知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
俺がリアスの方を見ると、リアスが動いていない。周りを見渡すとリアス以外の皆もだ。まるで『時間が停止した』かのようにピタリと動いていない。
「どういうことだ?」
もしかして、さっきのぬるっとした感覚が今の状況に関係していて、それを引き起こしたのがこの女装男子ってことか?
俺は女装男子の方に視線を向けた。
「こ、来ないで……!」
うーん、完全に嫌われムード!どうしようね!
とりあえず、こちらに攻撃の意志がないことを伝えたい……のだが、どう考えても俺の言葉を聞いてくれるような状態じゃないよなぁ……
ほな、行動で示すかぁ。
俺はその場にドスンと胡坐をかいて座った。そこからは何もしなかった。マジで何もしない。とにかく、こちらが『何もしない』と言う事実を伝えることだけに集中した。
少し時間を置いた。女装男子君が怯える様子からこちらに興味を示すような様子に変わった。どうやら、これで正解だったようだ。
「あ、あの……」
「んあ?」
俺に恐る恐る声をかけてくる女装男子君。どうやら、恐怖は幾分か薄まったようで何よりだ。これで対話のテーブルに着くことが出来る。
「何であなたには僕の神器が、
「あ?バーロウ?何だそれ、由緒正しい悪魔でも蘇生すんのか?」
何だか聞き覚えのあるワードが飛び出した。それに、効く効かないって聞いてくるってことは、今の状況はこの子が生み出したってことか?
「い、いえ……その悪魔とかはよく分からないですけど……」
「ああ、すまん。こっちの話。まぁ、俺には効かないけど、そのバーロウってのがよく分かってないってことで話続けて。あと、名前は?俺はさっき紹介されたように、岸波大地って名前だ。ブラックゾーン呼びはやめてくれ」
俺がそう流すと、少し前に出てきて、床に座って語り出す女装男子君。
「ぎゃ、ギャスパー・ヴラディです……」
「おk。俺は岸波大地。そんで、ヴラディ君のその神器ってのはなんだ?」
「ぼ、僕の神器は目に入ったものの時間を停止させるんです……」
「時間、停止……」
その言葉に色々な思い出が湧いてきた。ジョジョだったり、DMCだったり。要はこのチートボディには意味がない時間停止ってことだろう。ただまぁ、俺にとってとても身近と言えば……
「いや、時間停止程度なら日常だったしな。今更別に思うものは無ぇわ」
「え?」
時間停止。これをどう捉えるかで三種類に分かれる。
一つはエクストラターン。覇道とかユニバース・ゲートとか。それこそ原初の
二つ目はループ。先ほど言った『見守る』と言う行為が『暇』に変わるもの。グラスパーループとかがそうだろう。やられた側の時間が止まる。サガとか何だよ、あれ。奴に関してはデュエマだけの問題にするのはダメだと思うぞ。
で、問題の方。馬鹿クソロックによる制圧。遊戯王でよくある奴。例を挙げるなら、ミラダンテⅫが分かりやすいか。あとは全盛期5Cバスターの単騎ラフルル。『クリーチャーも呪文も使えませーん(笑)』とか言う内心煽っているだろと言いたいくらいのクソ。俺も5Cでキーナリーとドルファでやっていたから強く責められないが、それはそれとして、法皇と団長はマジで狂ってる。今の子は知らないだろうけど、当時のヘイトの買い方はえぐかったよ。殿堂発表の時は大盛り上がりだったくらいだ。そう考えると、単騎ラフルルを突破できるタマシードってものがどれだけ偉大な存在か分かる。
どうであれ言えるのは『壁とやってろ』。TCGとしてアカン奴だ。遊戯王は完全に開き直っているけど。
よくよく考えたら、
「
いや、革命編と革命編ファイナルのインフレ具合、狂ってんな。よくそんだけインフレしてコンテンツが持ち堪えたよ。
「そ、そんなことが……」
「まぁ、なんだ?時間停止くらいなら散々あったことだし、どうと言うこたぁない」
そう言うと、無言の空間が広がる。俺、コミュニケーション下手だから、ここからどう掘っていけばいいか分からん。うーん、どうしたものか。
「流石はブラックゾーン様ですね……」
「その呼び方をやめな。で、何が流石だ?まさか、俺が神器の外にいるような奴だってことか?」
「い、いえ……」
小さな声で否定すると、ヴラディ君は語り出した。
「ぼ、僕、神器をうまく使えないんです」
神器をうまく使えない、か。その口ぶりだと結構前から神器自体は目覚めていて、アーシアみたいにうまく共存出来ていたわけじゃないってことか。
「そのせいで、暴走させてしまって……友達も、家族も、皆止めてしまって……そのたびに皆に嫌われて、一人ぼっちになって……」
確か、神器は感情によってその出力を変えるんだよな。ってことは、この子のメンタルが不安定な故に今のような状況を容易に生んでしまうようになってしまった。それも自分の意思とは関係なくって所か。
「もう、嫌なんです。嫌われたり、怒られたりするのが……!こんなに苦しくて悲しい思いをするくらいなら……僕なんて生まれて来なければよかったんだ……ッ!」
うつむき、静かに涙を流してそう語るヴラディ君。その感情を理解しようとしない程、俺は落ちぶれてはいない。その悲しみを見過ごす程、俺は非道になってはいない。
俺は立ちあがって近づき、そしてヴラディ君を抱きしめた。
「辛かったろうに……悲しかったろうに……」
思わず、俺の口からそう零れる。その言葉を聞いて、ヴラディ君は顔を上げた。涙に濡れながらも、驚いた表情をしていた。
「周りの連中は、ヴラディ君より強いと思いたいが故に優しいヴラディ君を虐げた。己を変えていくことをしようとしなかった。クソみてぇな話だ」
「そ、そんな……」
「周りが自分の弱さをヴラディ君に押し付けているのに、お前は自分を責めた。例え自己防衛のためでも、お前は自分が『悪』だと思い込むようにして、誰も傷つけないようにした。俺は、お前を傷つけた奴らを許せねぇよ」
「ブラックゾーン、様……」
そう言い、そっと力なく俺を抱きしめ返すヴラディ君。
「案ずるな、ヴラディ君。神器が所有者を鍛えればその手綱を握れるようになるのは知っている。実際、そこの兵藤って奴がそうだしな。どうとでもなることは証明されている」
四条だってそうだ。元は貧弱な一般人なのに、強大すぎる力を持った連中だ。だからこそ、それを御す為に普段から強くなろうと努力している。
「リアスだってそうだ。今、彼女がここに来たのは『お前を従えるだけの力がある』と判断されたから。つまり、お前を虐げた愚者共とは格が違う。お前の神器をどうこう言うような奴じゃないってことだ。昔の弱い頃から変わったんだ、彼女は」
ヴラディ君からそっと離れ、肩を掴んで目を合わせる。
「でも、君を思いやる優しい王様であることには変わりないはずだ。それが、俺の知っているリアス・グレモリーだからな。多少情けないかもしれんが、かっこ悪い『王』ではないぞ」
俺がそう言うと、涙を流し、嗚咽混じりに言葉を繋いでいくヴラディ君。
「ぼ、僕は……僕はもう、寂しい思いをしなくていいの……?」
「そんな寂しい思いとはこれっきりだ」
「僕は……僕はもう、嫌われなくていいの?もう、一人ぼっちじゃなくていいの?」
「その神器が原因で嫌われるなら、お前の努力次第だ。その努力に、俺は付き合ってやる。何せ、俺は『ブラックゾーン』だからな。てか俺だけじゃ嫌か?じゃあ、あそこの兵藤もつけてやる。あいつ、ああ見えて気のいい奴だしな。決して悪いようにはしてこねぇよ」
「う……うわぁあああああん!!」
ついに大声で泣き出してしまったヴラディ君。ほんと、この子は優しいんだなって分かる。いや、優しすぎたんだ。だから、必死になって孤独と苦痛を我慢してきた。あの兵藤と木場の馬鹿二人のやらかしにすらも寛大なリアスにすらも『迷惑をかけたくない』の一心で関わろうとしなかった。
俺、もう年だし涙腺緩いからさ、俺も俺で泣いていいよな?こんなにも辛い目にあってなお優しさを失わなかったって、ヴラディ君こそ『英雄』だよ。
俺はそっと、ヴラディ君を抱きしめ、その頭を撫でる。遥輝とは違うけど、その根っこの優しさは同じだ。この子は強い子だって、俺はそう確信した。
俺が優しく包んでいると、全身をぬるっとした感覚が襲った。ああ、神器が発動したのか。
「……え?」
リアスの声が聞こえた。つまり、時間停止が解除されたのか。ってことはよ、ヴラディ君の神器はON・OFF式なのか。慣れていけば某どんよりみたいに周囲をゆっくりにするとか出来るのかな?まぁ、そこはヴラディ君次第って奴か。
何はともあれ、今の俺のやることは、ヴラディ君をそっと包んでやることだ。
Side out
ドギラゴンもドギラゴンでかっこいいのは分かるんだけどなぁ......
いや、やっぱ見た目だけ良くても許せないものは許せないわ。何やあいつ。