貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
俺が王都に戻るまでの間、また赤竜に会うことはなかった。
それどころか嘘の様に静かな旅だった。
それは不気味でもあり、魔力枯渇をしていた俺には幸運でもあった。
今もし盗賊などに遭い、襲撃されたら俺になす術はない。
この静かな旅の間、俺は覚醒した変身魔法の能力を考えていた。
この能力を使っていた人物は、夢を具現化して、それを使用していた。夢と言っても多分、自分が欲しい物を出せる便利な能力だろう。
試しに、自分が今欲しい物を想像してみる、俺は今こんな危機的状況だが、腹が空いている。食べ物を想像してみよう。
俺が食ってみて一番美味しかった食べ物、前世の物がいいな。よし、ハンバーガーにして見てみよう
バンズに挟まれた、牛肉100% レタス 玉ねぎ チーズ ピクルス トッピングにケチャップ
口に入れるとレタスのシャキシャキとする音、そして肉汁が溢れる
そしてそれをイメージしながら魔力を込めてみる。
目を開ける前、とてもいい匂いがしてきた。
それは焼けた肉の匂い、目を開ける前でも分かる。目を開けてみる、そこには俺が完全にイメージした通りのハンバーガーが浮いていた。
それを手に取る、触れた。柔らかいバンズの感触がある。恐る恐る口に運ぶ。噛み締める。
これもイメージした通りの味だ。
ゆっくり噛み締める、そして名残惜しそうに飲み込む。
これはハンバーガーだ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この夢のような能力、実際夢でだした能力なんだが、本当に便利だった。まず夢から出せるのは食べ物だけではない。武器や装備も出す事ができ、それを使用することもできる。武器や装備は俺がイメージした強さになるが、上限のような物があり、過度に強くしたり、強度をあげたりすると、取り出すことができなくなる。
そして出したものは、時間経過で消えていく。いつ消えるかは分からない。いつの間にか消えている。恐らく出した本人が、出した物を意識しなくなることで消えるんだと思う。だから食べ物を出して食べても、腹は満たされるが、栄養にはならない。
当然だが生きている物を出すことはできない。出せるには出せるが、それは動かないし、触るとすぐ煙の様に消えてしまう。
それでも便利なことに変わりは無いし、武器もそこら辺に剣ぐらいには硬い。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
王都が見えてきた。やっと到着したのだ。
俺は門の近くまで行くと馬車を降り金を渡した。
ここから走った方が早い。
門兵は俺を見ると驚いていたが、すぐ通してくれた。
俺は王都のアリエルのいる場所に向かい、走っていった。
〜〜〜アリエル視点〜〜〜
今日も私は庭でお茶を飲みながら、デリックとルークと雑談をしています。
ルークと宮廷にいる女性との性活について話し
デリックが私に王の重要性を語る
なんら変わりなただの日常。
しかし今日は私、いや恐らく、デリックやルークにとっても特別な日
ヘルスがフィットア領から帰ってくる日です。
もちろん帰ってくる日なので、ここに来るにはまだ時間がかかるでしょうが、私はそれが待ち遠しくて仕方ありません。
「早くヘルスに会いたいですわね」
「そうですね。兄上の事なので、すぐ帰ってくるのではないでしょうか?」
「しかし時間の流れは早いですね、ヘルスがフィットア領へ行き、もう一年が経ちます。私はこの一年で彼がどう成長したか見るのが楽しみです」
私はヘルスが好きです。
それは私が暗殺されるのを救ってくれたヘルスを見る前からでした。
彼は朝とも言えない時間に一人で外に出かけ、何やら特訓の用なものをしていました。それは恐らく、過酷なものなのでしょう。彼が私の守護術師になった時、彼の手はいつも包帯で巻かれていました。
私は最初、そんな風に頑張る彼が好きでした。
そして私を命の危機から救ってくれた時、私はさらに彼のことが好きになりました。
彼は優しい
私がメイドを裸で掃除させている場面を見た時も、小間使いの少年に鞭を打っている所を見ても。全てを受け入れて、それを許してくれた。
デリックはとても怒っていたけど、彼は違いました。
そして私ももう12歳、大きい胸が好きなノトス家から見てみれば私はまだまだですが、多少は成長してきました。
しかし不安もあります。ヘルスのいるフィットア領には私と同じくらいの少女がいると聞きます。
もしその子にヘルスを取られてしまったら、想像したくはありません。
しかし彼に限ってそんなことはないでしょう。
出発する前に釘も打っておきましたし。
ドン
上から何か降った様な衝撃音が近くでなりました。
そこから出てきたのは腕が四本ある、二足歩行の魔物。
牙があり、それが一目で危険な生き物であると分かる姿。
それは王都から出たことがない私も聞いたことがある魔物でした。
ターミネートボア
単体でD級、他の魔物を率いている場合はB級にもなる、アスラ王国で最も危険な魔物。
そんな魔物がいきなり王城内に現れたのです。
「アリエル様!お逃げを!」
ルークがそう叫び、ターミネートボアに向かって行きましたが、吹き飛ばされ、意識を失いました
ターミネートボアはそのままは私の所に向かってきます。
私の前にはデリックが立ち
「アリエル様、必ず王になりますよう!ルーク!後は任せたぞ!」
その瞬間、デリックは横から殴られて、嫌な音を立てて、吹き飛んで行きました。
そしてそのまま、私も殴られて潰される。その瞬間
ターミネートボアの体が縮んでいました
いや、押し潰されたのです。
その上に落ちてきた白髪の子に、
ターミネートボアはふらつきながら、歩き、そして倒れました。
私はデリックの所へ行き彼の頭を膝に乗せました。
息をしていない、死んでいる。
私は理解を拒みました。デリックが?私を幼い頃からずっと護衛し続けていたデリックが?そんなはずありません。きっと何かの間違いです。
「アリエル様!!」
いつの間にか起き上がっていたルークが私を呼びました。
私が彼のところへ行き彼が見ている所を見ると、
そこには先程落ちてきた子が倒れていました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらくして、落ちてきた子が目覚めました。
私についている貴族の方々が、彼女に質問を始めています。
彼女の名前はシルフィエット、フィットア領のブエナ村で猟師の娘として生まれ、魔術を同じ年の子に習い、気付けば空にいた。
彼女の話はにわかには信じ難い話でした。しかしそれを真実と受け止めるにも、嘘と断定するにも、今の私たちには情報が足りませんでした。
1週間が経ちました、今王都にはフィットア領消滅の情報が入ってきています。
なんでも消滅した範囲のギリギリにいた騎士が、それを目撃し、最寄りの町で事態を報告、そこから王都までその情報が来たとのことです。
私はとてつもない不安が出てきました。
ヘルスは?
ヘルスは無事なんでしょうか?
しかしその情報が入ってくると、シルフィエットの話が確かな物だと分かりました。
私は命を守ってくれた彼女を守りたかった。
だから私は彼女をお友達ということにして守ろとしましたが、彼女は戸惑っています。
平民という自分の身分が私とは合わないと言うのです。
ならば私の守護術師はどうか?そんな話をしていると
何やら廊下が騒がしくなってきました。
「アリエル!アリエルはどこだ!?みんなは無事なのか!?」
それは懐かしい声、忘れるはずもない、あの人の声でした
扉が開く、その光景に私は目を疑いました。そこにいたのは、片腕を失い、ボロボロの服を着ていた、ヘルスがいたのです。
〜〜〜ヘルス視点〜〜〜
「アリエル!ルーク!無事だったのか!?」
「兄上!?」
「ヘルス!」
アリエルが俺に近づき、抱きついてきた。そして彼女はそのまま泣いてしまった
「アリエル、俺風呂入ってないんだよ。臭いだろ、離れろよ」
「私!怖かったんです、貴方がいなくなるのが、貴方もいなくなってしまうのが」
俺の言葉はアリエルに届かない
しばらく離しそうのないアリエルにため息をつき
俺はベットを見る、そこには白髪の珍しい長耳族の子がいた。
「ルーク、あの子はだれだ?」
「あの子は突然、現れた、ターミネートボアを倒した、俺たちの恩人です」
ターミネートボア?あの凶暴な魔物がこの王城内に現れたのか?状況がよく分からない、
しかしこう言う時、一番頼りになる人物を俺は知っている。
「そうか、詳しい事はデリックに聞く。ルーク、悪いがデリックを呼んできてくれないか?」
「・・・」
ルークはその言葉に押し黙った
「ルーク?なんだよ?この状況でわがままか?」
「ヘルス、、デリックは、、死んだのです」
俺に抱きついて泣いていたアリエルがそう言った。
「は?」
分からない、どういうことだ?
「デリックは、アリエル様を守るため、自らを盾にして、死にました」
理解できない俺に、ルークが更に追い討ちをかけてきた
そんなはずないだろ、あいつに限って、
「デリックの葬式はもう終わりました。既に墓もあります。兄上、後で案内します」
「ああ」
必死に出そうとした結果出たのは声かも分からないものだった
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらくして、アリエルが俺を離し、俺はルークとアリエルに連れられ、デリックの墓の前に来た。
シルフィエットと名乗る少女には部屋で待ってもらうことにした。
その墓には、デリック・レッドバッドと刻まれていた
「嘘だろ、おい、これは間違いだよな」
「兄上、、!」
ルークとアリエルは後ろで墓に向かいしゃがんでいる俺を見ている。
思い出される、デリックとの思い出。
アリエルと俺が雑談で笑っているところに真剣な話を持ち込み、それを俺かアリエルが茶化し、笑いがまた起こる、
そんな日々が思い返される
「デリック、、本当に死んだのか?」
俺は既に泣いていた、
地面を叩いた
俺はクズだ
アリエルを守ると誓い合った仲間の窮地にも駆けつける事ができなかった。もっと早くロアを出ていたら、助かったんじゃないのか?
クソ、俺は無力だ
その後ろではアリエルの啜り泣く声がする。
ルークは俯いている。
俺はしばらく、そこでしゃがみ続けていた
手遅れかもしれないんですけど一応
-
戦闘描写たくさん
-
話し合い、イチャイチャたくさん