何かに対し感情をむき出しにすることは関心であるため、裏とはその関心を抱かないこと
つまり無関心である。
目を逸らす
揺れ動くバス、その中で体を揺らす振動に身を任せながら私は座席に身を預けていた。
少し前までは不安でいっぱいだった心もいつの間にか落ち着きを取り戻してきていた。
始めはヴェルギリウスから失態への追及があったがそれも終わり、
今ではロージャのため息と、良秀の煙草に火をつけるライターの音だけがバスの中に響いていた。
最初は暗い顔をしていたシンクレアや過去の光景と向き合ったグレゴールも少しずつ顔色がよくなり始めている。
そうして少しずつ支部に向かう前のバスの雰囲気へと場が戻り始めていた。
そんな中で私は少しずつ鎮まった思考で今回の出来事を振り返る。
私の介入によって変わった三つの問題。
一つ目はホプキンスの死、彼は本来あの場所で死ぬキャラじゃない。
とは言え作中では明言されていないだけでどこかしらで死を遂げている可能性がある分いくらかマシだ。
二つ目はアヤの死、彼女は...死亡時期がズレたと言った方が良いかもしれない。
本来であれば死ぬはずだったところで死ななかったため、
彼女はユーリに代わって幻想体に食われて死んだ。
自分の勝手で救い出しておいて結局死なせてしまった。
彼女の死がどうあがいても救えないものだったのだろうか?
それはありえないだろう、もしそうならユーリはあの場で死んでいるはずだから。
そうでなかった以上、彼女を死なせたのは私の怠慢だろう。
もっと積極的に救いに行けば、彼女だけでも助けられただろうに
次に、三つ目は.....ユーリの生存だ。
本来であれば死んでいたものの生存。
これがこれから先にどのような影響をもたらすのか、
あの後彼女は死んだのか、それとも生きているのか、もし生きていたらどうなったのか
そう言ったことが頭の中を駆け巡っては消えていく。
自分の力で運命を変えられるって証明したいがために他者を救い出し、
その果てに運命を覆したというのに、私は不安に苛まれている。
今になって原作を改変した後の未来に対して恐怖し始めたのだろうか?
.....多分違うような気がする。
それならなぜユーリが生きた事実に対して固執しているのかの理由にならない。
私は私の心を埋め尽くす感情を整理できていない。
アヤを助けたいと思ったのは確かだ、私は彼女を助けたいと願った。
しかし彼女は死んで、ユーリが生き残って.....ずっとその結末だけが私の心に引っかかっている。
何故だろうか?
アヤが死んでユーリが生き残ったあの瞬間...私は.....
次の瞬間周囲の状況にさえ目も向かないほど思考の海に沈んでいた私は突如として大きく揺れ出したバスによって大きく転げ落ち、全身を壁や床に叩きつけることになった。
「ウグェッ....何が?」
痛む体を起こし周囲を見渡せば他囚人たちも似たような状況になっているようで各々起き上がり次第罵詈雑言が投げ交わされる。
こんなシーンあったっけな?...いや、2章の始まりがこんな感じだったような...?
原作知識があると言っても細かいところや印象の薄いところはあまり覚えていないせいでこんな出来事があったことなんかすっかり忘れていた。
.....というか2章の印象が全体的に薄い。
ざっくり思い出すだけでもエピとソードの初登場、ダンテのジャックポット、シンクレアダンス、良秀の暴言講座、ジェネリックティファレト、ソーニャの印云々ぐらいしか記憶にない。
その内容でさえはっきりと覚えていないほど私の記憶に残っていない。
なぜこんなにも2章の内容が記憶に残っていないんだ?.....単純に他章よりインパクトが薄いからだろうけど。
しかし、それは言いかえれば1章と違ってはっきりと自体を把握できないという事だ。
どんな敵がいるのか、どんな幻想体がいるのか、それは分かるけどそこまでの流れが不明瞭なせいでどう動いたものかがいまいち思いつかないのだ。
だけど、これはこれで良かったかもしれない。
下手に物語へ介入し、その結果起きた出来事に苦悩しなくて済むから。
私は今だ痛む体をさすりながら開いたバスの扉に向かって歩みだす。
今回は...何もしなくてもいいだろう。そんなことを考えながら
―――
下車直後、ファウストから封筒が渡される。
「計画をご説明しますね。」
囚人全員に封筒が行き渡ったのを確認したファウストがこれからの計画についてを語り出す。
内容はカジノに行くために私たちは三つのチームに分かれるというものだった。
そう言えば確かにそんな話あったな、なんてことを考えながらファウストの案内に続くままに通りを歩く。
確かこの後にエピとソードに会うんだったかな?
そうしてしばらく歩いて一つの質屋へと入っていく。
「おや、どんさか入り過ぎじゃぁないのかぇ?タダでさえ狭い店だってのに...。」
「トランプでもやりますかぇ、それとも麻雀でもやりますかぇ?」
入店した私たちを出迎えたのは質屋の店主のみで肝心の合流相手はまだ姿が見えなかった。
とはいってもこの後すぐに出てくるだろうけど。
そんなことを考えながらぼんやりと眺める光景で繰り広げられる囚人たちの絡みを
そんな話もあったなぁなって考えながら見つめていた。
「.....のがあなたの運命だなんて。私も次にはそんな運命で生まれることを願わないとですね。」
そんな時ふとイシュメールの言葉が耳に入った。
運命か...
「アイリスさん、随分と静かですね。大丈夫ですか?」
「ぅえ?」
運命という言葉を反芻していた私の背後からシンクレアが話しかけてきた。
声を掛けられるなんて思ってもいなかったせいで思わず変な声が漏れてしまった。
「特に問題はないよ?」
「そうですか?前は他の皆さんの話に良く加わったりしていたのに、今はそんなことをしていないじゃないですか?」
「それは...まだ少し整理がついてないからかな」
シンクレアの問いに私は曖昧に答える。
正直なところこれからの話に介入したくないだけなのだが、それを言うのはさすがにはばかられる。
整理がついていないことも別に嘘ではないが、
アヤの死については自分の中ではすでに完結しているため、大きく悩む要因ではない。
問題なのはユーリの方だ、これがずっと引っかかっている。
なぜこんなにも引っかかっているのか、全く分からない。
それでも一つだけ確かなことがある。
この苦悩は私の行動によって齎されたという事だけ、そして私はそれを受け止めたくないのだ。
だから今回は今のように苦しみたくないために介入を避けているのだ。
「...アヤさんのことですよね、僕もまだあの出来事に整理がついていないところもあります。」
私の言葉にアヤのことだと思ったシンクレアが同調するように声をかけてくれるが
彼と私の悩むところは別にあるため、共感は出来なかった。
優しく微笑みかけるシンクレアを横目に、私はただ事態が流れるのを待ち続けた。
アヤの死だって嘆いても仕方ないし、ユーリの件も考え続けたところでどうにもならない。
未だ引っ掛かりはあるけど、すでに過ぎ去った話をどうにかすることなんてできないのだから。
ただこれ以上同じような苦悩を増やさないために、何もしないこと
2章だけの話じゃない、3章、4章とこれから先ずっと...何もしないでいい。
ただそんなことだけを考え続けた。
前回投稿からとうに2週間が過ぎ去ってしまったよ。
閑話を書こうと思ったけど、特段何も思いつかなかったよ。
日常会話を書こうにも囚人たちとの仲はまだまだ良好とは言い難いし、人格ストーリーを書くとしてもアヤ人格は本編中に出してしまったしでそこまで長いものが掛けなかったよ。
まぁアンケートで次話以降出るだろう恒常人格決めてからでいいかなと思い本編を多少短めながらも書きました。
話は変わりますが、実は4月から社会人となりまして
これから先の更新頻度がぐんと落ちることになると思います。
1、2週間に一本投稿したいと考えていたけど、難しそうで俺、涙が出そうだよ...
今の環境に慣れれば仕事終わりとかにでも書き進めて、投稿してとかできるようになると思います.....多分。
これからも1、2週間どころか3週間も投稿無しなんてことが度々起こるかもしれませんが、
寛大な心でお許しいただけますと幸いです。
第1期アイリス恒常人格(投票数が多いものから順次登場させる予定)
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