止まるんじゃねぇぞ……
Side ナノカ
思わず出ていってしまったが
彼からもっと情報を得るべきだったと後悔している。
彼は私達が物語として作られた世界からやって来た存在、
知っている情報はかなりのものだと予想出来る。
しかし、断片的に得られた情報は絶望的と言って良いものだった。
どうしたら、大魔女の降臨を防ぐことが出来る……?
私が見たのは既に大魔女が現れてしまった光景。
だから理由は全く分からなかった。
彼が大魔女がいなければならないと言った理由が……
救いの道は黒幕の排除。
それで間違いないはずだ。
私は何か間違っている……?
「黒幕を排除すれば本当に皆は助かるの?
でも、それをしなければ……」
ぐるぐると思考だけが巡る。
とにかく一番警戒するべき人物は
桜羽エマ……彼女の魔法だろう。
降臨した大魔女が言っていた。
世界を滅ぼすのはエマの魔女殺しの魔法だと。
彼女さえ殺してしまえば最悪でも人類が滅ぶことはない。
でも……何も知らない彼女を私が殺せるのか?
していいのだろうか。もっと別の道はないのか。
私は……どうすればいいの……。
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Side火神
ヒロとのやり取りの後、背中にヒロの視線を感じながら
私はナノカを探していた。
「一体何処に?」
ふらふらとあちこちを彷徨い歩く。
時間はあまりないものだと考えるべきだ。
その時、
「あ…ユウちゃん」
エマとばったり遭遇した。
「エマか…その様子だとナノカとは出会ってないみたいだね。」
私は少しほっとする。
今一番殺されるかもしれないのは滅ぶ鍵と認識された彼女だ。
「うん。 出会ってないよ?でも何で?」
エマは不思議そうに訪ねる。
「私の未来予知とナノカの魔法…
幻視によって酷い勘違いが起きてね」
「勘違い?」
「エマ君が黒幕と繋がっていて世界を滅ぼす。
そんな風に勘違いされてしまっているかもしれないんだ」
エマの声に安心しつつも、胸がぎゅっとなる。
「えぇ!?でも……ぼくそんなのありえないよ!」
「そうだろう だからナノカには注意してほしい。
誤解は必ず私が解いて見せるから。」
そう言い残して、私は立ち去った。
「ぼくが世界を……?」
エマの言葉が背後で響く。
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あれからナノカと出会うことなく時間だけが過ぎて行き、
夕食の時間となった。
ナノカは姿を現さなかった。
点呼していたヒロが不思議そうにいった。
「ナノカが居ないようだが 誰か知っているものは?」
誰も声を上げなかった。
「そうか 誰も知らないのか」
ざわざわと周りの空気が変わる。
「まさか……殺人事件ですの?」
そんな声が上がった。
「違うよ!絶対にそんなわけない!」
思わず大声を出してしまう。
きっと原作通りに隠れているだけに違いない。
私は寒気を抑えるように食事をかきこみ、
再びナノカの捜索に当たるのだった。