知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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ストライクウィッチーズもといワールドウィッチーズ、いいですよね。かく言ううp主も周囲がガルパンやら艦これに染まっている中で『好き』を貫いていたコンテンツです。
しょうもないですけど、うちの大地君、ウィッチーズの中だったら二パとか好きそう。でも、精神面ならひかりとか芳佳ちゃんとか好きそう。


第99話 皇帝とのお食事会

Side in

 

そんなわけでやってきました、ベリアル邸。ディハウザーさんのご両親にもご挨拶をしたのだが、結構気さくなお方々でした。

 

んでもって、結構重要なことなのだが、我が家の禁断式防犯装置の改良をついに施すこととなった。あらかじめ改良しておいた防犯装置だが、そこに引っかかった奴をベリアル家の地下牢獄にぶち込む転送術式をディハウザーさんと一緒に作り、起動した。これで俺の家族は安心だ。

 

引っかかった馬鹿の素性はディハウザーさんが責任を以て拷……尋問して吐かせるとのことなので、彼に任せることにした。吐いた情報は俺とも共有することになっている。

 

いやぁ、ほんと疑問なんだけど、何でディハウザーさんはここまで俺の味方になってくれるんだろうね。俺には分からない。とりあえず、その好意に甘えておくことにしよう。前回の密会でドキンダムとアポロヌスのことは話してあるけど、それも周りには言ってないっぽいし、その辺も安心だ。

 

「ブラックゾーン様、お夕餉の時間でございます」

 

そんな風にディハウザーさんの妹さんに呼ばれた俺。今やっている勉強を一旦終わりにして、彼女に着いて行く。

 

案内されたのはグレモリー邸での夕食の時ような感じのお部屋、ではなくて比較的こじんまりした場所だ。何て言うか、いかにもバイオの洋館の一室って雰囲気。吸血鬼でもいたら割と様になりそう。ヴラディ君は……うん……。

 

そこには先に来ていたディハウザーさんがいる。

 

「どうもです」

 

「座ってくれ。俺と二人きりの食事なんて好かないだろうが、我慢してほしい」

 

あら、ディハウザーさんと二人きりなのね。他の3人とかディハウザーさんのご家族は別の場所なんだ。しかも、部屋には執事さんやメイドさんもいない。本当に二人きりだ。

 

「それではお言葉に甘えて……」

 

俺は席に案内された。そこには立派だが、量がグレモリー邸での時のような『腹いっぱいになるまで食え!』みたいな田舎の祖父母ムーブがない。とっても適切な感じ。いや、グレモリー家もグレモリー家であれはいいことだと思うし、俺もあっちでいい時がある。ただ、俺のような小心者にはこれくらいでも腹いっぱいと言うか、気持ちがいっぱいになってしまうのだ。

 

え?『結局食い足りなくて腹空かせた馬鹿は誰だ?』って?うるせぇ!

 

俺は席に座る。

 

「それじゃあ、遠慮なく食べてくれ」

 

「それではいただきます」

 

ディハウザーさんの許可が下りたので、そう言って俺は食事にありつきだす。

 

白いスープを一口。あ、これビシソワーズだ。ってことは、今日はフレンチか。

 

「ドキンダムとアポロヌスはいいのか?」

 

『構わんダム』

 

『こいつの記憶からいくらでも食事は出せる』

 

「随分便利な体なんだな」

 

俺はのんびりと食事を進める。いやぁ、美味しい。家族と一緒に食べられないことだけが悲しいが、それ以外はほんと至高のものをいただいて、心がすごく華やかになる。

 

「君が育成を頼んだ彼らだが、中々これがすごい人材だよ」

 

彼ら。間違いなく四条と結菜とアイシャだ。そう言うディハウザーさんの顔は笑っていた。それも面白いおもちゃを見つけたような子供のような顔だ。

 

「そうなんですか?」

 

確かにあいつらはすごいと思う。トンデモ養成機関で育てられたアイシャに何でも出来る結菜、飲み込みと成長の速度が異常すぎる四条。どいつもこいつもよく縁があったなと思うくらいだ。

 

「3人とも、君のものでなければ俺が眷属にしていたくらいだからな。今後彼らの名が上がれば、間違いなく狙う悪魔は増えるだろう。そう言う意味でも、自衛の力は必要だ」

 

「そうですね。そうなる前に、『手を出したら根切りだ』と知らせることが出来るのが一番なんですがね……」

 

「英雄と持て囃される君でも、思った以上に人間臭いんだな」

 

俺のちょっと過激な本心に、眉を八の字にしてそう言うディハウザーさん。困らせてしまったか。いかんな、折角の食事だと言うのに。

 

「俺はいつだって人間でありたいです。勿論、美しい面だけ賛美するつもりはないですけどね」

 

ビシソワーズを飲むスプーンを置く。

 

「俺の力は、神にも悪魔にもなれる力です。ですが、俺はそんなものになろうとは思いません。俺は人間です。人間でたくさんなんです。これ以上望めば、俺はもう、後戻りできなくなる」

 

俺には家族がいれば十分だ。その上に俺には寿水さんやラヴィニア、黒歌たちがいる。兵藤や四条のような後輩にも恵まれた。望むものなど何がある。

 

「君は謙虚すぎる。もう少し望んでもいいんだ」

 

そう言うディハウザーさん。俺は言葉を返した。

 

「善処します」

 

「それは、きっと『変えられない』と言うことだろうな」

 

どうやら心を見抜かれていたようだ。誤魔化すように、俺は再びビシソワーズを飲む。

 

それからディハウザーさんと俺個人の近況についてだったり学校での様子を話したりした。どうやら、俺は友達が少ないらしい。泣きます。

 

あと、俺が駒をもらったことに関わることだが、いつかディハウザーさんにレーティングゲームについてのお勉強会をしてもらうことになった。ゲーム最強の男に教えてもらえるなんて随分贅沢だな。

 

「岸波君。積る話も俺には多い。少し、おっさんの愚痴でも聞くつもりで俺の話を聞いてくれないか?それと、内密にする約束もしてほしい」

 

先ほどの話から少し間を置いて、ディハウザーさんはそう言う。彼の顔を見ると、少ししんみりしたような、何て言うか複雑そうな顔をしている。

 

「いいですよ?実は俺、これでも父母の酒の席で愚痴に付き合うことが多いので慣れてますから。約束もしっかり守ります」

 

「ありがとう」

 

そう言うと、ディハウザーさんは語り出した。

 

「君は、クレーリアのことを知っているだろう?」

 

その名を聞いて、流石の俺も周囲の警戒をした。盗聴する機械系の気配も、外に誰かいる気配もない。厳密に言うと、ドアの近くにはディハウザーさんの妹さんの気配だけだ。ディハウザーさん、分かっていてその名を出したのか?

 

「安心してくれ、外には俺達の会話は漏れないようにしてある」

 

俺が周囲を警戒していると、ディハウザーさんがそう言う。

 

ドキンダムとアポロヌス、招集。

 

――『うっすダム』

 

――『我を呼び出すとはな。それもそうか』

 

休憩中悪いな。これ、『はい』って言っていいのか?俺の中でもクレーリアさんのことは相当トップシークレットなんだが……。

 

――『……大丈夫だ。少なくとも、こいつはどう頑張ってもお前の味方だし、クレーリアのこともきっと分かっている。ただ、余り深堀はしない方がいいだろう。あちらの動きに合わせろ』

 

――『我もそれに一票。最悪、我の力で何もかもを吹き飛ばせばいい』

 

分かった。お前らとディハウザーさんを信じる。

 

俺は食事の手を止める。

 

「ええ、勿論。小さい頃に散々お世話になりましたし、俺の母が仲良しだったので。あの人、突然クレーリアさんがいなくなって悲しんでましたよ」

 

「そうか……」

 

俺がそう言うと、少し暗い顔をするディハウザーさん。別に何か裏がありそうな感じはない。悪意もない。あったら、俺の中の禁断が反応しているはずだからな。

 

「君は、クレーリアたちを助けてくれたそうだね」

 

「……はい」

 

あの夜のことだろう。今でも思い出す、クレーリアさんの心底悲しそうな顔と八重垣さんの無力感に怒りを覚える顔。忘れられない、俺が初めて手を汚した日だ。例え正義だろうと、やったことは悪だ。

 

「ありがとう。俺から言える言葉はそれしかない。…………全く、自分の言葉の『無価値』さが嫌になる」

 

「何ですか突然?」

 

ネガティブになりながらも俺に精一杯の感謝を伝えてくれるディハウザーさん。彼にとってクレーリアさんが何なのか分からないのだ。

 

「ディハウザーさん。先ほどからクレーリアさんのことについて言っていますが……一体何事ですか?」

 

俺がそう訊くと、ディハウザーさんは言う。

 

「クレーリアは私にとって大切な家族でね。そんな彼女が命を狙われたと知った時、俺は自分の無力さを呪った」

 

この人、リアスと同類だ。家族を大切に思っている。何となくだがベリアル家……と言うよりディハウザーさんが俺に協力的なのが分かって来た。俺をとてつもない恩人だと思っているんだ、この人。

 

「クレーリアのことについては、彼女の命を狙った相手が少々厄介なものでな。俺の両親さえも知らないようにしている。今は『まだ人間界にいる』と言って通しているが、いつまで続くか分からない。ただ、彼女らは皆今も無事だと言うことは君に伝えたい。そして、これからも秘匿しておいてほしい」

 

どうやら、八重垣さん達も無事なようだ。俺の不安も少し晴れた。

 

「クレーリアさんのことは明かせない事情があるのですか?」

 

俺がそう言うと、無言で頷いた。どうやら、とんでもねぇ闇がありそうだ。

 

「いずれだが、俺と君はその理由であるこの世界の闇と相対する。そうなったら、この冥界は無事じゃ済まない」

 

「その時、俺に冥界を救ってほしい、と?」

 

何だろう、この人、自分が人柱にでもなるつもりなのか?だとすれば、俺はこの人を止めねばならない。

 

「いや、違う。……だが、今は話せない。その時が来たら、必ず話す」

 

その表情は、とてもじゃないが褒められたものじゃない。あれじゃ、まるで死に行く一番槍みたいじゃないか……。

 

そのクレーリアさんのことを話せない理由ってのを知りたい。だが、ここで聞いたらきっと後戻りできなくなる気がしてならない。何よりも、ディハウザーさんが話すことを拒んでいる。なら、俺はこれ以上問うことはやめるべきだ。

 

でも、とても不安だ。何か、この人が一人で全部背負って死んでしまいそうで……。

 

俺にはディハウザーさんに恩義がいっぱいある。まだ短い縁だが、この人はいい人だって分かる。だからこそ、この人を簡単には死なせたくない。幸せに生きて、いつになるか分からない天寿を全うしてほしいと思う。

 

どうしたもんか……。

 

俺は悩む。ディハウザーさんをどうにかする方法を考える。絶対にディハウザーさんを生かしつつも彼に負担を強い過ぎず、尚且つ俺達両者に得があるもの……

 

その時、俺に電流走る。

 

「ディハウザーさん」

 

「何かな、岸波君?」

 

「俺と契約してください」

 

俺の言葉に驚くディハウザーさん。

 

「一体何を……」

 

「そうですね、俺の願いは『家族の平穏』と『俺の味方であり続けること』。これらをディハウザーさんに叶えてもらいます。俺からは『俺の死後の魂を差し出すこと』と『ベリアル家の味方になること』。それを契約で結ぶってのはどうでしょう?」

 

願いに関しては言うまでもない。俺にとって家族は全てだ。俺の寿命が果てしなく長くて、家族なんてその一端でしかなかったとしても、俺にとって何にも代えがたいものだ。ならば、俺の魂を差し出すなど本望だ。

 

俺の味方になってもらうってのは、別にサーゼクスさん達を信頼してないわけじゃない。でも、サーゼクスさんが言っていたように、俺を嫌う輩はまだ多いそうだし、保険に保険を重ねるのは悪いことじゃない。

 

俺が提示した願い。それに対しての対価は相応しいはずだ。

 

「待ってくれ!何を馬鹿なことを言っている……!そんなことをしなくても、俺は君の味方だ!そもそもそんな蛮行が俺に出来るわけ……」

 

声を荒げながらそう言うディハウザーさん。だよな。ディハウザーさんならそう言うと思った。

 

「Good!」

 

俺はそう言う。

 

「きっとあなたのことだから、俺のことを慮って契約なんて結ばないと言うだろうと思った。だからこそ、そんなあなたとこの契約を結びたい」

 

「だから、そんなことは……!」

 

「でなければ、あなた死ぬ気でしょ?」

 

俺がそう言うと、眉間にしわを寄せて固まるディハウザーさん。ビンゴ。俺の勘が当たったな。

 

「さっき言った、世界の闇。相当根深いものと見た。きっと根深すぎてサーゼクスさん達すら見て見ぬふりをせねばならないくらいに。だが、それは必ずこの世界に牙を剥く。おそらくだが……その闇がクレーリアさんの命を狙った。だからこそ、ディハウザーさんは自分を犠牲にしてその闇を排しようと思っている。いわば『復讐』、或いは『報復』。そうじゃないんですか?」

 

俺がそう言うと、顔を俯かせるディハウザーさん。

 

「俺にはあなたに死なれると明日の夕飯が不味くなる自信しかないのでね、ちょいとばかり止めさせていただきます」

 

さて、とどめだ。

 

「『悪魔にとって、契約は絶対』、ですよね?ちょっとばかり意地の悪いことを言った自覚はありますよ。さぁ、どうします?これは、俺と言う最上級の魂を手に入れるチャンスです」

 

俺がそう言うと、ディハウザーさんは少し間を置いて顔を上げた。その顔は少し無理をして作った笑顔だった。

 

「君には敵わないな。これでは『皇帝』どころか悪魔の名が廃る」

 

「舐めないで欲しい。俺は『英雄』ですぞ?」

 

「「ククク……あははは!!」」

 

声を上げて笑い合う俺達。何だろう、久々に声を上げて笑った気がする。

 

「いいだろう。今日中にこちらで契約書の暫定案を書いてみる。それを君にも見てもらって、互いに落としどころをすり合わせていこう」

 

ディハウザーさんがそう言う。おお、どうやら俺のあくどい交渉はうまくいったようだ。これで、彼を見殺しにせずに済みそうだ。

 

「最悪、契約書を焼けばいい…………」

 

ディハウザーさんが何かボソッと言ったような気がしたが、聞こえなかったのだ。

 

「すまない。折角の食事だと言うのに暗い話になってしまったな」

 

「そんなことないですよ。もし罪悪感があるのなら、何か明るいお話でもしてください」

 

「そうだな」

 

笑顔が戻ったディハウザーさん。改めて見ると、ほんと美形だよな、この人。女性からもすげーモテそう。

 

「岸波君、折り入って頼みがある」

 

「はい、何でしょう」

 

俺はビーフシチューに手を付ける。うーん美味しい!

 

「君が『悪魔の駒』を手に入れたことは聞いているが……俺から君に眷属候補として推薦したいのがいる」

 

「ン!!?……マジっすか?」

 

完全に後頭部を金属バットで殴られた気分だ。ビーフシチューがのどに詰まりかけたぜ。

 

「俺の身内からなのだが、それでもレーティングゲーム第1位の俺が厳しい目で見て選んだ候補だ。この後会ってほしいのだが、時間は大丈夫か?」

 

え、マジで?この後?すげー早い展開だな。俺でなくとも見逃すよ。

 

「仕事の方はひと段落していますし、残りは自主勉強くらいだったので構いませんよ?」

 

「そうか、ありがたい。彼女らもきっと喜ぶよ」

 

ん?『彼女ら』?もしや女の子を紹介するの?え、何?俺、もしかして懐柔される予定だったの?

 

残念だったな!俺は童貞だ!体は渡しても心までは渡さんぞ!

 

かくして、俺達の食事会は少しずつ進んで行った。正直、ディハウザーさんを信じすぎていると言われたら何も言い返せないけど、いいだろう。この人は悪い人じゃないって分かるし。

 

Side out




今回の話がいずれ地獄を作ると信じて(ニチャア)

気が付いたら99話なんですけど、これって前作で言うと9章に値するんですよね。仮に0章でのああだこうだを抜いたとしても8章になるか否か。流石に引っ張りすぎたと反省。
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