知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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今回は説明文多め回です。


第51話 味方こそ重要なもの

Side in

 

ゼノヴィアさんと紫藤さんが来て、叩きのめしてから大きなことがあった。

 

まず、あちら二人と兵藤が協力体制を敷いたこと。彼女らの来訪後、兵藤が交渉の末勝ち取ったそうだ。正直、無力な二人でどうこう出来るとは思っていなかったので、最悪を想定して俺が介入出来る口実を作った兵藤が有能すぎる。まぁ、あいつが言うには『サイゼで飯を奢ったら賛同してくれた』って言ってた。……別の意味で不安になって来たな。

 

それとかなり大きい収穫もあった。何と、兵藤が木場の精神を安定させたのだ。これはどう言うことかと言うと、今まで仇を殺すことしか考えていなかった木場だが、その不安定ぶりは兵藤も危機感を覚えていた。そこで兵藤は『仇の存在意義であるエクスカリバーを、落伍者の木場がぶっ壊すことで尊厳破壊をする。それには悪魔である木場一人でどうこう出来るはずがないので、協力を仰ごう』ってことを言ったそうだ。それを、木場は飲み込んだ。結果、一人で全てを抱え込むことをやめたのだ。

 

多分俺じゃ出来なかった芸当だ。俺だった場合、下らん意地を張っていた可能性もある。同学年で同じ悪魔である兵藤だったからこそ出来たことだ。よくやった、兵藤。エロ本を奢ってやる。

 

そんなこともあって、俺にも兵藤からの救援要請が来た。俺は快諾した。

 

まさか、リアスに黙ってやっていた上に生徒会の後輩君、確か匙っつったか?あいつも巻き込んでいたなんて思わなかったけどな。

 

悪魔と神側の協力なんて問題しかない。よって、お仕置きを受けた兵藤と匙。まぁ、今回は見逃してもらえたのでよかったことにしておこう。

 

そうして始まるエクスカリバー探し。とりあえず、持っている奴の情報を聞いたが、『銀髪』『神父服を着ている』『狂人』しかもらえなかった。俺さ、神父服着てる人でまともだった奴は八重垣さんしか知らないから、余りに情報として役に立ってないんだけど。もう『銀髪』から絞る以外ないやんけ。

 

こうして俺の無謀な夜の捜索は続いた。今晩も行くことになっている。あのアーシアも捜索に参加しているそうだ。兵藤たちも同伴しているので、女性が一人で云々のところの意識はしっかりしている。

 

で、今俺は何をしているかと言うと、寝ようとしている。

 

『お前、さっきまで言っていたことと違うじゃねぇか』って思ったでしょ?悪いけど言い分がある。

 

確かに、俺はあいつらの助けになることを決めたし、実際捜索もしている。ただ、その前に俺は人間である。睡眠が必要なのだ。これはアーシアにも同じことが言える。

 

俺らは悪魔じゃない。夜間活動なんて慣れていない。だからこそ、夜は寝る。今日みたいに『この日は寝ます』と決めて行動しているのだ。じゃないと、昼間の活動に支障をきたすからな。

 

と言うわけで俺は寝る!

 

布団に潜りこみ、睡眠だ。明日はもっといい日になるよね、公太郎?

 

――『へけっ』

 

律儀にありがとう、アポロヌス。

 

ラヴィニアとも連絡し合ったし、今日はよく眠れそうだ。

 

そんな時に脳裏によぎる、先ほどまでのラヴィニアとの通話内容。

 

―『ダイチってもうすぐ18歳ですよね?』

 

……眠れそうにないな。

 

 

○○○

 

 

木場の考えが改まってから2日経ったくらいの夜。俺は夜の駒王町を歩いていた。今は公園で休憩中。お散歩の理由は、エクスカリバー探しをするためさ。

 

あくまでもエクスカリバー探しだ。俺が破壊してはならない。これは、木場の過去の清算のための復讐だ。邪魔したら、永遠に呪いになっちまうからな。

 

かれこれ3時間以上は歩いた。時計を見ると深夜の時間帯を指している。そろそろ引き上げの時間になる。うーん、今日も収穫はないか。

 

俺は悔しさを感じながら、コンビニで買った炭酸ジュースを飲む。うーん、酸味。甘味もあるけど、これは酸味がプッシュされている。

 

俺はジュースを飲み切って、ペットボトルをゴミ箱に捨てる。

 

しかし、コカビエルか。アザゼルさんに色々聞きたいが、いかんせん『いざ、アザゼルへ連絡だ』って時に限ってリアスとかが来たりする。別にリアスが悪いわけじゃない。俺の間の悪さが原因だからな。

 

他にも聞こうとして寝落ちしてとかもあって、気が付けばここまで先延ばしになってしまった。たるみすぎだな、俺。

 

「すぅーっ」

 

鼻を強引に抜けていく炭酸に思わず思考が詰まる。うーん、反則だが『あの手』を使うか。

 

『あの手』。それはドキンダムにこの町をサーチさせることだ。クレーリアさん達を助ける時に使った奴。あれを使えばコカビエルの場所なんて一発で分かるだろう。ただ、俺は今までそれを使わなかった。理由は一つ、『俺が終わらせてはならないから』だ。

 

今回の問題は木場の問題だ。それと、ゼノヴィアさん達の問題。あくまでも主役は彼らであって、俺がどうこうするのはちょっと違う気がするのだ。だから、俺は首を突っ込みすぎない程度の今の立場に甘んじている。これは木場の未来をかけた戦いだ。下手な介入は更なる呪いを生む。

 

『それを言ったらクレーリアさん達の件だって同じようなもんだろ』と言われればその通りだ。ぐうの音も出ない。でも、あの時は俺も俺で自分の危険性を理解していなかった節がある。何より、彼女らは俺の恩人だ。その危機に立ち向かわないのは、屑以外何でもないだろ?

 

そう言うわけだ。それでも納得できない奴がいるってなら、俺には最大級にしてそちらが文句を言えない切り札を使うだけだ。

 

――『『『気分』』』

 

はい、そうです。『何となく』とか『気分』とかです。悪いか、傍若無人で。

 

「あれ、ご主人様?」

 

そう呼びかけられた。視線を向けると、見知った美人が一人。

 

「黒歌か」

 

彼女にもエクスカリバー探しを手伝ってもらっている。かなりリスキーではあるが、リアスが以前言った通り、『猫の手も借りたい』と言う状況だし、教会……否、ドブカスもエクソシス達を送っているが全滅しているって言う情報を得た以上オカ研の皆みたいに力のない連中を安易に単独行動させるわけにもいかない。

 

なので、『単独行動が可能な程に強い』かつ『文字通り猫』の彼女の出番ってわけだ。彼女の高度な猫への変装で人間では知りえない情報を得る。そう考えた。

 

彼女にはよく頑張ってもらっている。無理していないか不安だ。彼女も彼女で『今度こそ、妹を守り切る』と言って頑固になっているので、余計に不安が煽られる。

 

「隣いい?」

 

黒歌がそう言うので、俺は頷いた。黒歌が隣にピッタリと座る。相変わらず煽情的な恰好だな、おい。

 

夜間特有の静かな空気。妙にロマンチックな雰囲気に包まれる俺達。やめておけ、彼女を俺に巻き込めば、俺が俺を許せなくなるかもしれん。彼女には自由になってほしいからな。

 

「コカビエル、見つかんないね」

 

黒歌がそう言う。それに俺も返す。

 

「そうだな。ここまで見つからないとなると、相当臆病らしい」

 

「随分な罵倒ね。大英雄にはコカビエル程度敵じゃないって感じ?」

 

「大英雄って言うな、鳥肌が立つ。……罵倒とは違う」

 

古今東西、戦いにおいて臆病者は忌避されて来た。だが、俺に言わせれば『そうだ』と言い切れない部分もある。

 

「戦いにおける臆病ってのは、『戦いと言う変化し続ける状況の中で、あらゆるリスクを想定できる』と言う強みだと捉えることが出来る。そんな奴を相手にしているんだ、厄介極まりねーよ。だからこそ、ここまで見つからないってのは、何か切り札チックなものを隠していると考えさせるんだよ」

 

俺なりの自論を言うと、黒歌は妙に訝しげに言う。

 

「ご主人様、本当に何者なの?」

 

「ただの人間」

 

「そうじゃない。その考え方とか、まるで『数多の戦場を生き抜いた兵士』みたい。たくさんの地獄を見てきた感じでさ」

 

もしかしなくても、俺をランボー的なものとして捉えている?違うよ(シャモ星人)

 

「そんな、ランボーやコマンドーみたいな言い方はやめろ。過去がどうであれ、今の俺は『岸波大地』。色んな人との出会いに恵まれて、愛されて来た。それで満足したはずだったなのに、まだ明日を求めてしまった、ただの学生だよ」

 

黒歌を真剣に見つめそう言うと、納得してくれたようだった。すると、黒歌は俺の肩に寄りかかるように頭を乗せた。

 

「どうした?」

 

まるで恋人のそれみたいな状況に、戸惑う俺。

 

「いやー、ほんと、私っていい男と出会えたって思ってね」

 

そう言う黒歌は笑顔だった。何だろうな、すごい見惚れてしまう。肩の重みも心地よく感じる。

 

静かでロマンチックな雰囲気とやらが余計にそう見させているのかもしれない。ただ、それ抜きにしても黒歌が俺には勿体ないくらいの美人なのは変わりない。

 

普段からこんな感じで大人しければうれしいな。俺の性欲だっていつまで我慢出来るか分からないんだよ。

 

夜空を見上げる。きれいな黒だ。月も輝いている。

 

夜なのに黄昏いると、俺のセンサーが鳴り響いた。これは……もしや!

 

「黒歌!」

 

「分かってる!」

 

どうやら、黒歌も気づいたようだ。

 

明らかに雑踏の人とは違う隠す気のない気配が、駒王学園の方からした。ついに来た。コカビエルって言う俺達の本命がよ。

 

俺達はその気配がする方向へと急いだ。頼むから、生きていてくれよ、皆……!

 

Side out




ちょっと前までアダムスキーが余り好きじゃなかったのですが、現状の一音みたいな『投了の要求』をしてくるようなカードたちに比べたらアクティブに勝ちに行こうとしていて、好感を持てるようになりました。人って変わりますね。
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