知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
お夕飯の時間も終わり、俺は作業をしている。マシンガンのようにタイピングをする俺の姿はお笑いだぜ。
「これで……よし!終わり!」
俺はついに10巻まで書き上げた。おおよそ、境界線上のホライゾン上下込みで5巻目までだ。ここまでドキンダムのチートパワーを借りて全力でやってんのに、なんでまだ5巻までしか追い付けていないんだよ。あのラノベおかしいだろ。
前世のラノベに思いを馳せるのもここまでにしておこう。とりあえず、休憩。水を飲む。冷たくて美味しい。
コップを置いて、俺は今まで書いたファイルを見直してみる。
サイバーロードとリキッドピープルとの戦争である序編。
スターマンに敗北したものの、国を守るために戦い続けた五大王との戦いで、デス・フェニックスとの因縁の始まりでもある五大王編。
負傷した不死鳥たちとの戦いで、絶望に負けない俺の姿と力から、託すことを知ったマーキュリーとヴィーナス、ヴァルカンから力を受け取り、過剰適合の末に太陽の不死鳥の力を覚醒させる不死鳥編。何故か負傷していた不死鳥たち。それはまぁ、ドラゴ大王が悪いんだけど、そのことは書いていない。
父親との修行の末に太陽の不死鳥の力をある程度制御出来るようにする修行編。
ゼンアク、ゲキメツ、HDMたちとの戦い。裏で糸を引いていたゼロ・フェニックスを消し飛ばす極神編。
戦国武闘会へ参加し、ナイト側の傭兵として参加する戦国編。
最初は敵として出会ったアクエリオン。彼女を倒した後、拾って持ち帰る嫁とり編。
何故か家事関係を叩き込まれることとなり、悪戦苦闘する中でアクエリオンとの仲を深めていく婿入り修行編。どう見ても婿入りじゃねぇだろと言う意見はごもっともである。
煉獄にて死んだシーザー筆頭のナイトたちとの修行withアクエリオンな修行編その2。超次元の力を取り込むついでにシーザーさんと共にキング・ロマノフを討ち果たす。
そして天界編。一度見捨てたアクエリオンを『兵器』として強奪しに来た天界の連中との戦争。天界のボスにしてクーデターによって瀕死になったアクエリオンの父『アルファリオン』の最期の言葉を受けて、父と共に天界を侵攻し、最終兵器『セーブ・アンド・ロード』を破壊し、クーデターを起こさせて天界を乗っ取ったアルカクラウンを討ち、アクエリオンを奪還する。こうして俺はめでたくアクエリオンとくっつくこととなる
こんな感じだ。俺と俺から産まれたドキンダムで作ったにしては上出来だと思う。
デュエマの背景ストーリー、実はスケールがデカいのは確かだけど、所々疎はあるからな。その辺が気になったから『だったら一から作ってみっか』みたいな気持ちになったのも今や懐かしく思えてしまう。
窓から外を眺めてみる。月がきれいだ。あれが模造品だと分かっていても、きれいと思う心に価値がないなんてことはないはずだ。
――『なーに自己陶酔しているダム。ちゃんと休憩しろ。夜は長いダムよ』
へいへい。たまにはかっこつけたっていいだろ。
俺は体を伸ばす。パキパキと音が鳴った。うーん疲れているな。ちょっと夜風でも浴びたい気分になってきた。
なら、行動しよう。外へ出るのだ。
俺は片付けをして、部屋から出る。
「おや、岸波様。どちらへ行かれるのでしょうか?」
細川さんがそう訊いてきた。まぁ、脱走だと思われても仕方ないよな。時間も時間だし。
「夜風でも浴びに行きたいと思いまして」
「でしたらちょうどよい場所がありますが」
どうやら監視付きの様子。信頼はないようです、はい。でも、ちょうどいい場所があるのね。そりゃいいや。案内してもらおう。
「では、そこへ案内してもらえますか?」
「勿論です」
俺の心を見透かされているような気もしなくないが、それはそれだ。
「所で岸波様」
「ん?」
細川さんが急に俺の名を呼ぶ。どうしたの?
「よいのですか?そう簡単にそれがしについてきても。もしかすれば、人気のない所であなたをどうにかしようと考えているかもしれませんのですよ?」
――『『『やらないか?』』』
三馬鹿のせいで細川さんの言葉がそうにしか聞こえなくなったんだけど?どう責任取ってくれるんですか?この後エッチなイベントがあるんですか?そんなことしてみろ、リアスに殺されるぞ。
「細川さんならそんなことしないと思ってなんですけど……何かするつもりだったんですか?俺、これでも細川さんのこと結構信頼しているつもりなんですが。それに、細川さんみたいな可愛い女の子なら案外何でも許せそうな気もしますし。それこそ、ワンナイトでも」
きっとエッチなことじゃないと信じて俺はそう言う。すると、少し間を置いてため息をつく細川さん。
「リアスお嬢様もこうして口説かれたと言うことですか」
「失敬な、彼女を口説いた覚えはない」
リアスを口説く?そんなことするか。あの子は誇り高い子だ。仮にそんなことしていたら彼女に軽蔑されているだろうよ。
「なるほどですか。これは、劇物ですなぁ……」
何を言っているのかさっぱりだぜ。
その後、俺は細川さんに案内されて、外へと出た。案内されたのは……庭だった。
「ここならいかがでしょうか?」
「ありがとうございます。俺には充分すぎます」
静かな場所だ。月明りに照らされて整えられた花が輝く。スゥーっと風が吹いた。俺の肌を心地よく撫でる。
うーん、最高!こう言うのが恋しくなっていたのよね。男にはこう言った静かな時間も欲しいのよ。
――『実におっさん』
ユノハ様、俺は元々おっさんですよ?
――『開き直るんかい』
事実を述べただけです。
女神様の文句は置いておいて、今の俺のやるべきことはこの時間を満喫することだ。
花壇に近付き、屈んで花に近付く。いい香りだ。夜風に流れるそれが心を躍らせる。
風流だ。実に風流。何だか歌を一つ詠んでみたくなったな。
――『え、お前歌詠みの才能なんてあったの?』
ないです(無情の極)
――『……だろうな』
ドキンダムさんや、そう呆れないで。歌を詠むって言っても、百人一首を一つ詠むだけだよ。
――『へぇー。お前にそんな教養があったんだな』
ありますよ。それくらい長い付き合いのお前なら分かるはずだぞ?
――『見たくないものは見てこなかったんでな』
それ暗に俺のことを馬鹿にしているだろ。
まぁ、いい。俺は、歌を詠むぞ、ジョジョー!
――『まるでライザー・フェニックスだぁ……』
ドキンダムの声を無視して俺は歌を詠んでみる。
「君がため 惜しからざりし命さえ 長くもがなと 思いけるかな」
俺の脳裏によぎった歌を詠んでみる。確か、百人一首で覚えた奴だ。若菜かなんかの奴と混じりやすくてなぁ……なんてこともあった。今じゃ結構気に入っている歌でもある。
そういや、これってどういう意味だったっけ?
――『……』
ドキンダム?
――『お前、この状況でそれを詠んだのか?』
え、何か都合が悪かったか?
――『いや、いい。えーっと、意味は……『君に会えるなら死んでもよかったけど、今じゃ長生きしたくなったよ』だな』
そうそう、そんな意味。ちょっとした恋の歌だったね。ロマンチックでいいじゃないか。俺の愛する人達への思いだな。恋とは違うけど、『愛』って意味なら似たようなもんだ。
「藤原義孝ですね」
細川さんがそう言う。俺は彼女の方を振り向いた。
「おや、ご存じで?」
流石の俺も詠み人までは覚えていない。何なら百人一首って詠み人知らずがはびこっているからな、そんなの覚えてられっか。
しかし、そんなことまで覚えているなんて……細川さんはすごい風流人と見た。
「少し教養で覚えたまでのことです」
「かっこいいじゃないの。俺、そう言う人好きよ?」
細川さんを褒める。いや、実際そうでしょ。大学教授だって覚えているかどうかも怪しいもんだって思うと、彼女がいかにすごい人かってのが分かる。
「またナンパですか、岸波様?」
ナンパ?……あっ。
俺は阿呆なことを言ったことに気付いた。いや、そんなつもりじゃないんです。
「ち、違います!確かに細川さんは美人ですが、ナンパのつもりは……」
「それはそれで悲しいですな」
ドキンダムさん、どうすればいいのでしょうか?俺、詰み盤面じゃないの、これ?
――『あきらメロン』
うわーん!
俺が慌てふためいていると、ほほ笑む細川さん。あんた、もしかしなくてもSか?朱乃と同じタイプか?
そんな風に少し心が満たされるような感じがしていると、俺の胸の内から何かが騒ぐ感覚がした。これは、俺の『騎士』の駒。お前、昼間からそうだが、細川さんを前にしたら妙にテンションが上がっているな。まさかとは思うが、彼女を眷属にしたいとか言い出すんじゃないだろうな?
俺がそう思うと、無言だが肯定する感覚がした。……そっかぁ。いや、『そっかぁ』じゃない。
俺にとって眷属ってのは重要な存在だ。禁断の力に触れることになるからな。だからこそ、慎重に選ばねばならないのだ。
そんな気軽になってもらうもんじゃない、気がする。
――『別にいいだろ、そんなの』
自分のことじゃないからって随分気楽ですね、ドキンダムさん。
――『そもそも、貴様の嫁とりの意味もある『女王』以外は肩の力を抜けばよかろうに』
え、『女王』ってそんな意味があんの、アポロヌス?
――『貴様のはな。ゲームにおいて『女王』は最後の砦であり、要。貴様の『女王』はそれだけの意味を持つのだ。責任重大よ』
わ……わぁ……!
だったら猶更眷属集めは慎重にならないといけないな!悪いが『騎士』の駒君には静かになってもらって……うわ、余計に騒ぎ出したよ。
――『『お前/貴様がヘタレすぎたからだ』』
ヘ、ヘタレって……そりゃ、細川さんは美人さんだけどさ……お近づきになれたらうれしいけど……。
――『アポロヌス、これは時間が解決すると思うか?』
――『するに一票』
――『じゃあ、俺も期待を込めて一票入れるわ』
――『え、何々?面白い話?』
ユノハ様まで乱入してきた。俺には何のことやらさっぱりだぜ。
俺が頭を悩ませていると、お腹の鳴る音が。発生源は、俺だ。
「お夕餉は足りなかったですか?」
細川さんがそう訊いてくる。俺はそれに苦笑した。
「ちょっと慣れない料理だったんで」
俺がそう言うと、細川さんは少し思案して、俺に提案をしてきた。
「では、夜食でもいかがでしょうか?豪勢なものでない、簡素なもので」
「おお、それは最高だ!頼めますか?何なら、材料さえあれば俺が作ります!」
俺は想定外の提案にテンションが上がった。やったー、ご飯だ!
「流石にご客人に料理を作らせる程、我々も手を抜いているわけではございません」
「あら、俺は料理するの好きだけどね」
「なるほど………………それでは、実際に厨房に行って、料理長たちを交渉してみますか?」
「そりゃいいな」
こうして俺は細川さんに連れられてグレモリー家の厨房へと連れられた。案の定って言うか、そこで明日の朝食の仕込みやら片付けやらしていたコックさん達が驚いていた。そんなに俺の来訪がやばかったか。申し訳ない。
その後、ちょっとした交渉をして厨房をお借りすることに成功し、夜食にグリルチキンのサラダを作った。どうせならと思い、コックさんのまかない分も作ってみたが、これが結構好評だった。プロのお眼鏡にかなってちょっと天狗になってしまう。
Side out
と言うことで、前作からの続投キャラとのエピソード的サムシングでした。
戦国恋姫新作楽しみですね。それはそれとして、私はこちらの執筆を進めるべきですが。
みんなー!オラに元気(と言う名のお気に入り登録・感想)を分けてくれー!......などと欲張ってみたり。