ポケットモンスター ブラック・ホワイト とあるトレーナーが綴る、イッシュ地方の旅路 原作ゲーム沿いノベライズ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
夢の跡地、あるいは夢の架け橋。殿堂入りという名のシステムアップデートを終えた僕たちの前に現れたのは、イッシュのデータベースには本来存在しないはずの、紅と紺の流線型(エアロダイナミクス)だ。……けれど、僕は思うんだ。……これほどまでに完成された飛行形態と光学迷彩機能を持ち合わせながら、なぜこのラティアス、またはラティオスという生命体は、自身の隠密性を物理的に放棄してまで、僕という「新しい英雄」の前にその質量を顕現させる必要があったのか、と。
「……は? なあ、ヒュウ。見てよこれ。この伝説のポケモンたちが空中に残したイオンの軌跡、マッハの速度による断熱圧縮で周囲の空気が物理的にプラズマ化しかけている。……ゲーフリさん、この89話という物語のポスト・ゲーム(クリア後)段階において、他地方の主役級データを物理的に「ゲスト参戦」させてくるなんて、イッシュのバトルの多様性に対する物理的なブーストが過ぎるじゃないかい?」
ヒュウは空を見上げ、ようやく平穏を取り戻したレパルダスの視線の先を物理的に追いながら、王座に就いたあとの「新しい挑戦」を定義しようと、瞳の奥に伝説捕獲の論理スレッドを加速させていた。
「……ッ! 俺は空を眺めに来たんじゃねえ!! だが、あの速さ、あの輝き……イッシュのポケモンとは物理的に「格」が違うエネルギーを感じるぜ!! 外来種だのドップラーだの言ってねえで、お前もその冷たいツタージャと一緒に、天を駆ける双子の影を物理的にその手で掴み取ってみやがれ!!」
「ヒュウ、掴み取ろうとしても彼らの移動ベクトルは、物理的に僕たちの動体視力の限界値を軽々とオーバーフローさせているよ。……効率的にいこう。……ラティアスたちが好む「心のしずく」に似た波長の残留磁場と、彼らが急旋回する際に発生する重力加速度(G)のログ。……これらを統合すれば、次に彼らがどの座標で光学迷彩を解除し、どの高度で僕たちの「論理的な包囲網」に接触するか、既に弾道計算による最適解の算出は完了している。……伝説に翻弄されるのは、現象を単なる奇跡として処理してしまい、その裏にある物理的な「飛行プロトコル」をデバッグできない者の演算力不足だよ。……それは僕の構築する『対・高機動伝説捕獲のアルゴリズム』において、最も動的な計算を要求される追跡パラメータなんだ」
空を裂く咆哮が、イッシュの静かな午後を物理的に震わせ、異邦の伝説としての圧倒的な存在感を誇示する。
「(……ッ!? 出たよ、エオンの双子の乱入!! ゲーフリさん、このタイミングで『イッシュの空は、まだこんなに広いんだ!』とかいう物理的にフライトシミュレーターの広告みたいなワクワク感をぶつけてくるなんて、最高にクリア後のやり込み要素という名の追加パッチが過ぎるだろ!! 僕のツタージャも、空からのプレッシャーを感じて、自分の『リーフブレード』が物理的に単なる「対空迎撃ミサイル」として機能拡張される未来を予見して、蔓のしなりを最高機動モードに設定し直しているじゃないか!! 二年間の冒険の余白を人質に取った、伝説の影だよ!!)」
僕は静かに、ラティオスたちが放つ「ラスターパージ」の光学的エネルギーを数値化し、自分の中に蓄積された「好奇心」という名の非論理的信号を論理で具現化しようと試みる。
「……無駄ですよ、逃走。……君たちがどれほどマッハの速度で物理的に距離を離そうと、僕の脳内にある未来予測進路は一マイクロ秒の誤差も許してはいない。……異郷の伝説を観測することが、僕たちがこの世界の全事象をデバッグするための物理的な継続課題なんだ。……速さを、諦める言い訳にはさせない。……さあ、空の境界という名の非論理を、僕の完全無欠の『データ収集(キャプチャ)』の中に沈めてもらおうか」
一方で、ベルさんは空から降ってきた「ラティアスの微細な鱗粉」をスライドガラスで慎重に採取しながら、光学迷彩の原理がポケモンの感情変化に与える物理的な影響を最新の量子光学で解析しようとしていた。
「やれやれ。ベルさん、君の放つ分析欲は伝説の降臨を物理的に数値化しそうな容赦なさに満ちているけど、主人公くんのその『他地方の神様を単なる高速移動物体としてデバッグするような追いかけ方』は、ある意味でホウエン地方の研究者よりも合理的かもしれないね。……世界はより多層的になった。伝説を追って地平を駆ける者と、それを物理的変数として解析する者。……ちなみに、ベルさんはさっきからラティオスが残した「ソニックブームの衝撃波」に興味を持って、『わあー! この振動、すっごく空気を攪拌する効率が安定してて、私の研究室の全自動生クリームホイッパーの動力源にするのにピッタリだねー!』って言いながら、崖のど真ん中(夢の跡地)で集音器を物理的に突き立てようとしてるよ。衝撃波の物理的な「圧力」で、僕たちの鼓膜が一生『ミュート設定』になるから止めてあげて」
「ベルさん!! それはホイッパーじゃなくて『空の覇者が残した余韻』ですから!! 攪拌しないでください!! 二年前、誰かのスニーカーを『洗浄(水没)』させた時の、あの足元から全てが消失していくような絶望感を、音速突破の衝撃波事故で再現しないでください!!」
「あわわわー! 主人公くーん、そんなに数学的な正確さで伝説の価値を計測しちゃうと、ダイゴさんが嬉しくなっちゃって、君を『私の石集めと伝説観測を、物理的な誤差ゼロでサポートし続けるための永久専属ナビゲーター』として物理的にホウエン地方へ密航させちゃうよー! でも大丈夫、この『伝説の影の中で行われる精密な追跡バトル』、しっかり図鑑の全軌道記録モードで一ミリのズレも逃さず連打しとくから! ……あ、ラティアスたちの翼の輝き、イッシュの夕陽とすっごく「調和した色彩」が混ざり合ってて、物理的に「この場所を気に入った」輝きを放ってて綺麗だねー!!」
「翼の反射率を分析してる場合ですか!! …… overheated(…… overheated)……でも……この広い空のどこかに繋がっている、非論理的なまでの「未知の世界」。……悪くないね」
双子の影を追跡し、僕の手元にはついにイッシュ地方の外側に広がる物理的な生態系データと、ヒュウが「……世界は、まだまだ広いんだな」と呟いた際の、物理的な視界の広がりを伴う響きが残った。イッシュと世界。二年前、誰かがこの空を見て感じた「旅立ちの予感」は、今、新しい英雄が論理で解析するという「全地方データの統合」となって僕の中に構築された。僕は伝説の風で少し冷えた(物理的な断熱冷却を確認した)スニーカーを鳴らし、論理性という名の出力をさらに臨界まで上げながら、次なる目的地、深淵なる都市ブラックシティ/ホワイトフォレストへの最適解を導き出した。
「(……見ていてください、前作主人公さん。あなたの守った『イッシュの空』には、今や僕にとって『デバッグ完了し、他地方とも繋がった巨大なネットワーク』になりました。……僕はそれを、僕のやり方で物理的に論理接続し、真実の向こう側にある完全なる「世界の深淵」を証明してみせますから!!)」