知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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文字数が多くなりすぎたので分割しただけの回です。休みの日に一気に書いては溜めるのスタイル故、投稿が不定期だったり文字数が安定しないのはご容赦ください。



第59話 日本酒と夏の夜と親の愛

Side in

 

俺は今、全力で薬味を切っている。とりあえず、ネギは小葱も含めて切ったし、今切っているミョウガを切ったら終わりだ。

 

今、リビングでは両親とサーゼクスさんが酒盛りをしている。グレイフィアさんは酒を飲めないのか、ジュースで我慢していらっしゃる。黒歌は事前に会社に逃がしているので安心だ。

 

サーゼクスさんと言う明らかに貴族な人が我が家に来たので困惑していた両親だったが、とりあえず『リアスのお兄さん』でごり押して通った。多分、今は日本酒を飲んで仲良くしていると思う。詳しくは知らん!

 

そんな大人組のお話を邪魔しないように、未成年の俺は料理に徹しているという訳だ。

 

しょうもないが、サーゼクスさんとグレイフィアさんはご夫婦なんだとか。それにしては随分どつき漫才が多い気もする。

 

え、そもそも何で俺がそんなことをしているかって?何でサーゼクスさんが我が家にいるかって?それはな、兵藤がボロっと漏らした『先輩って料理出来るんすよ』発言が原因なんだ。手短に言うが、そのつぶやきを聞いたサーゼクスさんが興味を持って、俺の料理を食べたいと言い出したのだ。

 

その圧に押された俺はサーゼクスさんに酒の好みとかを聞いて、帰りの商店街で全力でレシピを考え、材料を購入し、夕食後に来訪したサーゼクスさんとグレイフィアさん、両親の為の料理を作っているという訳だ。因みに、サーゼクスさんは日本酒がいける口の模様。

 

マジで、兵藤、ぶっ飛ばす。

 

「っし」

 

ミョウガを刻み終えた俺はそのまま小皿に乗せた豆腐の上にネギと小葱と一緒にミョウガを乗せ、刻んだ針ショウガもついでに乗せた。そして醤油を回しかける。鰹節も乗っけるか。

 

大丈夫、余裕はある。今、リビングにある料理は『アジのなめろう』『カジキの照り焼き』『ドシンプルカプレーゼ』だ。更に言えば、こっちにはまだ『アジのカルパッチョ』とか『俺お手製玉子焼き』だってある。アジのなめろうならお替りだっていけるし、二の矢三の矢で済ませる気がないように色々買ってある。最強の布陣だ。

 

そうこうしている内に……出来た!『薬味を食べる冷ややっこゴールドエクストリーム』。日本酒のつまみなんてこんなもんでええやろ!

 

俺は冷ややっこの小皿を盆に乗せて、リビングへ運んでいく。

 

「おまたせ」

 

そう言って、俺は淡々と4人の前に置いていく。

 

「おぉ……!」

 

目を輝かせるサーゼクスさん。そんな大したもんじゃないんですけどね!この人とか、絶対いいもの食ってるじゃん!そちらの方がよくて?!

 

いや、『高いコニャックには安物のキャンディー』的な感じで、こういった庶民的なものがいいのか?

 

うーん、分からん!

 

「ありがとう、大地」

 

「いいさ、父さん。それで?何話してるの?」

 

俺がそう訊くと、父さんは言う。

 

「大地がサーゼクスさんの恩人だってこと。命だけじゃなくて、心も救われたって」

 

俺は肩を落として、ため息を吐く。

 

「俺、そんなすごいことをした覚えはないんだけどね……皿下げるよ」

 

「うん、分かったよ」

 

そう言って、カジキの照り焼きが乗っていたであろう皿を回収する。こりゃ、まだラウンドは終わらないっぽいな。

 

俺はキッチンに戻って皿を洗う。うーん、何だか気分がいい。こうした下働きが楽しくて仕方ない。やっぱり、俺には英雄なんて大層な役は無理だよ。

 

皿を洗い終わり、とりあえず一息つく。麦茶を飲むと、その身に染みわたるのが分かる。いかんな、これからの季節は脱水の危険がある。神すらも殺すそれを警戒しないに越したことはない。実際、ヴリトラは干害とかの『荒ぶる太陽』の側面があるらしいしな。

 

――『我、その殺す側なのだが……』

 

……すまん。

 

――『謝るな。事実でもある以上、我とて責める程に度量の小さい存在ではない。陰は知らんがな』

 

太陽神からの慰めをいただきながら、俺はリビングの話に耳を傾ける。

 

「妹のリアスはどうでしょうか?」

 

「家のことも手伝っていただいて、ありがたい限りです」

 

サーゼクスさんの質問にそう答える母さん。余り騒ぎすぎるなよ、遥輝が起きる。

 

「これなら、岸波大地君がリアスの婿でも安心できますね」

 

突然投下される爆弾。サーゼクスさん、あんた何言ってんだ?婿?アホか?

 

リアスとはそんな関係じゃない。あの子とはあくまでも『下宿先での同級生』ってだけだ。確かに彼女のような美人とお近づきになれたらうれしいだろうな。未熟な部分も、成長の余地と思えば許容の範囲だ。でも、彼女には彼女の生がある。気高く、そして眩しい彼女が歩む道がある。それを邪魔出来んよ。

 

何より、彼女は……若すぎる。

 

――『こいつ、ほんと減らず口を……』

 

うるせぇぞ、ドキンダム。俺はいつまで経っても、臆病な役立たずだ。救いがたい存在のはずなんだよ。地獄に落ちるべき存在だったんだ。そうなんだよ……

 

そうなんだけどなぁ……!

 

――『私が救っちゃった、ってことね』

 

はい、その通りです。こんな運が悪いしか取り柄の無い木っ端に世話を焼いてくれるって、もしかしてユノハ様って相当変な女神様?

 

――『まぁ、部下たちからもよく言われるわ』

 

リビングに意識を戻すと、両親達が何やら言っている。

 

「確かに、リアスさんとの結婚であれば、息子も安心できる所もあります」

 

「それでは……」

 

「ですが、それは息子が……大地が心から望んだ時です」

 

父さんの言葉に、麦茶を飲む手が止まる。妙に心臓を掴まれたような緊張感が俺を走る。そして、母さんが話をしていく。

 

「私達の息子、大地は捨て子だったんです。あの子を初めて見つけた時は公園で、その時はひどく憔悴していました。見れば、砂を食んでいましたし」

 

懐かしいな。もう何年も前の話だ。この世界に来て、初めて両親と出会った時のことだ。イビルジョーだけじゃなくてディアブロスとかグラビモスみたいにもなりそうになっていたあの頃。随分俺もデカくなったな。

 

「それから、私達はあの子を養子として迎え入れたんです。…………あの子は『出来すぎている』。子供なんてものでなく、大人ですらしないような気づかいや優しさを見せる。はっきり言って、壊れている人間です。見ていられないくらい痛々しいものでした」

 

それは、転生者だから……

 

「だからこそ、あの子には幸せになってほしい。何も枷を付けず、己の心に従ってほしい。そう願っているのです。だから、あの子の意志を無視しての結婚は許せません」

 

そう言い切る母さん。更に父さんまで援護をし出す。

 

「大地の意志を無視して、自由を奪い、傷つけると言うのなら……私達はたとえ世界を支配する王が相手でも戦いますよ」

 

……はぁ。父さん、母さん。目の前にいる人、世界を支配する王(魔王)って奴っすよ。

 

――『目頭が熱くなったか?』

 

まぁ、な。伝説の禁断にもそんなことが分かるんだな。

 

――『ほら、ドキンダムX(俺達)ってイーブイだから。環境次第で変わるんだよ』

 

そうかよ……

 

両親達がそう言い切ると、フフフとサーゼクスの笑い声か聞こえてきた。

 

「彼がどうしてあれだけ真っすぐで、輝かしいのかが分かった気がします。そうか、彼の見てきた『人間の力』は、ここにあったのか。それなら、彼があの姿なのも納得だ」

 

「サーゼクスさん?」

 

「ああ、いや。何でもありません。湿っぽい雰囲気になってしまいましたね、申し訳ない」

 

「いいえ、いいんですよ」

 

そうして、また酒盛りが始まる。

 

ダメだな、俺。あれだけ自分のことを『死体』と卑下していたのに、こうも愛されているって知ったら、より一層死にたくなくなっちまう。仮に死ぬとしても、こんなにも満足して死ねることがあるか?

 

前世でどれだけ徳を積んだら、こんな幸せを味わえるんだ。どうやったら、こんなにも『誰かの為に生きよう』と思えるようになれるんだ。

 

あー!もういい!気分転換だ!玉子焼きを作る!出汁はあるし、焼くだけだ!おろしもつけよう!

 

Side out




うp主、普段はウイスキーや焼酎を飲む人間ですが、日本酒も割と行ける口で、今まで飲んだ中でも鳳凰美田とくどき上手はかなり気に入っています。逆にカップ酒みたいなのはトラウマになっています。
酒を飲めるようになって早いうちから飲酒デュエマをよくやっていましたが、その相手達が皆飲酒もデュエマも控えるようになって以来やれなくなっていると言う現実。悲しいのだ(ずんだもん)
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