知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
黒歌と幽さんを眷属にした翌朝、俺達はジャージ姿になってアザゼル先生に指定された集合場所に来ていた。
「では、始めに岸波君からお知らせがあるそうですわよ」
「アザゼル先生、何すかその口調は?」
「余りに面白いからついテンションがおかしくなっちまってな。ほら、言っちまいな」
笑顔で催促される俺。しょうがない、言うか。幽さんに関してはあの後話を聞いたが、リアスとはかなり長い付き合いらしいし、そこん所は言っておくべきだろうしな。
アザゼル先生のせいで俺に視線が集中する。
「えーっと、この度岸波大地は、眷属を二人作りました」
「えっ!!?マジっすか!!?」
兵藤がすげーいいリアクションをしてくれる。そんなに変だったか。悪かったな。
「まず黒歌。彼女は『兵士』になってもらいました。もう一人は細川幽さん。彼女には『騎士』になってもらいました。リアスとは付き合いの長い方だそうです。色々ありましたが、お二人をいただくこととなりました」
とりあえずそれっぽいことを言ってみる。皆拍手してくれた。うれしい。俺もここまで歓迎されると思っていなかったんだよ。
すると、リアスがため息を一つ吐いた。
「リアス?どうした?」
「いいえ、何でもないわ。手ごわいライバルが増えたなーって思っただけよ」
そうか、いずれはリアスともゲームをする可能性がある以上、実力を知る相手二人が俺の所に来たから、それはそれで未来に不安も覚えるか。
「安心しな。二人にはまだまだ上を目指してもらうから」
「きっとあなたはレーティングゲームのことしか考えてないでしょうね……」
「え、違うの?」
「それもあるわ。それも。でも違う意味もあるの。そんなダイチを愛した私の負けだけど、それはそれとしてあなたはもう少し女心って言うものを学んだらどうかしら?アザゼル先生なら詳しいんじゃない?」
「俺もここまで天然な奴は見たことないからな。どうなるか分からねぇぞ?」
よく分かんないけど、強めの皮肉らしきが飛んで来ました。漢・岸波大地、泣きます。アーシアのおっぱいに助けを求めよう。
「じゃあ、本題に入るか」
そう言うアザゼル先生。そんなわけで俺達はちょっとした椅子に座って先生の話を聞くこととなった。
「さて、お前らに先に言うことがある。今回俺が言うことは将来的なことを見据えてのトレーニングメニューだ。つまり、即効性はない者も出るのは当然だ。だから焦ることもない。方向性さえ見誤ることがなければ、必ず良い成長をするだろう」
ほうほう、なるほどな。未来を見据えてのことか。アザゼル先生らしいと言えばらしいな。
「まずリアス」
アザゼル先生のトレーニングメニュー発表が始まる。先生はまずリアスの名を呼ぶ。彼女は背筋を伸ばした。
「お前はあらゆる方向で高スペックだ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になることには最上級悪魔は当然だろう。ただ、それじゃあ満足しねぇんだろ?」
「当然よ。私が目指すのは、ダイチの隣よ。何なら、その前に行ってもいいわ。私は強欲なの」
俺の隣?そんなの、コンビニで麦茶を奢ってくれればいくらでも貸すけど。
「よく言った。ならこの紙に書いてあることを、ソーナ・シトリー戦にまでこなせ」
アザゼル先生はそう言ってリアスに紙束を渡す。それに目を通したリアスは先生を訝しげに目を向けた。
「これって、特別すごいトレーニングに思えないのだけど……いいのかしら?不安すら感じるのだけれど……」
俺は内容を知らないのでさっぱりなのだが、どうやらその内容はリアスにとって期待外れのようだった。
するとアザゼル先生は説明をする。
どうやら中身は『レーティングゲームの記録』らしい。それでリアスにどんな状況でも打破することが出来る思考と機転、判断力を鍛えさせることがアザゼル先生の目的らしい。要は『疑似的にでも、一気に経験を積ませる』ってことだ。
確かにリアスは経験不足だ。それでフェニックスに負けたんだし。アザゼル先生の言い分は正しい。実際、これにはリアスも納得していた。
「次、朱乃」
リアスへのトレーニングメニューの発表が終わり、朱乃の方を見るアザゼル先生。彼女はと言うと、少し表情が固い。実際、彼女と話をしていると、堕天使に対して結構な苦手意識があるように思える。それが原因だろう。
そんなことを知っている感じでアザゼル先生は話を進めていく。
「お前は自分の堕天使の血を受け入れろ」
そう言うと、朱乃は顔をしかめた。それを気にせずアザゼル先生は話を進めていく。
「まず一つ。フェニックスとの一戦は記録映像で俺も見させてもらった。本来のお前のスペックなら、相手の『女王』程度敵ではなかった。何故堕天使の力を使わなかった?雷だけではいずれ限界が来る。その血の力を使って、光を乗せた雷、『雷光』にしなければ、お前の本来の力は発揮できない」
そう言うアザゼル先生の顔は、決して朱乃をいじめたいわけじゃないってのは伝わる。
「私はあんな力に頼らなくても……」
「そうか」
朱乃の言葉を分かっていたようなアザゼル先生。彼はは意を決した表情をした。
「二つ目。今から残酷なことを言おう。安心しろ、お前の『父親』から許可ももらっている」
そう言うアザゼル先生の表情が一気にきつくなった。
「斎藤結菜。岸波大地の友人だ。中学以来の友人。岸波が臆病な面を見せれば強気に背中を押し、岸波が強気になればその自信過剰を諫める。よく出来た女だよ。まさしく『良妻』。岸波に相応しいなんてもんじゃない」
「……何を言っているのです?」
アザゼル先生の言い出したことに朱乃は疑問を呈する。
「あいつはお前と同等の雷の魔法を使える。それも、お前が苦手とする小手先の技を得意としている」
その瞬間、朱乃の表情が変わった。さっきまでのアザゼル先生を憎む顔から、驚嘆の顔へと変わった。
「何なら、お前と同等の大出力が出せる。今のお前……いや、これからのお前でも得られない技術を斎藤は持っている。その上、近接戦闘も俺達グリゴリ上層部が目を見張る程に出来ると来た。分かるよな?お前が出来ることを斎藤も出来る。だが、お前には絶対出来ないことを斎藤は出来る。それが岸波の隣にいる。お前よりもずっと長く隣にいて、信頼を勝ち取っている。ここまで言って分からない馬鹿じゃないって思うが、一応言う。今のお前じゃ、どれだけ岸波に媚びようとも、斎藤の下位互換にすぎないんだよ」
アザゼル先生がそう言うと、朱乃が顔を思いっきりしかめる。
そういや、結菜と四条がアザゼル先生とお話したりしたって聞いたような気がする。何でも、『死ぬかと思った』とか。何があったか知らんが……まぁ、あいつらが死んでないからいいだろ。
「これから先、岸波の隣にいたいってのは分かる。だが、岸波が許そうとも、周囲がお前を許さない。そして、お前自身がお前を許さなくなる。リアスのゲームにおいても、岸波の人生においても、邪魔以外何者でもない。だからこそ、斎藤には使えない『光』を使うと言う反則を使うしかない。テストにおいて『必ず100点を出す』相手に『90点も出せないから、反則を使って100点を叩き出す』しかないんだ」
突然結菜を対比に出してきたアザゼル先生。実際、結菜はすごい。何でも出来る。その上、あざとさもあるし、俺がバツイチでもなかったら惚れてゾッコンだっただろう。え、寿水さんに黒歌?や、やめてよね!彼女らの名前を出されたら、いやでもハーレム王になるしかないじゃないか!
「斎藤はすごい。お前の父親ですら手放しに称賛していたくらいだからな。っつーわけだ。朱乃、悪いことは言わない。その想いを叶えたいのなら、お前も腹を括れ」
そう言って、朱乃へのトレーニングメニュー発表は閉じた。何だか残酷なことを発表されたような感じだが、これが朱乃のためになるなら俺はそっと心の奥にこの思いを封印しよう。
Side out
結菜を出すに当たってずっと頭にあったことをぶちまけた回でした。朱乃も朱乃でちゃんと原作ではインフレしていくので、差別化は出来ていると信じたいです。