知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
同級生と後輩を修行へのお見送りをした俺は暇になったわけじゃない。あの後、すぐにグレイフィアさんに連行されて、ルシファードへと着いた。
別に悪いことはしてないよ?だからと言って意味もなく来たわけじゃない。
以前にも言ったが、俺は今回の冥界主張にて歌の収録がある。ついでに言うと、セラフォルーさんの提案で写真集の撮影も数日程。忙しいね。そもそも、俺の写真に何の価値があるねん。
まぁ、疑問はさておき俺はグレイフィアさんに連れられてとある建物までやって来た。どんな場所か聞いてみたら、どうやらここはセラフォルーさんも収録に使っているスタジオなんだって。
そんなスタジオを通されていると、見覚えのある二人がいた。
「あ!大地君!」
「来たね」
セラフォルーさんとサーゼクスさんだ。俺は二人の近くに駆け寄る。
「久方ぶりです。サーゼクスさんの方は言うほどでもないですけど」
「まぁね。さて、それじゃあ早速だが、準備をいいかな?」
「はい」
皆様、何を俺が歌うかご存じでしょうか。はい、そうです。『創聖のアクエリオン』です。何ならついでに『君の神話~アクエリオン第2章~』もです。これらをシングルとして出すんだって。俺の罪がまた一つ積み重なる。
そんなわけで、歌う準備をし、スタジオへと連れられる俺。入った場所にはマイクとヘッドホンが。あのヘッドホンか俺が作った『創聖のアクエリオン』と『君の神話』が流れるのか。胃が痛いね。それが世界中に売られるってなると、胃が消し飛ぶね。
さて、俺はそんなわけでマイクの前に立ち、ヘッドホンを付けた。
『いきまーす。3,2,1……』
別室のスタッフの声と共に『創聖のアクエリオン』が流れ出す。ああ、俺の胃よ。さよならだ。
○○○
この後の写真撮影についての打ち合わせもやらないといけないのもあって、『創聖のアクエリオン』の収録はさくっと終わった。それはそれでクオリティとかに不安になった俺だが、サーゼクスさんに聞いてみたら『完璧だ』と言われたので、大人しくその言葉を信じることにして曲の収録を終えた。
そんなわけで今は休憩室でサーゼクスさん達とゆっくりしている。理由は次の写真撮影のための休憩だ。
そうして今の俺はお弁当を食べる直前にいる。ロケ弁って奴かな?にしてはちょっと豪華な感じがする。
ズッキーニとトマトの炒め物にピーマンとソーセージの炒め物。キッシュ風の卵焼きっぽいもの、ミートボール。すんごく美味しそうだ。
「それじゃあ、いただきます」
「どうぞ」
セラフォルーさんがそう言う。彼女からは何やら強めの視線を感じる。もしかして、彼女が用意してくれたお弁当なのか?なら、大丈夫だろうよ。彼女とて魔王様なんだし、いいもん食ってるでしょ?
俺はまずキッシュ風を一口食べた。
「……旨い!」
何だこれ!?素材とかそう言うのもあるだろうけど、にしたって旨いぞこれ!
思わずがっついて食べてしまう。それじゃあ、ミートボールも行ってみよう。
ミートボールを一口。ああ、至福だ。うめぇ。さっきまで緊張の中で働いていたからか、とっても旨く感じる。
俺は次から次へとご飯をほおばっていく。美味しいなぁ。家族にも食べさせたいくらいだ。
しかし、この弁当はどこの弁当だろうか?冥界でこんな穴場を見つけることになるなんてな。
「セラフォルー、随分嬉しそうじゃないか」
「ふふん、乙女だからね!グレイフィアちゃんもこの気持ちは分かるでしょ?」
「昔のサーゼクス様はその辺りは鈍かったもので」
「さらっと罵倒が来たね」
そう言えば、セラフォルーさんの手が少し荒れている気がする。何か洗い物とかしたような感じの荒さだ。慣れないことでもしたのかな?可愛い女の子なんだから、その辺の気を使ってほしい。俺だって前世での嫁にはその辺のフォローはある程度していたし。惚れた女にはきれいでいて欲しいでしょ?そう言うことだよ。
――『え、まさかこの魔王少女に惚れたダムか?』
ドキンダムが驚嘆を込めた声でそう言う。違うよ、ドキンダム。確かに彼女には惚れこんでいるけどさ、恋愛とか男女の仲とかそう言うもんじゃないよ。
――『……お前、それ絶対に本人に言うなよ』
うっす。
気が付いたらお弁当を食べ終えていた俺。本当に美味でした。多分外で頼んだ弁当の中では一番とも言える程に。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした…………ねぇ、大地君?」
「はい」
セラフォルーさんに声をかけられる。
「その……お弁当どうだった?」
あ、やっぱりセラフォルーさんが用意してくれたのね。そりゃ旨いわけだ。
「美味しかったです。家族にも分けたいくらいに、記憶に残るような味でした。何て言うか、『愛』?そんな感じのものを感じましたね」
包み隠さず俺は俺の思いを伝える。何て言うかさ、この弁当ってまさに『俺好み』って感じだったのよね。『岸波大地はこう言うのが好きだろうな』とかそう言う『愛』を感じた。
俺がそう言うと、何やらむずむずし出すセラフォルーさんと笑顔のサーゼクスさん。
「どうやら、彼には隠せているようで隠せていないようだね、セラフォルー?」
「大地君は変なとこで鈍感なんだから……」
俺にはさっぱりな話だ。やっぱり魔王様ってツーカー的なことが出来るように横の繋がりが強いのかね?
俺はお茶を飲んでいると、サーゼクスさんが話しかけてきた。
「岸波君。折り入って相談があるんだ」
「はい、何でしょう?」
そこまで真剣な雰囲気ではないので、政治的なことじゃないのは分かる。はてさて、何が出てくるのだろうか。
「君がモチーフになっている番組は知っているかい?」
俺がモチーフ?ああ、あれか。『轟速英雄ブラックゾーン』か。
「ええ、知っています。『轟速英雄ブラックゾーン』ですよね?」
「知っているならよかった。それに関わることで君と相談したいんだ」
『轟速英雄ブラックゾーン』。決め台詞は『この心臓を暴れ出させ、全てをひっくり返そう』。そんな感じの特撮。セラフォルーさんがプロデュースしており、今の今まで俺が冥界に名を遺すことになった理由の一つだ。若い子は大体通っているほどの知名度らしい。ミリキャス君が俺を知っているのも、これが理由とか何とか。何なら、リアスも幼い頃に履修済みとか言うすごいものだ。
何だろう?もしかして、俺が主演をやれってことか?流石に演技の方の指導がないときついって言うか何と言うか。その辺が不安になるな。
「詳しくはセラフォルーが言う」
そう言ってセラフォルーさんにバトンタッチをするサーゼクスさん。セラフォルーさんも笑顔で話し出す。
「これから大地君の番組は『大人も楽しめる特撮番組』と言う方針を取るつもりなの。それでね、ターゲット層が今まで子供を主役にしていたんだけど、そこから外れちゃうから、そこの層をターゲットにした新しい特撮ヒーローを作ろうと思っているの」
「そりゃいいじゃないですか」
ちゃんとターゲット層を見据えてのマーケティング。素晴らしいです。流石は魔王様と言ったところか、その辺の需要供給やリスクを見る目ってのはしっかりしているんだな。俺も見習いたい。
「それでね、その特撮ヒーローのモチーフを決めたいのだけれど……いい案が思いつかなくて」
「それで俺にヘルプを、って感じっすか?」
「そうそう、大地君の周りにヒーローが似合うような子っているかなぁって」
なるほどなぁ、ヒーローっぽい奴か。あいにく、俺は見る側だったのでこういう深く踏み入った業界の話はよく分からんのよな。
それこそ、かっこいいだけで生きていけるならウルトラマンは死にかけたことはない。ちゃんとグッズ映えするような奴じゃないといかん。
「一つ訊きたいんですけど……俺の、『轟速英雄ブラックゾーン』のグッズってどれくらい売れますかね?」
「少なくとも億円は簡単に動くよ?最近は観賞用と保存用で多く買う大人も増えたからね」
セラフォルーさんに俺のことを聞くと、とんでもない返答が来た。マジか、俺がそこまで売れるのか。
「グッズの売り上げのことも考えてくれるの?」
セラフォルーさんがそう訊いてきた。まぁ、そうっしょ。これは慈善活動じゃないんだし。
「汚い話ですが、結局番組を作る以上はお金がいりますから。それを回収しきれなくて死にかけた特撮ヒーローシリーズを弟が好きなもんですから、嫌でも気になっちゃって」
「……色々気にしてくれてありがとう、大地君」
「とんでもない」
感謝をセラフォルーさんからもらうが、俺の課題は進まない。はてさて、俺っぽいものでも売れるってことは、その線をいけばいいのか。うーん……。
定番は変身系のヒーローだよな。それこそ、仮面ライダーとかスーパー戦隊のような感じ。
俺は頭をひねる。はてさて、そんな子供人気が高そうな奴って俺の周りにいたっけ?
木場は何て言うか中二病チックだし、メインにしてしまうと微妙に需要がズレそうだ。ヴラディ君は本人的にも無理だろう。
いっそ、プリキュア方面で……いや、それをやるにしては俺の周りにいる女の子はおっぱいがデカすぎる。
えー、じゃあいないような……
―「零よ、果たして先輩はどんなおっぱいが好きだと思うかね?金髪巨乳か?黒髪巨乳か?」
―「俺は可愛い女の子なら何でもいいガバガバチ〇ポなのが先輩だと思うぜ?ギャルでも未亡人でもなんでも来いって感じなのぜ。あ、でもロリだけは無理っぽそう」
あ、いた。片方は人間側だから出せないけど、もう片方ならいけると思う。
「いました、ヒーローみたいな奴」
「ほんと?!」
セラフォルーさんが少しだけ声を荒げて言う。
「兵藤一誠です」
俺がそう言うと、少しだけ目を細めたセラフォルーさん。品定めに来たか。俺も少し踏ん張ってみよう。
「あいつは神器の関係で子供受けのいい姿になれます。その上、真っすぐで熱血。それに、最近の子供に受けがいい『ドラゴン』が、あいつです。能力も単純だけど派手。ヒーローをやるにはちょうどいいくらいでしょう」
俺がそう説明すると、セラフォルーさんとサーゼクスさんが向き合う。何やらアイコンタクトをしている。
ほんの少し間を置いて、セラフォルーさんがこちらに話を振って来た。
「確かにそれはいいと思う。ただ懸念点があるの」
「懸念点?」
確かにあいつの乳狂いはいただけない所はある。だが、それを前面に押すことも最近はなくなったし、いいと思うのだが……悪魔的な何かがあるのだろうか。もしかして、フェニックスの時のこととか?
「リアスちゃんの『兵士』だけど、知名度が余りないの。デビュー前だからしょうがないけれど、それでも最初の知名度によるブーストは欲しいと思うの」
なるほど、最初の足掛かりが必要と。確かに新規分野を開拓する以上はそう言った保険を重ねることは大切だ。
それなら問題ない。
「大丈夫ですよ」
「え?」
俺にはちゃんと未来が見えている。あいつが子供たちのヒーローになる未来が。
「あいつは今度のデビュー戦で、知名度を爆発させますよ」
こんなことを言うのもあれだが、俺も
俺の言葉を受けて、サーゼクスさんがクスっと笑った。
「本当に彼を信頼しているんだね」
「まぁ、ちょっと乳への執念は目立ちますけどね。それでも、あいつはいい奴です。もしかしたら、サーゼクスさんもいつの間にかあいつに絆されているかもしれませんよ?」
「そうだね。確かに、彼の中にはあれほどの激戦をしたドライグがいるにも関わらず、イッセー君への怒り等は一切ない。不思議な感覚になるのも分かる」
優しくそう言うサーゼクスさん。セラフォルーさんも同調するように頷いた。
「それじゃあ、一旦今度のソーナちゃんとのゲームの様子を見てからにしてみよっか」
どうやら俺の推薦は通ったようだ。
「そうなったら、俺がその番組のOPとEDを書きましょうか?」
調子に乗ってそんなことを言う。勿論どっかからパクってくることに変わりはない。
俺がそう言うと、顔を明るくさせるセラフォルーさん。
「いいね、それ!話題性もばっちりだし!」
かくして、兵藤一誠ヒーロー化計画が進む。悪いな、兵藤。お前のことを『主人公』と見させたお前が悪いんだからな。
Side out
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