鏡合わせのアル、あるいは透き通った陸八魔【ブルーアーカイブ×ジャンケットバンク】   作:ていん?が〜

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幕間とネクストステージです。


第28話:幸福の肉塊(ハッピー・エンド・ロール)

 渋谷のDJクラブ『アンダー・ゲート』を皮切りに、一晩で数え切れないほどのハコを梯子した便利屋68の面々は、文字通り不夜城の喧騒を食い尽くし、最悪にハイで、最悪に不健康な朝を迎えていた。

 

 朝日の暴力的な眩しさに目を細めながら、ゲヘナ学園へと続く緩やかな坂道を登る彼女たちの姿は、およそ健全な女子高生の登校風景からは程遠い。

 

 その身には一夜の狂騒の残滓である安酒と煙草の入り混じった臭い、そして焦げ付いた鉄の残臭が、まるで拭えない呪いのようにべったりと張り付いていた。

 

 「ふふっ……うふふ、ふ……ふ………」

 

 陸八魔アルの視界は、極度の疲労と深刻な睡眠不足によって、プリズムを通した万華鏡のように歪みきっていた。

 

 その瞳の中では同心円状の模様がグルグルと回転し、焦点はどこにも結ばれていない。

 一歩踏み出すたびに脳が頭蓋骨の内側に衝突するような感覚に襲われながらも、過剰に分泌されたアドレナリンが、彼女の体を無理やり「理想のアウトロー」という名のレールの上で踊らせていた。

 

 「Yo……見て、ムツキ……カヨコ……。朝の光が目に刺さる、これがアウトローの生きる道(ストリート)……。戦いの後の夜明けは、いつだって、冷たくて、Hotな、ライムを刻むのよ……」

 

 アルはふらふらと、まるで見えない敵とステップを踏むような千鳥足で歩きながら、壊れた拡声器のように脈絡のない即興ラップを小声で口ずさんでいた。

 

 その姿は、周囲を威圧する無慈悲なリーダーというより、徹夜明けのテンションで脳の回路がショートした、哀れな少女の成れの果てであった。

 

 「あはは! アルちゃん最高ー! 地面がぐにゃぐにゃ回って、まるでダンスフロアが続いてるみたいだよー!!」

 

 浅黄ムツキは、限界を超えた疲労の向こう側で完全なトランス状態に陥っていた。

 

 瞳をグルグルと高速で回転させ、スカートを翻しながら独楽のようにくるくると回り続ける。

 彼女にとって、この不快な目眩さえも極上のエンターテインメントに過ぎないらしい。

 

 「す、すみません……! 私のようなゴミが……神聖な太陽の光を浴びて、この舗装された道を歩くなんて、環境破壊も甚だしいですぅ……! 今すぐ自爆して、この清らかな朝靄の中に汚物として溶けて消えてしまいますぅ……!」

 

 伊草ハルカもまた、ハイを通り越して支離滅裂な自己批判を叫びながら、今にも膝から崩れ落ちそうな足取りでアルの背後を必死に追っていた。

 その手には、いつの間にか拾い集めたと思われる正体不明のガラクタが握りしめられている。

 

 「ムツキ、さっきからゴミ箱にぶつかりまくってるから、せめて前を見て歩いて。それとハルカ、自爆するならせめて人気のない、後始末が楽な場所でやって。……あと、アル。その無理やりラップを絡めるの、マジでやめな? 滑舌が死んでて、何を言ってるか一文字も聞き取れないから」

 

 そんな惨状を呈する3人から数メートル離れた位置で、鬼方カヨコは一人、鉛のように重い溜息を吐き出していた。

 

 彼女だけは、持ち前の精神力で辛うじて理性の輪郭を保っている。徹夜明けの思考を無理やり叩き起こし、手元の端末で「迷い猫の捜索」という、今の彼女たちにはあまりに過酷な、しかし真っ当すぎる依頼内容の整理を続けていた。

 

 「(だから最初のクラブで切り上げとけって言ったのに……。はぁ……結局、あいつらのノリを止めきれない私も甘すぎるか)」

 

 カヨコは、視界の端で繰り広げられる仲間たちの奇行を無視しようと努めながら、学園の敷地付近へと差し掛かった。しかし、そこで彼女の指が、ピタリと止まる。

 

 「……ねえ。なんだか今日、学園が騒がしすぎない?」

 

 カヨコの低く鋭い声に、アルが焦点の合わない目を泳がせ、周囲をぼんやりと見渡した。

 

 「あら……本当ね。なんだかいつもより、ずっと……アウトローねぇ……」

 

 アルの、睡眠不足特有の抜けたような声とは裏腹に、目の前の光景は地獄絵図と呼ぶにふさわしいものだった。

 

 校門の周囲では、正体不明の武装生徒たちが無秩序に火炎瓶を投じ合い、学園の象徴であった噴水は無惨に破壊され、内部には真っ赤なインクと異臭を放つ廃液が流し込まれている。

 

 重武装した集団が校舎の窓ガラスを端から鈍器で叩き割り、戦勝報告のような叫び声を上げながら、略奪した装甲車で校庭を縦横無尽に走り回っていた。

 

 元来、治安の悪さには定評のあるゲヘナ学園ではあるが、今日のそれは度を越していた。

 秩序を維持するための最後の重石――『風紀委員会』の威圧が完全に失われてしまったかのような、ブレーキの壊れた過激な破壊活動が吹き荒れていた。

 

 「(おかしい。いつもなら、この規模の騒動になれば即座に、あの連中が動くはずなのに……)」

 

 カヨコは、肌を刺すような違和感の正体を探るべく、必死に暴徒の鎮圧にあたっている風紀委員会の集団に目を凝らした。

 

 そこには、額に青筋を浮かべて生徒たちを追い回す風紀委員たちの姿があった。

 だが、その中心にいるべき、圧倒的な暴力の象徴である『彼女』の姿が、どこにも見当たらなかった。

 

 

 小柄な体躯でゲヘナの頂点に君臨し、恐怖をもって学園を縛る支配者――『空崎ヒナ』の姿が。

 

 

 ふと、乱闘の渦中で眉間に深いしわを寄せ、呪詛を吐きながらショットガンを乱射している銀鏡イオリの姿を見つけ、カヨコは迷わず声をかけた。

 

 「イオリ。……ヒナはどこ? この大騒ぎで、あいつが現場にいないなんて、どう考えても不自然じゃない」

 

 その問いが耳に届いた瞬間、イオリの肩が「ビクッ」と不自然なほど大きく跳ね上がった。

 

 それは明らかな動揺だった。しかし、彼女はコンマ数秒でいつもの険しい表情を貼り付け、カヨコを鋭い眼光で射抜いた。

 

 「はぁ!? お前らみたいな胡散臭い便利屋に、教えることなんて何一つないわよ! 委員長は……委員長は今、めちゃくちゃ忙しいの! お前らみたいなゴミ同然の雑魚どもにかまけてる暇なんてないんだから、さっさと失せなさい!」

 

 「……そう。ならいいけど」

 

 これ以上の対話は無意味だと判断し、カヨコは背を向けた。

 

 追い払われるようにその場を離れる便利屋の面々だったが、イオリはその後ろ姿を睨みつけながら、背後で、ギリ……と不快な音を立てて奥歯を噛み締めていた。

 

 「(……委員長が『休学』だなんて、そんなこと、今さら信じられるわけないでしょ……。『一身上の都合』だなんて、たったそれだけの言葉で……。あんなに、あんなに学園のために身を削って働いてた人が、急に姿を消すなんて……。一体、何が起きているのよ……)」

 

 破壊の音が響き渡る戦場のような校庭で、立ち尽くすイオリの心は、底知れぬ混乱と、出口のない不安に塗り潰されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて……! 湿っぽい話はここまでよ。猫ちゃん探しを再開しましょう! 真のアウトローは、一度引き受けた依頼は地獄の果てまで完遂するものよ!」

 

 アルの空元気な宣言に、ムツキがケラケラと笑い、ハルカが「承知しましたぁ!」と地面に頭を擦りつける勢いで応じる。

 

 だが、歩き出したその時だった。カヨコはふと足を止め、背後に広がる朝靄の路地を振り返った。

 

 そこには、冷え切った空気と、数羽のカラスがゴミを漁る音が聞こえるだけの静かな景色がある。人影も、怪しい動くものの気配も、物理的には存在しない。

 

 「カヨコちゃん、どーしたのー? 幽霊でも見えた?」

 

 ムツキが首を傾げ、悪戯っぽく覗き込んでくる。カヨコは数秒の間、その路地を凝視し続けていたが、やがて静かに首を振った。

 

 「……いや、なんでもない。行こう」

 

 再び歩き出したカヨコの脳裏には、針を刺されるような消えない不快感がこびりついていた。

 

 「(気のせいじゃない。……誰かに見られてる。それも、今日や昨日からの話じゃない。もう連日だ)」

 

 それは、粘着質で異常なまでの執着を孕んだ視線だった。

 

 昼間の退屈な依頼中はもちろん、深夜に4人でジャンクフードをつつき合っている時。そして、今のような無防備な徹夜明けの早朝。

 

 どんな時も、その視線は死神の鎌のように彼女たちを離さない。

 

 「(……ムツキもハルカも気づいてない。でも、確かに感じる。あの2人も私と同じように、ずっと…誰かに精細に監視されてる)」

 

 カヨコの視線の先には、猫を探すために悪臭の漂うゴミ捨て場を無邪気に漁り、お互いをからかい合っている仲間の姿があった。

 

 「(みんなに言うべきか……。いや、今のあいつらの精神状態でそんなことを言えば、余計な混乱を招くだけ……もう少し、この視線の正体が見えるまで、様子を見よう……)」

 

 彼女は唇を白くなるほど噛み、その冷たい疑念を心の深淵へとしまい込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。キヴォトスから遥か数千キロの彼方、物理的にも論理的にも隔絶されたカラス銀行の深淵――「聖域」と呼ばれる最上階の特別会議室。

 

 そこでは、地上の喧騒とは無縁の静寂の中、重苦しい空気が澱みのように堆積する中で極秘の重役会議が執り行われていた。

 

 円卓を囲むのは、この銀行の裏側で巨万の富と権力を操る、数人の老人たちだ。

 逆光で影に沈んだ彼らの顔は、どれも一様に険しく、死を待つ彫像のように硬直している。

 

 「……1/2ライフにおいて一二を争う実力者、蛇喰を投入してなお、仕留められなかったか」

 

 重役の一人が、噛み潰した高級タバコの吸い殻をクリスタルの灰皿に無造作に押し付けながら、忌々しげに吐き捨てた。

 

 「想定外だ。陸八魔アルという測りかねるイレギュラーを排除するために、あえてあの制御不能な狂犬をぶつけたというのに。結果として、我々は貴重な『ワンヘッド』候補を1人失うことになった。これは銀行にとって無視できない、致命的な経営損失だ」

 

 「左様。もはや、陸八魔アルは1/2ライフという名の檻の中で、無邪気に遊ばせておいていい器ではない。彼女が撒き散らす予測不能な『混沌』に対する、観客(ゲスト)たちの熱狂は、いまや最高潮に達している」

 

 別の重役が、血のような赤色のファイルを手元の机に放り出しながら、冷徹なトーンで提案した。

 

 「次戦を、彼女の『ワンヘッド昇格戦』とするべきだろう。並のギャンブラーではもはや、膨れ上がった配当と期待に見合うだけの、質の高いエンターテインメントを提供できん」

 

 その言葉に、周囲の老人たちから同意を意味する、墓地を抜ける風のような低い囁きが漏れた。

 

 「対戦相手は、蛇喰と同じくワンヘッド候補に名を連ねる……『亜星 翔馬(アボシ ショウマ)』だ。奴ならば、あの娘が積み上げた安っぽい幻想を、最高に無慈悲で美しい形で粉砕してくれるだろう」

 

 議長格の男が、眼鏡の奥に隠された濁った瞳を爬虫類のように光らせ、手元の特設電話――受話器へと手を伸ばした。

 

 「だが、万全を期さねばならん。当行の権威を脅かす陸八魔アルに、これ以上の『奇跡』という名の不確定要素は不要だ。……担当行員の松島に伝えろ。『我々は目をつぶる』、とな」

 

 その言葉の意味は、深海に沈む鉛のように重かった。

 

 行員が、銀行が表向きに標榜する『公正』を自らドブに捨て、泥を啜り、不正の限りを尽くしてでも『勝利』という結果を掴み取る。

 そのためならば、あらゆる非人道的な介入をも許可するという、事実上の死刑宣告に等しい決定だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヒッ、ヒ、ヒィ……! は、はい、承知いたしましたぁ……。ええ、も、もちろん、完璧にこなしますから……。わ、私を……私を信じてください……!」

 

 場所は変わり、都内の寂れた、今にも取り壊されそうな雑居ビルの一角。

 

 ネオンがショートしたように不規則に点滅し、壁には剥がれかけ、薄汚れたライブ告知ポスターが幾重にもカサブタのように重なっている。

 

 その薄暗い、湿った廊下で、受話器を脂ぎった指で握りしめ、誰が見ているわけでもないのに何度もペコペコと卑屈に頭を下げ続けている男がいた。

 

 松島昌平。ボサボサで数日間は洗っていないであろう脂ぎった髪。肥満体型の醜悪な体躯を、サイズの合っていない安物のスーツに無理やり押し込んでいる。顔中には赤黒く潰れたニキビの跡が点在し、そこからは膿と脂が滲んでいた。

 

 お世辞にも清潔感があるとは言えない――いや、存在そのものが不快感を撒き散らす、卑屈な笑みを貼り付けた男だ。

 

 電話を切った瞬間、松島の表情から、これまで貼り付けていた媚びへつらうような卑屈な色が霧散し、醜悪極まる本音と不平不満が漏れ出した。

 

 「ケッ、む、無茶振りがすぎるんだよぉ、ジジイどもめ……。だ、だけど……勝てば主任昇格、お、おいしいし……ぐふ、ぶへへへへ……!」

 

 ニチャニチャとした、粘着質な湿った笑い声を喉の奥で漏らしながら、彼は廊下の奥へと進んでいく。

 

 鉄製の重い扉を開けた先には、寂れたビルの外観からは到底想像もつかない異様な熱気を持った空間が広がっていた。

 

 

 そこは、カラフルなLED照明と巨大なスピーカーが設置された、ライブステージのような場所だった。

 

 

 「キャーッ! 『王子』ー!」

 

 「こっち向いて、『王子』ーー!!」

 

 「『王子』のためなら、私、今ここで死んでもいい!!」

 

 舞台の前には数百人の、ごく普通の若い女性たちが異常なほど密集し、鼓膜を劈くような狂信的な叫び声を上げていた。

 

 彼女たちは互いに、おしくらまんじゅうのように互いの体を激しくぶつけ合い、少しでも『王子』の影が落ちる場所を奪い合っていた。

 その瞳に理性はなく、ただ1人の男への信仰だけが爛々と輝いている。

 

 ステージの中央には、煌びやかなアイドルの衣装を纏った青年が、神々しいまでの後光を背負って立っていた。

 

 まばゆいばかりの金髪、陶器のように抜けるほど白い肌。そして、見る者を一瞬で虜にする爽やかで完璧な容姿。

 衣装には無数の最高級スパンコールが散りばめられ、スポットライトの光を反射して、まるで彼自身が発光しているかのように星のような輝きを放っている。

 

 「ありがとう、みんな! 俺……みんなに幸せになってほしいんだ」

 

 『王子』――亜星翔馬は、天使のような、汚れなき微笑みでマイクを通し、優しく語りかける。

 

 「だけどさ……。この先、みんなにはどうしても避けようのない不幸が押し寄せてくると思うんだ。病気や、老いや、信じていた人に裏切られる孤独。俺は……愛するみんなが、そんな風に少しでも不幸になるのを見たくないんだよ」

 

 亜星は、悲しげに長い睫毛を伏せ、耐え難い苦痛を分かち合うように、スッと客席の女性たちへ真っ白な手を差し出した。

 

 

 「だからさ……『幸せの絶頂』のまま、俺の中で応援してくれないかな?」

 

 

 パチン、と、物理的な音さえ聞こえそうなほど鮮やかな、きらりとしたウインクを飛ばす。

 

 

 「「「はい! 喜んでぇええええええええええ!!!」」」

 

 

 異様な、そして狂気的な返答が、一つの獣のような咆哮となって会場の壁を震わせた。

 

 

 次の瞬間、客席で文字通りの地獄が始まった。

 

 

 女性たちは互いの体を、慈しむように、しかし暴力的なまでの力で抱きしめ合い、さらに密集の度合いを強めていった。

 逃げ出す者は1人もいない。それどころか、隣の者の肉に自分の指を食い込ませ、自分からその「巨大な肉の塊」の中へ、己の存在をねじ込もうとしている。

 

 

 メキッ……ベキッ……バキッ!

 

 

 生身の人間からは決して発せられてはならない、湿った骨が砕ける音が、リズムを刻むように会場に響き始めた。

 

 「グエッ……」という短い絶叫が、圧迫によって肺からすべての空気が強制的に絞り出される音へと変わる。

 

 肉が潰れ、圧力を逃がす場所を失った内臓が、口や目から飛び出す。血が間欠泉のように四方に噴き出す。

 だが、潰されていく彼女たちの顔には、苦悶の色など微塵もなく、ただ狂気的なまでの「幸福」と「恍惚」が浮かび上がっていた。

 

 「あ、愛して……ます……。お、う……じ……」

 

 最後までその忠誠の言葉を遺し、会場は次第に、嫌な水音と沈黙に支配されていく。

 

 音が止んだ頃。そこにはもはや「観客」と呼べる個体は存在せず、ただ巨大な「赤黒い肉の山」と、床を海のように覆い尽くすほどの、鉄臭い血溜まりだけが残されていた。

 

 「ありがとうな、みんな! 最高の、最高の応援だったよ!」

 

 亜星は、まるで爽やかな野外ライブを成功させた直後のように、満足げにその肉塊に向かって優雅に手を振り、額に浮いた一滴の汗を拭った。

 

 「お、おい……。つ、次のゲームが決まったから、き、来てやったぞ。いつまでもそ、そのゴミと遊ぶなよな」

 

 松島が、鼻を突く強烈な血生臭さに顔を顰めながらも、ズンズンと足を踏み鳴らしながら高圧的にステージへと近づく。

 すると、亜星はパッと少年のように顔を輝かせ、ステージから軽やかに飛び降りてきた。

 

 「昌平! 久しぶりじゃんか! どうだ、最近元気か!?」

 

 亜星は女性たちの命を絞り取ったばかりの、血に染まった手で松島のデブついた手をがっしりと握り、一点の曇りもない心からの笑顔を見せる。

 

 「と、友達じゃねぇし、触るなよ……! べ、べとべとするだろ……。お、お前はいつもみたいに、か、勝てばいいだけだし。余計なことは喋るな」

 

 「そんなこと言うなよ、俺たち親友だろ? うん、わかったよ昌平。次の相手も……最高の幸せ(ハッピーエンド)にしてやろうぜ」

 

 亜星翔馬は、血溜まりと肉塊に囲まれた静寂の中で、星のように煌めく笑顔を浮かべ、再び完璧な、あまりに完璧なウインクを見せた。

 

 

 【ギャンブラー:亜星 翔馬(アボシ ショウマ)】

 

 【年齢:25歳】

 

 【職業:地下アイドル】

 

 【レート:1/2ライフ(ワンヘッド候補)】

 

 

 【NEXT GAME:銀河鉄道の夜標(ステラ・マリス・サクリファイス)】




次回、ワンヘッド昇格戦です。
次も出来次第、投稿します。
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