知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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しょうもない願望ですが、エリンギはよ再録して公式。


第80話 お礼と要求

Side in

 

「『悪魔の駒』。それも僕達魔王が特注したものだよ」

 

特注。つまり、俺専用。この駒が、俺専用。

 

「え、サーゼクスさん。これってどういう……」

 

確か、以前リアスに聞いた話によれば『悪魔の駒』って相当貴重なもので、選ばれた者でなければ手に出来ないって話だったはずだ。それをどうして俺に……?

 

困惑する俺に対して、サーゼクスさんはニコニコとしながら答える。

 

「今の冥界は僕達現四大魔王が作ったとよく言われていてね。そして、その魔王たちがあの戦いで生き残り、立ち上がることが出来るようになったのは、他でもない君のおかげだ」

 

え、そんなスケールの大きな話に?

 

俺はセラフォルーさんの方を見る。笑顔で頷いた。あ、そうなんすね……。

 

「そこで僕らは考えた。『彼にはしっかりお礼をしなければ』とね。魔王と呼ばれる僕らだが、根っこは悪魔。ギブアンドテイクはしっかりせねばならない。多くの悪魔の上に立つ魔王なら猶更ね」

 

「そんな、俺は別に礼なんて……」

 

そう言うが、首を横に振って否定するサーゼクスさん。

 

「いや、それではダメだ。今言った通り、僕らは魔王。悪魔の上に立つ者だ。それが与える与えられるの関係に不当性を持たせたら、それこそ権威に関わる。だからこそ、今回のお礼は僕らを救うと言う意味でも受け取ってほしい」

 

その言い方に、俺は頭を押さえた。いや、そんな言い方されたら受け取る以外ないじゃないっすか……。

 

「ズルいですね、その言い方」

 

「『悪魔』だからね。それに、こうして魔王が特別に作らせた『悪魔の駒』を、魔王直々に渡すなんて、それこそリアスがどれだけわがままを言っても無理なことだ。君はそれだけすごいんだよ」

 

サーゼクスさんの言葉を受けて、俺はそっとリアスの方を向く。無言で頷いていた。あ、そっかぁ……。

 

「ここにいないアジュカとファルビウムもだけど、僕ら個人としても君がいつの日かその『悪魔の駒』を使って増やした眷属と一緒にレーティングゲームをする光景を見てみたいと思っている。勿論、引き出しの奥に入れておくのもいい。それは、君の自由だからね」

 

どうしよう、ドキンダム。俺、眷属とか養える程の気概も金もないんだけど……。

 

――『安心しろ、金なら合法的にすぐ解決できる。気概はお前次第だな』

 

ふぇー……。俺、悪魔になるつもりなんてなかったのに……。

 

それじゃあ、これは受け取るってことで……

 

――『待ちな、了子』

 

誰だよ、了子って。つーか、何だよドキンダム。

 

――『このままじゃ、『悪魔の駒』は使えない』

 

え、何で?

 

――『お前のチートボディが弱点を作ることになる悪魔化を拒絶するからだ』

 

……ああ、なるほど!白血球がウイルスを食うように、俺のチートシステムが『悪魔の駒』を弾いちゃうってことか。だから悪魔になれないってことか。

 

――『なので、俺らがこいつを改造します』

 

え?

 

――『ただの悪魔でない、覇王の先兵達(デーモン・コマンド)にするってことだ』

 

え、こわ……何それ?

 

――『喜べ岸波大地。お前はソニック・コマンドだけじゃなくてデーモン・コマンドにもなる。ブラックサイコの要素も入るんだよ』

 

おぉ!それはすごいや!……いや、ハンデスの機会ってあるのか?

 

――『気にするな』

 

アポロヌスがそう言う。

 

――『そう言うわけだ。ホラ、駒に手をかざせ。後は俺とアポロヌスがやる』

 

オッケーです。

 

俺は言われるがままに駒に手をかざした。その様子を奇妙そうに見る皆。

 

「さて、やるか」

 

俺がそう言うと、手から赤黒いオーラが出て、駒を包む。カタカタと小さな音を立てて動く。しばらくすると、音が止み、オーラも止まる。

 

――『終わったダム』

 

――『いらん改造とも言えるものはしたがな』

 

どうやら終わったらしい。さて、じゃあ『王』の駒を早速……待って、アポロヌス。今何て言った?

 

俺がアポロヌスの言葉に疑問を持っていると、『悪魔の駒』が勝手に宙に浮き出した。赤いオーラを纏っている。随分、不思議な光景だ。

 

――『こいつら、自我をある程度持っているから、自分で眷属を選ぶこともあるダムっすね、ボッさん』

 

はい?自分で眷属を選ぶ?

 

――『そうだ。我ら基準で『貴様に相応しい』と思った相手には執着するようにプログラムした。お前が一人で苦しんで考える手間を省いてやったまでのこと。感謝するがいい』

 

『王』の駒が俺の前に浮かぶ。え、マジで?言葉が通じないこの駒共(こいつら)と付き合っていくの?マジで?

 

だって、場合によっては黒歌みたいなことになりかねないってことだろ?どうすんの?俺がそう言うのを嫌っているってお前ら知っててやったのか?だとしたらよ……

 

――『キレるな。あくまでも『岸波大地にふさわしい』かつ『岸波大地の眷属になっていい』とか『岸波大地に永遠を捧げていい』と思った奴にだけに反応する。無理矢理なんてぜってー起きねぇよ。もし起きる時は、俺らが全力で止める。今確認を取ったが、ユノハ様も協力するってよ』

 

絶対に?

 

――『そうダム』

 

信じるぞ?

 

――『そうしてほしいダム』

 

……はぁ。俺も随分面倒なことに巻き込まれるようになったな。

 

俺は『王』の駒を受け入れるように両腕を開く。駒が近づき、俺の胸へと入っていく。

 

さて、これで俺も悪魔の仲間入りってわけか。それも、デーモン・コマンドって言う奴の。

 

「岸波君、今のは……?」

 

サーゼクスさんがそう訊いてくる。まぁ、そうだよな。突然自分のプレゼントに手をかざしてオーラを与えたなんて、変なんてもんじゃない。

 

「この体だと、『悪魔の駒』を受け付けなくて。ちょっと改造しました……ってドキンダム達が言っています」

 

「何だって……?」

 

静かに驚くサーゼクスさん。うーん、流石に失礼だったかな?いや、でも使うならこうするしかなかったわけだし。

 

『一個プレゼントしたらどうダム?『気になるなら調べてみるといい』みたいな感じで』

 

『研究への貢献として貸しでも作っておけ』

 

「その声は……ドキンダムとアポロヌスかい?」

 

「俺の内側からですね。あれです、ドライグさんみたいな感じです」

 

サーゼクスさんにそう簡易的に説明する。

 

俺は『兵士』の駒を取り出す。うーん、惚れ惚れするくらいのキレイな装飾だ。改めて思うが、こんなにいいもんを俺がもらっていいのだろうか。まぁ、受け取らないとあれだし、仕方ないけど。

 

「一つ、研究にどうですか?」

 

「ッ?!いいのかい?」

 

「ええ、勿論。尤も、俺達の深淵に触れられるかは別ですが」

 

そう言い、『兵士』の駒をサーゼクスさんに渡した。

 

「ありがとう、岸波君。帰ったらすぐに、開発者のアジュカ・ベルゼブブに渡すよ」

 

懐に駒をしまうサーゼクスさん。そんな彼を余所に、俺の駒は宙を浮き、俺の胸の中に入っていった。ドキンダムさんや、これは一体?

 

――『いつでもすぐに取り出せるように、お前の中に収納した』

 

なるほどな。

 

「岸波君、今のは……」

 

「俺の中に収納しました」

 

「君は……とことん面白いね」

 

不満が出そうな返答をしたサーゼクスさん。そんなことにつっかかるほど、俺はガキじゃないからな。実際、本当に面白いって思っているかもしれないし。

 

さて、これで終わりか……って言いたいけど、どうやらそんな雰囲気じゃないらしい。

 

「さて、ここまでが『僕ら』個人のお礼だ。ここからは『悪魔全体』としてのお礼だ」

 

……まだあるんかい。

 

「いや、それってどういう違いが?」

 

俺がそう言うと笑顔で答えるサーゼクスさん。随分楽しそうで何よりです。

 

「先ほども言ったが、僕らの沽券にも関わることでもあったのが二天龍での戦いだった。単に『死にかけていた所を助けられた』で済まないくらいのことが、あの時あった」

 

あの発破かけの時か。いやあれって、俺の身勝手もだいぶありましたし……?と言っても分かってくれないよなぁ。

 

「僕らがこうして魔王を続けられたのも、君の力があったからこそだった。それを『悪魔の駒』として、出来る限りの最上級のお礼として出した。ただ、これだけでは終われなくてね」

 

「まさかとは思いますが……民意とかその類ですか?」

 

俺が何となく思ったことを言うと、頷いたサーゼクスさん。

 

「流石は王家の身と言うことだけあるね。察してくれるなんて、ありがたい。そう、民意。厳密に言うと、それなりに地位を持っている者達で君を慕う者も『ブラックゾーンの願いの一つくらい叶えたらいいんじゃないか?』って意見しているんだ。勿論、『出来る範囲のことなら』、と言う言葉が頭に付くけれど」

 

なるほどな、随分面倒なことになった。俺としてはこれ以上に望むものなんてない。そもそも『悪魔の駒』だって身に余るものだ。

 

サーゼクスさんとセラフォルーさんを見る。すごい目を輝かせている。これ、相当期待されているな。うーん……ここでの正解は……何だろうな。教えて、ドキンダム。

 

――『自分の欲望くらい、自分で決めろ』

 

突き放されました。悩む俺。どうしたもんかなぁ……

 

そんな凡愚の脳裏によぎるものがあった。

 

―「来いよ、ご主人様。リフコンなんて捨ててかかってきやがれ」

 

―「安心して、ご主人様。あなたが二十歳になった時に一緒に飲む酒は決めてあるから」

 

―「ごすー、今日はイワシを沢山もらってきちゃったから何とかしてー」

 

―「私はご主人様のこと、大好きだよ?」

 

―「もう我慢出来ねぇ!犯す!」

 

それは黒歌のことだ。そういや、あいつってかなり複雑な事情って言うか、情状酌量の余地ありって言うか。でも、それを訴えることが出来る程の力が黒歌にはない。

 

なら、やってみるか?黒歌の無罪への助命。

 

「サーゼクスさん、一つ質問が」

 

「何だい?」

 

「その願い、『情状酌量の余地がある犯罪者の罪を何とかする』ってことは可能ですか?」

 

俺がそう言うと、サーゼクスさんが首をかしげる。そりゃそうだよな。彼には黒歌のことは伝わっていないはずだから。

 

「ダイチ、まさかとは思うけど……」

 

「ああ、あいつのことだよ、リアス」

 

リアスが心配そうに俺に言うが、俺は止まらない。サーゼクスさんもここまで来ると何かを察したのか、きりっとした表情になる。

 

「そうだね、本当に情状酌量の余地があると言うのなら、罪をなかったことに出来る。それが君の願いだと言うのなら」

 

よし、言ったな!本当に言ったな!手のひら返しすんなよ!

 

「では、その言葉にしっかりと責任を持ってもらって……私が懇願するのは、冥界のお尋ね者で、塔城小猫の実姉である黒歌のことです」

 

俺がそう言うと、サーゼクスさんの眉間にしわが寄った。なるほど、あいつの名前は魔王であるサーゼクスさんの耳にまで……ああ、そうだった。そもそも塔城さんがリアスの眷属になるきっかけに関わっていたんだっけ?だったら知ってもいるか。

 

「詳しい話を聞かせて欲しい、岸波君」

 

「当然ですよ」

 

俺はそこから黒歌のことについて説明した。彼女も彼女なりに何とかしようとしていたってことを。

 

話を進めていく内に、サーゼクスさんの眉間のしわが深くなる。ただ、怒りとかじゃない。呆れって感じだった。

 

俺は黒歌について話を終えた。サーゼクスさんは俺の話を聞いて、大きなため息を吐いた。

 

「なるほどな。そんなことがあったのか。それなら、あの事件の報告書に妙に穴があったり、違和感があったことに説明がつく。……岸波君」

 

「何でしょうか?」

 

これで『それは無理な願いだ』なんて言われたらここでぶっ飛ばす必要が出てくるんだが?

 

「それは願いとしては受け入れられない。なんたって、『こちらの不手際』だからね。相手はそこそこ大きな家の貴族だ。家を潰すのは難しい。だからと言って、黒歌の真実を見逃すなど出来ない」

 

そう言うと、こちらに向かって笑顔で言う。

 

「いいだろう。黒歌の罪、消すことにする」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、勿論だ。どちらかと言うと、政治的な理由でのもみ消しに近い。無理矢理なあなあにすることでのね。それよりも、真実の究明に協力してくれて感謝するよ」

 

「ありがとうございますッッ!!」

 

俺は勢いよく土下座した。やった、やったぞ!黒歌!お前は!

 

「や、やめてくれ岸波君!君がそんなことをするべきではない!」

 

「え、あ、はい」

 

サーゼクスさんを結構ガチ目に困らせてしまったようなので、俺は素直に立ち上がることにした。砂を払ってサーゼクスさんと向き合う。

 

「しかし、困った。黒歌の一件はとてもじゃないが、礼とは言いにくい。寧ろまた貸しを作ったようなものだしな……」

 

サーゼクスさん、悩みだす。俺も悩んでいるんですよ。今まで何だかんだフリーダムに生きていたせいで欲望に対して明確にすることがなかったし……

 

うーん……あ、そうだ。

 

「それならこれとかどうですか?」

 

「何だい?」

 

俺は気を引き締める。かなり真剣な願いだからな。

 

「『俺の家族に手を出すな』」

 

そう言うと、その場の空気が張り詰めてしまった。ごめん、こればかりはマジでやらせて。

 

「以前、リアスの婚約の一件でもリアスとサーゼクスさんのお父様にも言いましたが……俺への攻撃はいくらでも構いません。ですが、俺の家族は一般人です。あなた方が力を振るえば、あっという間に吹き飛ばせる。もし、そんなことをしてみろ。世界を滅ぼすからな」

 

「……なるほどな。政敵への牽制か」

 

「そうとも言います。とにかく、私は私の家族を守れればいいので」

 

そう言うと、サーゼクスさんは微笑んだ。

 

「いいだろう。こちらもこちらでその手のことはやってみる。そもそも、君を怒らせるような不義理などさせないさ」

 

「ありがとう、サーゼクスさん」

 

俺は手を差し出す。サーゼクスさんも分かってくれたのか、握手をしてくれた。

 

こうして、俺達の世界は変わった。和平と言う大きな世界から、黒歌と言う小さな世界まで。でも、それら全部が俺にとって大切なものだ。

 

さぁーて、帰ったら黒歌に報告や!

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、大地君。私もハグしていい?」

 

「セラフォルーさん?いや、別に構いませんけど」

 

「それじゃあ……」

 

ぬぉっ、おっぱい!

 

Side out




とりあえず次回でひと段落ですかね。そんな感じでやっていこうと考えています。
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