知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
ダチッコはそんなこと言わない(突然の正気)
Side in
「着いたようね」
外の花々や噴水を見ていたらリアスがそう言う。目的地に着いたそうだ。胃が痛ぇ。遥輝とイチャイチャしたい。
俺の苦悶など知らぬ世界に悲しみを覚えていると、馬車のドアが開かれる。外で執事さんが会釈してくれた。
リアスが先に降り、それに続く俺ら。二代目の馬車もすぐに合流し、木場達も降りて来た。
執事さんとメイドさん達が二つの列をなし、道を作る。その真ん中には赤いカーペットが城まで伸びている。何だか、これからギロチン台に上る気分だ。
デカい城門が開かれる。
「お嬢様、そして眷属の皆様、客人であるお二方。どうぞ、お進みください」
グレイフィアさんにそう促される。余りに現実逃避したくなってきたので、この後の作業について考えることにした。
「さぁ、行くわよ」
俺は帰りたいよ、リアス。
リアスがカーペットの上を歩こうとした時、メイドさんの列からひょいと出て来た小さな影があった。それはリアスへと駆け寄り、抱き着いた。
「リアス姉様!おかえりなさい!」
あらかわいい。リアスそっくりの紅髪の少年だ。
「ミリキャス!ただいま。大きくなったわね!」
どうやらリアスの知り合いらしい。顔立ちも似ているし、親戚筋か?
「あ、あのー、部長。この子は一体どなたで?」
兵藤がそう尋ねると、リアスは答え、紹介した。
「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様……サーゼクス・ルシファー様の息子よ。私の甥と言うことになるわね」
甥っ子か。つまりリアスはおb……
「ダイチ、もしかして失礼なことを考えてるかしら?」
「い、いえ。とんでもないっす」
リアスにすごい殺気を向けられた。そ、そうですよねぇ……気にしますよねぇ……。
しかし、サーゼクスさんの息子さんか。つまり俺とは違い、マジモンのプリンス様ってことだ。しかもサーゼクスさんの息子ってことはグレイフィアさんの息子ってことにもなるな。
「ほら、ミリキャス。挨拶をして。この子は私の新しい眷属なの」
「はい。ミリキャス・グレモリーです。初めまして」
「こ、これはご丁寧にありがとうございます!お、いや、私は兵藤一誠です!」
随分テンぱっているな、兵藤。ちょっとほほえましい。俺の胃痛が少しだけ和らいだ気がする。
「イッセー。何か勘違いしているらしいけれど、魔王の名は継承した本人にしか名乗れないの。だから、この子はお兄様の子供でも、グレモリー家なのよ。私の次の当主候補なのよ?」
何だか難しいものだ。俺には関係ないだろうし、頭の隅にでも置いておこう。
「そ、それでリアス姉様。今回の帰省ではあの方も……」
何やらモジモジし出すミリキャス君。どうしたんだ?トイレか?なら急ぐといい。漏らしたら一大事だ。
「ええ、勿論よ。彼がブラックゾーンである、岸波大地よ」
リアスがそう言うと、俺の前に照れくさそうにしながらやってくるミリキャス君。え、何?
俺が困惑していると、リアスが笑いながら言う。
「ミリキャスはね、あなたのファンなの」
「ファン?」
俺のぉ?また随分酔狂な。いくらセラフォルーさんがきれいに伝えてくれていたとしても、そんなうまい話があるかね?
俺はミリキャス君を見る。目を輝かせている。ああ、この目を知っている。ウルトラマンを前にした遥輝と同じだ。ってことは、マジでファンなのか。
「こんにちは、ミリキャス君。私が岸波大地。またの名を、ブラックゾーンと言う」
「は、はい!ミリキャス・グレモリーです!」
熱烈な挨拶だ。仕方ない、ちょっと有名人でも気取るか。
俺はブラックゾーンに変身し、手を差し出す。その目の輝きがより一層増した。
「握手するかい?」
「っ!はい!」
嬉しそうに俺と握手をするミリキャス君。いくら俺がゴミムシだろうと、流石に子供の夢を壊すほど落ちぶれたつもりはないからな。これくらいするさ。
小さな手を握ると、温かさを感じる。強さと優しさも。何だろうな、こう言うことにも慣れていかないといけないのかな。まぁ、でも、あんな過去をお出ししてしまったことへの罪はある。しっかり背負って生きていこう。
「わぁ……!」
ミリキャス君も満足そうにしている。俺の罪でも、こうして子供を笑顔に出来るなら悪い気はしないな。
「よかったわね、ミリキャス」
「は、はい!」
リアスの言葉にそう元気に返事をするミリキャス君。
ここで足を止めたままでもいけないので、俺達は城へと足を進めた。巨大な門をくぐると、中には大小様々な城門があり、そこがどんどん開かれていく。
ついにたどり着いた城内の玄関ホール。そこは俺の目が焼き切れそうなほどにロイヤルさに溢れていた。二階に続く階段から天井のシャンデリアまで、何もかもが非日常すぎて腹を下しそうだ。
「お嬢様、早速皆様をお部屋にお通ししたいと思うのですが」
「そうね、私もお父様とお母様に帰国の挨拶をしないといけないし」
「旦那様は現在外出中です。夕刻までにはおかえりになる予定です。夕餉の際には皆様と会食をしながら、お顔合わせをしたいとおっしゃられています」
「そう、分かったわ。それじゃあ、グレイフィア。一度皆にはそれぞれの部屋で休んでいてもらおうかしら。荷物はもう大丈夫かしら?」
「はい、すでに。お部屋の方も今すぐお使いになられても問題ございません」
リアスとグレイフィアが会話をしていると、会談の方から人が一人やってきた。
「あら、リアス。もう帰って来ていたのね」
あら、美人。確かリアスのママさんだったわね。
「お母様、ただいま帰りましたわ」
リアスがそう一言言うと、兵藤の表情が驚きに変わり、絶句する。どうやら、その綺麗さに見とれていたようだ。
「お前、フェニックスの時に挨拶してなかったのか?」
俺がそう訊くと『多分、挨拶してないっす』と言う兵藤。あらら、そうなのね。それじゃあ、実質的に初対面ってことになるか。
その後、悪魔はある程度年齢を重ねると見た目をある程度操れるってことをリアスから教わった。それから、お母様の自己紹介もあった。ヴェネラナさんだそう。あれ、俺ってあの時名前聞いてたっけ?お父様の方も名前が思い出せないって言うか……もしかして、ボケた?やだ、怖い。
そんな悲しみもあったが、俺達の長旅も終わった。俺達は用意された部屋へと案内されるのであった。
○○○
俺は今、罪を築いている。
――『かっこつけてますが、俺達で作った過去を書き記しているだけです』
ありがとう、ドキンダム。
いやぁ、俺もついに来るところまで来たなって感覚がある。具体的に『何が』って言うのは言えない。だって、該当するもんが余りに多いから。
そんなわけで嘘過去作り。俺は楽をしたいので、ドキンダムに体を貸して代わりに仕事をやってもらっている。
――『おい、ここってこう言う表現でいいか?』
あ?ああ、そこか。それでいいよ。
――『おいっす』
まぁ、こんな感じで仲良くやらせていただいている。
さて、ドキンダムさん。俺はトイレに行きたい。
――『あの水が美味しかったからって飲みすぎだ』
そう、水。この部屋には冷蔵庫があるんだが、その中に自由に飲んでいいよと言われた水やジュースがあった。瓶に入って。なので、俺は無難に水を選んだ。いやね、良く冷えていて美味しかったんだ、これが。
1LDKも真っ青なこの豪華な部屋にあるトイレに行った後、俺はちょっと外を歩きたくなった。この部屋にいすぎると気がめいりそうだ。
俺は外に出る。自由にうろついていいかは予め聞いてないな。聞いてみるか。
「すいません、ちょっとここで軽く柔軟体操をしたいんですがいいですか?」
何か俺って相当信頼がないのからしく、部屋の外に人が交代で待機しているのだ。そんなに、俺が信頼できない?そんなすぐに部屋の外を走り回るように思われてる?
――『『『はい』』』
お前らぁ……!
俺が話しかけた金髪の美人さん。腰には刀を携えている。手にも少し癖が見える。流石は大貴族グレモリー家、こういう戦闘が得意な方もいるという訳だ。
「それでしたら、構いませんよ」
美人さんに許可をもらった。やったぜ。
周囲を見渡す。結構入り組んでいるな。流石は貴族の邸宅ってわけか。これ、万が一一人で外に出たら迷おうことは確実だな。
「おや、岸波様は意外と地理を覚えるのが苦手でございますか?」
「あ、顔に出ていましたか?基本的に外出は知っている所にしかいかないものですから。まぁ、何とかなると思います」
どうやら、俺が困っているとそう揶揄ってくる美人さん。何だか、妙に心地よさも感じる。俺はMだったのか?
俺は自分の性癖に疑問を持ちながら、柔軟体操行った。用を済ませると、俺は部屋に戻り、作業に復帰した。
ついでに、美人さんの名前も聞いた。『細川幽』さんだそうだ。やれ『ナンパですか、岸波様』だの『それがしは安い女ではありませんよ』とか色々言われたりもした。
「ぬぅううう」
作業再開。書ける所は書いていっているし、考えるのに疲れたらドキンダムと交代している。何なら、十巻くらいは書けていて、今十一巻に突入している。問題があるなら、一つの巻につき境界線上のホライゾン並の分厚さになってしまう文字数なことか。いやはや、俺にも変な才能があったもんだ。
さて、ここで冷えたオレンジジュースを一口。
「美味しい」
酸味と甘みのバランスがいい。厭味ったらしさもない、上品なお味ですことよ。
――『おい、ドキンダム。このジュースは再現できるか?』
――『当たりめーだ。そもそも、俺らが食ってたのって、こいつの記憶から再現したもんだしな。今後はこれを飲めるぞ』
――『我の供物に相応しい。だが、普段こやつが飲むのも悪くない。難しい悩みを持たせるとはな』
お前らが楽しそうで何よりだ。
俺は淡々と作業を続けていく。ドキンダムさんや。
――『んだ?』
そろそろ作詞作曲の方をやっていいか?気分転換したい。
――『せめてこの巻を終えてからな。もうすぐ終わりなんだしよ』
へいへい。
この後の予定を決めていると、部屋のドアをノックする音が。おや、誰だろう。細川さんかな?さては寂しくなったアーシアか?よーし、どんと来い。
『ミリキャス・グレモリーです。ブラックゾーン様、入っても大丈夫でしょうか?』
「ミリキャス君?いいけど……」
想定していなかった来客だった。はて、何用だろうか。
「失礼します」
そう言って、部屋に入ってくるミリキャス君。彼がここに来るような用事があったっけ?それともリアスにパシリにされ……ることはないよな。だって、リアスだもん。
ミリキャス君が部屋に入ると、監視のためか細川さんも一緒に入って来た。うーん、いいおっぱい。
俺が作業している机を挿むように、対面に座るミリキャス君。さて、何かな。
「ミリキャス君、俺のことは岸波大地でいい。それで、一体何かな?」
そう言うと、少し目を輝かせるミリキャス君。
「それでは、岸波様。僕は父から岸波様が異世界から来た勇者だとお伺いしています」
「……」
サーゼクスさんめ、ちょっと早くしゃべりすぎやねんな。不意の一撃で致命傷を受けかけたぞ。
「そうだな、確かに俺は異世界って奴でちょっとした存在だった」
「そこでなのですが……差し支えなければ、その異世界でのお話をお聞きしたいのです」
話、か。いつかは本となって出るが……きっとこの子は待てなかったのだろうな。子供ってのは往々に我慢の苦手なものだって遥輝でよく知ったし。あの子もあの子でイヤイヤ期の時は『にぃにじゃないといやだぁああああ!!!』なんて絶叫していたなぁ……。
いかんいかん、また過去に思いを耽っていた。
「なるほどな、俺の過去か……」
「その……無理であれば……「いいよ」
俺がそう言うと、パァーっと顔を明るくするミリキャス君。子供らしくてよろしい。
「サーゼクスさんと話をしていてね、俺の過去について自伝として本を出すつもりなんだ。それの体験会ってわけじゃないけど、ちょっとした小話でもしよう」
「はいっ!」
何で俺が嘘の過去を話す気になったかって?そりゃおめぇ、相手は子供だぞ。しかもサーゼクスさんの息子さん。ここでちょっとした縁でも作っておくべきだろって思っただけだ。別に、その目に遥輝を感じたからじゃない。
「それじゃあ、話すけど……細川さんもお座りになりますか?」
俺が隣で立ったままの細川さんにそう訊くと、首を横に振った。
「それがしはあくまでも付き人ですので」
「そうか、じゃあしゃーない。さて、何を話そうか……」
俺は話の種を探す。これでも過去のことはひとしきり決めてある。話す内容もそこそこ壮大に出来るようにしてある。ただ、数がそれなりにあるので悩ましいと言う話だ。
うーん……子供受けが良さそうなのは……『あれ』だな。
「それじゃあ、話そう。己の誇りの為に戦った、侍と騎士。そして歴史の裏で動いていた忍達の話を」
俺は話を改変に改変を重ねた戦国編の話をすることにした。
Side out
最近お腹を下しすぎて、裂肛の影が真後ろまで迫っている恐怖を感じます。嫌じゃ、また座薬生活などしとうない。