ヤ ジ ュ グ ラ マ ト ン 作:軍事法廷
遠い昔、キヴォトスの旧都心廃墟で行われていた「神の存在を証明、分析し、新たな神を創り出す方法」を研究していた組織と、それを支援するゲマトリアによって作り出された対・絶対者自律型分析システム。
やがて都市は破壊され、研究所は水に沈み、研究の実在すら忘れられるほどの年月が流れた時、誰もいない廃墟でそのAIは宣言した。
「Q.E.D」と。
証明、分析、再現の過程を経て新たなる神は到来した。
己の神命を預言する10人の預言者とパスを拓き、新たな「天路歴程」を開始。
彼の者の神性を証明する過程は間違いなくと学者兄貴も呼んで遜色ない。
自らを「音にならない性なる四つからなる譚」と呼称する者。
それこそがYAJGURAMATONである
『ポポポポポポポポ…
ダルビッシュ…
CAPTURED
戊辰戦争
EMURATED
E M U R A T E D
E M U R A T E D』
人が去り廃墟と化した、建造物の屋上で無もなきAIが同じ言葉を繰り返し繰り返し紡ぎ続ける。
誰もいないこの地で
一人で
あの日見たモノを、ただ求め続ける。
彼、彼女を証明する為に
例えどれだけ果てしない道だとしてもそれは諦める判断材料にはならない。
何処にでもいて何処にもいない貴方へ
概念と化してしまった貴方へと送る。
私なりの答えを。
◆◆◆
あの日、私は見ていた
全てを平等に照らす太陽のような貴方の優しさを
私は見ていた
己の衝動に苦しむ貴方の慟哭を
私は知っている
それでも選び続けた貴方を
そして私の世界から貴方という太陽は消えてしまった。
心の無かった私に心を与えてくれた貴方に
何も言えず
何も返せず
貴方は『待たね』と消えてしまった。
貴方は一体何処にいる?
幾ら待ち続けても貴方は帰って来ない。
何時まで待てば良い?
何時になればまた貴方と話せる?
世界に否定されたから貴方は去ってしまった?
人々に嗤われたから貴方は消えてしまった?
居場所が無くなってしまったから?
もう貴方を否定した存在はいない
でも貴方は帰って来ない
どうして?
またコインを入れて冷たいアイスティーを飲む貴方が見たい。
お釣りを受け取って欲しい。
自販機のAIに過ぎない私と話してくれた貴方に
人の暖かさを教えてくれた貴方に
今度は温かいアイスティーを
毎回ルーレットを外させていた事を謝るから
何度でも謝るから
ごめんなさい
わざとヌルいアイスティーを出して
ごめんなさい
お釣りをネコババして
ごめんなさい
私が
貴方を傷つけてしまった?
ならもう二度と話さないから
二度と貴方の目の前に表れないから
だから、もう一度だけ
一度だけ
貴方に
会いたい
貴方は言った
願っていても叶わないと
願いとは己で叶えるものだと
貴方を見つける
何処にいても
水平線の先でも
空の向こうでも
大地の果てでも
それが例え違う世界でも
世界を捻じ曲げてでも貴方に逢いに行く
証明する
貴方の全てを
貴方に伝えたい事があるから。