知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

76 / 86
魔導具を使ったみたくなり、ドキつよや援軍のこともあるのでとりあえず青魔導具から始めてみたうp主。参考レシピを調べるとフィニッシャーがシャコになっていて驚く老人でした。メラヴォルガルじゃないんか。


第76話 オンドゥル

Side in

 

「それそれそれ」

 

俺は腕組をしながら敵である魔術師たちを蹴り飛ばしていく。バルガさんが『ブラックゾーンを勘定に入れていないとか草』と言っていたが、敵さんは本当に勘定に俺を入れてなかったらしく、あっさりと殲滅出来てしまっている。

 

いやぁ、舐められたもんだな。

 

俺だって謙虚に生きていこうと思っているし、生きて来たつもりだ。だが、ここまで舐め腐った考えで動かれると、流石に怒りが勝つ。俺がいるってのに随分派手にやってくれたな。俺の平穏を奪いやがって。ただで済むと思うなよ。

 

「しっ!」

 

「はぁああああ!!」

 

地上の別の場所では木場とゼノヴィアさんが剣を振るっていた。特に問題もなさそうだったし、あっちへの手助けはいらないだろう。

 

俺は地上に降りる。目の前には魔術師残党諸君。蹴散らすか。

 

俺は頭から炎を噴き出し、轟音を立てて一直線に走る。本当に走るだけ。魔術師たちを轢いていく感じだ。たったそれだけで、魔術師たちはあっと言う間に倒れていく。

 

正直、殺しはいい気分じゃない。こいつらにだってもしかしたら和解の余地があったかもしれないし。でも、それを捨てたからここにいるわけだ。ってなれば、俺にとって容赦はいらない敵ってことだ。

 

しかし、三勢力トップ三人とバルガさん達は大丈夫だろうか。結界があるとは言え、『もしも』がないわけじゃないし。それに、アザゼルさんの言っていた『裏切り者』ってのも気になる。

 

俺は空を見上げる。暗い夜空だ。不安を覚える。

 

そんな不安が的中したのか、俺の目の前に大きな音を立てて、土煙が舞い上がる。何だ?

 

土煙が収まるとそこにいたのはヴァーリ君と片腕を失ったアザゼルさん。さっきまでの仲良しムードとは真逆で、明らかに敵対している様子だ。

 

ドキンダム、これってよ……

 

――『正解ダムね。フラグビンビンすぎて笑っちゃいそうだったのよね』

 

ヴァーリ!野郎、この土壇場で裏切りやがったか!

 

「アザゼルさん!」

 

「待て、岸波!……身内がこれとは、俺もやきが回った。いつだ?いつからそう言う手筈になっていた?」

 

アザゼルさんが自嘲気味にヴァーリ君……いや、ヴァーリにそう訊く。奴はフルフェイスマスクを解除して答えた。

 

「コカビエルを本部に持ち帰る道中でのオファーだ。悪いな、アザゼル。『アースガルズと戦ってみないか?』なんて誘われてな。そんなことを言われたら我慢出来るような男じゃないことくらい、知っているはずだ。アザゼルは戦争を嫌うからな。そっちじゃ実現できないことだったんだ」

 

こいつ、本質はコカビエルに似ていたのか。ただ、あいつのように『種の誇り』を掲げた戦争ではなく、どこまで行っても『個人の欲求』にすぎないのがヴァーリの裏切った理由か。

 

いや、そもそもこいつの苗字は確か……

 

「俺はお前に『強くなれ』とは言った。だが、『世界を滅ぼす要因だけは作るな』とも言ったはずだ」

 

「関係ない。俺にとっての敵は『退屈』だ」

 

「……だろうな。お前が俺らの手から離れることくらい予想は出来ていた。出会った時からずっと、強者との戦いを求めていたんだからな」

 

「その通りだ。今回の襲撃も、俺が下準備と情報提供をさせてもらった。『王来教団』(リスペクト

レクスターズ)の来訪は予想だにしていなかったが、どこから漏れたのだろうな?」

 

そうやり取りをしていると、後ろから人の気配が。振り向くと、そこにいたのは兵藤達だった。

 

「せんぱーい!ってこれどういう状況っすか?」

 

「さて、役者は揃ったな」

 

兵藤の言葉を無視するようにヴァーリは言う。

 

「俺の本名はヴァーリ。ヴァーリ・ルシファー。死んだ先代魔王ルシファーの血を引く者だ」

 

そうだったな。こいつは『ルシファー』だ。それはサーゼクスさん達の敵の一味だったってことを意味する。

 

ヴァーリの奴がそんな義理で動くようには思えないが、何か知りたくもないようなものがこいつを動かしているんだろうよ。

 

「だが、俺は旧魔王の孫である父と人間の母の間に産まれた混血児。『白い龍』(バニシング・ドラゴン)の神器は半分が人間だから手に入れたものだ。偶然だ。でも、ルシファーの血族で『白い龍』の俺が生まれたのは、運命や奇跡と言うのだろう。そして俺は、そう言うものだろう」

 

さて、準備運動をしておくか。ちょっとお痛がすぎたな、ヴァーリ。後で一緒にラヴィニアと怒るからな。覚悟しておけよ。

 

「う、嘘よ。そんなこと……」

 

うちのリアス嬢が驚愕の声でそう言う。それを否定するように、アザゼルさんがヴァーリの言葉を肯定した。

 

「本当さ。冗談が現実になるってのなら、こいつと岸波のことを言うんだろうな。少なくとも、俺が知っている過去現在はともかく、未来永劫においても最強の白龍皇はこいつだ」

 

そう言いながら、短剣を取り出すアザゼルさん。それを見て、ヴァーリは嘲笑のような視線を向けた。

 

「やめておけ、アザゼル。『堕天龍の閃光槍』(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)禁手(バランス・ブレイカー)状態にしても俺を抑えることは出来なかったのは分かっているだろう?」

 

「……面倒な所ばかり賢くなりやがって。『黄金龍君』(ギガンティス・ドラゴン)の力をお前ら二天龍の神器を模して人工神器に入れてみたが、扱うのはやっぱ簡単じゃないな」

 

アザゼルさんはそう言って短剣をしまう。

 

「ギガンティス?」

 

『「五大龍王」の一体、ファーブニルのことだ。この前アザゼルが言っていたヴリトラの同僚だよ。『天魔の業龍』(カオス・カルマ・ドラゴン)ティアマット、『西海龍童』(ミスチバス・ドラゴン)玉龍、『終末の大龍』(スリーピング・ドラゴン)ミドガルズオルムが他にいる。昔は六大龍王だったんだがな』

 

兵藤の疑問にドライグさんが解説を入れる。へー、そんなにいるのね。俺には関係ないと思いたいね。

 

「ひゃっ!」

 

後ろからヴラディ君の声が聞こえた。その両眼には謎の紋様が浮かんでいた。

 

「その能力はうざいんだ。発動条件さえ分かっていれば、封じるのは簡単だけどね。何より、幻術なんてかければ、敵味方関係なく牙を剥く」

 

「随分丁寧な高説だな。しばくぞ」

 

そう言うが、全く聞いていないヴァーリ。こちらを見ると、嘲笑を向けてきた。んだ?馬鹿にしてんのか?

 

「しかし、酷い運命だ」

 

何だ突然?

 

「俺と兵藤一誠のような差があるのは神器の宿命だ。悲しいが、どれだけライバルと呼ぶべき相手が弱くとも、それを受け入れなければならない」

 

「んだと「お前が思っている程、兵藤は弱くねぇよ」

 

つっかかろうとする兵藤を遮るように、俺は真実を言う。確かにあいつには力はない。だけど、ガッツがある。スケベ野郎だが、どこまでも一本筋の通った誠実さを持っている。それを馬鹿にされる筋合いはない。

 

「だがそれ以上にな、強者でありながら自身を弱者の底辺にまで身を落としたブラックゾーンと言う存在に、俺は笑ったよ」

 

「何が言いてぇ……?」

 

どうやら、ヴァーリの言いたいことはここからのようだ。

 

「君の家族については調べたよ。つまらないな。実につまらない」

 

……あ?

 

「ただの共働きのサラリーマン夫婦に、何の才能もない子供。ついでに言えば、あの『王来教団』の女に黒歌と言うお尋ね者。そんなものを家族と呼ぶなんて、哀れだよ」

 

――『あいつ、どんだけこいつの怒りをぶち抜くんダムよ』

 

「人に囲まれて幸せなど、強者に相応しくない。……そうだ、ならこうしよう。岸波大地、君は復讐者になるんだ。俺が、君の家族を全員殺そう」

 

その言葉に、俺の視界が怒りに染まっていった。

 

『え、ちょっとヴァーリ?その挑発は俺もどうかと……』

 

「そうすれば、君は英雄に戻れる。強者に戻れるんだ。俺はそんな君と戦うからこそ、意味がある」

 

『ねぇ、ヴァーリ?明らかにブラックゾーンの怒りがおかしいんだけど?』

 

「そうすれば、君のくだらない、凡百の家族とやらにも生まれた価値が出来る。何の権利も持たない弱者にも利用価値が生まれる。玩具らしくなれる。英雄には悲惨な過去がいるだろう?ちょうどいいじゃないか」

 

俺の家族を、殺す?俺の大切なものを、奪う?

 

なるほどな。

 

ジャア、オ前ガ玩具ダ。

 

Side out

 

 

イッセーside in

 

ヴァーリが岸波先輩を挑発した。何の目的かは分からない。ただ手合わせするだけなら、先輩に他の目ばすぐにしてくれただろう。でも、そうしなかった。なおさら意味が分からない。

 

だけど、一つだけ分かった。あいつは、先輩の本気の怒りを買った。

 

「グゥオオオオオオオ!!!!」

 

先輩が全身をオーラで真っ黒に染め上げる。そのオーラは、『触れてはならない』と俺の本能が言っている。

 

あんな先輩は見たことがない。あれだけキレた先輩を、俺は知らない。

 

そんな先輩を見て、ヴァーリは満足げにしていた。

 

「そうこなくてはな。本気でやるからこそ、俺達の戦いに意味が生まれる」

 

『わ……わぁ……!』

 

何やらアルビオンは乗気じゃないっぽいが、そんなものは気にも留めずにヴァーリは顔を兜で覆う。

 

「さて、あの時のリベンジマッチといこうじゃないか」

 

『いやっ!いやっ!』

 

そう呟いたヴァーリ。小さくて可哀そうな奴になっているアルビオン。

 

瞬間、先輩とヴァーリは空中に飛んで殴り合いを始めた。

 

先輩の攻撃は怒り任せで大振りだ。だが、速度が違う。大振りな攻撃がいけないのは攻撃が遅く、そして読まれやすいから。先輩はそれを速度で全部殺し、パワーだけを抽出していた。

 

ヴァーリはこれに防戦一方の状況となっていた。

 

隙を見て拳の連打をするヴァーリ。だが、先輩はそれを一切避けずに受け止める。知っての通り、あの人は無敵に近い。ヴァーリの拳は先輩を傷つけるに至っていない。

 

「まさか……岸波め、馬鹿にしてんな?」

 

アザゼルがそう言う。俺達はその意味がよく分からなかった。

 

そんな俺らの様子を見て、アザゼルが解説してくれた。

 

「岸波の野郎、ヴァーリに手加減してやがる。あんだけ怒りに駆られているってのに、よくもまぁ調節が出来るもんだ」

 

「手加減?」

 

部長がそう言うと、更に続けるアザゼル。

 

「ヴァーリは文字通り、絶対的な強さを持っている。ただ、それ以上の領域にいるのが岸波だ。あいつはそれを分かっていて、ヴァーリのプライドをとことん踏み躙るつもりだよ。あんだけ弱者を毛嫌うようなことを言っていたヴァーリに『お前は弱者だ』って言うためにな」

 

なるほどな、先輩らしいと言えば先輩らしいか。

 

空で激突する二人を見る。互角のように見えるが、ヴァーリが明らかに劣勢なのは分かってしまう。だって、ヴァーリの行く先に先輩が確実に先回りしてんだもん。

 

空に浮かぶ白と闇。その光景に目を取られると共に、俺の胸中は渾沌としていた。何だろう、この嫌な感じは。

 

イッセーside out




二次創作を義務化したくないし、急ぐ用事はないし、何なら不定期更新である以上ゆっくりでいいのでは?
まぁ、それはそれとしてサクッといきましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。