小声で話す。

 

「もしかして、あなた自分がブラックゾーンだってこと、言ってないの?」

 

ああ、そのことか。

 

「ああ、言っていない。別に言ってもいいぞ。もう皆にバレたことだし」

 

「えー、ご主人様なになに?ご主人様の秘密とか気になるにゃ」

 

「ダイチちゃん、何かあったの?」

 

黒歌と寿水さんがそう言うと、リアスが俺のことを言った。

 

「ダイチって、あの伝説の英雄であるブラックゾーンよ?英雄の復活で、今のこっちの業界はダイチのことで手一杯なの」

 

静まり返るリビング。少し間を置いて、寿水さんが口を開く。

 

「ダイチちゃん、今グレモリーが言ったことって……」

 

「ほんと。父さん達に見せたくないからあれだけど」

 

そう言うと寿水さんと黒歌が向き合う。そして一言。

 

「「嘘でしょッッッ???!!!」」

 

どうやら、二人の会社では俺が相当有名人らしいです。

 

その後、寿水さんと黒歌は何やら慌てて会社に行った。リアスはリアスで我が家に受け入れられたので話自体はとりあえずひと段落した。

 

よーし、遥輝と遊ぶぞー!

 

Side out




新たなハイパーモード持ち達がドンドン公開されていきますね。どれも個性的で、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。
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