ポケットモンスター ブラック・ホワイト とあるトレーナーが綴る、イッシュ地方の旅路 原作ゲーム沿いノベライズ   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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ハンサムの依頼:逃げた七賢人の追跡(あるいは、シリアスな展開なのに、ハンサムさんの潜入スキルが独特すぎて笑ってしまう瞬間)

決戦が終わり、平和が戻りつつあるカノコタウン。僕が自室で「せっかく伝説の龍を従えたのに、結局このラグは濡れたままだな……」と、十五年前から続く喪失感に浸っていたその時。部屋のカーテンの裏から、あまりにも不自然な膨らみを持った人影が、トレンチコートを翻して飛び出してきた。

 

「……は? なあ、チェレン。見てよこれ。僕の部屋の窓から不法侵入してきたこのおじさん、誰だよ。国際警察っていうか、完全に『学芸会の劇で、木の役をやるはずが目立ちたくなって前に出てきちゃった不審者』にしか見えないんだけど。ゲーフリさん、この物語の締めくくりに、こんな物理的に職質不可避なビジュアルのキャラをぶっ込んでくるなんて、シナリオのバランス感覚がバグってない!?」

 

 彼の名はハンサム。世界を股にかける国際警察の捜査官だという。彼は鋭い(ように見える)眼光で僕を見据え、その手に持った「すごいつりざお」をまるで特殊警棒のように構えながら、世界の裏側を語るような低い声で囁いた。

 

「……フフ。おっと失礼、驚かせてしまったかな。私は国際警察のハンサム。……Nの城の崩壊と共に、各地に散った『七賢人』……。彼らは今もなお、理想と真実という名の残り香を振りまき、逃亡を続けている。……君のその泥だらけのスニーカーに刻まれた、修羅場の記憶を貸してほしい。彼らを物理的に包囲し、イッシュの法の名の下に確保するのだ」

 

「確保する前に、その『カーテンに擬態するのを諦めた立ち居振る舞い』をどうにかしてよ!! ハンサムさん、捜査官ならもっとこう……『衛星からの監視と最新ガジェット!』みたいなプロフェッショナルな連携を見せてよ!! なんで僕の部屋の棚の陰から『実はさっきからずっと見ていたよ』って、物理的なストーカー行為を自白しながら依頼してくるんだよ!! ゲーフリさん、このおじさんの潜入スキル、もはや『存在そのものが目立つ』っていう逆説的な高度技術じゃないか!!」

 

 ハンサムさんは聞く耳を持たず、部屋の隅にある僕の水没したラグを、なぜかルーペで丹念に調べ始めた。

 

「(……ッ!? 出たよ、迷宮入りの鑑識能力!! ゲーフリさん、この最終盤で『七賢人探し』っていう、イッシュ全土を駆け巡る特大のサブイベントを発生させるなんて、最高にやり込み要素を押し付けてくるだろ!! 僕のエンブオーも、このおじさんの異質なオーラに気圧されて、鼻息を止めて死んだふりをしてるじゃないか!! 十五年間の思い出を人質に取った、捜査協力という名の強制労働だよ!!)」

 

 僕は絶叫した。このおじさんに協力するということは、せっかく戦いが終わってラグを干そうと思っていた僕の休日が、再び泥沼の追跡劇に物理的に塗りつぶされることを意味していたからだ。

 

「ふざけるな!! 七賢人を追うなら、まずは僕のラグを水没させたミジュマルの飼い主(ベル)を、重要参考人として最優先でマークしなよ!! ハンサム!! お前の掲げる『世界の平和』がどんなに壮大でも、そのコートのポケットからパンの耳がはみ出してる時点で、シリアスな雰囲気が物理的に崩壊してるんだよ!! 国際警察だからって、僕が二千回卵を割った時に身につけた『獲物を一歩も逃さない不眠不休の執念』を、安く買い叩けると思うなよ!!」

 

 一方で、チェレンは研究所からわざわざ駆けつけ、ハンサムさんが持ってきた逃亡犯のリストを奪い取り、効率的な捜査ルートをホワイトボードに書き込み始めていた。

 

「やれやれ。主人公、君の文句は相変わらず筋が通っているが、この依頼はイッシュの真の戦後処理だ。……法という名の数式で悪を裁く。それが、僕がジムリーダーとして守るべき世界の理でもある。……ちなみに、ベルはさっきからハンサムさんのトレンチコートの裏地に興味を持って、『わあー! このポケット、四次元ポケットみたいに何でも入るよー!』って言いながら、戦場のど真ん中(僕の部屋)で研究用の岩石サンプルを勝手に収納しようとしてるよ。ハンサムさんの腰が砕けるから止めてあげて」

 

「ベル!! それは収納スペースじゃなくて『捜査の重み』だから!! 入れるなよ!! 自分のミジュマルが僕のスニーカーを『洗浄(追跡不能)』した時の、あの足跡すら残らない空虚さを思い出して、一秒でも早くその石を出してよ!!」

 

「あわわわー! 主人公くーん、ハンサムさんが『コードネーム:ラグの英雄』って、勝手に変な二つ名を付けて私の図鑑を登録し直してるよー! でも大丈夫、この世界規模の鬼ごっこ、しっかり図鑑の防犯カメラモードで全速録画(連打)しとくから! ……あ、ハンサムさんの髪の毛、よく見るとすっごくハードスプレーで固まってて、竜巻が起きてもびくともしなさそうだねー!!」

 

「毛髪の防御力(D)を分析してる場合かぁぁ!!」

 

 逃げ出した七人の賢者、そしてそれを追う、あまりにも頼りない(?)潜入のプロと、泥だらけの英雄たち。イッシュの空には、まだ解決すべき「現実」という名の雲が垂れ込めていた。僕はハンサムさんが差し出した「すごいつりざお(なぜこれなんだ!?)」を握り締め、新たな戦いの荒野へと、泥だらけのスニーカーで再び踏み出した。

 

「(……待ってろよ七賢人。お前たちがどこに隠れても、僕の『ラグを汚された恨み』という名の超感覚的レーダーからは、物理的に逃げ切ることはできないんだからな!!)」

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