知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
「さて、ダイチ。言いたいことは分かるわよね?」
「うっす」
ギルガメッシュごっこの後、俺はホールでのんびりしていた。しばらくすると皆が来た。兵藤に聞いたら、軽いパニックが起きていたそうだ。知らん、俺の管轄外だ。
で、俺とグレモリー眷属の皆様とシトリーさんと真羅さん、アガレスさんと彼女の執事さんがここに揃った。今はリアスとシトリーさん、アガレスさんと俺がお茶を飲んでいる。
はい、現実の目そらしは終了。これからお説教を受けます。
「あれほど何があっても動じないでと言ったのに……」
「残念だったな、俺はこう言う人間だ」
最近、と言うかこの肉体になってからカッとなりやすくなって仕方ない。肉体の青さに精神が引っ張られてしまう。何とかしたいとは思っている。思っているんだが……どうにもならんのよなぁ。
「そうだったわね……そもそも私の時も似たようなものだったものね……」
「ん?何のこと?」
「何でもないわ……」
額に手を当てて天を仰ぐリアス。どうやら困った様子だ。おじさんで良ければ相談に乗るよ?
そんな中で話を切り出してきたのはシトリーさん。
「リアスの言う通りです。全く、とんでもないことをしてくれましたね、岸波君は。あれでは『敵になって下さい』と言っているようなものではないですか。あなたのこれからの人生、何があるか分からないのですよ?」
「仮に敵になったら殺すまでのことだ。鏖殺よ、鏖殺。この冥界に歴史に残るほどの蹂躙をしてやらぁ」
「あなたがそれを言うと本当になりかねないんですよ?少しは責任と言うものをですね……」
「はぁ……分かりましたよ。俺も少しキレすぎたとは思っている。それでも後悔はしてねぇよ。シトリーさんの夢、素敵だったんだもん。そんな輝く宝に唾を吐いてきたんだ。どっちかと言えばあっちが先に攻撃してきたじゃねぇか」
改めて思うと、そもそもあいつらが俺を怒らせなければよかった話だったのだ。あの愚者共がだ。あれか?愚者だからそう言うことしますってか?なら、殺すしかなくなっちゃうよ。
「夢の守り人になんてなろうとは思わん。だがな、目の前で素敵な女性の優しい思いを踏み躙られようってなら、俺はいくらでも戦うさ」
俺は紅茶をすする。うーん、美味しい。シュークリームが欲しくなるわね。ブランデーはいらん。
ふと、シトリーさんの方を見ると、顔を真っ赤にしている。あ、怒った?おこか?
「すまん」
「謝らないでください!」
「ダイチ……!もう!」
何か、リアスまで怒っている。真羅さんまで何やら不満げな様子だ。俺、どうすればよかったのぉ?こう言う時、ユノハ様はいつも何も言ってくれない。
――『(こいつ、ほんと何なんだよ。何だよすぎてアカシアになっちゃうじゃない)』
女心を知るべきではない。だって、そこはトップシークレットだから。でも、『どうすればいいか』くらいは知りたい。いかんせん、ここ最近で急に俺の周りに素敵な女性が増えすぎてな……胃が痛い。
あー、シュークリーム食べたい。クリームいっぱいでサクサクのパイ生地な奴。
俺が遠い目をしていると、カタッと小さく音が立つ。アガレスさんが紅茶のカップを置いた音だ。思わずそちらを見てしまう。
「そう言えば、アガレスさんはどうしてここに?」
「シークヴァイラで大丈夫です」
「え、アッハイ」
妙な圧を感じ、思わず了承してしまった。して、何用だろうか。っとその前にいつもの。
「なら、俺のことは岸波大地で大丈夫です」
「そ、そんないきなり名前呼びだなんて……!」
顔を真っ赤にしてクネクネし出すシークヴァイラさん。え、何?この子、見ていて面白いけど話が進まない。
「そ、それでは……大地様」
「シークヴァイラさん」
「はぅあ!!」
急に胸を抑えるシークヴァイラさん、ちょっと不安になって彼女の執事さんを見るが彼も彼で何やら困惑している様子。あんたがダメなら俺でもダメだろうよ。
諦めて話を進めよう。
「それで、シークヴァイラさんはどうしてここに?」
俺がそう言うと一息ついて真剣な眼差しをこちらに向けるシークヴァイラさん。おや、もしかしてシリアス?でも、俺ってアガレスには縁がないからなぁ。昔キングタウロス大公って奴のカードを友人からもらったことくらいしか大公にも縁がないし。そういや、大公って英語でデュークだっけ?だったらデュークモンもあるか。
「折り入ってお話があります、大地様」
「はい」
どうやら真剣なようだ。俺も背筋を伸ばす。
「私では分不相応と分かっています。それでも、あなた様に伝えたいのです」
「何でしょうか」
もしかして、『ワシらの可愛いリアスちゃんに近付くな』とかか?そう言われても彼女とはクラスメイトである以上どうしても近くなってしまいます故許してほしいのだが。
「私、シークヴァイラ・アガレスは、岸波大地様をお慕い申し上げています。私と結婚をしてください」
瞬間、ホールが凍り付いた。物理的にではない。空気感的な意味でだ。リアスとシトリーさんまでも固まっている。何なら他の皆も。
「……え?」
思わず声が漏れる俺。すると、シークヴァイラさんが話を続ける。
「私は幼い頃よりブラックゾーン様を好いていました。寂しかった時も、辛かった時も、いつもあなた様が傍にいてくれました」
知 ら な い 記 憶。執事さんに助けを求めるが、首を横にブンブン振っている。え、ダメ?嘘でしょ?
「そして今日、ここで出会えた。私が好いていたのはあくまでも創作のブラックゾーン様。レヴィアタン様のお作りになられた作品の登場人物。ですが、その幻想は打ち破られました」
目を潤ませるシークヴァイラさんはとても綺麗だ。でも、その言葉を何とかしてほしい。『それ以上言うな!』『やめろー!』『アハァ……♡ホウジョウエムゥ!』をリアルでやる羽目になる。
「あなた様は、私の理想の男性そのものでした。誰よりも勇敢で、優しく、そして気高い。まさしく勇者。そのお姿に、私は二度目の恋をしてしまいました」
待って、それ以上はダメ。リアスとシトリーさんがとんでもない顔になってる。もう、二人でもサブカルクソアニメの主役が出来るくらいの顔になってる。
「私は、あなた様と共にありたい。これからの未来を、あなた様と共に見ていきたい。そう思ったのです」
「だから……結婚?」
「はい!」
俺の言葉に元気よく返事をするシークヴァイラさん。どうしてだろう、好印象なのは間違いないし、彼女は美人だから万々歳なはずなのに胃が痛い。意識が飛びそうになる。
「えーっと……その……」
どうすればいい、俺!こんな経験ないんだよ!そうだ!おい、三馬鹿!集合!
――『なるほどなぁ……大公家なら問題ないな。何ならリアス・グレモリーより余程箔が付く。結婚しな』
――『我にとってはこやつも所詮は人の子よ。関係ない』
――『そーーーーれ!結婚!!』
こいつらぁあああああ!!!!
確かに、こんな場で『ごめんなさい』なんて言えば彼女がどうなるかなんて分からない。何なら、とんでもなく長い年月の恋心だったようだし、俺も俺でそれが砕かれて悲しむ姿を見たくない!甘い?分かってる!でもいいだろ!
クソ……!下手なことを言えば、何か分からないけれどまたリアスから怒られそうだし……!
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん……………せや!
「シークヴァイラさん。聞いてください」
「はい」
こうなったら、徹底的に逃げるぞ。
「我々は、まだ出会って日が浅い。あなたが俺のことを知っていても、俺はあなたのことを知らない。結婚と言うのは、文字通り『苦楽を共にする』と言うこと。自分の背中を預けられる程、俺はシークヴァイラさんのことを知らないんです」
俺がそう言うと、悲しげにするシークヴァイラさん。待って、まだ続きがあるの!
「だからこそ、まずは『友達』から始めませんか?」
「え?」
そう言うと虚を突かれた様子になるシークヴァイラさん。
「まずはお互いを知りましょう。お互いを知って、『ここはこうだ』とか『あそこはどうなんだ』とか色々考えましょう。結婚は、それからでも遅くないはずです」
と、とりあえず無難な着地点に落ちたと思いたい。
俺がそう言うと、シークヴァイラさんは少し考える様子を見せて、口を開いた。
「承知しました。では、まずはお友達から始めて、ゆくゆくは婚約へと、と言うことでよろしいでしょうか?」
「まぁ、はい。そうっすね……」
「ありがとうございます、大地様!」
何となくだが、美人の笑顔を守れただけでも多少は価値はあるのかもしれない。隣にいるリアスとシトリーさんの表情は見ないことにする。
父さん、母さん。俺、許嫁が出来ました。どうしましょう。ラヴィニアもいるのに、このままだと俺の貞操がやばいことになるんでヤンス。
Side out
原作を読んでいると、イッセー君のご都合主義がないと詰むポイントが多くて、どうしても二次創作もご都合主義に引っ張られてしまう......。どうにかならんのか?!