もしも地質ガチな俺が地学部に入ったら【恋する小惑星if】 作:Takuma218
「なるほど、それで小惑星を探しているのか」
「そうだよ~。一緒にあおの星を見つけようって、約束したんだ」
俺はみらに小惑星を探している訳を聞いていた。
みらは小さな頃にキャンプであおと出会い、あおから自分と同じ名前の星、――くじら座の変光星ミラ――があることを聞いたという。でもあおという星が無い事を知ったみらは、一緒に星を見つけて「あお」という名前をつけようと約束したそうだ。
「いつ聞いても良い話よね~」
すずちゃんが頬に手を当てて、しみじみと言う。
「でも星を見つけるなんてできんのか?」
「小惑星ならできると思う。高校生が見つけたという実例もあるし、今でも続々と発見されている」
須賀の疑問にあおが答えた。
「小惑星探索かー。昔どこかでそんな話を聞いた覚えが…、」
「なに!?何か知ってるの!?」
俺が言いかけた瞬間、みらが目の前に迫ってきた。
近い…、思わず後ずさる。
「い、いや、聞いた覚えと言っても、小さな頃だから殆ど覚えていないし、そこまで詳しく知らないよ」
「なんだ~、情報得られずか~…」
みらがガックリとうなだれる。
「はい、そこまでね~。あんたも紛らわしいこと言わないの!」
すずちゃんがみらの肩を持って、こちらを睨んできた。
(えっ、俺が悪いの?)
あおも膨れて睨んでくるし…。
…………………………
「はいはい、それじゃあ部活始めるわよー」
桜先輩が二つ手を叩いて呼び掛けた。
「桜先輩、今日は何をするんですか?」
「ん?この前、河原で石を拾ったでしょ?
あれから標本を作るのよ。もちろん持ってきたわよね?」
「もちろん!! ……ヨイッショ」
みらが石がいっぱい入ったバッグを重そうに持ち上げ、ゴトリと音を立てながら机に置いた。
いつの間にあんなに拾ってたのか…。
他の部員も机の上に石を並べる。
桜先輩とイノ先輩と俺で、各々の机にラベルを配った。石の名前、産地、発見者名、発見年月日を記入する紙だ。
「石をただ拾ってきただけじゃ、標本とは言えない。その紙…、ラベルと言うのだけど、それに石の名前、採取した場所の記録を書いて、石と一緒に標本箱に入れること。それで初めて標本として成立するわ」
桜先輩はラベルを一枚掲げながら説明した。
「ラベルの付いていない石は標本とは呼べないわ。それはただの石であって、ゴミよ」
ゴミ…。
部室が凍りついた。
「わーわー!!
標本としての価値が無くなるというだけであって、飾って眺める分には問題ありませんからね~!」
イノ先輩が手を振り回し、慌てて場を落ち着ける。
「コホン!まあ…、ちょっと言いすぎたわ…。
標本としてはラベルが必須ということよ。
それじゃあ、気を取り直して始めるわよ」
改めて桜先輩から号令がかかり、作業が始まった。
皆、図鑑を開いたり、地質班の三人に質問しながら記入していく。
そして早速みらが質問した。
「桜先輩!」
「何かしら?」
「これ何ですか?」
「これは…、チャートね」
「桜先輩!」
「今度はなに?」
「ラベルが足りません」
「そんなに拾って来るからよ。全部書かなくても、これぞと思う石にだけ付ければ良いのよ」
「でもラベルの無い石はゴミなんでしょ?」
「それは悪かったって…」
ジト目のみらに、桜先輩は何ともいえない表情で目を反らした。
とまあ、そんなこんなで作業は続いていく。
…………………………
俺の方も一通りの整理が終わった。
机の上にはピンク、緑、灰色、黒と色とりどりの石が標本箱に入って並んだ。
「あら、カラフルね」
「同じ石でも色々あるんだな」
モンロー先輩と須賀が覗き込んできた。
「結晶片岩って、含まれる鉱物によっていろんな色になるんですよね。
例えばこのピンク色が紅レン片岩、緑が緑泥片岩、灰色が絹雲母片岩、黒が石墨片岩だね」
結晶片岩について説明したけど、少し早口だったかな?
「おまえ、よくそんなにスラスラ出てくるよな。正直俺には呪文みたいにしか聞こえなかったぜ」
俺の説明に引いた様子の須賀の横で、モンロー先輩がくすりと笑った。
「フフッ、好きなことだといくらでも覚えられるものね」
「そういうもんスかね」
「おっ、集めたわねー」
そこへ桜先輩がやってきた。
「結晶片岩はコンプリートした感じ?」
「そうですね。あの河原にあった石は一通り揃えたと思います」
すると桜先輩は人差し指を振って、「チッチッチッ」と舌を鳴らした。
「甘いわね。あの河原にはこんなものもあるのよ」
桜先輩が石を出すと、深い黒に緑がまだらに交わり、油を塗ったようにヌメヌメと輝いていた。
「これは…、
「そうよ。」
桜先輩がドヤ顔で笑う。
「こんなものも落ちてたんですか」
「あの川の上流には
(よし次は探そう)
その時、部室に声が響いた。
「桜せんぱーい!これどう思いますか~!」
イノ先輩が呼びかけた。みらが見つけた石に、不思議な模様が出ているらしかった。
説明を聞いた桜先輩が早速石を見てみると、その石は割れた断面には、まるでシダの葉のような模様が見えていた。
「うーん。これは
「なんだ~、少し残念…」
桜先輩の言葉に、みらは少し気を落とした。
ところが…、
「ん…?なんだこれ?
ケンジ、ちょっとこれ見てくれない?」
そう言いながら桜先輩が石を差し出した。見ると灰色の泥岩にシダのような模様の忍石が見える。
「この石なんだけど、忍石の横に光る点のような物が見えるのよ。あんたはどう思う?」
「えっ!?何々?」
桜先輩が考え込む横で、みらが身を乗り出した。
桜先輩の指差した辺りをよく見ると、僅かに黒光りする部分が見えた。
ルーペで見ると、黒い小さな板のような破片と、細い光る破片が見える。
「うーん…。植物にも見えますし、虫の化石にも見えます。でもそれ以上は何とも…」
虫という言葉を口にした瞬間、あおがビクッと反応した気がした。もしかして虫嫌いか?
「アタシも化石は見慣れていないから、わからないわ。
ダメ元で顕微鏡でも使ってみる?」
桜先輩が提案するとみらが少し考えるように顎に指を当てた。
「顕微鏡かあ…。えっと…、スライムガラスにワニガラスだっけ?」
……?
その場にいた全員の頭にハテナが浮かんだ。
そこへ、あおが額を押さえながら言う。
「みら…、多分それはスライドグラスにカバーガラスだよ…」
「へっ…!?
あっ、それそれ~!!」
みらは真っ赤になった。
……? どうしてそうなる?
スライドグラス
↓
スライムガラス
……まあ、ここまではまだわかる。
問題は次だ。
カバーガラス
↓
カバガラス
↓
ワニガラス
ああ…、なるほど…ってなるかぁ!!
どんな珍回答だ!!
「気にしないで、誰にだって間違いはあるよ」
「そうよ!そんなみらもかわいいわ!!」
顔を押さえて悶絶するみらに、あおとすずちゃんが肩に手を置いて励ました。
まあ、これがテストじゃなくて良かったな。
桜先輩は「何やってんだか」と呆れつつも、顕微鏡の準備を進めた。
「残念ながら、今回の顕微鏡にスライドグラスもカバーガラスも必要ないわ!」
皆の注目が顕微鏡に集まる。
桜先輩が机の上に置いた顕微鏡は、接眼部が二つ並び、レンズの下には広い観察台がある。
「これは
桜先輩が顕微鏡の横で胸を張った。
「この顕微鏡、覗く部分が二つあるんですね?」
「そっ。覗く部分が二つあるから双眼。双眼鏡と同じね。
二つの目で見ることができるから、拡大した物を立体的に見ることができるの」
すずちゃんの質問に、桜先輩は双眼鏡のジェスチャーをしながら答えた。
「まあ論より証拠。まずは見てみましょ!」
すると桜先輩は早速、観察台に石を置き、接眼レンズを覗きながら位置を合わせ、ピントを調節した。
流石、手慣れてるなー。
「はい、どうぞ。合わせたわよ」
「ありがとうございます!!」
桜先輩はまず、みらに譲った。
「むむっ…。おー…」
「どう?」
レンズを覗き込むみらに、あおが声をかける。
「うーん…。ジグザグしたのが…枝分かれしてて…、本当に葉っぱみたい…」
あの感じは見てみないとわからないもんな。
みらは席を立つと、今度はあおに譲った。
「どれどれ…。確かに化石に見える…」
気持ちはわかるけど、違うんだよな~これが。
その後もすずちゃん、モンロー先輩、イノ先輩と見て、俺の番が回ってきた。
接眼レンズを覗き込むと、灰色の泥岩にシダや針葉樹の樹枝のような黒い模様が見える。これは忍石だ。
ちなみにこのように拡大しても同じようなパターンが続く模様をフラクタルという…、って誰に話しているんだ…。
まあいい…。とにかく目的はその隣の黒光りする物体だ。
位置を合わせ、ネジを回してピントを調節する。
見えたのは黒い円盤状の物体だった。少し欠けているが、表面に同心円状の縞模様が見える。まるで木の年輪のような…。
「桜先輩はどう思います?これ」
「そうねー。虫や植物の葉っぱにしては、その模様が気になるのよね」
「泥岩だし、この形に同心円…植物の葉脈とは違う形ですよね。
可能性があるとすれば魚の鱗…、でしょうか?」
「それは私も思ったわ。でもこれ以上はわからないから、今度博物館で見て貰った方が良いわね」
「化石かもしれないってことですね!!」
まさかの発見に喜ぶみら。
まだわからないけどね。
「さて、せっかく顕微鏡を出したのだし、他にも色々見てみましょ!」
桜先輩が意気揚々と石を持ち出した。
なんかこの流れ、この前の望遠鏡を思い出すな…。
まずは結晶片岩。
整然と並んだ雲母が反射して光り、色のもととなる鉱物の粒が点在する。様々な色の石を一つ一つ見ていく。
「拡大するとますますキラキラ!!」
みらが目を輝かせる。
「でも覗いてると腹減ってくるんだよな。緑とかピンクとか、ふりかけに見えて」
「確かに」
須賀の呟きにみらが喉をならした。
まあ、見えないこともないか…。
「次、これ見てみたい!!」
みらが持ってきたのは、ベージュに茶色の縞々が付いた丸い石。砂岩だろうか?
みら曰く、「木星みたいな石」だそうだ。確かにそれっぽい。
拡大すると、まさに砂の塊といった見た目だった。白い、砂糖の塊のような質感の中に、所々茶色の層が見える。
「うーん…。あんまり木星って感じじゃないね。ガスっぽくないし」
「そうだね。ガサガサしてる」
「でも大赤斑っぽい部分は、茶色の縞が入っててそれっぽいかも」
みらとあおが感想を言い合っている。
やっぱり天文班としては、星っぽさが気になるらしい。
「それは砂岩だから、砂が固まった石ね。白い石英の砂が降り積もって、その間に鉄を含んだ層が入って茶色の縞ができた、という訳よ」
「へー、そうやってできたんですか」
「あの川の砂岩だと大体、1000万~1500万年前かしら」
「そんな事までわかるんですか!?」
桜先輩の解説にみらが驚きの声をあげた。
「大体だけどね。あそこらの地質は調査されているから。
それに…、イノ!」
「はいです!!」
桜先輩はどこかソワソワした雰囲気のイノ先輩を一瞥すると、声をかけた。
するとイノ先輩は張り切って飛んでいき、引き出しから一枚の折り畳まれた紙を出す。
机に広げると、それは様々な色で彩られた一枚の地図だった。この辺り一体のかなり広い範囲が入っている。
「わっ!かわいい地図ですね!」
「そうでしょ!!これは地質図と言って、どこにどんな石が分布しているか、色分けされた地図なのですぅ!!」
反応するみらに、イノ先輩は喜んで答えた。いつもよりテンションが高い。
「例えばこの赤い部分が
イノ先輩は一つの、白に暗緑色の結晶が混ざった、ワカメおにぎりのような石を地図の赤色の上に置いた。
「次がこの青い部分!ここには結晶片岩が分布しています。川の上流辺りに青色が多いでしょ!河原に結晶片岩が多かった理由がこれです!」
すると今度は地図の青色の上に4種類の結晶片岩を置いた。
「この水色や薄い黄緑色の部分は
みらちゃんが見つけた化石や、その『木星みたいな石』も、このどこかから流れて来たのでしょう!」
その後もイノ先輩は地図の色と、そこに分布する石を説明し、地図の上に石を置いていった。
そして話が終わる頃には、机の上には石の地図があった。
「これは壮観ですね」
思わず呟くと、イノ先輩は誇らしげに胸を張った。
「凄い!!まるで小石の地図ですね!」
みら達も興味深そうに覗き込んでいる。
イノ先輩は石の地図を満足そうに見渡すと、改めて皆に向き直った。
「石って小さく見えるんですけど、実は地形とすごく関係しているのです!!
柔らかい岩石は削れて低くなりますし、断層のある場所は壊れやすくて、侵食されて谷になりやすいのです!!
それに火山があった場所には溶岩の岩石があって、その熱や圧力の影響で、周りの岩石が変成することもあるのですよ!!」
一息ついてから、イノ先輩は続けた。
「つまり岩石を見れば、昔その場所で何があったかある程度わかるのです!!
河原の石は色々な場所から集まっているので、その地域の地質をぎゅっと集めた縮図なのです!!」
天文班は感心したように聞き入り、桜先輩も満足げに小さく頷いた。
同じ河原の石でも、出どころは全部違う。
それをこうして並べると、一枚の地図になるのか…。
(それにしてもイノ先輩、本当に地図が好きなんだな)
話が終わるとイノ先輩は少し赤くなって、照れ臭そうに頭を掻いた。
「あはは…。ちょっと語りすぎちゃいましたね」
「いえ、何気なく見ている河原の石にそんな意味があったなんて驚きました」
「そーですよ!!次に河原に行ったときは、どこから来たのかも考えてみます!!」
あおとみらの言葉を聞いたイノ先輩は嬉しそうにはにかんだ。
最後に、あおの要望で河原で見つけたあの水晶を見ることになった。
桜先輩が顕微鏡を覗き、静かに位置を合わせる。
ピントを探るように、指先がゆっくりとネジを回した。
しばらく無言のまま観察していたが――やがて顔を上げ、満足げにこちらを見た。
「……これ、期待していいわよ」
桜先輩に促され、あおが椅子に座る。
皆が注目する中、そっと接眼レンズを覗く。
一瞬息を飲み、そして少し息を吐くと一言、
「きれい…」
そう、呟いた。
あおはその後しばらく夢中で顕微鏡を覗いていたが、やがて満足したように静かに席を立った。
その後はみらやモンロー先輩たちも次々と覗き込み、その度に「すごい…」「本当に光ってるみたい…」と、小さなざわめきが広がった。
そして俺の番…。
接眼レンズに目を当てると小さな結晶が見えた。
針のように細いけれど、形はきちんと六角柱状で水晶だとわかる。内部もよく透き通って、所々虹色に反射した。
河原であおが見つけた石。その中に、こんなにきれいなものがあったのか。
(これは本当に宝物だな…)
全員が見終わった後も、その話題は水晶で持ちきりだった。
「本当に綺麗だったね!!あの水晶!」
「ホントよね。ああいう石って売っているものしか見たことないわ。河原で拾えるものなのね」
みらとすずちゃんが顔を見合わせる。
「河原で拾えるものとしては、かなり綺麗な方だと思うよ。普通はもっと鉄さびなんかで汚れているし」
「そうよね。水晶って最初は鉄さびや汚れが付いていることも多いし、薬品処理で綺麗にすることもあるわ。最初からあれだけ澄んでいるのは、かなり運がいい方ね」
あおは俺や桜先輩の話を聞きながら、もう一度顕微鏡で水晶を見ていた。
そして観察しながら呟く。
「これって小さくても、拡大するとちゃんと水晶の形なんですね」
「そうよ。結晶が育つ条件で多少の違いは出るけど、基本の形は同じなのよ」
桜先輩の言葉は淡々としていたが、その目は少し楽しそうだった。
「あの水晶ももっと時間を掛ければ大きくなれたかもしれませんね。いわば“水晶の赤ちゃん”でしょうか!」
「赤ちゃんか~。なんだか益々愛着湧いちゃうな~」
イノ先輩とみらが笑い合う。
「ところで水晶って、成長するのにどれくらい掛かるんですか?」
すずちゃんが桜先輩に顔を向けた。
「う~ん。温度や圧力なんかの条件があるから一概にはいえないけど、そのサイズでも短ければ年単位、長ければ何百年、あるいはもっと掛かることもあるわね」
「何百年…」
「でも、もっとすごいのはそこからよ。そうやってできた石が、岩の中にあって、
「数十万…、数百万…」
「ちなみに、巨大な水晶ができるような地質作用そのものは、もっとずっと長い時間で進むこともあるのよ」
「……」
すずちゃんは言葉も出ないようだった。
ちなみに他の地学部メンバーは静かに頷いている。まあ数億年や数十億年を扱う地球や宇宙の時間スケールからみたら、そんな反応にもなるだろう。
あ……、須賀だけは遠い目をしている。
「でも、あの河原の石の中に、数十万年も旅してきた水晶や、何千万年も前の生き物の痕跡が混じっているかもしれないなんて、面白いわね」
モンロー先輩の言葉に、イノ先輩がうんうんと何度も頷いた。
「そうなんですぅ!! 河原の石って、ただ転がってるように見えても、一つ一つ全然違う場所から来ていて、その一個一個に、とんでもなく長い歴史があるんですよ!!」
「……星みたい」
ふいに、あおが小さく呟いた。
「え?」
「星だって今見ている光は遥か昔のもので、調べると色んなことを知ることができる。それって石も同じなんだなって…」
その言葉を受けて、みらがぱっと顔を上げる。
「そっか! 石って小さな星みたいなものなんだ! それがたくさん集まってるあの河原って、まるで銀河みたいだね!!」
その言葉に、部室の空気がふわりと和んだ。
桜先輩も「何よそれ」と呆れたように呟きながらも、どこかまんざらでもなさそうだ。
石が星で、河原が銀河。
みららしい、ずいぶん大きな例えだと思う。
けれど、顕微鏡の中で光っていたあの小さな水晶を思い出すと、不思議としっくりきた。
その後もしばらく、部室では石の話が尽きなかった。
「石オタクに星オタクに地図オタク……我ながら、とんでもない部活に入ったかもしれねえな」
石の話題で盛り上がる“オタクたち”を眺めながら、須賀が苦笑混じりに呟いた。
それを聞いていたすずちゃんが、すっと隣に立つ。
「あら、やめるなら今のうちよ」
「馬鹿言え。誰がやめるかよ」
「あっそ。ざーんねん」
ニヤリと返す須賀に、すずちゃんは澄ました顔で肩をすくめた。