知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
「ほら、走るんだ。デイウォーカーなら日中でも問題はないだろ?」
「ひぃいいいい!デュランダルいやぁああ!!」
ドキンダム達が四条達の訓練に出て俺の中が留守状態になった夕方。旧校舎の近くでゼノヴィアさんがヴラディ君を追いかけていた。吸血鬼や悪魔が当たったら死ぬデュランダルを持って。
どう見ても吸血鬼狩りですよね、あれ。デュランダルも随分気合が入っているのか、すごい音を立てているし。
『健全な魂は健全な肉体に宿る』
そんなソウルイーター的発想でゼノヴィアさんはヴラディ君を走らせている。あの、そのオワタ式はどうなんでしょう?俺でもどうかと思うよ?
「おい、兵藤。あれ、止めてやれよ。このままだとヴラディ君、死ぬぞ」
「俺もどうかと思いますけど、いやっす。俺、二度も死にたくないっす」
兵藤と言う助け船を出そうと思ったが、その助け船がストライキを敢行した。
「ゼノヴィアさーん、怯えちゃってますよー!」
アーシアがそう優しく叫ぶ。そんな彼女を、俺と兵藤は何とも言えない目で見つめる。
「アーシア、あんな感じだったっけ?」
「いや、昔はもっと慈悲深い感じだったっていうか。少なくとも『やめてやれ』とかくらいは言っていたと思います」
「……強くなったってことにしておこう」
「っすね……」
人は変わるさ。そう思うことにしよう。
「ギャー君、ニンニクも食べよう」
「ニンニク嫌ぁああああ!」
塔城さんもニンニクの束を持って追いかける始末。あーもう滅茶苦茶だよ。
俺が助け舟になった方がいいのか考え出していると、後ろから声がした。
「おーおー、やってるな」
振り向くと、匙がいた。
「おっ、匙か。何か用か?」
「用はない。解禁された引きこもり眷属ってのを見に来たんだよ」
「ああ、そういう。あれだよ。ゼノヴィアに追いかけられている奴」
そう言って指さす兵藤。
「悪魔相手に伝説の聖剣って容赦ねぇな……って、おっ!女の子じゃねぇか!しかもかなりの美少女!」
あ、こいつも罠にかかった。
嬉しそうにする匙を見て、同情の視線を向ける兵藤。彼は残酷な現実を突きつけた。
「残念だったな、あれは男だ。恰好も女装だよ」
それを聞いて落胆する匙。随分飲み込みが早いな……って更に後ろから誰か来たな。
俺は振り向く。そこにいたのは……
「そりゃ、詐欺だぜ?女装って誰かに見せるもんじゃねぇのか?」
「分かるマン。てか、お前は何やってたんだよ」
「見て通り、花壇の手入れさ。前々からの会長のご命令でな。ここ最近イベントが多いからさ、学園を綺麗にするのも、俺って言う下っ端の役割さ」
「何か、そんなことを先輩もやっていたって聞いたことあるな」
「ああ、俺も聞いたことあるぜ。会長も『前までは岸波君にも手伝ってもらっていた』って言ってたし」
こ、こいつ……割とどの面下げて来てるんだ……?色々言いたいことがあるんだが……
「へぇ、魔王の血族眷属の悪魔様方がここでお遊戯会、と」
そう言う男は髭面だ。それだけで分かる方もいるだろう。
そう、奴の名は……
「アザゼル……ッ!」
兵藤がご丁寧に言ってくれる。皆の空気が一斉に張り詰める。ゼノヴィアさんの狙いもアザゼルさんに向いたし、兵藤と匙は腕を変化させる。神器を出したんだろう。てか、匙の神器って蛇みたいな奴なのか。
「よー、赤龍帝。あの夜以来だな」
「兵藤!アザゼルって……!」
「マジだ。何度か、こいつと接触しているから分かる!」
殺気をむき出しの皆に対して、俺やよく分かっていないアーシア。それを見て、アザゼルさんは苦笑する。
「おいおい、やる気はねぇよ。ほら、構えを解きな。お前らよりずっと先に、そこの英雄様は気づいていたぞ?だと言うのに、際の際まで気づけなかったお前らが、俺に敵うと思うか?な?大体、こっちは散歩に来たんだよ。おい、岸波。聖魔剣の奴はいるか?」
俺の方を見てそう言うアザゼルさん。聖魔剣って……ああ、木場か。
「木場なら、サーゼクスさんとお話らしいです。突撃したら、戦争を疑われるかもしれませんよ」
「ったく、いねーのかよ。こっちも戦争は御免だ」
俺とフツーに会話する姿を見て、怪訝そうな目でこっちを見る兵藤。ああ、そういや言ってなかったな。一応アザゼルさんにも聞いておくか。
「アザゼルさん、いい加減こいつらに俺達のこと言ってもいいっすかね?」
「あー、まぁいいんじゃね?」
「せ、先輩、一体どういうことっすか?!アザゼルとそんなに……!」
よし、許可は出た。じゃあ、言おう。
「アザゼルさん、俺の昔の知り合い。4年くらい前に会ってたんだよ」
「な、なんですって?!!」
兵藤がすんげー驚いている。それもそうか、こいつらにとっては敵だもんな、アザゼルさんって。
「ほんの数年前、大体お前らがジュニアハイスクールくらいの時に会ってんだ。その時に俺達のことを黙っているように言っていたんだよ。この様子だと、ご丁寧に口約束を守ってくれていたんだな」
「口約束でも約束ですから。それに、俺の家族に何かあってもいやですし」
「はっはー!相変わらず家族愛が強いな!」
「俺の家族は、俺にとっての全てですから。っつーわけだ。皆、構えを解きな。最悪、何かあったら俺が戦う」
俺がそう言うと、納得しない様子で構えを解いていく皆。
「お前と戦うとか、どんな無謀だっつーの」
呆れるようにそう言うアザゼル。
そこから始まったのはアザゼルによる神器講座。匙君の神器に宿るヴリトラの力を使えば、ヴラディ君の神器を一時的に抑えることも可能だとか。
え、ヴリトラ?戦いの神なのに息子が可愛くて負け戦をひっくり返す為に卑怯千万上等なことをしたあのインドラですらチートバグを使ってようやく倒したあの蛇ドラゴン?マ?
俺が呆気に取られていると、アザゼルさんの話の矛先は俺に向いた。
「なぁ、岸波」
「何でしょう?」
「お前、『朝倉和泉』って女は知っているか?」
その表情は真剣そのもの。そういや、彼女の上司がアザゼルさん何だっけ?
「知ってますね。彼女がどうしたんですか?」
そう言うと、優しく微笑むアザゼルさん。
「知っているならいい…………ありがとよ。お前のおかげで、和泉は自分の呪いを払うことが出来た」
「呪い?……ああ、親云々の」
そういや、彼女が『自分の親はアザゼルさんを裏切った』とか何とか言っていたことを思い出す。
「俺達は優しくしようとしていたつもりが、あいつを逆に縛って苦しめていたなんてな。情けない限りだ」
「彼女のことは詳しく知らないですし、ああだこうだ言えた身分じゃないっすけど、本当に彼女のことを思うなら背中を押すべきだったわけですね」
「はっはっは!お前にそう言われちまうと何も言えねぇな!」
俺だって子育てをした経験はないからな、何か言えた義理なんてない。
「あいつもあいつでも昔からブラックゾーンに憧れていた口だったしな。どうだ?あいつを嫁にしないか?」
「あんたアホか?」
突然の婚約提案に即レスする。何だね、こいつ。ぶっ飛ばすぞ。
「なんだ、しけてんな。ラヴィニアとも連絡は取っているようだし、あいつらも恋敵は多いってわけだ。まぁ、お前程なら沢山女を抱えても問題はないだろうがな」
まるで当初のユノハ様みたいなことを言い出すアザゼルさん。思わず天を仰ぐ。
「そう言うわけだ。長居しすぎると怒られるからな。俺は行くぜ」
そう言って、その場を去ろうとするアザゼルさん。ああ、そうだ。言っておくべきことがあるんだ。
「アザゼルさん。最後に一つ」
「ん?なんだ?」
そう呼び止めると振り向くアザゼルさん。俺はちょっと怒りを込めて言う。
「今、あんたを殴っていいなら殴りたいくらいのことがあったんだ。今は我慢するし、時が来たら言葉で訴える。だから、出来るかぎり俺に拳を振らせてくれるなよ?」
「それは、お前のお気に入りの赤龍帝のことか?それとも赤龍帝絡みで連鎖的にお前を強引に表に引きずり出したことか?後者ならグレモリー一家に文句を言ってほしいんだが……」
……そうだよな。『あいつ』のことは一切漏らさないようにしていた。知る由もない。今のアザゼルさんに、悪気はないのは当然だ。
「それら『も』ある。だが、今話せることじゃない。さっさと行きな」
「……ったく、どういう事かは知らんが、お前がそこまでキレるってことは余程のことなんだろうな。分かったよ、詳細は会議の時に聞く。またな」
そう言うと、去っていったアザゼルさん。
懐かしい顔とお話した後、ヴラディ君の神器実験が始まった。匙の神器で色々いじったら本当にうまく制御出来るようになっていた。これにはヴラディ君も笑顔。よかったな、ヴラディ君。
ただ、これで俺の問題は終わらなかった。その後、合流したリアスにアザゼルさんとの関与について聞かれまくった。そりゃそうだよな、そうもなるよな。
と言うことで、俺は『あっちとの約束で黙っていた』『もし漏れたらどこから敵が来るか分からなかった。堕天使も悪魔も、両サイドからの敵が来る可能性だってあった』とか色々言った。
リアスも、これには納得がいっていないようだったが、実際そうだったんだからそれ以上何も言えない。これで納得してもらうしかなかった。
俺、これからどうなっちゃうんだろうな……
Side out
島津・大友が余りにぶっ刺さってしまった結果、現場猫になってしまった男、うp主。自認『巨乳の大人のお姉さん好き』と『強い女性好き』なのですが、何ででしょうね(思考回路ショート済み)