知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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色々どうにかなんのかと考えた結果、前作をなぞることに。うーん、いいのだろうか。一応リブートとは言うものの......。


第72話 幸せだったはずのあの頃

イッセーside in

 

俺、分かんねぇよ。

 

零が死んでて、それは俺が原因で、でもそんな零を先輩が助けてくれて、守ってくれていたって……俺、どうすりゃいいんだよ……

 

先輩が言うには、俺に黙っていたのは色んな事情があったから。俺のことを考えてくれて、零を守るため。

 

―「お前はこの会談が終わったら四条と腹を割って話せ。自分だけ自分を責めているなんて楽なことをすんじゃねぇぞ」

 

先輩はそう言った。そういや俺、あいつとちゃんと話をしたのって中学の時だっけ。それこそあいつが不良になって暴れて、それで『教師に喧嘩を売って、勝った』『趣味で他の不良を狩っている』って噂の岸波先輩とつるんでるって聞いて、そん時に喧嘩したっけ。

 

―「てめぇに岸波先輩の何が分かる!」

 

懐かしいな。もうあれから年も過ぎた。

 

……今は自分を責めるのはやめておこう。先輩だってそれを『逃げ』だって言っていた。簡単に尻尾巻いて逃げる程俺は落ちちゃいない。先輩の為にも、自分の為にも、表面だけでも少し気張ろう。

 

それで今はと言うと、先輩が自分の過去を見せてくれるらしいことになった。先輩が部屋を暗くしたら、先輩の目から出ている光が映画館のスクリーンのように三勢力トップの前に映し出される。

 

スクリーンには、映像が出ていた。そこには一人の貴族の恰好をした男性が二つの石の前で胡坐をかいて座っていた。

 

海が見える綺麗な景色だ。そのせいかは分からないが、その二つの石がまるで墓石のように見える。

 

『よぉ、久々だな。グレイトフル・ライフ、スペルサイクリカ。近くに寄ったから、来たぜ』

 

何やら名前を言う男性。その顔は、何だか先輩に似ていると言うか……

 

「これ、昔のこいつな」

 

ドキンダムと呼ばれた奴がそう言う。え、マジで?この穏やかな感じのイケメンが先輩?嘘ぉ……?俺の知っている先輩ってもっとワイルドな兄貴分って感じだからなぁ……

 

『今日は早めに帰るんでな、軽く話すだけにするぞ、親友共』

 

そう言う先輩の瞳は優しさに溢れていた。先輩が変わらない所を垣間見たって言うか。

 

『前に言ったろ?俺にも子供が出来たって。もうすぐ臨月なんだ』

 

その言葉に、この場の空気が変わった。主に女性陣から発せられるオーラがすごい。え、子供?先輩が?しかも臨月って、もうすぐ生まれるってことじゃね?

 

『俺も親になる。全く、お前らと馬鹿やってた頃から変わっちまったよ、俺……』

 

そう言う先輩の目が少し寂しげに思えた。まるで、過去を惜しむように見える。

 

『お前らが死んでさ、龍の力も継げなかった無能の俺も変わんなきゃって思って、王子として色々勉強したんだぜ?俺だって馬鹿じゃない。案外勉強も楽しいもんだ』

 

先輩の言葉で確認出来た。先輩の目の前にある二つの石は墓石なんだ。そして、それはグレイトフル・ライフって人とスペルサイクリカって人のもの。先輩は、二人の親友を失ったんだ。

 

龍の力ってのも気になる。んだけどそれ以上に……今王子って言った?

 

「王子?」

 

「サーゼクス君、その通りだよ。こいつ、王子なんよ。しかも第一王子。王位継承権第一位」

 

ドキンダムがそう解説するとこの場にいる皆が驚く。そ、そりゃねぇぜ!?確かに先輩って裏では『ワイルドイケメン王子』って言われてたけど、マジのガチで王子なのかよ!?

 

あ、でも、所々に出る気品の理由も分かったような何と言うか。

 

『いけないな。お前らが俺を信じて、託してくれた未来だってのに、こんな辛気臭くなってちゃ』

 

そう言って立ち上がると、墓から離れていき、全身を光らせて変身した先輩。その姿は俺達が知っているブラックゾーンとはちょっと違う。全身が真っ赤で、喉元の槍もない。肩の部分にも模様はないし、すごいシンプルな感じだ。

 

そしてデカい。さっきまで目線を合わせていた墓石を先輩が見下ろすようになっているくらいにデカい。

 

『それじゃあな、親友たち。また来るぜ』

 

そう言って先輩は轟音を立てて走り出した。シーンが変わり、門の前で変身を解いて立っている先輩がいた。

 

『王子、お帰りですか?』

 

『まぁな。あいつらの墓参りもしたし、さっさと城に帰るわ』

 

『そうですな。妃様もお待ちでしょうし』

 

衛兵の人がそう言う。いや、人って言うのか?獣人なんだよな。

 

それにしても妃、か。

 

『…………』

 

先輩を好いているであろう女性陣のオーラが怖いのだ……

 

『ああ、そうだ。一応……ナラク王国第一王子兼ナラク王国第17精鋭部隊の隊長アポロヌス・ドラゲリオン。ただいま帰還しました』

 

そう言って敬礼をする先輩。それに合わせて、周囲の兵士も敬礼をする。

 

「今、アポロヌスっつったか?」

 

アザゼルがそう訊く。そういや、アポロヌス・ドラゲリオンって、そこの赤髪のイケメンの名前だったよな?何で先輩がそれを名乗っているんだ?

 

そんな疑問をすぐにアポロヌスは答えた。

 

「こやつと我は一心同体。故に、こやつは我に旧き名を我に与えた。弱き己を忘れぬように、戒めの為にな」

 

な、何だか壮大になって来たぞ……!俺、最近ラノベとかも読んでないから読解力が下がったか?

 

そうこうしている内に映像は進む。先輩が街中を歩く。目の前には大きな城があり、そちらへと先輩は向かっている。どうやら、あれが先輩の家らしい。す、スケールが違いすぎる!

 

でも、そんな中で安心したことがある。それは……

 

『王子!おかえりなさい!』

 

『王子様!たまにはよってらっしゃい!』

 

『王子!一ついかがっすか?』

 

皆から慕われているってこと。色んなクリーチャーたちが、先輩に声をかける。その姿には、微塵も悪意を感じなかった。

 

先輩の人徳が、昔から変わってないってのことが分かって、壮大だけどそれでも先輩であることを認識できる。その姿に何だか、俺まで誇らしく思えた。

 

映像が変わる。城の前に立つ先輩。その中に入っていき、庭と思しき場所まで行った。

 

綺麗な薔薇が咲き乱れている。青色の薔薇まである。すげーな、素人の俺でも分かるくらい綺麗だ。

 

そんな薔薇園にあるテーブルと椅子。そこに座っている女性が一人。

 

金髪の綺麗な女性だ。それに、すげーおっぱいが大きい。びっくりするくらい美人だ。って言うか、昔言っていた先輩の『癖』の盛り合わせみたいな女性だ。

 

それと、その女性のお腹が大きい。ってことは、だ。おそらくこの女性ってのは……

 

『アポロ!』

 

女性が先輩に気付いて立ち上がって、先輩に駆け寄る。

 

『アクエリオン!』

 

先輩も綺麗な笑顔を浮かべて、女性を抱きしめる。顔が良く見えないが、俺には分かった。先輩、すげー幸せそうだ。

 

「あ、この女、この馬鹿の妻です」

 

ドキンダムが目をそらしたかった現実を叩きつける。ほら!そんなこと言うから女性陣のオーラが渾沌としちゃったじゃん!どうすんのよこれ!サーゼクス様もミカエルさんも大層驚いているし、アザゼルに至っては……

 

「え…………は?」

 

何か、知らないくらいに驚いている。人のことを小馬鹿にするのが大好きで、挑発なんてお手の物なあのアザゼルが、だ。何なら、隣にいるヴァーリも口をポカーンと開けている。え、何?あいつら何か知ってんの?

 

「な、なぁアザゼル?」

 

何やら汗をかきながらアザゼルの方に言葉をかけるヴァーリ。こいつら、何を知ってるんだ?

 

「おい、待て。今はあいつのことを考えさせてくれるな。……そういや、あいつっていつぞやに『前世が~』とか言っていたよな?」

 

アザゼルがそう言うと、ヴァーリが遠い目をする。

 

「ああ、言っていたな……やめよう、またノイローゼになる」

 

「ああ、そうしよう。何で岸波があいつに入れ込んでいるのかが分かっただけでもいい」

 

「アザゼル?どうしたと言うのだ?」

 

「いや、俺らとの共通の知り合いの女に似ていてな。それだけなんだ、うん」

 

サーゼクス様の問いに、動揺しながらも答えるアザゼル。何だか、頭を抱えている。よく分かんないけど、ざまぁねぇな!

 

『ゆっくりしていなくていいのかい?もう臨月なんだろう?』

 

先輩がそう言うと、フンと鼻を鳴らして自慢げそうにする奥さん。

 

『大丈夫です!逆にこうして動くことで安産に繋がると言われました!』

 

『そっか……そっか……』

 

先輩はその言葉を噛み締めるようにしていると、涙を流し出した。

 

『ああ、いけないな。最近涙もろくて』

 

そう言って涙を拭う先輩を見て、クスっと笑った奥さん。

 

『しっかりしてください。それでも、かつて『殺戮の天使』と呼ばれた私の夫ですか?』

 

『そうだね。俺もしっかりしないと』

 

物騒なワードがあったものの、他愛のない会話。すると、先輩たちを大きな影が覆う。そちらの方に視点が向く。そこにいたのは……巨大なドラゴンだった。いや、あれは、ドラゴンなのか?なんて言うか、ドラゴンなんてもので測れるような存在じゃ……

 

『父上!』

 

え、ち、父上?!そのドラゴンが、先輩のお父さん?!

 

先輩がそう言うと、その身を光らせて縮んでいくドラゴン。最終的に人間くらいのサイズになった。

 

光が止むとそこにいたのは、まさしく『王』と言う恰好をした……のではなく、意外とあっさりとした軽装の男性がいた。

 

「え?」

 

「嘘?」

 

部長とアーシアがそう言う。俺達の視線がそっちに向くと、部長が答えた。

 

「か、彼……岸波大地の父に、岸波結希さんにそっくりなんです」

 

そういやどっかで見たことあるなと思ったら、先輩のお父さんか。え、つまり、先輩のお父さんは先輩のお父さんにそっくりってことか?俺、何言ってんのか分かんないけど、そう言うことだよな?

 

「ほれ、進めっぞ」

 

ドキンダムがそう言って、映像に視線を向かせる。先輩のお父さんが先輩に近付いていく。

 

『全く、情けない。このドゥーム・ドラゲリオンの息子であるお前が、そのようでは私もまだ現役でなければならないではないか』

 

『そう言う父上は現役をやめるつもりなどございませんでしょう?』

 

『言うようになったな。当然だ、この国の王を誰だと思っている?軟弱者に務まる程、この国は弱くない』

 

そう軽口を言い合う先輩たち親子の所もう一つ足音が。そちらにいたのは……一人の女性。

 

「嘘ぉ?」

 

部長、またしても言葉を漏らす。アーシアに至っては絶句している。

 

「リアス・グレモリー。まさかとは思いますが……」

 

「はい、岸波大地の母である岸波優衣さんに……」

 

ミカエルさんの問いに部長はそう答えた。そこにドキンダムが続く。

 

「本当に、こいつの今の環境は余りに運命が過ぎた。誰かに仕組まれたんじゃねぇかって疑いたくなるほどにな」

 

今の先輩の両親が、先輩の昔の両親にそっくり。どういう運命なんだろう。先輩はその運命に、何を思ったんだろう。

 

俺の疑問が尽きぬまま、映像は続く。

 

『その王とて、息子が生まれた時は緊張の余りに気絶したでしょう?情けないのはどっちもどっちですよ』

 

『ぬぅ……』

 

『やーい、父上、母上に怒られてやんの』

 

『『どっちもどっち』と言いましたよね?』

 

『うっす……』

 

親子そろって怒られるその姿は、そっくりだった。それを見て先輩の奥さん、アクエリオンさんが笑い出す。それにつられて先輩のお母さんも笑い出す。先輩と先輩のお父さんもそっとほほ笑む。

 

平和な空間が、そこにはあった。俺が知っている先輩よりずっと優しい顔をした先輩が、幸せそうにしている。

 

だからこそ、俺には疑問があった。あの時、先輩が言った『俺は死んでいる』って言う発言。ここからどうつながっていくのか、俺には見当がつかなかった。

 

「さて、ここからはちょっとショックな映像が出る。ゴミ袋用意しとけ」

 

ドキンダムがそう言うと、映像が変わった。

 

そこに広がっていたのは、地獄だった。そこら中が火の海に飲まれている。さっきまでの楽園にも似た光景が、もうなかった。

 

そんな中を変身した先輩が走る。

 

『うぉおおおおお!!』

 

怒りに満ちた声を響かせ、立ち向かうのは……ドラゴンだった。その数は計り知れない。地上だけじゃなくて、空にもドラゴンがいる。そこら中をドラゴン達が踏みつけている。

 

『父上と母上の仇ぃいいいいい!!』

 

そのドラゴン達を先輩は蹴散らす。悲痛な叫びを上げて、鉄の体をボロボロにして、先輩は戦っていた。先輩が叫んだことが本当なら、先輩のご両親はもう……

 

先輩が戦っている中、降り立つ巨大な赤い影があった。それは、ドラゴン。だが先輩が戦っていたドラゴンとは明らかに違う。格とかそんなレベルじゃない、『世界』が違う。大王と呼ぶべきドラゴンがそこにいた。

 

『何故だ!何故お前達は!』

 

赤いドラゴンが叫ぶ先輩を一撃で吹き飛ばす。地面を無様に転がり、人間の姿に戻ってしまった先輩。それでも、先輩は諦めなかった。戦おうと立ち上がって、歩く。見ているこっちが辛くなってくる程にボロボロだ。

 

そんな先輩を赤いドラゴンが潰そうと手を振り下ろした。明らかに避けられないコース。先輩はそのドラゴンの一撃によって……

 

その瞬間だった。先輩を突き飛ばす影があった。その影の正体は……アクエリオンさんだった。

 

アクエリオンさんが強がるような笑顔で先輩を突き飛ばし、そして…………ドラゴンに潰された。

 

突き飛ばされて倒れていた先輩が立ちあがる。その目は、絶望に染まり、そして怒りに変わった。

 

『あぁああああああああああああああああ!!!!!!』

 

全身から黒いオーラを発する。そのオーラは、触れてはならないような危険さを感じるものだった。それを先輩が身に包み、ロボットに変身する先輩。赤いドラゴンに突撃した。

 

『お前だけはぁあああああああああ!!!』

 

憎悪に染まった叫びを上げて、先輩は戦う。体がはじけ飛ぶくらいの速度で、赤いドラゴンを攻撃する。

 

『ぐぉおおお!?』

 

これには赤いドラゴンもたまらなかったのか、苦悶の声を上げる。

 

『死ねぇえええええええええ!!』

 

そして、先輩の蹴りが赤いドラゴンに入った。余りに大きな一撃だったのか、先輩の腕が砕け散って、遂に両足を失った先輩。

 

赤いドラゴンは血を流しながら、静かに空へと飛んで逃げていった。それに続くように他のドラゴン達もいなくなっていく。残ったのは、両腕を失って倒れた先輩。

 

『あ……あ……』

 

先輩は這いずりながら一つの血だまりの方へと進む。その血だまりは、アクエリオンさんが作ったものだ。

 

ロボット姿の先輩の目には光がない。完全に壊れている。

 

ガタガタガタ!

 

この映像を移している先輩も大きく震えている。先輩にとって、今でも大きな傷になっているって言うのか……!

 

「うっ……!」

 

「しっかりしろ、アーシア……」

 

そのグロテスクな光景に吐き気を催すアーシア。当然だよ。俺だってこんな目をそらしたい光景なんて、早々見たことがない。

 

先輩が這いずり、進んでいると、ガシャンと大きな音を立てて、先輩を踏みつける奴が一人。それは青いロボットだった。

 

『いいねぇ、これは禁断に一歩近づく。あの馬鹿共には感謝だ』

 

そう言うと、アクエリオンさんの傍にいようとした先輩を無情に引き離し、担いでどこかへと去っていった。

 

「あれはギュウジン丸。俺達禁断の力を手中に収めようとした、身の程知らずの天才だ……少し巻くぞ」

 

ドキンダムがそう言うと、場面が変わる。過去の回想をするように一枚絵が何枚も続く。

 

「こうしてギュウジン丸に拾われたアポロヌスは奴に改造手術を施された。記憶や人間態への変身等一部要らない機能は封印され、『侵略者ウイルス』と言うあらゆる存在の命を削って超兵器に変えるものを打ち込まれ、そしてアポロヌスは『レッドゾーン』と名を変えて、最強の侵略者となった」

 

ドキンダムがそう言うと、映像が変わる。そこにあったのは……先輩が多くのバイクに跨ったロボットを引き連れ、家屋や人を轢いていく光景だった。先輩の目に映っているはずのクリーチャーたちは逃げることもままならないまま、先輩たちに踏み荒らされていく。

 

あれだけ皆に慕われていた先輩が、嘘のように誰かを殺すことに躊躇いを持っていない。いや、『殺す』と言う自覚すらない。余りに残酷な光景に、俺達は息をのむことしか出来なかった。

 

「こいつはすごくてな、文字通り国を実質単騎で落としたんだよ。規模で言うなら……それこそヨーロッパ圏域って感じか?それを一日でな」

 

ドキンダムの言葉に、トップ全員が言葉なく驚いた。いや、それって相当な範囲だよな?先輩が本気で殺しにきたらそれくらい簡単だってことなのかよ……

 

「だが、そんな支配はいつまでも続かない」

 

ドキンダムがそう言うと、映像が変わった。そこにいたのは、先輩とそれに対峙する三匹のドラゴン。

 

「侵略者に対抗する力を持った存在達がいた。その名は『革命軍』。奴らは侵略者ウイルスに対抗できる力を持っていた。その中に、特に強力な三匹の革命の王がいた」

 

そう言ってアップになる三匹のドラゴン。赤い鎧を纏う者、天使の翼を持った者、巨大な一つ目の者。それぞれが威厳を感じる。

 

「火の国の王であり、現代の革命の王『ドギラゴン』。未来から奇跡を以て時を超えて来た『ミラダンテ』。血と命を犠牲に蘇った過去の闇の王『デス・ザ・ロスト』。三匹がアポロヌス……いや、レッドゾーンの前に立ちふさがった。そして……レッドゾーンは破れた」

 

映像が続く。ミラダンテってのが先輩を光の鎖で縛り、デス・ザ・ロストってのが魔術らしきもので先輩の意識を奪い、そしてドギラゴンってのがその剣で先輩をぶった切った。

 

「さて、こうして邪悪の王であるレッドゾーンは討ち果たされた……とはいかない。ちょっと長くなるんでな、詳細は省くがこうなっちまう」

 

ドキンダムが映像を飛ばしていく。その過程で、先輩が何回か改造手術をされていたのが分かった。余りに惨い。あれだけ優しい先輩をここまで踏み躙れるのかってくらいに悲惨だった。

 

「そして、時は来た」

 

ドキンダムがそう言うと、映像には巨大なドキンダムが立っていた。それは、そこにいるドキンダムと違って邪悪な気配を感じる。いや、邪悪とかそんな言葉すらみみっちいくらいにとんでもないのがいる。その足元に、今の姿に似た先輩がいた。

 

「おい、ドキンダム。これって……」

 

アザゼルがドキンダムにそう言うと、奴は答えた。見れば、トップの全員が震えている。

 

「昔の俺だ。世界を滅する禁断王、伝説の禁断ドキンダムX。かつて龍世界がその復活を恐れた存在だ。そして、その奴隷となったのがレッドゾーンX。姿を変えた、こいつだ」

 

『グォオオオオオ!!!』

 

ドキンダムXが吼える。その雄たけびに、俺は恐れおののく。逃げたい。ここから逃げたい。映像越しの咆哮なのに、そう思ってしまう。

 

でも、その映像にはそのドキンダムXの前に立ちふさがるドラゴン達がいた。それはドギラゴン達だった。

 

「ドギラゴン達は決して俺達に屈しなかった。精一杯俺に抗った。だが、現実ってのは非情だ」

 

ドキンダムXと戦うドギラゴン達。最初から優勢とも言えない戦いをし、そしてついに敗北した。

 

まるで石のように固まるドギラゴン達。その光景に絶望を感じた。

 

「こうして世界は滅びた。全てを失ってどうでもよくなったアポロヌスの願いを叶えるようにな」

 

映像が暗くなっていく。そんな、これで終わり……「だが、奴らは諦めが悪すぎた」

 

俺の絶望を遮るようにドキンダムが映像を続けた。そこに映っていたのは青い鎧に身を変えたドギラゴンとミラダンテ。そこにデス・ザ・ロストはおらず、あらたにライオンに跨る弓兵がいた。

 

「ドギラゴン剣、プチョヘンザ、ミラダンテⅫ。奴らは世界を滅ぼす力『ファイナル革命』を引っ提げて俺達に立ち向かった。そしてドギラゴンとプチョヘンザの二人がかりのファイナル革命によって、俺は討たれた」

 

映像ではドギラゴン、いやドギラゴン剣にぶった切られるドキンダムXの姿が映し出される。こうして、先輩の世界の平和は取り戻されたのか。

 

所で、先輩はどうなったんだ?

 

「ただよぉ、これで終わるんだったら世の中楽なもんだ。……死んだ俺の力を吸収し、その身を変えていくレッドゾーンX。ついにはブラックアウトと呼ばれる姿に変わった。そしてそれは……終焉の禁断の星を呼ぶこととなる」

 

「終焉の禁断?」

 

サーゼクス様がそう言うと、映像が変わった。

 

そこにあったのは、星だった。赤く光る明るい星。だが、そこに温かさなど感じない。ドキンダムXの咆哮と同じ、絶望がそこにあった。映像越しに存在しているだけなのに、俺の心は折れそうになっていた。

 

「これこそ俺達ドキンダムXを多くの宇宙に送り込み、世界を滅ぼしてきた存在『終焉の禁断ドルマゲドンX』。俺達ドキンダムXは、所詮こいつから産まれた先兵……量産型の存在にすぎない」

 

「先兵、だと?」

 

アザゼルの心が折れたような声が響く。嘘だろ?映像越しでもあんだけ絶望をもたらしていたドキンダムXが、量産型?

 

そこから映像が変わる。そこにいたのは、人型になり、黄金に光ったドギラゴンとブラックアウトと呼ばれた先輩、そして目覚めたドルマゲドンX。よく見ると、ドルマゲドンXの手足がない。

 

『これで終わりにするぞ、ブラックアウト!!』

 

『死ぬのは、お前だぁあああ!!』

 

ドギラゴンが剣を構え、突撃する。それに先輩も突撃し、拳を振りかぶる。だが、ドギラゴンの剣を砕くには至らず、そのまま串刺しにされ、そのまま一直線に進み、そしてドルマゲドンXの額にドギラゴンの剣が突き立てられた。

 

ドルマゲドンXの額に立つドギラゴン。それを道連れにしようとドルマゲドンXの体から触手が生える。ドギラゴンもこれで終わり……かと思ったら、ドギラゴンが吹っ飛ぶ。ドギラゴンの視線にいたのは、足を延ばしたブラックアウト。その瞳には、感謝があった。

 

『ありがとう、ドギラゴン』

 

『ブラック、アウト……!!』

 

『君の所にはいけない……アクエリ……』

 

ブラックアウトが何かを言い残そうとしたその時、ドルマゲドンXが大爆発を起こした。

 

その光に、俺達は目を奪われていた。

 

「これで、禁断の奴隷となった哀れな王子の話は終わりだ」

 

そう言い、幕を下ろすドキンダム。

 

俺は、今後先輩とどう付き合って行けばいいんだろう。あれだけ優しい先輩が、実は辛いなんてもんじゃない過去を持っていて、それをずっと隠していたなんて。どうすれば……

 

「まだ、話は続く」

 

……え?

 

イッセーside out




次回も似たようなことになります。その辺はご容赦ください。

余談ですが、主人公の親友(故人)は『現在でも通用するディスペクターの合成元』と言うお題で色々探した結果出て来たものです。
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