知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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部屋の掃除をしていると、懐かしいものに気を取られて、掃除が中々進まないことってありますよね。


第5話 颯爽登場した以上は颯爽撤退も

Side in

 

戦いは終わった。俺達の勝利でだ。もう俺のやることはない。

 

そっと空を見上げると、翼を生やした人達が喜びあっている。翼の種類や色が違う人達。きっと過去にはいがみ合うこともあっただろうに、今はこうして喜びを分かち合っている。その光景を見るだけで、俺の心がスゥーっと晴れやかになる。

 

フッと思わず声が出る。うーん、気が緩んでいるな。

 

さて、と。それじゃあ、俺はお暇させてもらおうか……

 

「待って!」

 

「待ってください!」

 

俺が喜ぶ人達に背を向けて走り去ろうとすると、後ろから声をかけられた。振り向くと、そこには6人ほど人がいる。セラフォルーさんとガブリエルさん。バラキエルさんもいる。それと、さっき説教したイケメン2人とダンディ。

 

「ブラックゾーン、と言うんだね。セラフォルーから聞いたよ」

 

紅髪の人がそう言う。そうです、私がブラックゾーンです。

 

「まぁ、そうだが。どうした?」

 

「話が早そうで何よりだよ。……何、お礼をしたいだけだよ」

 

礼?どういうこと?

 

――『なら今日は、『お礼』について解説していくのぜ』

 

いらんいらん!その声で語り掛けるな!

 

てか、礼ってさ……。俺、そんなのいらんのだけど?つーか、こっちこそ、勝手にイビルジョーの如く乱入してはラージャンの如く場を荒らしてしまったんだから申し訳ないんだが?

 

「礼はいらん」

 

「僕らは悪魔だ。例え君との出会いが宿敵たる神の決めたことでも、悪魔として対価を払わねば名が折れるというもの」

 

「そうだよ!それに、私達はドライグとアルビオンを倒すってこと以上に大切なことももらったし……そのお礼をしたいの!ワタシトシテモ……」

 

紅髪の男性とセラフォルーさんがそう言う。

 

悪魔、ね。俺にはとてもそうには思えんよ。どう見てもちょっとむかつくくらいの優男と黒髪ツインテおっぱい美少女の善人じゃないか。

 

――『言ったじゃない。この世界には種族的意味で悪魔,天使,堕天使がいるって』

 

あー、なるほどね。この人の翼を見るとコウモリみたいだし、だから悪魔ってわけか。

 

「なら、こっちだってそうだ。いくら神に背いた堕天使だっつっても、借りがある以上はそれを返したい」

 

ダンディもそう言う。

 

「君がどんな人物か分からない。それも理解したい。だからこそ、こちらとしても色々したいのだが……」

 

バラキエルさんまで乗ってくる始末。あなたそう言うキャラなんすね。

 

そんな中で静かな陣営が一つ。

 

「我らの主からは何も言われていない。いくら何でも不明瞭なことが多い……」

 

金髪のイケメンさんとガブリエルさんの二人……翼からしておそらく天使だろう。その金髪のイケメンがこちらにそう言う。

 

「あなたは一体何者なのですか?我々と一体どのような関係が……」

 

奇妙そうにこちらを見る金髪イケメン。んなこと言ってもなぁ……クリスマス以外天使関係とかは縁がないし……

 

――『ガンダムOOとかは?』

 

あ、そういやソレスタルビーイングの機体って天使関係から名前が来てたんだっけ?なら、そこそこ縁はあったな。

 

「言ったでしょ?ただの人間だって。ちょっと喧嘩が得意なだけの、ただの人間ですよ」

 

「……」

 

より一層奇妙そうな視線を強める金髪のイケメン。その瞳には悪意とか恐怖はない。だけど、一線を引いた感じがある。なお、隣のガブリエルさんの視線は熱い。すごく熱い。心なしか頬も赤く染まっている。

 

「っつーか、サーゼクスもミカエルも理由をつけて自分の陣営に引きこもうなんて考えてんじゃねぇだろうな?」

 

「おや、それを君が言うかい、アザゼル?」

 

「あなただけには言われたくないですね」

 

「うっせーっつーの。礼は礼でするが、それはそれだ。こっちだって色々疲弊してんだぜ?抑止の力は喉から手が出るほど欲しいんだよ」

 

「二天龍の戦いが酷くなった時に、真っ先に『戦争している場合じゃない』なんて言い出したあなたが言うなんて」

 

「神と魔王の戦いでこちらも忙しい。君の意見も非常に分かるが、彼の独占は許さない」

 

「けーっ!お堅い連中はこれだから……」

 

何やら揉め事の様子。どうやら事の発端は俺の模様。うーん、止めるべきか……。

 

――『今なら逃げだすチャンスじゃない?』

 

ユノハ様、天才?

 

俺はこっそりと抜け出そうとそろりそろりと足を進める。振り向いて全速力で走ろうとしたその時だった。両手を掴まれた。

 

「ブラックゾーンさん……」

 

「どちらへ?」

 

振り向いたら手を掴むその手の主が分かった。セラフォルーさんとガブリエルさんだった。

 

その目も強いものだ。うーん、逃げ損ねた。

 

「何、少し旅に出ようと思っただけのこと。俺は(転生してきたばかりで)この世界で知らないことが多い。だからこそ、少しでも知ろうと思う。そのための旅だ」

 

嘘と真実嘘多め真実マシマシ。これこそ嘘を突き通すコツよ。これでうまく逃げ切れればいいんだが……

 

二人の手が離れていく。

 

「そっか……」

 

セラフォルーさんは少し泣きそうな顔をして無理矢理納得しているような様子。やめてよね、そんな表情されたら、こっちまで泣きたくなってくるんだから。

 

「そ、それなら猶更我々と一緒なら……!」

 

ガブリエルさんが『それでも』と言ってくる。そのデカパイを揺らしながら。うーん、股間に悪い。あとシリアスシーンだからそんなやましい感情に駆られるな。

 

「それでも、だ」

 

俺は6人……と、気が付くといた多くの人達の方を見る。

 

「俺は旅立つが、君達は未来をもっと紡いでいくんだ。それを続けて行けたのなら、また会おう」

 

それだけそっと言って、俺は後ろに振り向く。よし、目指すわ地平線の彼方。ぶっ飛ばすぜ!!!

 

「ああ、最後に二つ」

 

ガブリエルさん達の方に目を向ける。

 

「悪魔は決して泣かない。誰かの為に涙を流せるのは、人間の特権だ。そこに翼の有無や種類なんて関係ない」

 

俺は走る先を見据える。目指すは地平線。時空さえもぶち破っていくぜ。

 

「それと……未来は、変えることができる。良いようにも、悪いようにも。それを成すのは、君達だ」

 

俺は頭のパイプ……パイプだよな?それから火を噴き、爆音を立て、一目散にその場を後にした。

 

俺を呼び止める声も聞こえる。だけど、俺はそれを置き去りにした。

 

 

○○○

 

 

どれだけ走っただろうか、気が付くと黒い森の中。まるでお菓子の家の魔女がいそうな雰囲気だ。

 

俺は変身を解除する。手が棘付きのエクストリーム冬用タイヤから人間の手に戻る。いやぁ、何だかすごい経験をしちゃったなぁ……。

 

――『出来たぁ!』

 

急に大声を出すな!!心臓に悪いだろ!!

 

――『そう言っていられるのは今の内よ』

 

何言ってんだこの神。

 

――『喜べ少年、君の行く先が決まった』

 

ほう、行く先。当てのない旅も悪くないが、あったらあったでそれはいい。で、どこっすか?ポンペイ?ヴェネツィア?

 

――『聞いて驚け、未来よ』

 

何言ってんだこいつ?

 

――『いい?今あなたがいる時代は、あなたの生きていた時代に対して超がつくレベルで昔の世界なの』

 

お、おう。そんなことを言われても信じられ……いや、それなら確かにドライグさんの『哪吒の車輪』云々に辻褄が合う。そんな大昔にバイクなんてあってたまるか。

 

――『あなたも『あなたが生きていた時代』の方が生きやすいだろうし、そこに送るわ』

 

え、急にそんなことを言われましても……。

 

――『何か不安?』

 

ええ、だって俺の価値観で言う現代ってのに行くなら戸籍とかお金とかそう言う問題があるでしょう?そこを無視するのはどうかなって。

 

――『そこはこっちの神☆パワーでなんとかしてあげるわよ』

 

いや、そう言うのは嫌っす。

 

――『は?』

 

だって、俺があなたの力を使って不正すると、本来俺の手に渡るはずのない金が俺の手に収まるってことでしょ?そうすると、本来それを手にする人が損をするってことになりません?

 

――『うるせぇ!未来に送ったらぁ!』

 

いや、だから!

 

――『異論はないな?レディ』

 

ないです。

 

じゃないの!俺の言い分も聞いてよ!てか、俺はレディじゃない!

 

――『おっしゃ、送るべ』

 

ユノハ様の言葉が響いた瞬間、俺の足元に穴が空く。あ、これ落ちる奴や。

 

「なんでだよぉおお!!?」

 

俺は穴に落ちて急降下していった。目の前に広がるのはゲーミングな空間。何もないけど、やたら目が痛くなるような光景がそこに広がっている。

 

――『どうよ?余り介入できないから弄るのも大変だったけどここまでやったのよ?これでも結構味わいのある空間にしたのだけど』

 

そんなこと言われましても、今の俺の状況からしたら『知らんわ、そんなこと』案件なのよ。

 

余りに俺の意向を無視されすぎて、ちょっとストレスが溜まってきたぞ。一発解放するか?

 

俺は腕を組み、胡坐をかく。何だろう、妙に手足が短い気がするような……

 

――『あれ?若返るようなシステムは組み込んでいないはずだけど……』

 

「え、若返る?」

 

思わず声が出てしまった。若返るって、あの若返る?

 

――『ええ、そうね。今のあなた、中学生くらいまで縮んでいるわね。あっれー?どうしてかなぁ?』

 

俺としてはそんなカジュアルに七つの球で叶えてもらう願いをやられていることに驚いているんですが。

 

――『ま、ええやろ。害はないタイプのバグなようだし。あとはゆっくり……ふぇ……』

 

能天気な女神の声が途中で途絶える。ふぇってなんだよ、ふぇって。

 

――『いぃーっくしょい!!』

 

瞬間、デカいくしゃみが聞こえた。どうやらくしゃみの前兆のふぇだったらしい。また一つ疑問が解消されたのであった。これより前の疑問があるかどうかなんて知らんけど。

 

で、だ。今俺の視界はグルグルしている。さながらジェットコースターのよう、ではない。もっとグルングルンと立体的に回っている。適切な例えなら、最終回で宇宙空間に空いた穴に吸い込まれるウルトラマンダイナかな。

 

まぁ、俺には名前を叫んで心配してくれる仲間はいないのだが。ワイはこの世界において生粋のぼっちや。

 

――『あ、ごめん』

 

突然の謝罪。まぁ、くしゃみ程度なら許そう。突然穴に落とすとか許せない前科があるからな。

 

――『いや、あなた、空間の穴に向かって飛んで行っているわよ?しかも目的地とは別の穴』

 

「え?」

 

――『えーっと、要するに『タイムスリップ中に事故ってウルトラマンダイナの最終回した』ってこと』

 

「うそーん」

 

――『ごめんちゃい☆』

 

無責任すぎる謝罪を耳にしながら、俺は穴の中へと突入するのであった。

 

 

○○○

 

 

ガシャーンと音がなる。何やらよく分からんものの上に落ちた模様。感触と匂いから察するに木製の何かだ。

 

――『そんな、抽象的すぎる表現ありなの?』

 

クソ女神の言い分を無視しながら俺は目を開ける。そこには謎の黒ずくめの連中と縛られて怯えた様子の金髪の少女が一人。ケツの下には砕けた木材がある。どうやら机と思しきものの上から落ちたようだ。

 

で、この状況、余り俺が好みじゃない気がするんだが……どうです?クソ女神ことユノハ様。

 

――『今、あなたを送る予定だった時代に送る準備してるから時間かかるのよね。だからさ、『好きにしなさい』、小湊大地』

 

爆速理解完了。拙僧発進、異端熱烈歓迎。

 

俺は近くの椅子を踏み台にし、高く飛び上がると黒ずくめの野郎の顔面を蹴り飛ばす。

 

「ごっ!」

 

気持ちいいほどに軽快にぶっ飛び、壁にめり込む黒ずくめ。

 

「一つ」

 

「お、お前は何d……」

 

何か喋っている奴の腹に思いっきりいいパンチを入れる。と同時に俺の体をブラックゾーンに変えていく。

 

次々に殴り飛ばしていると変身が完了する。さぁて、たっぷり痛めつけてやるとしますか。

 

「悪ぃが、こっから先は一歩通行だ!」

 

若干デンジャラスな運転になるが、せいぜいついてこいよクズ共!

 

Side out

 




ひと段落からのまた一難。
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