知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
「おやすみ。父さん、母さん」
「おやすみ、大地」
「おやすみなさい」
あれから日がいくつも過ぎた。気が付けばこの過程に馴染んでいる。今はいつも通りおやすみなさいの挨拶をして寝ようとしているところだ。
俺は今日も一日生き延びることが出来たことに感謝して自分の部屋に行く。
布団の用意、よし。相変わらずの殺風景、悲しい。そんな部屋。
しょうもないことだが、我が家は一軒家だ。あんなに若い夫婦の両親が何故一軒家を買えたかと言うと、どうやら父さん側のお家で土地云々の面倒ごとが発生したらしく、それを解決するために改築で誤魔化して存続した父さんの親戚の家を貰っただとか。土地はね、面倒ごとしかないから(龍が如く)
ふと、夜空が見たくなったので俺は部屋の窓を開ける。二階にある自分の部屋から見える星空は随分眺めがいい。
――『嘘つけ、東京で星空なんか見えるわけねーだろ』
――『こいつ馬鹿か?星など見えぬことくらい、我でも分かるぞ』
居候二人にぼろくそに言われる。こいつらあとでシバいてやる。まぁ、実際問題だが、東京で星空なんて見えない。見えるのは月だけだ。
いや、東京で星が見えない発言はシンプルに多摩とかに失礼だろ。
そんな風に思っていると、ユノハ様が話しかけてきた。
――『ねぇ、脳みその9割がデカ乳で埋め尽くされている男』
そんなに巨乳のことを考えているつもりはありません。で、何でしょう?
――『今晩だけど、原作的に死ぬほどめんどくさいことが起こるの』
めんどくさいこと?
――『……ああ、あれか』
――『あれだな』
ドキンダムとアポロヌスは知っている様子。そう言えばちょっと前に『俺達はユノハ様にある程度原作の知識を入れられている』とか言っていたな。それで俺の人生をサポートするとか何とか。
で、そんな二人が知っていることとは何ぞや、ユノハ様。
――『ここが『ハイスクールD×D』って言うラノベの世界なのは分かっているでしょう?』
ええ、まぁ。この町に教会があって、そこで色々やっているくらいですから、前世と違うことはよく知っています。それに、ここに転生する前のことはまだ覚えてますんで。
――『で、だ。これを聞けばあなたは介入することしか考えないのだけど、それでも聞きたい?』
なんでそんな勿体ながるんですか?余計に気になるって言うか。
――『今晩起きることで世界が面倒になる。しかもその内容は愛し合う二人が下衆共の思惑で理不尽かつ永遠に引き裂かれることとなる。そしてその怨念が世界中に飛び火する。おk?』
よし、今すぐブラックゾーンになって飛び出します。その二人の居場所を教えてください。
――『待ちなさい。一応詳しく説明するわ。この町、駒王町のお偉いさんである『クレーリア』って女性は知っている?』
ええ、母さんが仲良しの女性ですね。『ベリアル』って言う面白い……っつーか聞き覚えしかない苗字ですけど。生首剣になるのかって思ったよ。あと、ワーム。どこぞのMRCで世話になったよ。死ねよ(TNTN亭並感)
俺自身も随分気に入られてて、お菓子とかたくさんもらったことがある。
そんな彼女が一体何だと言うのだ。彼女にもいい人がいたと言うのか?
――『ビンゴ。彼女にもいい男がいるのよ』
はへぇ、そりゃ喜ばしい。
――『でもね、その男は彼女と敵対している組織の人間なの』
おや?雲行きが怪しくなってきましたな。まさかのロミジュリ?
――『その通り。その上、彼女は自分の陣営のお偉いさんにとって余りに都合の悪い真実を知ってしまった。だから、そのお偉いさんが敵対組織に色々情報やら金やらを流して謀殺しようとしているのよ。どいつもこいつも命を踏みにじることに抵抗ない奴らよ、遠慮なく殺していいわね』
なるほど、だから『下衆共の思惑』ってわけか。
俺は話を聞きながらやっていた準備運動を終える。裸足はまずいな……ああ、そうだ。ドキンダム。
――『何だ?』
この町全体にソナーをかけてくれ。その下衆共ってのとクレーリアさんを探し出す。その間に俺は靴を取りに行く。
――『いいぜ。あと言っておくが、クレーリアってのには仲間がいる。そいつらもこの町にいて、追われる身になっているが……そいつらも探すか?』
ああ、頼めるか?
――『無論』
そう言って、俺は玄関までこっそりと足を運ぶ。どうやら父さんと母さんはもう寝たようだ。なら、俺は玄関から外へ……ではなく、二人を目覚めさせないようにするために自分の部屋の窓から出ることにしよう。
靴を持って俺は自分の部屋に戻る。土足で部屋に立つのは気に入らんが、そうも言っていられない。
――『よし、見つけた。お前にデータを送るぞ』
グッドタイミングだ。いや、パーフェクトだ、ドキンダム。
――『……なぁ、大地』
なんだ、ドキンダム。突然どうした?
――『今回の敵だが……殺すのか?』
……ああ。話を聞く限りはどうしようもない下衆だそうだからな。その手の奴は死ぬ以外ない。
――『……一応言っておく。お前が対峙する敵達は、『死んでもいい奴』だ。殺人や悪逆に対して、何も心が痛まぬ奴らだ。思いっきりやっちまえ』
了解した。
俺は寝巻に外靴と言うシュールな姿で夜空へと飛び出した。
Side out
人気のない工場。そこに複数人の人間たちがいた。
最初は『ただの異端者狩り』だった。
悪魔の女と恋に落ちた同僚を殺すだけの簡単な作業。ついでに大金も貰え、女も犯せてラッキーな仕事だと思っていた。
だが、違った。
そんな風に思っているのは教会の悪魔祓い達。彼らの目の間に広がるのは……地獄からの使者による裁きだった。
いや、地獄からの使者ならどれほどよかっただろう。
「……」
最早動かぬ肉塊となった同僚が目の間にいる。『きぇえええ』と言う叫びと共に体中には何本もの光の槍が刺さっていたその姿は、悪魔祓い達に恐怖を与えるには充分すぎた。
「な、何が……」
標的であった悪魔の女であるクレーリア・ベリアル。彼女の目には悪魔祓いだった物と一人の少年が映っていた。
その少年を、クレーリアはよく知っている。自分がこの町を統治している間に仲良くなった若夫婦。その息子だ。
「あの子は……確か……!」
クレーリアの隣にいる男、八重垣正臣。彼もその少年のことは知っていた。自分のいた教会に遊びに来た子供たちの中で、ひときわ寂しさと悲しさ、そして優しさを背負っているように感じていたからだ。
二人の知る少年の姿は優しさと理知さに満ちていた。だが今は違う。
少年は右手で掴んでいた肉塊から何かエネルギーを吸った後、それを壁へと投げつける。死体の肉は吹き飛び、壁には血のシミしか残っていなかった。
「こいつ、ただのガキじゃな……!」
悪魔祓いの一人が剣を構えたその瞬間、血しぶきが上がった。串刺しにされたのだ。何本もの光の槍がその身に刺さる。
力尽き、倒れようとした時だった。少年が一気に近づき、その小さな手が男の首を掴んだ。少し痙攣をした後、力なく地面に倒れた。痙攣している時に、光が少年の中に流れ込んだのは肉塊にもなれなかった悪魔祓いと同じだった。
「せ、戦闘態勢!!」
複数人の悪魔祓いが剣を構える。その様子を見て、満足げな顔をすることもなく、殺意をむき出しにすることもなく、淡々と殺しにくる少年。その姿を見て、クレーリア・ベリアルと八重垣正臣は、悲しみを覚えた。
原作のベリアル家絡みの話で思ったこと。
・サーゼクス達四大魔王、獅子身中の虫が多すぎて『何であいつら、魔王やってられるの?敵が多すぎない?』の宇宙猫になる。
・このベリアル家の一件の後に冥界が崩壊するレベルの大規模反乱が起きないの、いくら何でも悪魔の民度が良すぎない?
色々ありますが、ここの2つがデカすぎてなぁ......。個人的にこの辺りを本作は弄っていきたい所ではありますが......どうにか出来るのだろうか......?