知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

74 / 86
文字数の関係で分割した回でございます。

最近は日の出が早くなったなと思うようになりました。時の流れは早すぎる。


第74話 テロ組織の襲来

Side in

 

会談がひと段落し、俺の嘘晒しが終わって、暇になった。今は窓越しに外を眺めている。さっきまでの武装も解除したし、俺には問題はないはずだ。

 

呑気に黄昏ていると、アザゼルさんが俺に声をかけてきた。

 

「なぁ、岸波」

 

「何でしょうか?」

 

「お前は、まだお前の嫁を愛しているか?」

 

愛している、か。そんなの、決まってんだろうよ。

 

「……そりゃそうでしょうよ。俺にとって、全てだったんだ。俺の何もかもを捧げていいと思えた人だったんだ」

 

あ、ちょっと声が震えちゃった。いかんな、発声トレーニングくらいしておくべきだったな。

 

初恋かは分からない。女性との交際経験の記憶が前世の嫁とのものしかないからな。

 

「お前、ラヴィニアをお前の嫁と重ねていたりしているわけじゃないだろうな?」

 

アザゼルさんが真剣にそう訊いてくる。何でそこでラヴィニア……ああ、そうか。俺が彼女を妻として勝手に使って過去を作ったからか。だとしたら、答えは一つ。

 

「彼女は違う。確かにあの心の美しさは懐かしさを感じるものはある。だけど、俺の妻はもういないんです。俺は、何も守れなかった」

 

現実を言っただけなのに、何だか俺の心まで締め付けられるように苦しくなってきた。

 

「うぉっと!」

 

俺の気分が暗くなってきた所で、兵藤が動き出した。

 

そう、さっきまでこいつは止まっていたのだ。理由は、多分ヴラディ君の神器が原因だろう。

 

「おっ、赤龍帝様の復活か。案外早かったな」

 

「お、おう。えっと、これは一体?何があったんすか?一体何が……」

 

「それはね……」

 

兵藤の問いに答えようとするリアス。それに割り込んだのは、アザゼルさんだった。

 

「テロさ」

 

「え?」

 

アザゼルさんの一言に呆気を取られながら、外を見る。その外ではドンパチ賑やかなことになっていた。

 

そう、テロである。ヴラディ君の神器の発動に合わせて、外から攻撃を受け出したのだ。

 

「いつの時代も勢力同士が和平を結ぼうとすると、それを嫌がるどこかの団体様が邪魔をするもんだ」

 

まさしくアザゼルさんの言う通りで、外の空には人影が浮いている。そいつらがこちらに向かって攻撃を仕掛けてきているのだ。

 

どいつもこいつも魔法使いみたいなローブを着ている。全く、薄気味悪い連中なことだ。

 

「いわゆる魔法使いって奴だ。悪魔の魔力体系を伝説の魔術師である『マーリン・アンブロジウス』が独自解釈をし、再構築をしたもの。それが魔術、魔法の類だな。あの一発一発から察するに、あいつら、中級悪魔くらいの実力はありそうだな」

 

「えぇ!?」

 

アザゼルさんの解説に、気持ちがいいくらいの反応を見せる兵藤。

 

「要は人間が悪魔みたいになれるってわけだ。勿論、悪魔の出来ないことも出来るらしい。神器持ちが魔術なんて使えるなら、厄介以外何でもない。まぁ、俺らの張った防壁結界は易々突破させねぇけどな。そのせいで外にも出られないが」

 

アザゼルさんの言う通り、会談が行われていたこの部屋にはサーゼクスさんとミカエルさん、アザゼルさんの三人が結界を張って防御の姿勢を取っている。

 

「おそらくだが、力を譲渡してハーフヴァンパイアの小僧の神器を強制的に禁手(バランス・ブレイカー)状態にしたか。一時的だろうが、それでもこんだけの範囲に影響を及ぼすとはな。あの小僧の潜在能力がそれだけヤバいってことだ。ま、俺らトップを止めるには出力不足だったらしいがな!」

 

「え?譲渡?俺のブーステッド・ギアみたいな能力って他にもあるんすか?」

 

アザゼルさんの解説にそう質問する兵藤。そこから始まるアザゼル先生の神器講座。

 

まず、兵藤の神器の能力は『倍増』と『譲渡』。これらの能力を単体で持つ神器が存在する。そしてこの世界には『神滅具』と言うものが存在する。それは何かの能力+別の何かの能力の持つもので、本来合わさったらいけないような能力同士が組み合わさっている。曰く、『神が構築した『神器プログラム』のバグやエラーの類』。そんな説があって、そう考えているのが今のグリゴリ。

 

つまり、ラヴィニアの神器もそんなバグだってことか。

 

そんな豆知識を聞いて満足していると、リアスが喋る。

 

「ギャスパーは今、旧校舎でテロリストの武器にされている。どこで私の下僕の情報を得たかは分からないけれど……これほどの侮辱はないわね……!!」

 

おぉ、怒ってらっしゃる。それもそうだ。彼女はとても優しい子だ。ヴラディ君のことを誰よりも心配していたし、こうなるのも当然だろうな。

 

「校舎を囲む悪魔,天使,堕天使連中は皆止まってやがる。全く、末恐ろしいもんだ。リアス・グレモリー眷属ってのは」

 

そう言って窓際に立つアザゼルさん。手をかざすと外に無数の光の槍が浮かぶ。

 

手を振り下ろすと、槍は一斉に魔術師たちに襲い掛かった。おぉ……!すごいな。よくこれでドライグさんとアルビオンさんに負けそうになってたな。

 

「この学園には結界が張られていて、簡単には中に入れない。にも関わらずあいつらは結界内に出現した。この敷地内に転移用の魔方陣とゲートを繋げている馬鹿がいるってことだ。どちらにせよ、『停止世界の邪眼』(バロール・フォビドゥン・ビュー)の力をこれ以上高められると俺らまで止まりかねない。そこをまとめてぶっ飛ばすってのが狙いなんだろうな」

 

魔術師たちのいた校庭を見ると、増援がやってきた。それを見て、戦々恐々な様子の兵藤。

 

「さっきからこれの繰り返しだ。俺とて何とかしたいが、俺が今すぐに本気で動くとここの結界までぶっ飛びかねないからな。動くに動けん」

 

「てわけだ。余りに内情に詳しすぎる動き方だ。案外、裏切り者がいるかもな」

 

俺とアザゼルさんはそう言う。しかし、随分恐ろしいことをおっしゃられるね、アザゼルさん。

 

「ここから逃げないんですか?」

 

兵藤がそう訊くとアザゼルさんは首を横に振って答えた。

 

「逃げねーよ。学園全体を囲う結界を解かないと外には出られない。その結界を解けば、人間達に被害が出る。それに、下手に外に出ても相手の思うつぼだろう。だから、ここで籠城して黒幕さんをおびき出しているのさ」

 

そう言うアザゼルさん。実際、それがいい。彼らはVIPだ。下手に死なれると困る。

 

兵藤への説明も終わり、始まったのはヴラディ君の奪還作戦。テロリスト共の要である彼をどうにかしようと言うことになったが、ここからどうやっていくのかと言う話になった。

 

『ブラックゾーン、突撃』で全てを解決しようと考えたが、却下された。アザゼルさん曰く、『ここに来るだろう黒幕の相手をしてくれ』とのこと。まぁ、護衛なら請け負いますけど。

 

じゃあ、誰がヴラディ君を助けるかとなると、リアスになった。まぁ、彼女の眷属だしそれもそうか。

 

ただし、ただ転移して救出とはいかない。何でも、あっちの魔法で妨害されるから。そこで、リアスが考えたのは『キャスリング』っての。『王』と『戦車』の位置を入れ替えるものだが、旧校舎に『戦車』の駒があるので、それをやってやろうと言うことだそう。

 

その案を採用に至り、転移の準備を開始するグレイフィアさん。そこにサーゼクスさんが待ったをかけた。

 

―「一人で行くのは危険ではないか?」

 

至極真っ当な意見であった。それを受けて、護衛を考えた所兵藤が立候補した。あいつのことだ、ヴラディ君って言う可愛い後輩を助けたい一心なんだろうな。

 

「赤龍帝、こいつ持って行け」

 

「赤龍帝じゃねぇ、兵藤一誠だ」

 

兵藤が行くことが決まると、アザゼルさんが二つ腕輪を渡した。それは神器の力を抑えるもの。一個はヴラディ君に使うもので、もう一個は兵藤に使うものだとか。

 

兵藤はまだ不完全にしか禁手になれず、対価をある程度払わねばならない。それに奴の『兵士』の駒が神器の力を抑制しているとか。それらの不利な条件を一時的に緩める代物らしい。ただし、兵藤自身が貧弱すぎるので、使い過ぎにはご用心とのこと。

 

そうして始まる転移の準備。アザゼルさんがヴァーリ君に言う。

 

「ヴァーリ。外に行って陽動をしてこい。流石に白龍皇が出てくれば混乱くらいはするだろうよ」

 

「俺がここにいるのは相手も承知じゃないか?」

 

「だが、あちらとて『キャスリング』をするとは思うまいよ」

 

「そうか…………あの人はいないよな?」

 

「いねーだろ。岸波の嫌がることだけはしないって信頼はある」

 

「そう願おう」

 

そう会話すると、ヴァーリ君の背中に光の翼が生える。

 

禁手化(バランス・ブレイク)

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!』

 

そんな機械音声が響くと、ヴァーリ君の全身を白いオーラが纏い、鎧姿に変えていった。

 

兵藤の方を一瞬だけ見た後、外へ飛び出すヴァーリ君。あっという間に魔術師たちを蹴散らしていった。

 

なお、魔術師たちの数も半端じゃないらしく、次々に増援が来る。ゴキブリやネズミかね、あいつらは。

 

「アザゼル、先ほどの続きだ」

 

サーゼクスさんがアザゼルさんにそう言う。

 

「何だ?」

 

「神器を集めて、何をしようとした?『神滅具』持ちも何人か手中に収めていると聞いている。神もいないのに神殺しでもするのか?」

 

サーゼクスさんの問いにアザゼルさんは首を横に振る。

 

「備えていたんだよ」

 

「備えていた?戦争を否定したばかりだと言うのに、随分不安を煽る物言いですね」

 

ミカエルさんがそう言うと、反論するアザゼルさん。

 

「ちげーよ。お前ら相手じゃない。戦争もまっぴらごめんだね。ただ、それでも自衛の手段はいる。お前らの攻撃以外のな」

 

「それでは?」

 

『禍の団』(カオス・ブリゲード)

 

カオス?何それ?

 

俺だけじゃなくてサーゼクスさん達も知らない様子だ。

 

「組織名と背景が判明したのはつい最近だ。ただ、それ以前から怪しい動きを見せている奴らの監視を副総督のシェムハザにやらせていた。そいつらは三大勢力の危険因子を集めている。中には禁手に至った神器持ちの人間もいる。『神滅具』持ちの何人か確認済みだ」

 

「その者達の目的は一体?」

 

ミカエルさんがそう訊くと、目を細めてアザゼルさんは言う。

 

「破壊と混乱。単純だ。この世界の平和が気に入らねぇんだよ。…………テロリストだ。しかも特別に質の悪いな」

 

なるほどな。じゃあ、今回の騒動もそいつらがってことか。

 

「組織の頭は『赤い龍』(ウェルシュ・ドラゴン)『白い龍』(バニシング・ドラゴン)以外の強大で凶悪なドラゴンさ」

 

アザゼルさんがそう言うと皆さんの様子が一変し、驚愕に包まれる。俺と兵藤だけが置いてきぼりだ。

 

「そうか、彼が遂に動くか。『無限の龍神』(ウロボロス・ドラゴン)オーフィス。神が恐れたドラゴン……」

 

え、何?ウロボロス?俺、よく分かんないんだけど。そいつってぶっ飛ばせるの?

 

――『ぶっ飛ばせるわよ』

 

サンクス、ユノハ様。じゃあ、何とかなるだろう。

 

そう考えていると、知らぬ声が響いた。

 

『そう、オーフィスが『禍の団』のトップです』

 

その声と同時に床に魔方陣が浮かび上がる。誰ぇ?

 

「そうか、そう来るか!今回の黒幕は……!」

 

サーゼクスさん、すげー慌てだす。何なら舌打ちまでし出した。普段の彼からは想像できないほどの驚きと怒りが混じった感情を感じる。

 

「グレイフィア、リアスとイッセー君をすぐに飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

「え、ちょっと……」

 

「お嬢様、ご武運を」

 

「待って、グレイフィア!?お兄様!?」

 

そして転移の光がリアスと兵藤を包んだ。

 

Side out




不定期更新を謳っているのなら、もっと不定期更新でいいのでは?(真理)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。