知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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4月になりました。だから何だ!お前はこの二次創作を書いていくんだよ!

そんな思いでやっていきたいです。


第49話 面識がないのに仇敵な関係

Side in

 

俺は岸波大地。教会を許さぬ者なり。そんな俺は本日リアスに呼ばれてオカ研の部室にいる。

 

理由は来賓対応。いや、来賓と言うのは反吐が出る、来客で言い。正直押しかけクソ連中でいいが、我慢だ。

 

何なら、今日は遥輝と遊びたいし、最近父さんの友人のおさがりで貰った液晶パッドでのお絵描きをしたいので早く帰りたいのが本音だ。

 

青髪の女とツインテの女。二人とも教会の人間だ。あの教会。それが来客で、今はリアスと姫島さんがソファに座って対応している。随分ご丁寧にしますな、あの程度の連中に対して。

 

しかも、ツインテの女の方は兵藤の知り合いだと言う。お前、一回人間関係を洗い出して見直した方がいいぞ?

 

オカ研の皆はアーシアを除いて悪魔だし、奴らは天敵とか仇敵の類だから警戒している。ただ一名を除いて。

 

お前のことだ、木場。その憎悪と憤怒、露骨すぎるぞ。一回冷静になれよ。折角お前の主が穏便に済ませようとしてるってのによ。アーシアと兵藤、塔城さんがなだめているから何とかなっているが、こいつの我慢がいつまで続くか分かったもんじゃないな。

 

ま、俺も俺で何かあったらすぐに飛び出す準備はしてあるんだけどね。

 

そんな中で話に転換が起こる。

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント教会、正教会側にいて保管・管理されていた聖剣エクスカリバーが何本か強奪されました」

 

エクスカリバーが奪われた。そのことは黒歌から聞いている。それに関してはリアスも承知だ。

 

「(なるほど。黒歌の言っていたことは間違いじゃなかったってことね)」

 

「エクスカリバーって……あれ?たしかエクスカリバーって一か所で管理されてるんじゃ……」

 

「聖剣エクスカリバー自体はもう現存してないの」

 

兵藤の呟きにそう教えるリアス。

 

「ごめんなさい、あの子は最近悪魔になったばかりだからこちらの情勢に詳しくないの。エクスカリバーの説明込みで進めていいかしら?私も自分の認識と間違いがないか確認したいから」

 

リアスがそう申し出るとツインテは頷いた。

 

「イッセー君、エクスカリバーは大昔の大戦で折れたのよ」

 

「折れたのか……え、折れた?聖剣のくせに?」

 

……木場よ、お前の恨む聖剣は実は大した価値のないものなのかもしれんぞ?

 

「今の姿はこんな感じだ」

 

そう言って青髪が布にまかれた長物を取り出した。出てきたのはTHE・西洋剣。

 

感想?うーん、思ったよりしょぼい。

 

「これが、今のエクスカリバーだ。大戦にて砕け散ったエクスカリバーだが、その破片を集め、錬金術を使って新たな姿を得た。その時、7つ作られた。これがその一つである、『破壊の聖剣』(エクスカリバー・デストラクション)。今はカトリックが保管している」

 

そう言ってしまい出す青髪。そんなおもちゃをありがたがっているって、教会はどんな暇人なんだ?

 

ツインテの方も懐から一本取り出す。それは紐みたいな姿から日本刀のような姿に変わった。

 

『擬態の聖剣』(エクスカリバー・ミミック)。こんな風に姿形を自由に変えられるから、持ち運びが楽なのよ。こんな感じで各エクスカリバーはそれぞれがそれぞれ固有の能力を持っているの。私のはプロテスタント側が管理しているわ」

 

そう言うと、何やら会話をし出す教会女達。うーん、俺も感想言っていいのかな?いや、言っちゃおう。

 

「しょっぱ」

 

そう言うと周囲の空気が凍り付く。

 

「だ、ダイチ?」

 

「ああ、すまない。分かりにくかったか。じゃあ、改めて……しょぼいな、エクスカリバー」

 

俺の言葉を聞いてピキリとし出す教会女達。おーおー、簡単に怒るねー。

 

「だってよ、人類の叡智で生み出せないはずだったものが今じゃ人間に飼い殺されて満足しているんだろ?惨めすぎんだろ。俺でも知ってる名前の名剣だってのに、堕ちたもんじゃねぇか、エクスカリバー」

 

「こ、こいつ……!」

 

「それにしてもデストラクションだのミミックだの大層だな。あれか?豊乳の聖剣(エクスカリバー・バストアップ)とか胸下着の聖剣(エクスカリバー・ブラジャー)とかあんのか?それはそれで面白そうだな。てか、今すぐ作れ。そんな物騒なもんじゃなくて、平和的活用法を見出せ。教会を見直すかもしれんしな」

 

嘘です、そんなのミリもないです。

 

「リアス・グレモリー、この無礼者は誰だ?」

 

「ダイチ、少しややこしくなるから静かにして。あの人は悪魔関係者よ。ちょっと私達に深く関わったから監視の名目でここに置いているの」

 

そう説明するリアス。迷惑をかけたようだ、申し訳ない。

 

木場を横目に見る。怒りが収まっているって言うか、怒りより侮蔑の視線が強くなりつつある。

 

「それで?何で奪われたエクスカリバーがここ極東の国にあるのかしら?それも2本も。まさかとは思うけど、この地方都市に何か関係でもあるの?」

 

リアスが一歩も下がらない態度で応対する。彼女も彼女でエクスカリバーは怖いだろうな聞いた話だと、悪魔の天敵が聖剣なんだし。

 

青髪が答える。

 

「カトリックに残されたエクスカリバーは2本。プロテスタントと正教会も同様だ。残る一本は神,悪魔,堕天使の三すくみの戦いでの最中に行方不明となった、その内、各勢力にある1本ずつが強奪された。奪った連中は日本に逃亡、この地に持ち運んだと言う話だ」

 

これにはリアス、額に手を当てて困った様子。

 

「私の縄張りは、面白いことばかり起きるわね。それで?エクスカリバーを強奪したのは?」

 

リアスの問いに青髪は答える。

 

「奪ったのは『神の子を見張る者』(グリゴリ)だ」

 

おー、グリゴリ。そうか、グリゴリかー。

 

多分だけどね、俺やアーシアよりもリアスの方が頭を抱えたい気分だと思うよ。だから、彼女のことを考えて頭は抱えない。それでも言うなら、何でここまで黒歌の言っていた通りなの?

 

「…………」

 

「どうかしたか?」

 

「い、いえ、何でもないわ。それにしても……堕天使組織に聖剣を奪われたの?失態なんて話じゃ済まないじゃない。でも、奪うなら堕天使くらいしかしないでしょうね。悪魔は聖剣に興味が薄いのですから」

 

紅茶を啜ろうとティーカップを持ち、口元に近付けるリアス。

 

その時、青髪がとんでもないことを言った。

 

「奪った主な連中は把握済みだ。グリゴリの幹部であるコカビエルだ」

 

「ぶっ!!!」

 

リアス、流石に限界を迎えたのか、紅茶を勢いよく吹き出した。幸い、こう言う非常時に備えてなのか、その辺りのマナーのやり方は分かっているらしく、吹き出した紅茶はティーカップ内に収まっていた。

 

「げほっげほっ……嘘でしょ?」

 

「信じるかどうかは、お前次第だ」

 

いや、違うんですよ、青髪。リアスが驚いたのか、そこじゃないと思うんです。

 

「(全部黒歌の言う通りじゃない……!どれだけ統制がおざなりなの、教会は!?)」

 

天を仰ぐリアスを見ていると、兵藤が俺に聞いてきた。

 

「先輩、コカビエルってなんすか?」

 

「簡単に言うと、聖書にすらその名を遺す堕天使。お前の知ってる堕天使とは格そのものが違う。それに、幹部ってことは相当な実力者だと言うことは察せられる。つまり……リアスのような貴族が下手に交戦した場合、戦争が起こる可能性もある」

 

まぁ、コカビエルなんて奴は俺が昔グリゴリに行った時は会わなかったんだけどね。会ったとしても覚えてないだろうよ、そんな奴。

 

「随分詳しいのだな、無礼者」

 

「お前らの信仰ってのは随分偉いんだな、罪人共?こんな無礼者は気にせず、さっさと話でも進めたらいいじゃないか」

 

俺がそう言うと、青髪は話を続けた。

 

「こちらも先日からこの町にエクソシストたちを秘密裏に送っている。が、悉く始末されている」

 

へー、で?だから何だよ。お前らの生き死になんざ知ったこっちゃない。どっちかと言えば、俺は今すぐ家族の身の安全を確保せねばならんのだよ。

 

「こちらの依頼、いや、注文は一つ、私達と堕天使のエクスカリバー争奪戦にこの町に巣食う悪魔が一切介入しないこと」

 

こいつ、随分大きく出たな……いや、こいつの物言いから察するに、教会の馬鹿共のトップがそう言い聞かせたパターンだな。

 

「つまり、今回の事件に関わるな、と。随分な言い方ね。それは牽制のつもりかしら?にしては、もうちょっと学を付けなさい。そもそも、私達が敵対関係にある堕天使と手を結ぶと思っていて?それとも、私達に聖剣を取られるかもしれないと思っているの?」

 

「本部は否定できない可能性を加味しただけだ」

 

リアス、若干どころじゃなくキレる。彼女からすれば『家に勝手に上がるし、その際土足だけど何も言うなよ』ってことだもんな。こいつら、一回殴り飛ばしやろうか?

 

「上は悪魔と堕天使を信用していない。聖剣を神側から排除すれば、悪魔は万々歳だろう?堕天使も同様だ。それ故に、どこかで手を組む可能性もある。だからこそ、先に牽制する。私達の上司によれば、『堕天使コカビエルと手を組めば、例え魔王の妹であろうと、我々は完全に消滅させる』とのことだ」

 

淡々と言う青髪。余りに淡々としすぎていて気になったが、こいつ自身の感情はどこにあるんだ?滅私なんて教会の連中に出来るはずがないだろうによ。

 

「私が魔王の妹だと知っているのね。そうなると、相当上とつながっているのが分かるわ。その上で言うけど、魔王の顔に泥を塗る真似をするわけがないでしょ。馬鹿にしないで」

 

両者の間に緊張が走る。そんな中で青髪はフッと笑って言う。

 

「それだけ聞けたのならいい。エクスカリバーが3本も堕天使に盗まれたとそちらに言っておかねば、何か起こった際にそれこそ魔王たちが出てくる可能性もある。そうなったら、全面戦争も避けられない。今時、ブラックゾーンのような都合のいい存在はいないからな。協力は仰がない。そちらも神側と手を組んだとなれば、揉めるだろうしな」

 

おう、ブラックゾーンはお前ら如きが口にしていいもんじゃないんだよ。死にてぇのか?

 

「あなた達がカトリックとプロテスタントの派遣なのは分かったわ。正教会はどうしたの?まさか、臆病風でも吹かせたせいで、誰も派遣しないの?」

 

リアスの問いに青髪は答える。

 

「その通りとも言える、グレモリー。私とイリナがエクスカリバー奪還に失敗した時を想定して、残った最後の一本を死守するつもりだそうだ」

 

「それって、あなた達二人でこの事件を解決するってことじゃない。私が心配する義理なんてないけど、二人だけで堕天使幹部相手に奪還なんて無茶すぎないかしら?死ぬつもりなの?」

 

リアスが呆れながらそう言うと、教会の連中は言う。

 

「ええ、勿論よ」

 

「出来れば死にたくないが、それでも覚悟はしてるさ」

 

……なぁ、ドキンダム。教会の信仰の相手の中にさ、ガブリエルさんっているか?

 

――『ああ、いるな。彼女は大天使だ。超がつく有名天使だぞ?』

 

それならよぉ、何でこいつらは簡単に『死んでやる』とか言ってるんだ?

 

――『こいつらの信仰が異常だからだ』

 

そっか……つまり、俺の言葉は無駄だったってことか……

 

「ッ!?死ぬ覚悟で日本まで来たの?その信仰心は最早狂気じゃない」

 

「我々の信仰心を馬鹿にしないで、リアス・グレモリー」

 

「それに、教会は堕天使にエクスカリバーが利用されるくらいなら、全て消滅させても構わないと判断を下している。私達の役目は、最低でもエクスカリバーを奴らの手から切り離すことだ。その為なら死んでもかまわないさ。エクスカリバーに対抗できるのは、エクスカリバーだけだ」

 

俺は、俺は一体何のために……

 

――『おい、闇落ちはその辺にしておけ。客人が帰るようだぞ』

 

……すまん。

 

――『謝るな。お前のことだ、何となくこうなるのも分かってた』

 

教会の二人が揃って立ち上がり、立ち去ろうとする。が、その視線は一か所に集まっていた。

 

「まさかとは思っていたが……この地で会うことになろうとはな、『魔女』アーシア・アルジェント」

 

……こいつら、面倒だな。殴り倒すか?

 

――『おーーっとゼノヴィア選手ぅ!岸波大地の怒りに触れていくダムぞぉおおwww』

 

――『これでは怒りに身を任せるのも時間の問題だ、ヒトの子らよ』

 

「あんたが、一時期内部で噂になってた『元聖女』の『魔女』?悪魔も堕天使も治す力を持っていたらしいじゃない。追放されたとは聞いたけど、まさかここにいたなんて」

 

二人に言い寄られるアーシア。その目には、恐怖があった。これ、もしかしなくても撃滅案件じゃねぇかな。

 

「安心して。あなたのことは誰にも言わないから。あなたの状況を前まで周囲にいた方々が知ったら、それこそショックで異端になりかねないからね」

 

ツインテの言葉に表情を複雑に、そして暗くしていくアーシア。

 

「しかし、悪魔とつるむとはな。まだ我らの神を信じているのか?」

 

「ゼノヴィア、悪魔と一緒にいる彼女が主を信仰しているはずないでしょう?」

 

傲慢故の言葉が飛び交う。

 

「いや、その子からは信仰の匂いがする。直感的なものではあるけれど、そう言ったことに敏感なんだ。背信行為をしながらも信仰心を忘れない罪人はいる。それと同じ気配がするんだ」

 

……。

 

――『おっと、9回0点2アウトノーベースまで来ましたね。このままだと負けますよ、解説のアポロヌスさん?』

 

――『遥輝たちが死に絶えなければどうとでもすればいい』

 

――『そうダムねー。でも、こいつら原作キャラだから死んでもらっちゃ困るのよね』

 

「そうなの?」

 

「……今まで信じてきた故に捨てきれないだけです……」

 

「そうか、ならばここで我々に斬られるといい。今なら神の名のもとに断罪出来る。罪深くとも我らの神は救いの手を差し伸べてくださるはずだ」

 

――『ゲームセットダムね。こいつ、最近怒りすぎて冷静になることが得意になってるダム、ろくでもない特技ダムね』

 

――『そうだな。我らはこやつをセーブすることに専念しよう』

 

――『…………はぁ……ったく、知ってたとは言え面倒ごとしかねぇな、この世界。ユノハ様、マジで他に転生先はなかったのかよ』

 

――『大マジよ。本当になかったわ』

 

Side out

 

 

イッセーside in

 

詳細は省く。アーシアが教会の二人に斬られようとしていた。

 

その理由については、余りに理不尽だった。今まで慈悲をかけてきた側だったのに、都合が悪くなって捨てたのはそっち側だってのに。

 

余りに怒りすぎて、カッとなって飛び出そうになった。なったけど、我慢できた。何でかって?そりゃ、お前、俺よりずっと怒っている人がいるからだよ。

 

「へぇー、これがエクスカリバーねぇ」

 

岸波先輩が。いつの間にかゼノヴィアからエクスカリバーを奪い取って振り回している。

 

「き、貴様、いつの間に!?」

 

「ちょっと、それ返しなさい!」

 

イリナがとびかかるも、それをヒョイと避ける先輩。俺、悪魔だし助ける義理も人情もないけど、イリナは腐っても昔馴染みだから助け船でも出した方がいいかな?

 

「先輩、ここで暴れるのはどうかと思いますよぉ?」

 

「それもそうだな、ありがとう兵藤」

 

「と、とんでもないですぅ……!」

 

あー、キレてる先輩を間近で見ちゃった。漏らしそうだ。今までにないくらいにキレる先輩の方を見る。一触即発とはまさにこのことだな。

 

「そんなに貴重ってなら、返してやるよ」

 

そう言って、先輩はゼノヴィアの足元に投げた。恐ろしい聖剣がまるで犬のおもちゃのように捨てられた事実に、俺達は苦笑いするしかなかった。

 

「ほら拾えよ、敬虔な信者さん?」

 

心底馬鹿にした言い方でゼノヴィアにそう言う先輩。それを受けて、素直に拾うゼノヴィア。

 

「グレモリー、この無礼者を叩き斬る故少し時間と場所を貰う」

 

「あ、いやぁ、彼とは……」

 

「手出しは無用だ」

 

あ、ゼノヴィアも怒っていますね。まぁ、こいつらの場合はブーメラン的なところもあるか。

 

ただ、俺が思うのは『このままだと、先輩がマジで二人を殺してしまう』と言う懸念だ。一応、教会からの出向だし、何かあったら部長に被害も行きかねないから……

 

「安心しろ。殺したらリアスに迷惑がかかるからな。これ以上って言うなら、死なない程度にお前ら流の正義をその身に叩き込んでやる」

 

あ、だめだ。先輩、その辺の被害を自覚した上で二人を殴るつもりだ。

 

「せ、先輩」

 

「ん?何だ兵藤」

 

「せめて、顔と下腹部はやめてあげてくださいね?ほ、ほら、二人とも女の子だし?」

 

「んー、仕方ない。それも『余裕』と思おう」

 

なーーーーーんで、俺とやり取りをする時はそんなに落ち着きがあって優しい声なんですかねーー?これじゃあ、助け船らしいものも出せないよー?

 

思わず部長を見る。無言で首を横に振るので、諦めることにした。

 

相手は世界最強の生物だ。とりあえず、生き残れよ、二人とも……

 

と思ったら、話の流れが変わった。そのきっかけとなったのは、他でもない岸波先輩だった。

 

「最後のチャンスだ。お前らと対話してやる」

 

「ふざけたことを言って……!」

 

イリナも臨戦態勢になるが、先輩はそんなことも気にせずに話を続ける。

 

「何で、神器が悪魔を回復出来たらいけないんだ?」

 

よく分かんないことを言い出した先輩。その言葉に、教会の二人も毒気を抜かれたかのように気が緩む。

 

「それは、神器は神の慈悲であり、神の力だからだ。邪悪を癒せるなど以ての外」

 

そう言うと瞑目した先輩。どうやら何か思うものがあったようで、一気に冷静さを取り戻し、そしてすごーくにんまりし出した先輩。

 

「じゃあよ、その神の力ってなら、悪魔を治せるのも神の力ってことだよな?」

 

……はっ!思わず意識がとびかけていた。

 

先輩のその衝撃的な言葉を聞いて、この場にいる全員が驚いていた。

 

「神の力で、アーシアの神器にそう出来るようにしたのもまた神。これって普通のことだろ?」

 

「し、しかし……」

 

ゼノヴィアもどこか納得したようなのだが、それでも否定したい気持ちがあるのか、食って掛かる。ただ、先輩も先輩で人が悪いのでそれを叩き潰しにいった。

 

「別に否定はいいが、アーシアの神器の力を否定するってそれ、神のことも否定してねぇか?」

 

はっきりと言われたその言葉に、ついに黙ってしまうゼノヴィア。

 

「じゃあよ、『人間を守る』為に作られた聖剣が何で『人間を斬る』ことが出来るんだって話じゃね?異端だろうと魔女だろうと、そいつに信仰心があったらそれはそっちの信徒なんじゃねぇのか?お前らの聖剣ってのは、罪の有無構わずに信徒を斬るため生まれたのか?」

 

おーっと、ゼノヴィア選手、心当たりがあるのかこれには思わずダンマリだ。イリナもイリナで黙り込んじゃったよ。

 

確かに、先輩の論理は筋が通っている。『神が作ったものなら、その責任は神にある』ってことだし、それを否定するのは神を否定することになる。こいつらにとっては最大級に効く言葉だろうな。

 

「……今回のてめぇらは無知で済ませてやる。ただ、教会は別だ」

 

先輩はそう言って、出入り口の方に行く。

 

「お前らも一回振り上げた拳を簡単には下げられないだろ?手加減してやるから、表出な」

 

どうやら喧嘩をする気ではあるようだ。ただ、さっきとは打って変わって思いっきりの殺意とか元浜松田に向ける虚無さはない。いつもの優しい先輩だ。多分、お説教の類の拳を使うんだろうな。

 

神器に関しては俺も思うものがあった。前提として凝り固まったことに囚われすぎていた。俺ももっと柔軟に考えていこう。

 

こうしてアーシアのメンツは保たれた。俺達は先輩の筋通しを見届けるため、外に出た。アーシアはその心が救われたのか、その足取りが軽かった。俺も俺で、レイナーレに殺されるきっかけになったこの神器が『呪い』とかの類だと思わずに済みそうで、ちょっとうれしい。

 

呪いって言うには随分情けないドラゴンが入っているし、そのドラゴンは未だに気絶しているんだがな……

 

イッセーside out




5C蒼龍の調整をするたびに『ここはこれでいいのだろうか』となるのはあるあるだと思いたい。
同じ5Cでもドキンダンテやザーディクリカと違って『これだ!』と言う型がなかったり、ある程度決まった部分が少ない自由さも悩みものだとつくづく実感します。
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