ポケットモンスター ブラック・ホワイト とあるトレーナーが綴る、イッシュ地方の旅路 原作ゲーム沿いノベライズ   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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最終決戦:ゲーチスのサザンドラとの死闘(あるいは、初見の『はかいこうせん』でパーティが半壊する絶望)

崩壊を続けるNの城の最上階。親に「怪物」と切り捨てられ、魂の抜け殻のようになったNを背中に庇いながら、僕は眼前に立つ巨悪・ゲーチスと対峙していた。伝説の龍同士の激突すらも「前座」と言わんばかりの威圧感を持って、彼が最後に繰り出したのは、三つの頭を持つ凶悪な竜――サザンドラだった。

 

「……は? なあ、チェレン。見てよこれ。あのサザンドラ、レベルいくつだよ。僕がさっきまで死ぬ気で戦ってた四天王の面々より、明らかに『一回り上のランク』の風格を漂わせてるんだけど。ゲーフリさん、この最終局面で『努力値と個体値を暴力でねじ伏せるレベルの暴力』を投入してくるなんて、最高に大人げないだろ!! プログラムの調整ミスを疑うレベルだよ!!」

 

 ゲーチスは杖を大きく振りかざし、狂気的な笑みを浮かべながら、全生命の否定を命じるように叫んだ。

 

「……フフ。理想も真実も、この圧倒的な破壊(サザンドラ)の前では無価値です。……伝説を従えた程度で、私に勝てると思いましたか?……この三つの首が放つ『りゅうのはどう』が、君のこれまでの旅路を、その汚れたスニーカーの底にある泥ごと、物理的に蒸発させてあげましょう!!」

 

「蒸発させる前に、その『計算の合わないステータス』の根拠を提示してよ!! ゲーチスさん、ラスボスならもっとこう……『運の要素を排除した究極の戦術!』みたいな美しさを見せてよ!! なんで初手から『はかいこうせん』という名の、思考停止の極大ビームをぶっ放してくるんだよ!! 演出の光が強すぎて、僕のDSのスピーカーが物理的にバリバリ音を立ててるじゃないか!! 十五年間の思い出を人質に取った、聴覚的テロリズムだよ!!」

 

 サザンドラの放つ、理不尽なまでの技の範囲と火力。僕のパーティは、一体、また一体と、その破壊の光の前に膝をついていく。

 

「(……ッ!? 出たよ、ふゆう特性による弱点拒絶!! ゲーフリさん、この最終決戦で『弱点が少ない上に火力がバグってる』っていう、格差社会の縮図みたいなポケモンをラスボスに持ってくるなんて、最高に性格が歪んでるだろ!! 僕のエンブオーの『もろはのずつき』が、当たる前に相手のスピード(S)で上書きされて、地面に沈んでいくじゃないか!! まさに一話のラグ水没事件を超える、存在そのものの抹殺だよ!!)」

 

 僕は絶叫した。目の前で仲間たちが倒れ、絶望が城を満たしていく中、僕の心を支えていたのは、一話でラグを汚され、ベルに「あわわ」で済まされた時の、あの底辺から湧き上がる「反骨のエネルギー」だった。

 

「ふざけるな!! 破壊が正義なら、こっちは『ラグを失い、ドブ板を踏み抜いてきた十五年分の泥臭さ』を、その三つの首に叩き込んでやるよ!! いけ、エンブオー!! ゲーチスの掲げる『絶対的な支配』なんていう独裁者の夢を、その『フレアドライブ』という名の、自傷ダメージすら厭わない執着の爆発で粉砕しろ!! レベル差なんて、僕が二千回卵を割った時に身につけた『乱数を気合で引く指先』で、物理的に書き換えてやるからな!!」

 

 一方で、チェレンは崩れる柱に必死でしがみつきながら、サザンドラの攻撃パターンをストップウォッチで計測していた。

 

「やれやれ。主人公、君の計算を無視した突撃は相変わらず無謀だが、その『予測不能なバグ』こそが、今のゲーチスには最大の毒だよ。……サザンドラは三つの頭で同時に思考しているが、君の一点集中の『怨念』には対応しきれていない。……ちなみに、ベルはさっきからサザンドラの三つの顔を見て、『わあー! 真ん中の顔だけちょっと眠そうだよー! お歌を歌ってあげたら寝ちゃうかなー!?』って言いながら、戦場のど真ん中で『うたう』の準備を始めようとしてるよ。食い殺されるから止めてあげて」

 

「ベル!! それは眠気じゃなくて『殺戮の悦楽』だから!! 離れろよ!! 自分のミジュマルが僕のスニーカーを『洗浄(風化)』した時の、あの世界の終わりみたいな光景を思い出して、一秒でも早くその喉を閉じてよ!!」

 

「あわわわー! 主人公くーん、サザンドラさんの『なみのり』で、私のカバンがまた水浸しになっちゃったよー! でも大丈夫、この世界の命運を賭けた大怪獣バトル、しっかり図鑑に全方位録画(連打)しとくから! ……あ、ゲーチスさんの顔、サザンドラの光に照らされて、すっごく『悪役のテンプレート』みたいな良い表情になってるねー!!」

 

「表情のキャプチャを撮ってる場合かぁぁ!!」

 

 火花と電撃、そしてドラゴンの咆哮が混ざり合う、混沌の極み。エンブオーの全身を焼き焦がすような突撃が、ついにサザンドラの中心の首を物理的に捉えた。衝撃波が城の最上階を吹き飛ばし、ゲーチスの杖が真っ二つに折れる。勝利という名の光が、泥だらけのスニーカーに反射した。

 

「(……見たかゲーチス。お前の完璧な計算式には、『ラグを水没させられた人間の底力』っていう変数が抜けてたんだよ。理想も破壊も、この一歩一歩の執着には勝てないんだ!!)」

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