知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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スカーレッドゾーンは欲しいし、ウィクロスの新弾も待っているしで、お財布に大打撃が来る時期になってしまっていると言う。


第97話 気の知れた先輩後輩関係って貴重

Side in

 

数日間セラフォルーさんに拘束されて歌を歌ったり、写真集用の写真撮影をしたりなど色々やっていた。今はこうしてグレモリー領に戻り、アザゼル先生に連れられて兵藤の所へ向かっている。

 

さて、あいつはどこに……

 

「ひーん!!」

 

『頑張れ相棒!あのチート馬鹿の背中に追い付くにはまだ足りんぞ!』

 

「何なんだよもぉおおおおおお!!」

 

泣きながら悶えている男が一人。見知った後輩、兵藤一誠だ。

 

「よぉ、イッセー。元気にしてっか?」

 

「あ、アザゼル先生の野郎!って岸波先輩!」

 

「よっ」

 

一音式挨拶を済ませる。

 

「差し入れだ」

 

 

○○○

 

 

「美味すぎる!!」

 

そう言いながら兵藤は俺が持って来た弁当をもりもり食べている。因みに俺のお手製の弁当だ。

 

「唐揚げと玉子焼き美味しい!昆布の煮物も美味しい!全部美味しい!」

 

俺が持って来たのは重箱かと言うくらいデカい弁当。花の男子高校生なら食えるかと思って沢山作ってみたが……兵藤め、余程腹が減っていたらしいな。もうすぐ食い終わりそうだ。

 

アザゼル先生もいい笑顔で兵藤の肩を叩く。

 

「しかし、前よりはマシな顔になったじゃねぇか。やっぱ、ドラゴンは実戦だな」

 

「ざけんな!どう考えても死ぬわ!マジでこの山が墓になりかねんからな?!このおっさんドラゴン、クソ強ぇんだよ!何が『ドラゴンの戦い方を教えてやる』だ!そのレベルが違いすぎんだよ!」

 

ついぞ泣き出す兵藤。まぁ、お前は弱いもんな。どう頑張ってもヴァー君には敵わないのが現状だ。会談の時も偶然と言うか奇襲で何とかなったわけだし。

 

でも、俺はそれを真の弱さとは思わん。お前には上を目指そうとする心がある。それは間違いなく強さと言える。俺は、そこがお前の長所だと思っているよ。

 

……はぁ。ったく、俺もとんだ後輩に絆されちまったな。つい最近まで四条とエロ本交換会とかしては女子に冷たい目で見られていたような男。それが兵藤一誠だってのに、こいつについてきちまった。

 

『こいつのせいで』とは言わんが、こいつが関わることのせいで俺の平穏が遠ざかっているのも事実になりつつある。それでも、俺はこいつを責めるようなことはせん。だって、最後は俺が決めたことだからな。それが大人としてのケジメって奴だろうよ。子供に戻りそうな青い生活ばかりだったけど、それだけは覚えておかなきゃ、俺の前世を忘れちまいそうだ。

 

「あの、先生。一つ訊きたいんすけど」

 

「ん?何だ?」

 

ふと意識を戻すと、何やら兵藤がアザゼル先生に質問していた。

 

「ヴァーリの野郎が会談の時にやろうとしていた、何だっけ?ジャガー?それってなんすか?」

 

何そこでネコ科?

 

「ジャガー……ああ、『覇龍』(ジャガーノート・ドライブ)のことか」

 

え、何それ知らない。教えてドキンダム先生。

 

――『色々詳細は省くが、リミッター解除ってこと』

 

へー、そんなのがあるんだ。何だろう、聞いただけで嫌な予感がする。

 

俺が悪寒を感じていると、アザゼル先生が説明をしてくれる。

 

「神器には禁手(バランス・ブレイカー)以上の上は存在しない。神器の究極系が禁手だからな。だが、魔物やドラゴンの類を封印している神器には独自の制御がかけられている。それらは強固な制御で縛られているんだが、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしているのがその手の神器だ。赤龍帝と白龍皇の場合、それらの制御を強制的に一時解除して封じられているパワーを解放するのが『覇龍』だ。一時的とは言え、神に匹敵する力を得られるが、当然リスクもある」

 

「命を捧げたり、本能のままに暴走って感じですか?」

 

俺がそう言うと、アザゼル先生が頷いた。この手の力にはありがちなリスクだ。それこそ、ヘルライジングホッパーのような『一応』特に問題はないものなんて珍しいからな。

 

「岸波は察しがいい。その通りだ。『覇龍』は寿命を削る。そして、理性をぶっ飛ばす。岸波の言ったことの両方を現実とする」

 

そう言うと、兵藤はゴクリと喉を鳴らし、恐れを見せる。

 

「酷いもんだぜ?周囲を全部ぶっ壊して、それでいて自分まで滅ぼそうとしてようやく止まるって感じなんだからな。あれを使いこなすなんてのは不可能だ。だが、ヴァーリはそれを膨大な魔力に物を言わせて数分だけ扱える。……っつっても、あん時のアルビオンの様子を見るに、まだ危険らしいがな」

 

何て恐ろしいことをしようとしていたんだ、あの馬鹿。やっぱボコボコにしてラヴィニアの前に突きだすしかないな。

 

「なぁ、イッセー」

 

「はい」

 

妙に真剣さを感じるアザゼル先生に思わず俺も兵藤につられて姿勢を正す。

 

「お前は、あんな力の亡者にだけはなるなよ」

 

それは、本気の心配だった。おそらく、いや、確実にアザゼル先生は過去に『覇龍』を見たんだろう。そして、その結末も。だからこそ、それに恐怖していて、兵藤に同じ轍を踏ませないようにしているんだ。

 

その目には、憂いも感じる。やっぱこの人、ヴァーリの野郎に未練とかを感じているんだろうな。

 

そんな中でつぶやくタンニーンさん。

 

「そうか、今の白龍皇はもう『覇龍』を使えるのか。それは問題だ」

 

「え、何が問題なんだよ。そんな危険物を扱えたって……」

 

「あれが先に使えた方が赤と白の戦いに確実に勝っていたからな。ある種、早い者勝ちの戦いだった」

 

随分なことを言うタンニーンさんに顔面が崩壊する兵藤。どうやら、こいつの目指す場所は遠いらしいし、たどり着いた先でもいいもんが手に入るわけじゃないらしい。

 

「そんなイッセー君に自信をつけてもらおうと岸波が一肌脱いでくれる」

 

「え、何するんすか先輩?」

 

ん、どうやら事前に話をしていたことに話題が変わったらしい。ほな、行くか。

 

「必殺技だ」

 

「え?」

 

「『お前らしい』、一発芸だよ。お前だけの為に考えたんだ」

 

そう言うと、一気に顔を明るくする兵藤。随分現金な奴だ。

 

「俺だけの!必殺技!」

 

「そんなにうれしいもんか?」

 

俺がそう訊くと、すごい勢いでこちらを向く兵藤。

 

「当たり前じゃないっすか!ロマン!ロマンっすよ!ドラゴン波みたいなのが、俺にも……!!」

 

思わずアザゼル先生と目を合わせて、苦笑いしてしまった。そこまで熱意があるとこっちが恐縮してしまうんでやめてほしいな。

 

「んじゃ、早速見せよう」

 

俺はサクッと近くの木の横に立った。

 

さて、やろうか。俺が兵藤に相応しいと思った技、『バスターウルフ』をな。

 

俺は一呼吸を置く。精神を統一し、右拳を突きだした。正直、俺だとこの一発で木を吹っ飛ばせるが、それでは見本にならないので、かなり手加減している。

 

俺の右拳が木の表面を砕いた。すかさず、俺は左拳を打ち込む。すると木が完全に砕けて、ぼっきりといき、切り離された形になった木の上の部分がドスンと音を立てて地面に倒れた。

 

「さて、手加減したが大体こんな感じだ」

 

「え、何が起こった?」

 

「今から理論を説明する」

 

兵藤がポカーンとしているので説明した。

 

すっごい簡単に言うと、『両腕でやる二重の極み』だ。一撃目で相手の装甲を砕き、二撃目でとどめを刺す。これの利点は、今後兵藤が戦うであろう数多の『戦車』たち、タフネス馬鹿共の防御を突破できる可能性があるってことだ。

 

『じゃあ、何で大人しく二重の極みにしねぇんだよ』って質問もあるだろう。理由は簡単だ。兵藤があんなに器用なことが出来ると思えん。あと、理論が漫画の世界すぎて現実に持ってくるのが難しい。意☆味☆不☆明DAZE!

 

ってことで、バスターウルフになった。いいでしょ?見た目も派手だし。魔力とかの不思議パワーを使えばもっと派手になること間違いなし。アザゼル先生からもお墨付きをもらった。

 

そんな感じで『堅い相手を打ち破る技』としてと『見栄えがいい』と言う理由を兵藤に言うと、顔を輝かせだした、兵藤。

 

「さ、最高じゃないっすか!俺のことを考えてくれて!」

 

「ま、そんなもんだ」

 

ほめ殺しに近いことを言われて、思わず照れそうになってしまった。

 

「所で、それの名前ってあるんすか?」

 

「名前、か……」

 

そりゃ、『バスターウルフ』って立派な名前が……

 

――『ドラゴンなのにウルフなの?それはそれでセンスなくない?』

 

女神様からの苦情が入りました。そんなこと言われましても、バスターウルフなんだから他に何があるって言うんすか?

 

――『ほら、オリジナルで名前を考えなさいよ。かっこいい名前。そこのおっぱいドラゴンの為にも』

 

おっぱいドラゴンだなんて酷いことを言うね、あんた。蔑称にも程がある。まぁ、否定は出来んけど。

 

それにしても名前なぁ……何がいいんだろう…………。

 

あ、閃いた。

 

『無法の鉄拳』(クロスファイア)

 

「クロス、ファイア……」

 

「俺の昔の知り合いの名前だ。百万の言葉より一の拳で語り合うことを誇りとしていた無法者のな」

 

とっさに思いついたのがクロスファイアだった。二撃だから紫電とかでもありかなと思ったけど、兵藤にサムライなんて柄じゃないだろうし、どうせなら『これからも皆の予想を超えていく無法者になってほしい』って祈りを込めるのは悪い話じゃないはずだ。

 

「この技は基礎が物を言う。本人の地力で威力が変わるからな。だからこそ、基礎トレは必要だ」

 

俺がそう言うと、握りこぶしを作って見つめる兵藤。すぐに俺の方に目を向けた。

 

「俺、『無法の鉄拳』を自分のものに出来るように、生きて頑張ってみます。やれるだけ、やってみます!」

 

そう言う兵藤の顔はしっかりしたものだった。普段からその顔をしておけばさぞやモテるだろうにな。勿体ないもんだ。

 

 

○○○

 

 

そんなわけで兵藤の修行を見守る……ってことにはならなかった。あいつはあいつでリアスマッマに呼ばれている関係で、一旦修行を中断することとなった。

 

俺はベリアル家からのお迎えが来るまでグレモリー邸で待っている。さぁ、次は結菜たちの相手だ。あいつらも結構成長しているといいんだがなぁ。どうなんだろう。

 

「なぁ、岸波」

 

隣にいたアザゼル先生が俺にそう声をかけてきた。

 

「何でしょう?」

 

「お前は、朱乃のことをどう思っている?」

 

「仲のいい同級生ですかね」

 

何を言い出すかと思ったらなんだ、普通のことだ。あれか?バラキエルさんから釘でも刺すように言われたか?

 

「違う、女としてだ」

 

急に雲行きがまずくなってきた。これ、下手なことを言えばアザゼル先生にも殺されかねんだろうよ。

 

「うーん……魅力的ですよね。お付き合いしたら、きっと結婚までいくんじゃないんすか?それくらいには彼女はいい子だと思いますよ?」

 

「そうか、それはよかった」

 

とりあえず本音を丸くして言ったが、これで良かったらしい。アザゼル先生は怒ったような感じではない。少しうれしそうにも見える。

 

「あいつにとっては余計なおせっかいだろうけど、俺からすれば大切な娘みたいなもんだ。お前なら、あいつを任せられるだろう」

 

「……?」

 

俺にはさっぱりなことだった。任せる?修行のことか?でも、俺って魔法的なことは門外漢だしなぁ。どういう事なの?

 

Side out




前作から続く技ですね。名前は変えました。

お気に入り登録者様の数もだいぶ増えてきました。リブートと言う形になってしまっているにも関わらず読んでくださっている方がこれだけ多いと、感謝ばかりだとつくづく実感します。これからも応援よろしくお願いします。
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