知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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金トレも発表され出しましたね。これが来るといよいよ新弾が来るなと思うようになりました。今回はどんなメンツか楽しみです。


第93話 共に在る為に

Side in

 

温泉に入って満足した俺ら。温泉を上がって、俺は言われた通りにメイドさんに連れられてある一室に連れていかれた。

 

「失礼します」

 

俺はそう言って部屋に入る。そこにいたのはサーゼクスさんと静かに立つグレイフィアさん。

 

「やぁ、岸波君。さっきぶりだね」

 

そして……

 

「やっほ、ご主人様」

 

「どうも」

 

黒歌と細川さんだ。

 

「サーゼクスさん、昼間は申し訳なかったです」

 

「いいんだ。ああ言う手合いがまだいるのも、今の冥界が抱える問題だから。僕らが君の託してくれた未来を裏切ることはないよ。それだけは約束しよう」

 

「でしたら、安心です」

 

昼間のことを謝罪すると、許してくれたサーゼクスさん。寛大や。流石は魔王やな。今度、父さんの伝手を使って焼酎の方の魔王でもプレゼントしよう。

 

「それでサーゼクスさん、今回の用事は一体?」

 

俺がそう訊くと、笑顔で答えるサーゼクスさん。

 

「二つある」

 

ほう、二つ。一つは何となく分かる気がするが、もう一つは分からん。

 

「まず、黒歌のことだ。君の耳に届いたかどうか分からないから直接伝えに来たが、昨日を以て

彼女の指名手配は解かれた。晴れて自由の身だよ」

 

俺が一番聞きたかったことだ。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

俺は精一杯の土下座をした。何となく分かっていたさ。サーゼクスさんに頼んだことだったから、このタイミングで言うのかなって、思っていたし。でも実際に黒歌が自由になったって分かるとさ、こう、込み上げるものがあるって言うか。

 

ほら、俺も今涙しているわけだし。

 

「顔を上げて立つんだ、岸波君」

 

サーゼクスさんはそう言うので、俺は涙に濡れた顔を表に上げて立つ。すると、サーゼクスさんは笑い、黒歌は額に手を当てた。

 

「愛されているね、黒歌」

 

「分かっていたけど、こうもお人よしだとこっちも大変なのよ?」

 

俺には分からない世界で話しているらしい。

 

サーゼクスさんは話を続ける。

 

「そんなわけで、黒歌は自由の身だ。ただし、あと一週間くらいは静かにしてもらわないと、混乱は起きかねないからね。そこだけは注意してもらうよ?」

 

「黒歌、静かに出来るか?」

 

「私を何だと思っているのよ?」

 

「可愛い美人。求婚されたらワンチャン了承しそう。お前なら父さん達の信頼もあるし、ありえなくない」

 

「……ごす、一回殴っていい?」

 

「どうして?(現場猫)」

 

本音を言っただけで殴られそうになる。マジで何なんだ?

 

「さて、そんな感じで一つ目の用事は簡素に終わらせよう。僕としては本題はこちらでもないから」

 

「え?」

 

本題じゃない?じゃあ、その二つ目ってなんだ?

 

「僕はね、岸波君に提案をしたい。それが二つ目だ」

 

「はい」

 

そこまで緊張した空気にもならないけど、どこか真剣な話っぽい。心して聞こう。

 

少しの静寂があって、サーゼクスさんは口を開いた。

 

「岸波君。黒歌と幽を君の眷属にしないかい?」

 

その言葉を聞いて、一瞬だけ俺の思考が停止した。眷属?眷属ってあの?

 

「眷属って、悪魔の皆さんでお馴染みの眷属ですか?」

 

俺がそう訊くとサーゼクスさんは頷いた。

 

「ああそうだ。言っておくが、この二人は実力者だ。僕が責任をもって推薦できる程にね。色眼鏡をかけるなら、今すぐにでも眷属にしてあげてほしいくらいだ」

 

「そんなに何ですか?」

 

俺にはさっぱり分からないけど、魔王であるサーゼクスさんがそう言うならそうなんだろう。

 

そのサーゼクスさんも無言で頷き、言葉を続ける。

 

「良く知る幽はともかくとして、黒歌はグレイフィアと組手をしてもらって知ったんだ。いやはや、流石はバルガに鍛えられただけあるよ。僕の『女王』であるグレイフィアですら、ただの組手で本気を出しそうになるのだから」

 

俺は無言でグレイフィアさんの方を見ると、彼女は答えてくれた。

 

「黒歌様の実力は並の上級悪魔では歯が立ちません。はっきり言いますと、このまま野放しにするくらいであれば、『王』の駒を与えてこちらに引き込むことが最善と思う程には力を感じました」

 

「ま、マジか、黒歌……」

 

「にゃはは……バルガの無茶ぶりに答えてたら、ね?それでもご主人様には敵わないよ」

 

苦笑いする黒歌。お前、いつの間にそんなに強くなってたんだよ……。

 

「そう言うわけだ。黒歌は『世界最強』である君に相応しい逸材だと、僕は思うよ」

 

なるほどな、俺の理解が働いてくれないけれど、彼女は俺に相応しいと。で、そうなると細川さんは細川さんでどうしてなんだってなるんだ。

 

「黒歌についてはおおよそ分かりました。ですが、細川さんについては何故?」

 

俺がそう訊くとサーゼクスさんはにこやかに答えた。

 

「彼女は『万能』なんだ」

 

「『万能』?」

 

思わずありきたりな返しをしてしまう。

 

「幽は剣の実力があってね。僕の『騎士』直々に鍛えられた実力者なんだ」

 

「なるほど」

 

ここでも魔王様のお墨付きをいただくこととなる。サーゼクスさんほどの男の『騎士』ってなると、世界の上澄みもいい所じゃないか?

 

「その上彼女の父親は、その僕の『騎士』だ」

 

その言葉を聞いて、一瞬で『あー、世界ってめんどくせー』ってなった俺の思考回路を褒めて欲しい。要は『サーゼクスさんの関係者ってことであれば、彼の庇護を受けられる』ってことだろ?ったく、いやなもんだ。

 

「その上、彼女は事務や政務周りにも強くてね。今後の君に必要となる人材だと僕は思っている」

 

人材。その言葉を聞いて、ふと思い出したのはセラフォルーさんから教えてもらった冥界での俺について。

 

政治とかそう言うのじゃなくて、俺がどうして今まで冥界に伝わって来たかってことだ。それは特撮番組。要は仮面ライダーだ。タイトルは【轟速英雄ブラックゾーン】。決め台詞は『この心臓を暴れ出させ、全てをひっくり返そう』だとか。

 

黒歴史掘り起こさないでほしいな。じゃなくて、俺はそう言うことでそれなりの知名度と好感度と市民権を得ている。何なら、和平こと駒王協定によって天界とグリゴリにもコンテンツを拡大することになっているので、余計に広く知れ渡ることとなる。

 

だからこそ、仕事が増える。学業との両立が大変なことになる。リアスと彼女の眷属の皆に関してはグレイフィアさんがやっているらしいが、そこに俺まで加わると仕事量が尋常じゃないことになるのは目に見える。

 

なるほどな、サーゼクスさんの意図が分かって来たぞ。

 

「グレイフィアさんの仕事を減らすことと俺の未来のことを考えての推薦か。しかも腕っぷしも強い。ゲームに参加しても決して足を引っ張らない存在。これほどにないくらいに都合がいいですね」

 

俺がそう言うと、一瞬だけ驚いた様子を見せ、そして笑顔になるサーゼクスさん。

 

「勘がいいね。流石だ」

 

「とんでもないです」

 

一瞬だけ胃痛の気配を感じたが無視することにする。

 

さて、ここまでお膳立てされておいて『こんな飯食えるか!』なんてちゃぶ台返しは出来ない。ちゃぶ台をひっくり返していい時は、余程ご飯が不味かった時だけだからな。

 

サーゼクスさんも俺の性格を分かっていて、逃げ道をふさぐ形でここまで色々理由を付けたんだろう。それこそ、『魔王』の言葉を使ってでも。それほどにまで二人を推薦したい何かがあるんだろう。だが、今はそれを聞く時じゃない。

 

今すべきは、二人の意思の確認だ。

 

「まず、二人に共通して聞きたいことがある」

 

俺はそう切り出す。

 

「何で、俺なんかの眷属になりたいって思った?英雄と言うネームに惹かれたか?それとも、単に俺の力を求めたからか?俺に何かの恩を感じたからか?」

 

俺がそう言うと、意を決したかのような表情となる二人。

 

まず黒歌が話し出す。

 

「私はね、ご主人様が……岸波大地が英雄だとかなんて考えてない。寧ろ、あなたのような英雄がいてたまるかって思ってる。だからこそ、私は言いたい」

 

黒歌の目が少し潤んだ。何だかその姿に、見とれてしまった。

 

「私は、岸波大地って男とずっと一緒にいたいの。いつもあなたの隣にいれなくても、あなたが一人ぼっちの時に、その寂しさを癒せるだけの『人間』でいたいの。優しいあなたが、一人で苦しまないように、私も戦いたいの」

 

「黒歌、お前……」

 

一種のプロポーズにも思える熱い言葉。その言葉を受けて、俺の心は揺れ動く。『俺の罪には誰も巻き込みたくない』って思いに、大きすぎる亀裂が入る。

 

「ご主人様の過去についても、魔王様から少し聞いたよ。私に負けず劣らずの辛い過去だって分かった。だからこそ、誰かが傍にいないといけないって、私が一番良く分かる」

 

「やめてくれ、俺はそんな褒められて存在じゃない」

 

ダメだ。俺の意地が壊れる。

 

俺が拳を握って無駄な抵抗をしていると、黒歌は髪をぐしゃぐしゃにして叫ぶ。

 

「にゃあああ!私らしくない!」

 

「く、黒歌?」

 

俺が困惑していると、黒歌は目をカッと大きく開いて言う。

 

「私はね!ご主人様が好きなの!皆も同じ!だから!ご主人様がどっかに行かないようにしたいの!どこまでも一緒にいたいの!分かる?!どうしようもなくお人よしで、誰よりも自分が傷つくことを厭わない馬鹿にゾッコンなの!」

 

……ドキンダム。

 

――『何ダム?』

 

俺は、もうラヴィニアの時のようにはならないって決めたんだ。

 

――『そうか』

 

だからさ、俺を永遠に『一途になれない、半端者の屑』と罵ってくれ。

 

――『ああ、いいぞ』

 

「私はこれで終わり!ほら、あんたも言って!」

 

「この流れでそれがしを?随分酷なことをするのですなぁ」

 

そう言って細川さんは背筋を伸ばす。

 

「岸波様は、それがしのことをどう思われますか?」

 

「どう?そんなこと言われても……」

 

おっぱい大きい美人としか……

 

「なるほど、さしずめ『一晩の関係にはちょうどいい』くらいですかな?」

 

「ち、違います!」

 

俺は慌てて否定する。そんな軽い奴になったつもりはない。

 

「もしや、出会って間もないそれがしと永遠の愛でも誓うのですか?」

 

「……」

 

「沈黙が黄金になるのは限定的ですぞ?」

 

「うっす」

 

何だかおもちゃにされている気分だ。悪くはないけれど。

 

「それはそれとして、それがしも別に魔王様に命じられて嫌々ここに来たわけではございません」

 

そう言って話を変える細川さん。

 

「端的に申しますと、それがしもそろそろ身を固めようと思った次第なのです」

 

「はい?」

 

身を固める?細川さんが?

 

「それがしがグレモリー家で働けているのは、あの父のおかげ。いつまでもその威光に縋るのも良くないと考えたのです」

 

「なるほどな。俺の所に就職ってことか」

 

そういや、前世の会社でも親のコネで入った若手が転職して、その縁で取引先になったこともあったなって。今じゃ最早懐かしい思い出だ。

 

それにしても自分のお父様のことを『あの』呼びか。余り首を突っ込まない方がよさそうだ。

 

「そうなりますな。それに……」

 

何やらまだ続きがあるようだ。

 

「それがしも、別に岸波様と男女の仲になることを拒否しているわけではござらぬ故」

 

随分熱烈なアプローチをしてきた細川さん。

 

さて、二人の意見は出た。どちらも俺との契約は嫌と言うわけじゃないことは分かった。それでも、最後の最後にちゃんと釘を刺さねばならない。それが俺の役目でもあるからだ。

 

「二人の意見は分かりました。その上で俺は言いたい」

 

深呼吸を一つ。さて、腹を括ろう。俺の身は、もう俺一人のものじゃないんだ。

 

「俺と共にあると言うことは、地獄の先を行くこととなる。引き返すなら今の内だ。サーゼクスさんの圧があるのなら、俺が今ここで彼を殴り飛ばして黙らせる。その上で……二人は俺と共にあるつもりか?」

 

俺がそう言うと、二人は頷いた。

 

「地獄の先、見てみたいわ」

 

「それがしも、お供しますぞ」

 

――『かぁー!とんでもなくいい女どもだな!』

 

うるさい、ドキンダム。ほんと、そうだよ。俺には勿体ないくらいにな。そんな彼女らが求めたのなら、俺も俺で答えねばならん。

 

こんなにも一途に想ってくれる女達に、ひよってるわけにはいかねぇよな!!!

 

んじゃ……てめぇら!『仕事』だ!!

 

俺が強く念じると、俺の中にある駒が一斉に動き出す。さて、二人には誰が行くのか……。

 

俺の胸から勢いよく駒が二つ出た。それらは黒歌と細川さんの元へと飛んでいき、彼女らの目の前に浮かぶ。

 

「そうか、お前らか」

 

出ていったのは『騎士』と『兵士』の駒。『騎士』が細川さんに、『兵士』が黒歌の所へと旅立った。

 

「岸波様、これは一体……?」

 

細川さんがそう聞いてきた。ああ、こいつらの特徴はサーゼクスさんから聞いていないのか。

 

「俺の駒、自分で眷属にしたい奴を選ぶんですよ。だから、あなた達二人はそいつらに選ばれたってことです」

 

俺は息を吸う。

 

「もう一度言う。こっから先は一方通行の地獄の先への道。引き返せない『禁断』に繋がる道。この世界の住人と違う者となる。それでもいいか?」

 

俺がそう訊くと、二人は笑顔で駒を掴んだ。

 

「上等よ!」

 

「それがしにも、その『禁断』とやらを見せていただきましょう」

 

「……分かった。じゃあ、頼んだぜ、お前ら」

 

二人の決意を聞いた俺は、駒へとそう言う。すると駒を掴んだ彼女らの手が強く光り出し、二人を包んだ。

 

ああ、これで俺も後に退けなくなったなって分かった。これで、二人は俺の眷属だ。

 

『家族』だ。

 

「おめでとう、これで二人は俺の眷属だ。だからと言って、その駒がその自由を縛るものでもない。好きに生きろ」

 

俺がそう言うと、細川さんが微笑みながら言う。

 

「それでは、それがしのことも『幽』と呼んでいただけると嬉しいでござりますな」

 

「……」

 

急に距離感詰めてきたな、このレディ。仮にもサーゼクスさんの部下の娘さんなのに、そのサーゼクスさんの目の前で派手に動……

 

「分かりました、幽さん」

 

「はい、大地様」

 

圧に屈しました。その圧の主は、サーゼクスさんです。

 

そして黒歌なんだが、俺の方へと飛び込んできた。俺は反射的に彼女をこの胸で受け止める。

 

「黒歌?」

 

「やっとだ」

 

「ん?」

 

「やっと、ご主人様の隣を歩けるようになるための一歩を踏み出せた……」

 

……俺、前途多難な人生になったな。

 

こうして二人も眷属が出来てしまった。リアスと言う良いお手本と、黒歌の前の主と言う究極の反面教師がいる以上、腑抜けた真似は出来ないな。

 

皆も頑張るんだ、俺も頑張るぞー。

 

Side out




はい。はいじゃないがな。

そんなわけで眷属集めの始まりです。股間に従って、うまくやっていこうと思います。前作とは一部を除いてメンツを大きく変えるつもりですので、期待しない程度でお待ちください。
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