知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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太陽の下での活動時の麦茶ほど美味しいものも早々ないと言う強めの思想持ちがうp主。過去の猛暑で命拾いさせてもらった恩があれば、こうもなろう。


第71話 ケジメ、つけろよ

Side in

 

「おお、いいぞ。何が言いたい?お前を強引に表に引きずり出したことか?お前のお気に入りだった赤龍帝を殺したことか?それらについては悪魔側に「もう一人の後輩のことだ」

 

アザゼルさんが余りに軽く流すのでちょっとこめかみに血管を浮かべて言う。すると、アザゼルさんの表情が硬くなる。目も真剣だ。

 

「何が言いたい?」

 

「端的に言う。お前の所の馬鹿のせいで兵藤じゃないもう一人のお気に入りが死んだ」

 

そう言うと、少し間を置いて兵藤が言う。その顔は真っ青だ。

 

「せ、先輩……それって……!」

 

「ああ、『四条零児』って男だ。兵藤一誠の幼馴染の男だな」

 

そう言うと、兵藤が弱弱しく言う。まるで現実逃避しているような声で。

 

「先輩、いくら何でも冗談じゃ……」

 

「兵藤一誠が死んだ現場に居合わせた四条零児は、その場から逃げ、俺の所にたどり着いた時に堕天使によって後ろから心臓を刺されて殺された」

 

兵藤の小言葉を遮るように俺は言う。この事実に、兵藤以外のオカ研メンバーとシトリーさんも驚きを隠せていなかった。

 

兵藤をちらっと見る。その顔は、現実を受け止め切れていないものだった。だろうな、お前には到底無理な話だ。

 

「その堕天使はあんたとの約束を以て殺させてもらった。だが、あいつは致命傷でな、俺が少し治療をした。だから、今も生きている」

 

そう言うと、アザゼルさんが答える。

 

「それは悪かった……しかも、その様子だと俺らのことも知っているようだな。色々話を付けないといけないな」

 

「ああ、無論な。だが、話にはまだ続きがある」

 

「ほう、何だ?」

 

そう言って、ティーカップを持つアザゼルさん。中身は紅茶だろうか、それを口にする。

 

「あいつ、神器持ちだ」

 

「ンッ!げほっげほっ!……それマジかよ」

 

「ああ、その神器の中身曰く『死んだ時に目覚めた』らしいからな」

 

そう言うと、ティーカップを置いて、落ち着くアザゼルさん。

 

「その言い方なら、おそらく赤龍帝とかと同じ何かが封印されているタイプの神器か。名前はなんて言っている?」

 

『神猪の槍』(カリュドーン・ボア)

 

アザゼルさん、勢いよく椅子から滑り落ちる。

 

「お、おい、岸波。それは何かの冗談だろ?」

 

「神器本人が言っているんだ、信じるしかないだろう」

 

そう言うと頭を抱えるアザゼルさん。そんな彼にサーゼクスさんは訊く。

 

「アザゼル、『神猪の槍』とはどんな神器だ?」

 

アザゼルさんは、苦々しそうに言う。

 

「ある種、最強の神器だ」

 

その言葉に皆首をかしげる。

 

「神器にとって最大の弱点になる情報ってのが少ないんだよ、『神猪の槍』ってのは。風の噂じゃ、『昔の宿主は食い殺した』とか。とにかくいわくつきのものばかり。その上、能力は単騎で軍を殲滅するものと言われているだけ。詳細がないんだよ」

 

「そ、そんなものが零の中に……?嘘、だろ……?」

 

椅子に座り直すと、額に手を当てて机に肘をついてそう言うアザゼルさん。兵藤も兵藤で信じられないものを聞いたような感じだ。

 

「今は神器の制御の為に俺が鍛えている。何なら『禁手』(バランス・ブレイカー)にも至っている」

 

「……すぅー。待て、ちょっと待て。色々おかしい。え、何?激レア神器持ちが岸波のお気に入りで?禁手も出来るって?」

 

「ああ。多分、木場と戦わせたらあいつが圧勝するぞ。俺が直々に鍛えているんだからな」

 

俺の言葉を受けて、遂にアザゼルさんは頭を抱える。少し唸って、顔を上げるアザゼルさん。

 

「赤龍帝は死んで得したことも色々あるだろうが、神猪はどうやら話が違うらしい。分かった、そっちは最大限償うことにする」

 

「生半可だったら、戦争もんだからな」

 

「分かってる……」

 

「あと、四条が死んだ時に俺とは別に目撃者もいるから」

 

アザゼルさん、今度は後ろの方へと倒れる。彼は起き上がって、椅子を立てて座ると俺に言う。

 

「一応、名前を聞いておいていいか?」

 

「斎藤結菜」

 

「嘘でしょ……!?」

 

リアスの驚く声が響く。

 

「リアス・グレモリー。知り合いか?」

 

「し、知り合いも何も、彼女はダイチと私と同じクラスの人間です。確か、斎藤さんとダイチは中学の頃から仲がいいと聞いたことがあります」

 

「せやね、中学の頃から仲良くしてる」

 

サーゼクスさんの言葉にそう返すリアス。さぁ、場がドンドン混乱してきました。

 

「アザゼル。和平を約束した手前で言うのもあれだが……」

 

「分かってる……俺もここまで被害がデカいとは思ってなかったんだ……しかも普通に生活してたら眠ったままだったような一般人ばっかでよ……」

 

「結菜、魔法使えるぞ。一般人じゃない。彼女も俺が鍛えている」

 

「頼む、岸波。この状況でそんな嘘まで言うな」

 

「……」

 

「……マジかぁ」

 

俺の無言の圧を信用してくれたアザゼルさん。その様子を見て、少し楽しそうにしているミカエルさん。俺、彼の心境が分からないよ。

 

見れば、オカ研メンバー+シトリーさんも驚きを隠せていない。何なら、結菜を良く知る3年組は苦笑して、頬を引きつらせている。

 

「そう言うわけだ。『ブラックゾーンに鍛えてもらってんだから償いはそれで』なんてほざくなよ。あいつらにはちゃんと筋通せ。俺からはそれだけだ」

 

それだけ言って、俺は兵藤の方を向く。あーあ、完全に自分を責めるモードに入っちゃってるよ。

 

俺はそっと兵藤の肩に手を置く。

 

「おい、兵藤。お前はこの会談が終わったら四条と腹を割って話せ。お前があいつを心配しているように、あいつもお前を心配している。自分だけ自分を責めているなんて楽なことをすんじゃねぇぞ」

 

そう言うと、無言で頷いた兵藤。大丈夫かね、これ?一応後で四条にフォローを入れさせておくか。

 

そんな風に思っていると、兵藤が俺に訊いてくる。

 

「先輩、どうして四条のことをずっと黙っていたんすか……?」

 

んー、まぁそうなるか。こいつ、そう言うところ真面目だしな。答えてあげるが世の情けって奴だな。

 

「だってお前、悪魔になったばかりでそんなことを知ったら仕事も満足に出来なかっただろ?」

 

「そ、それは……」

 

煮え切らない返事をする兵藤。更に追い打ちをかけようか。

 

「それにあいつが死んだとなったら、確実に悪魔側が大きく動くこととなっただろう。それで混乱させるのもどうかと思ったんだよ。具体的には、『悪魔の領内で堕天使による殺人事件が2件も起きた』とか。そんなことがサーゼクスさん達の耳に入ってみろ、あの時点で戦争ないし大きすぎるひと悶着が起きていた」

 

俺がそう言ってサーゼクスさんの方に目を向ける。彼は無言の肯定をする。セラフォルーさんを見ても、笑顔のままだ。

 

「そもそもな、そんな強い神器だってのなら、ろくでもねぇ悪魔があいつを無理矢理眷属にしに来るだろうよ。あいつを守るためにも、俺は黙っている必要があった」

 

黒歌のことを思い出す。はっきり言って、全員が全員善人だとは思わないし、悪人だとは思わない。どっちもいるからこそ人間だと思っている。とはいえ、その悪人を放置していられるほど俺は馬鹿になった覚えはない。

 

俺がそう言うと、兵藤は黙ってしまう。おい、もうちょいレスバしろ。

 

「お前は主に恵まれた。それを当たり前と思うなよ」

 

兵藤の頭をチョップでポンポンと叩いて慰めてやる。

 

「さて、アザゼルに助け船を出すつもりじゃないが、僕は僕で岸波君に聞きたいことがあってね」

 

サーゼクスさんがそう言う。さて、そろそろ『あれ』が来るだろうな。

 

おい、お前ら。

 

――『うーっす、準備はオッケーよ』

 

――『我もよい』

 

「何でしょう、サーゼクスさん?」

 

俺がそう訊くと、少し目を細めて言うサーゼクスさん。

 

「君の過去について、だ」

 

来た。

 

このことについてはもう話をしてある。一応確認として言うが、『ユノハ様のことは絶対に漏らさない』。圧倒的力を持つ異世界の女神なんてものを信じ、依存し出したらこの世界は破滅まっしぐらだ。だから、彼女のことは絶対に言わない。何なら、俺のことも頼らせないくらいの勢いで行こう。

 

そして、これは俺が世界を騙すためのものだ。この罪は、俺が永遠に背負うもの。決めろ、覚悟。

 

「君が異世界から来た、と言うのは報告を受けている。一応聞いておくが、それは本当なんだね?」

 

「はい、俺はこの世界の住人ではないです」

 

そう言うと、トップの皆さんの表情が真剣なものになる。アザゼルさんも復帰している。

 

「それに、君はその異世界で死んだと聞いた。君ほどの存在が死ぬなんて、一体どういうことなのか。僕達は君の素性と共にそれを知りたいんだ」

 

「それは……一人間としての興味ですか?」

 

俺がそう訊くと、サーゼクスさんはほほ笑みながら返答する。

 

「それもある」

 

それ以外は語るつもりはない、と。しゃーない、おい、お前ら!

 

――『っしゃ!来たダムね!』

 

――『良かろう。神の威光を見せてやる』

 

俺はトップの皆様の方を向く。

 

「いいでしょう。ですが、それを語るために、少し協力者を呼びましょう」

 

「協力者?」

 

ミカエルさんの言葉を無視して、俺は少し猫背になりながら、全身に力を込める。

 

「はぁぁぁぁ……!」

 

俺の背中に力が籠り、そして何かが飛び出す感覚が走る。

 

「何?!」

 

「これは一体?!」

 

「聞いてねぇぞ……!」

 

サーゼクスさんもミカエルさんもアザゼルさんも信じられないものを見る目でこちらを見る。だろうよ、だってこいつらもこの世界の存在じゃないんだからな。

 

俺は二つの背中から飛び出す感覚があった後に姿勢を整える。両隣には『いつもの』奴らがいた。

 

「紹介します。俺の中にいる……ドキンダムX」

 

「うっすダム」

 

「こっちがアポロヌス・ドラゲリオン」

 

「ふん……」

 

その二人を見て、この部屋にいる皆が絶句した。そりゃそうか、誰が男の脱皮もどきシーンなんて喜ぶんだって話だ。いや、違うか。そもそもこいつらが何者なのかってことだよな。

 

「俺の力の根源の具現化とも言うべき存在です」

 

「力の、根源……」

 

ミカエルさんがそう復唱する。さて、一応軽く解説だ。

 

「ドキンダムX。禁断の力そのものであり、その化身。かつては邪悪として存在してましたが、俺のせいで善になったそうです」

 

「はっはー!随分しけた顔ダムねー!もっとテンション上げていこーぜ!」

 

……こいつ事前に脚本に書いてあったこと、本当に言いやがった。よくもまぁ、そんなノリで言えたもんだな。

 

「で、こっちがアポロヌス・ドラゲリオン。太陽の不死鳥にして神。俺が結局制御もままならなかった奴です」

 

「我が威光にひれ伏せ、ヒトの子らよ」

 

呆気にとられる皆様。そんな中でサーゼクスさんがいち早く復帰した。

 

「き、岸波君。これは一体?禁断とは一体何なんだい?太陽の神と言うのも何が何だか……」

 

まぁ、サーゼクスさんの反応が至極当然よな。とりあえず、アポロヌスの方は説明しておこう。

 

「禁断についてはこの後。アポロヌスについては、そのままです。不死鳥たちの頂点に立つ存在。神さえ容易く屠る神の太陽。その愛の力が私の中にあります。これを制御するには、かなり時間と手間がいりましたけどね。その力が具現化したものがこいつです」

 

もちろん嘘です。もうすでにここから俺の戦いは始まっているのだ。

 

「そ、それはギリシャのアポローン神との関係があるのですか?」

 

ミカエルさんがそう言う。俺は首を横に振る。

 

「その太陽神を焼き払うのが、アポロヌス・ドラゲリオンです」

 

「我に似た名前を持つ不敬者か。面白い、焼かせろ」

 

そう言うアポロヌスにげんこつを落とす俺。全く、こいつはすぐに面倒を起こそうとする……

 

「一回、本格的な検査をした方が良さそうだな、岸波」

 

「では、後日グリゴリに行きましょう。血液検査なり何でも協力します」

 

なお、この血はいくらでもロックが可能なので、俺の深淵には近づけないけどね、アザゼルさん。

 

「ってことで、巻いていきます。おい、お前ら。やるぞ」

 

「うーっす」

 

「仕方のない奴だ」

 

俺はブラックゾーンに変身し、机に突っ伏し、顔を机と平行になるように上げる。その状態になった俺をドキンダムとアポロヌスが抑える。その様子を見て、困惑するトップの皆さん。

 

――『一応聞く。今から見せるのはお前の過去を交えた嘘だ。相当苦しいことになるだろうが、覚悟はいいな?』

 

ドキンダムが念話してくる。当然だろ。やるしかないなら、俺はやるさ。

 

――『……承知した』

 

「さて、やるか」

 

俺は自分を中心にして暗い闇を広げる。慌てる皆だが、流石に説明しておくか。頼むぜ、ドキンダム。

 

――『はぁー……おk、しゃーない』

 

そう悪態をついてもやってくれるドキンダム兄貴大好き。

 

「安心しろ。ただ、この部屋に特殊な空間を広げただけだ。害はない」

 

ドキンダムがそう言うと、俺は映画館の投影機のように目と口から光を発した。これが、俺のケジメだ。

 

Side out




次回、前作に続いて悲惨な過去(笑)回。他に思いつかない自分の脳が気に入らねぇのだ。
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