知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
UKパンク再録ッッ!!
Side in
グレモリー邸に戻った我々はアザゼル先生に迎えられながら、何があったのかリビングで話した。俺のやったことに対して先生、大爆笑でした。曰く、『そりゃ、ブラックゾーン様もお怒りになるだろうよ!』だと。
そして俺がいない時に決まったことがあった。それは『リアス・グレモリーVSソーナ・シトリー』。要するにレーティングゲームの試合が決まったのだ。
これを受けて、本格的に修行に入ることとなる。開始は明日から。その為、朝に集合するそうだ。修行のデータも堕天使側がバックアップだとか何とかしてくれるので、安心しろってアザゼル先生は言う。
「それにしても……」
そんな感じで話をしていると、アザゼル先生がこっちをニヤつきながら見てくる。何すか?
「大公家の娘を許嫁にするとはな」
「ゴハァッ!!」
「ダイチさん!?」
俺はその場で倒れ込む。図らずも隣にいたアーシアに介抱してもらう形となった。
「『家から魔王が出た』っつーグレモリーとは違い、『家そのものが魔王に近い』っつーアガレスが相手か。リアス、お前も前途多難だな」
「私もまさか彼女があんなにアクティブに動くなんて思わなかったのよ……」
苦しい。涙が出そうだ。そんな俺の苦悶を感じ取ったのか、アーシアが俺の頭を撫でてくれる。優しい子だ。
「しかも、この夏休みの間にアガレス家に遊びに行くんだろ?お前、ルシファードに行ったり、ベリアル家に行ったり大変だな」
「この髭、他人事だからって……!」
「他人事だから面白いんだろ」
まさしく堕天使なことを言うアザゼル先生。
そう、アザゼル先生の言う通りあの後シークヴァイラさんのお家に遊びに行くことになった。楽しみだと思いつつ、順調に取り込まれている気がしてならない。助けて結菜。
「ま、お前もそう言う婚約事は増えるから、慣れろよ」
「もう意地でもこの貞操守ってやろうかな」
「やめておけ、戦争が起こる」
そんな会話をしていると、グレイフィアさんが現れた。
「皆様、温泉のご用意が出来ました」
絶対絶命ガロウズ・ゴクドラゴンのお時間だ。
○○○
温泉。それは癒しの空間。
俺はこの後に少しサーゼクスさんとの用事があるとのことを聞いていたので足止めを食らっていたため、皆より少し遅れて入ることとなった。とは言うが、本当に誤差程度だけどね。
「吸血鬼いっちょ入りまぁああす!」
「やぁあん!イッセー先輩のエッチぃいいい!!」
『イッセー、ギャスパーにセクハラしちゃダメよ?』
「誤解!すごい誤解!」
何やらヴラディ君が兵藤に可愛がりを受けている。まぁ、あれも兵藤なりのコミュニケーション何だろうな。俺はそう思いながら服を脱いでいく。
「おっぱいはな、突くと音が鳴るんだ。『いやーん』ってな」
「何とっ!!」
何やら遠くで馬鹿みたいな話も聞こえる。兵藤め、やはり根っこはエロガキだったか。まぁ、最終ラインを越えてないならいいけど。
でも、この温泉って男女が壁一枚で遮られているんだよな?ワンチャン女性陣に聞かれてないか?後輩と教師の阿呆ぶりには頭が痛くなるな。
俺はタオルを持って、浴場へと出た。うーん、露天風呂。いいね。感性がジジイとかおっさんだからこう言うのがたまらん。
俺が入って来たのを確認する先客こと兵藤、アザゼル先生、木場、ヴラディ君。何やら俺の股間に視線が集まっている。
「……何よ?」
俺がそう言うと、アザゼル先生はニヤつきながら言う。
「お前、随分『デカい』な」
「はい?」
本当に何を言っているんだ?確かに俺はタッパがデカい自覚はある。足もそこそこ長いと思っているし。それが今何の関係が?
「先輩、やはりあなたは俺の憧れです」
「兵藤?」
あの馬鹿、もうのぼせたのか?
俺は不思議に思いつつも、シャワーへと向かい、体を洗う。
「おーい、お前ら!岸波の『ブツ』は大体15はあると見ていいぞ!」
……?流石の俺もそんなに足のサイズは小さくないぞ?
――『お前、まだ分かんないのか?』
何か分かるの、ドキンダム?
――『ああ』
え、じゃあ教えて。
――『ち〇ぽにゃ!』
…………だから15か。
「アザゼル先生」
「ん?何だ、岸波?」
「俺、正確に測ったことはないですが17はありますよ」
ナニとは言わん。ただ勘違いされるのもあれなのでそう言っておいた。さて、頭洗うか。
「ですってよ、皆さーん!こいつのち〇ぽ、17以上はあるってよ!」
アザゼル先生の女性陣へのセクハラが飛ぶ。ほんと、面白い人だ。あれで嫌われないんだから、カリスマがすごいよな。
先ほどまで楽しそうにしていた女風呂の方から声が止まる。案の定と言うか、女性陣が怒ってらっしゃる。明日、リアスや朱乃に刺されないようにしよ。
「何だか僕達、いけない秘密を知ったみたいだね、イッセー君」
「やめてくれ木場。今の状況でお前にそんな言い方をされると、俺のケツが恐怖を感じる」
「あついよぉ……イッセー先輩のエッチぃ……」
「お前、まだ言うか……」
○○○
「リアス、17cmって……」
「な、舐めないで朱乃!」
「ダイチさん……」
「何やらすごいことになっているな」
「もう知りません……」
○○○
「♪~」
湯船につかり、俺は創聖のアクエリオンを鼻歌で歌う。懐かしいな、ラヴィニアと一緒に歌って、もう10年以上は過ぎたのか。
『俺との未来を諦めない』なんて言い方された結果、ラヴィニアとはそれなりの縁が約束されているような身になっている。正直、彼女には俺に関わらずに自由に生きていて欲しいが、それを彼女が望まない。何て言う詰み状況なのでしょうか。
はっきり言おう。別にラヴィニアと男女の仲になることが嫌ではない。あんなにも美人に愛されているって俺は前世で何をしたんだってくらいだからな。その前世じゃ既婚者だったのに、その記憶も段々擦り切れてきているし。
そんな状況にいる俺が何故ラヴィニアのお誘いを断るのかと言うと、偏に『彼女を愛している』と言うのに尽きる。
俺だってラヴィニアが好きだよ。きっと彼女に向けているこの想いは『愛』、それも男女のものなんだって分かる。そんなことも分からない馬鹿にはなった記憶はないから。
だけど、未だに失うことが怖いんだよ。具体的に何を失ったかなんてもう忘れてしまった。でも、俺の心にそれが刻まれてしまっている。一種のトラウマなんだろう。こればかりは俺が乗り越えなきゃならないことなんだが……相談できるわけねぇよなぁ……。『人を愛することが怖いです』なんて言えるわけないよ。傍から見たら中二病やん。
俺、どうすればいいんだろうなぁ……。
「岸波、それが例のラヴィニアとの歌か?」
「ん?まぁ、そうっすね。彼女と歌った歌です」
アザゼル先生の言葉にそう返す。今は、この温泉を楽しもう。苦しみは、いつか時間が攫ってくれるだろうさ。
温泉の温かさに気持ちも緩まる。
そんな緩んだ状況だったからこそ、アザゼル先生のクソみたいなノリに乗ってしまった俺がこの後後悔をすることになる。
「ラヴィニアがよく歌っていたから俺も幾分か歌詞を覚えちまったけどよ、お前、随分熱烈なアプローチをあいつにしたな」
「そりゃ、あんた。あの子を見た時、俺の心がどれだけ揺らいだと思ってんすか。俺にとって、どれだけ俺の中の愛が爆発したと思っているんすか?この愛は邪神すらも捻じ曲げますよ?」
夜空を見上げる。きれいな空だ。風呂上がりに空でも飛んでみようかな?なんてな。流石に不審に思われるか。
「おい、イッセー。もしかしたら、今のあいつなら何でも喋るかもしれねーぞ?」
「確かにそれは面白そうっす」
悪童二人組が何やら企んでいるが知るか。今は温泉を楽しむんだ。
「せ、先輩。先輩って部長のことをどう思ってるっすか?」
あ?リアスのことぉ?何で急にそんなことを聞くんだ?ま、いっか。
「んー、大切な友達。『俺にとって大切な『過去』を紡いでくれる、気高い奏者』ってとこか?」
そう言うと、何やら渋そうな表情の悪童二人組。何?今のがいけなかったの?
「ほ、ほら、男女の関係とかは?」
「ねーよバーカ。朱乃も、アーシアもそうさ。確かにあの子たちは可愛い。そりゃ男女の仲になれたらうれしいだろうよ。でも、それ以上にあの子たちは俺には過ぎた子だよ。それだけいい子さ。てめぇのことで手一杯の俺と一緒にいちゃぁ、その輝かしい未来を潰すことになる」
そう言うが、まだ納得していない様子の兵藤。……ったく、しゃーない。ちょっくら、らしいことでも言うか。
「仮に男女の仲になれたとしても、俺には既に先客がいる。だからこそ……」
「だからこそ?」
「俺の罪に、皆を巻き込みたくない。俺と共にあると言うのなら、地獄の先にある深淵を共に歩く覚悟でなければならん」
俺が吐き続ける嘘に前世で守れなかったもの達。その怨念たちに、彼女達を巻き込みたくない。
俺がそう言うと、アザゼル先生と兵藤が腕を組んで唸り出す。
「先生、これは重症ですね……」
「むむむ、確かにあいつの言う先客は強すぎる。はっきり言ってリアスで相手になるはずがないな。勝てるならガブリエルだな。だからと言って、それを除いたとしてもだ、そもそもの性根が根暗になりすぎている。もっとぱーっと行けばいいんだがなぁ」
何言ってんだろうな。俺にはさっぱりだぜ。
「ま、真面目なこいつのことだ。何かしら理由とかつけて結婚でもして、子作りでもすりゃ嫌でも前に向くだろ」
「その方向性のセクハラならラヴィニアから既に受けてます」
アザゼル先生の言い分にそう言う俺。何を隠そう、何故か最近ラヴィニアとのチャットで『子供は何人欲しいか』とか『子供の名前は何がいいか』とか『家はどんな感じがいいか』とか聞かれるのだ。SAN値チェックの時間かな?助けて寿水さん。あなたのおっぱいが恋しいです。
「あいつ、マジで岸波に関してだけは最善の正解択を引き続けてないか?ちょっと怖くなってくるんだが……」
自分を抱くようにして震えるアザゼル先生。ちょっと面白い。
「ま、まぁ、先輩には頑張ってもらうってことでいいんじゃないんすかねぇ?」
「そう言うことにすっか」
何か結論は出たようだ。まぁ、いいや。彼らが満足ならそれでいい。
「先輩、僕も少し気になっていることがあるんです」
「何だ、木場?」
突然の木場。どうしたのだ?
「その、先客?ラヴィニアさん?って人に歌った歌とはどんな歌なんですか?」
そう言う木場。そんなに『創聖のアクエリオン』が気になるか。なら答えよう。
「タイトルは『創聖のアクエリオン』。俺にとって今と前世を繋ぐ、大切な歌さ」
俺の記憶にある曲。それらが最近増えてきた。何故そんなことになっているのかユノハ様に聞いたら『記憶が擦り切れた部分を補うように、忘れかけていたものが出てきているんだと思う』とのこと。要するにかさぶたみてぇなもんか。
俺の言葉の後に、風呂場が静まり返る。え、何?
「それじゃあ、静まり返った責任として一発ここで歌ってもらいましょう」
アザゼル先生が笑いながらそう言う。
「ここでカラオケ大会っすか?」
「お?天下の英雄様が逃げるか?」
俺が苦言を呈そうとしたら、煽って来たアザゼル先生。ちょっとむかついた。やってやろうじゃねぇかこの野郎。
どの道、夏休みの予定にあるサーゼクスさんとセラフォルーさんとのレコーディングで歌う。最終的に全世界に俺の歌声が響くことになるんだ、遅いか早いかの違いにすぎん。
「やってやろうじゃねぇか、この野郎!」
喉を調整して、俺は息を吸う。
「1,2,3……」
夜の冥界に俺の歌が響く。普通の温泉だとこんなうるさいことは出来ない。ここがグレモリー家所有の個人温泉だからこそ為せる技だ。
適当に歌って終わりにすっか。
俺の過去を嘘で塗り固めたあの時、実は『創聖のアクエリオン』の歌詞の一部を参考にしようと言ったのはアポロヌスだった。『どうせなら、岸波大地とラヴィニアを繋ぐ何かを作ろう』と意味不明なことを言い出し、ドキンダムとユノハ様が賛同した。
思えば、俺を支えてくれた『愛』はとても多い。父さんに母さん、遥輝。彼らだけじゃない。寿水さんに黒歌、結菜、ラヴィニア。多くの人が俺の背中にいて、俺の背中を押してくれている。そう思うだけで、俺の心が癒される。胸に空いた空洞が埋まっていく。
歌を歌い終える。愛って難しくて、温かくて、人間と切り離せないんだなってつくづく思う。
「ま、とりあえずこんな感じで」
そう言って天を仰ぐ。そういや、『創聖のアクエリオン』って結構カバーがあって、色んな歌手が歌っていたよな。それもサーゼクスさんに遠回しに言って、色んな人のカバーを聞けるようにしてもらおう。
所詮は前世の歌かもしれないが、俺にとっては大切な歌だからな。皆の心に残ってほしいし。
「なぁ、岸波」
「何でしょう、アザゼル先生?」
何やら変なものを見る目でこちらを見てくるアザゼル先生。何だろうか?
「何でそこまで歌っておいてラヴィニアに告れないんだ?」
「……俺の心が永遠の童貞だからです」
Side out
背景ストーリーも段々公開され出しましたが、禁断側が完全にダークヒーローになってて草。お前らそんなガラじゃなかっただろうに。