知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
リアスと朱乃の二人が壁を越えてくれることを祈りながら次の人の名前が呼ばれる。
「次は木場だ」
「はい」
「お前の課すのは『
アザゼル先生がそう言っていく。なるほどね、神器のことなら彼に任せるべきだ。
「それと、剣の方はお前の師匠にもう一度稽古つけてもらうんだってな?」
「はい、一から指導してもらう予定です。もう、二度と惨めな思いをしないためにも」
「そりゃいいことだ」
剣の師匠か。そりゃ、木場の剣が独学だとは思ってないけど、いざそう言われると『へー、師匠か』なんて思っちゃう。
「次、ゼノヴィア。お前はデュランダルを今以上に使いこなせるようにすること。と、もう一本の聖剣にも慣れてもらうことだ」
「もう一本?」
アザゼル先生の言葉にそう言って首をかしげるゼノヴィアさん。
「ああ、ちょいとばかし特別製でな」
そう言ってにやけるアザゼル先生。あれは多分信頼できる奴だ。
「次、ギャスパー」
「は、はいぃ!」
「そうビビるな。お前最大の弱点はその恐怖心だ。岸波やイッセーと関わってだいぶマシになったらしいが、まだまだだ。元のスペックは高い。専用の『脱・ひきこもり作戦』を考案してきた。そこでまずは真っ当な心構えを身につけろ。全部が無理でもいいが、せめて人前でも動けるようになれ」
ヴラディ君もヴラディ君で頑張っているしな。ただ、それでもちょっと手放しに誉めがたいところもあった。だからこそ、アザゼル先生のプログラムはアリだと思っている。頑張れよ、ヴラディ君。最近の君なら何とかなるさ。
「は、はいぃ!当たって砕けてやりますぅ!」
今の撤回、不安になってきた。
「次は小猫」
「……はい」
妙に張り切った様子の塔城さん。
「お前の場合、オフェンスもディフェンスも『戦車』として申し分ない。身体能力も問題ないな。……だが、このリアスの眷属には、お前以上のオフェンス力を持った奴らが多い」
「…………それくらい分かっています」
はっきり言うアザゼル先生の言葉に、塔城さんは悔しそうにしていた。まぁ、彼女のことは兵藤に任せよう。あいつ、最近彼女と仲がいいらしいし。
「リアスの眷属でのオフェンスのトップは木場とゼノヴィア。聖魔剣とデュランダル。どっちも凶悪な兵器を操るな。そこに予定では赤龍帝のイッセーが入る。分かるな?」
そう言うアザゼル先生の顔は、どこか塔城さんを心配するようなものであった。俺も俺で、黒歌の妹でもある以上心配はしちゃう。
「小猫、お前も他の連中同様に基礎トレーニングをしておけ。その上で、お前の封じているものを解放しろ。朱乃と同じだな。自分を受け入れなければ、その先にはいけない」
「わ、私は……」
先ほどまでのやる気も意気消沈とする塔城さん。更にアザゼル先生は続けていく。
「そのために、とある講師を用意した」
「……誰ですか、それは?」
塔城さんは動揺しながらもそう言う。そんな彼女にお構いなくアザゼル先生は言った。
「黒歌だよ」
すると、塔城さんの表情が変わった。驚きと悲しみ、怒り。何か色んなものが混じっている。
「サーゼクスから聞いてな。あいつの罪はなかったことになった。つまり、もうお前の考えているような『言い訳』ってのは利かなくなってくる。その上で、お前については誰よりも詳しい。強くなるなら、これほどにないくらいにうってつけの先生ってことだ」
空気が重くなる。これにはさすがの兵藤も声をかけられない様子だ。おい、お前の後輩だろ、どうにかしてくれ。
いや、俺の後輩でもあったわ、ボケ。
「っつーわけで、岸波。お前の眷属、借りるぞ。黒歌には既に話は通してあるからな」
「事後報告なのは気になりますが、構いませんよ」
事後報告やめてくれ、心臓に悪い。
「次にイッセー……と言いたいが、まずはアーシアからだ」
「は、はい!」
アーシアもだいぶ気合を入れている。彼女も彼女でヴラディ君みたいな自信のなさが目立つ時もあるし、どんなことをするのか気になる。
「お前も基本的なトレーニングだ。身体能力と魔術師の使うような魔法を使うためのエネルギーの向上を図る。そして、メインは神器の強化だ」
「え、アーシアの神器の回復ってもう十分すぎるくらいでは?触れるだけなら病気や体力じゃなかったらすぐに治りますし」
……ああ、なるほど。そう言うことか。俺にはアザゼル先生の意図が少し分かったぞ。
「どうやら、お前の岸波先輩は俺の意図に気付いたらしいぞ?」
「え?先輩、どういう事なんすか?」
兵藤がそう訊いてくるので俺は答える。
「確かにアーシアの神器はすごい。回復速度だって半端ないだろう。だが、その『触れる』ってのが問題だ」
ここまで言っても余り理解出来ていない様子の兵藤。一発殴っておくか?
「お前、激戦区の味方が怪我してるからって、アーシアをわざわざそのど真ん中に送るかね?」
「ああ、なるほど。至近距離にまでいかないと回復が出来ないけど、アーシアにそれをさせるのは向いていないってことっすか」
「そう言うことだ」
ようやく理解してくれたようだ。こいつ、賢いのか馬鹿なのか分からないな。
「アザゼル先生の言い方だと……もしかして、アーシアの神器の効力は範囲を広げられるの?」
リアスがそう言うとアザゼル先生はそれを肯定した。
「ああ、その通りだ、リアス。まぁ、ちょっとした裏技に近いんだけどな。数ある回復系の神器でも
範囲拡大。そうか、アーシアの回復範囲が広がるのか。それこそ、ビームとか出るのかな?それとも、コスモスのルナ・エキストラみたいな感じになるのか?いずれにせよ面白そうだ。
「俺達の組織が出したデータによる理論上だが、遠距離にも出来る。神器のオーラを全身から発することで自分の周囲にいる味方をまとめて回復、なんて芸当も可能なはずだ」
す、すげー……。今の俺の脳裏には、まさしく『救いの神』と化したアーシアがいるよ。
「だが、それが問題でもある」
「え?何で何すか?」
兵藤がそう訊くと、アザゼル先生は言う。
「敵味方関係なく回復させちまいそうになることさ。敵味方判別しながら出来るのが一番いいが、アーシアのその『優しさ』ってのがいかんな。一般的にも、岸波的にも、その想いは強みだ。だが、戦場で敵の怪我をした奴を見たら、そいつのことも回復してやりたいって思っちまうだろう。そうなったら、神器の妨げになる。それは弱みになる。範囲拡大はしておきたいのは確かだがな」
「敵味方関係なく回復し出したら、いよいよ泥沼化が避けられない。そう言うことですね?」
俺がそう言うと、アザゼル先生は頷いた。
「だから、もう一つの可能性を見出すことにした。それは、回復のオーラを飛ばすことだ」
「そ、それは、私が回復の力を離れた所の人へ送る、と言うことですか?」
アーシアが飛ばすジェスチャーをしながらそう言う。可愛らしい。でも、そのジェスチャーにどこかウルトラマン・コスモス味を感じるのは気のせいじゃないはず。
「ああ、そうなる。一定フィールド限定でやる方法よりも効力は落ちるだろうが、それでもお前の力なら十分すぎるくらいに回復が出来る。それを飛び道具のように飛ばすのさ。そうすれば、戦略性が広がる。岸波の足を引っ張らずに済むぞ」
何で俺?むしろ俺の方が足を引っ張りそうなんだけど。そんなすごい力になるなら、俺は全力でアーシアを護衛するよ?
そして、アーシアもアーシアで何故そんなに意を決した表情なの?今の言葉に何があった?
「確かに、前衛を作って、その後衛にアーシアと護衛がいれば色んなことが出来るわ。そもそも、ゲームでの回復手段はフェニックスの涙や調合された薬くらい。そう考えると、アーシアの力は末恐ろしいわね」
リアスにすらそう言わしめるとは、アーシアってすごいんだな。やっぱり、彼女は強い。俺なんかと一緒にいていいような人物じゃねぇだろ。
「そう言うことだ。それを為すためにも、アーシアの体力は必要だ。だからこそ、基本トレーニングをこなすこととなる」
アザゼル先生がそう言うと、深々と頭を下げるアーシア。
「はい!私、全力でがんばります!」
眩しいぜ、おい。昔の君が見たらビックリするくらいに、今の君はしっかりと自分の足で立っているぜ?
で、アザゼル先生だが、時計を見る。何かあるのだろうか。
「さて、最後のイッセー君だが……そろそろだな」
そう言ってアザゼル先生は空を見る。その時、俺も何か空から来る気配を感じた。これは……まさか?!
俺は警戒してブラックゾーンとなり、戦闘態勢を取った。それを見たアザゼル先生は俺を諫めた。
「安心しろ、岸波。『あいつ』は敵じゃない」
「なんて?」
俺は空を見上げる。こちらに巨大なものが飛来してくる。あれがアザゼル先生の言う『敵じゃない』ってなければ、速攻で殴り飛ばしていた。
それがこちらに飛来し、地面に着地した。土煙が舞い、それが止むとその姿を現す。
ドラゴンだ。
鋭い牙、大きく裂けた口、太い腕、背中の翼。どれもドラゴンであることの証明になっている。
「ドラゴン?!」
兵藤がそう言う。
そのドラゴンも喋り出した。
「アザゼル、よくもまぁ、ぬけぬけと悪魔の領土に踏み入れられたものだな」
「悪いね、こっちは魔王様の許可があるかたら堂々と入ったんだぜ?文句あるか、タンニーン」
へぇ、タンニーン。このドラゴンはそう言う名前なのか。
「ふん、まぁいい。サーゼクスの頼みと聞いてわざわざ特別に来てやったのだ。その辺を忘れるなよ、堕天使総督殿」
「へいへい。相変わらずお堅いことで。ってなわけだ、イッセー。こいつがお前の先生になる」
そう言ってアザゼル先生はタンニーンさんの方を指さした。
「え?先生、もしかして、俺に死ねって言ってます?」
「まぁ、遠からず」
「いやじゃあああ!死にとうない!!」
兵藤の悲痛な叫びが響く。そんな奴にタンニーンさんは話しかけた。
「久しいな、ドライグ。聞こえているのだろう?」
そう言うと、兵藤の左腕が籠手を纏った。
『ああ、懐かしいな、タンニーンよ。俺は毎日が辛い。死ねたらどれだけ楽か』
何か元気がないドライグさん。そんな彼に兵藤は話しかけた。
「知り合いなの、ドライグさん?」
『前にも言ったろ。こいつは元龍王の一匹。今は『五大龍王』だが、昔は『六大龍王』だった。そのいなくなった一匹だ。聖書に記された龍だよ』
へぇ、そんな大物なのね。俺ももう少しネットの海を彷徨った方が良さそうだ。
「タンニーンが悪魔になって、『六大龍王』から『五大龍王』となったんだ。今じゃ、転生悪魔の中でも最強クラスの、最上級悪魔だ」
アザゼル先生がそう解説する。はへぇ、マジですごいお方なのね。何か、俺の周りにどんどん修羅が集まってくる。俺の平穏はどこへ行ったんだ?
「
「それならドライグが直接教えればよいではないか?」
「それでも限界がある。やはりドラゴンの修行っつたら『あれ』だろ?」
「ああ、『実戦』だな。ならばこそ、そこのブラックゾーンに任せないのか?」
アザゼル先生とタンニーンさんがそう言ってこちらを見て来た。え、何?
「こいつ、これでも忙しいらしくてな。それに、こいつが実戦なんてしてみろ」
『にょぉん…………』
「想像しただけでこのザマだ。分かるな?」
「……それでいいのか、二天龍よ」
何やら呆れるような表情をするタンニーンさん。よく分からんが、多分俺が悪い気がする。
「ま、そう言うことだ。死なない程度にいじめてくれ。期間は人間界の時間で20日程。それまでに
「え、待って。俺、死ぬの?」
認めたくない現実への逃避と見てしまった現実への恐怖で虚無の表情をする兵藤。そこにリアスが追い打ちをかける。
「強くなりなさい、イッセー」
「待ってください」
「リアス嬢、あの山を借りるぞ。こいつをそこに連れていく」
「ええ、構わないわ。思いっきり鍛えてあげてちょうだい」
「なるほど、あれが俺の墓になるわけか。今時古墳なんてやってくれるのか」
「任された。死なない程度にやってやるさ」
タンニーンさんは兵藤を掴むと空へと飛び立った。
「やぁああああああああ!!!岸波先ぱあああああぁぁぁぁぁぁぁ…………」
俺の名前を叫びながら遠くへと飛んでいった兵藤。
…………死ぬなよ、兵藤。
Side out
100話前のこの時期にこんな意見来てた。
『レッドゾーン(今作はブラックゾーン)でやる意味が分からない』
アンサー
『二次創作なんてそんなもんじゃないの?』
詳しく言うと、レッドゾーン系ならここ産のオリジナルレッドゾーンを無理に連発しなくてもいいくらいには派生があるので、そこを頼りにしました。おい、誰だ、今『レッドギラゾーン・アポロヌスは?』って言った奴。今度見た目とかについてもちゃんと言うから!静かにして!
話を戻すと、例えばですけど、『ワイ、主人公をシャングリラにするンゴ』となったとします。で、何ですけど、話にメリハリとかつけたいとなって強化イベントを入れるとします。あいつの強化って何すか?(白目)
その点、レッドゾーンならドキンダムXをぶち込んで暴れさせるみたいな前作の行動も可能ですし、色々融通が利く気がします。
何が言いたいかと言うと、『変な所に考えるリソースを割きたくない』と言うのが主になります。
んでもって一番デカい理由が『うp主がレッドゾーンが好きだから』。これ以上に理由がいりますか?二次創作なんてそんなもんじゃないんですか?
小難しいことを言うと、転生オリ主って原作からしたらまさしく『侵略者』じゃないっすか。それに、第0章の二天龍との戦いも『ドラゴンと死ぬほど因縁がある』って点もレッドゾーンはおあつらえ向きだなと思ってます。
そんな感じです。