貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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21話 謝罪と帰還

「ルイジェルドは、その悪名高いスペルド族だと?」

 

「ええ、ですが本当は子供大切にする。とてもかっこいい存在なんですよ」

 

「あのスペルド族が本当は優しい?ちょっと信じらんないわね」

 

サテラは少し不審な顔つきでルイジェルドの方を見た。

 

「サテラ、あまり敵意を向けるなよ」

 

「別に向けてないわ」

 

なんでもルイジェルドの一族であるスペルド族は、ラプラス戦役という昔の大戦争で、敵味方関係なく無差別に虐殺の限りを尽くしたらしい。しかしそれはラプラスの仕業であり、本当は心の優しい戦士の一族だとルーデウスは語る。確かに俺に槍を向けてきた時、その姿は子を守る親のような目つきをしていた。

 

「そうやってスペルド族を嫌悪してしまうのも、呪いの一部なんですよ」

 

「そうなのか?でも俺は何も感じないぞ?」

 

「それは、呪いの力も薄まってきているからなんですよ」

 

「ルーデウス、!それは初耳だぞ!本当なのか?」

 

呪いが薄れていると言うことに反応するルイジェルド。

 

どうやらその呪いの力も、髪を切ったことで急速に薄られつつあると言う。それはヒトガミからの言葉であり、信憑性はあるらしい。

 

ルーデウスもヒトガミと接触しているのか、、ルーデウスはかなりあいつを信用しているらしいが、俺はまだできていない。まあそれくらいがいいだろう、過度な信用は騙されやすいからな。俺もヒトガミを知っていると言うのは、黙っておこう。

 

「それにしてもルーデウス、お前の父がミリス神聖国に向かって行ったが、会えたか?」

 

「ええ、父とも再会できましたよ。少し喧嘩をしましたが、それでも最後は仲直りして、旅に戻りました」

 

「そうか、ならよかったよ。お前の父は家族を相当心配していたからな」

 

「父に会ったんですか?」

 

「ああ、フィットア領に行った時にな、あいつは他にフィットア領の行方不明者を捜索したい奴をまとめて、すごい奴だったよ本当」

 

「そうですか、それはちょっと嬉しいですね」

 

自分の父を褒められて、少し照れくさそうにしているルーデウス。

 

父も息子も家族思いだな。

 

「んん、ルーデウス?」

 

エリスも目が覚めた様だ。

 

「エリス、おはようございます、と言っても今は夜ですが」

 

エリスがルーデウスの横に座る

 

そうして話が再開された。

 

「で、ヘルス、そこの女は誰よ?」

 

「ああ、ルーデウスには言ったがエリスにはまだだったな、サテラほら自己紹介」

 

「サテラよ、よろしくね」

 

「エ、エリスよ!よろしく!」

 

エリスは声を大きくして挨拶する、相変わらずだな。

 

エリスとサテラが2人で会話をするのを、男性陣の俺たちは静かにそれを見守っていた。

 

だが、俺は今からエリスに話さなければ、謝らなければならない。

 

それが俺たちの絆を傷つけることになったとしても。

 

「エリス、少しいいか?」

 

「何よ」

 

静かにしていた男達の中で、俺が声をだしたので、みんなが俺を見る。

 

「お前の家族についてだ、もちろん聞きたくないならそれで・・」

 

「聞くわ」

 

エリスはこちらを真剣な顔で見る

 

「分かった、まずフィリップさんと、ヒルダさんは中央大陸の紛争地帯に転移して、そのまま、死んだ」

 

「そう、そうなのね、じゃあ、お爺様は?」

 

「サウロスさんは、、、俺がフィリップ領にいる時に、王都に戻って来ていたらしいんだ。だけど、転移事件の責任を全て押し付けられて、そして、俺が会いにいく直前に、、死んでしまった」

 

焚き火の音だけが、その空間に響いている。

 

「俺が、もう少し、数分でも早く辿り着いていれば助かったはずなのに、俺は、サウロスさんを救えなかった。俺が殺したんだ」

 

俺は立ち上がり、エリスの横に立ち、しゃがんだ。

 

エリスは俺の方に体を向ける。

 

「許さないなら、許さないでいい。俺を殺したければ、殺してくれても構わない。だけどサテラは全く無関係だ。だからサテラを傷つけるのだけはやめてほしい。代わりに俺はどんな罰でも受けるつもりだ」

 

「ちょっと麒麟!なんでそんな事言うの?大体それは、あなたが悪い訳じゃないでしょ!」

 

「サテラ、少し黙っていてくれ。これは俺にとってのケジメなんだ」

 

少し強く言うと、サテラは難しい顔をしながら下を向いた。

 

エリスは何も言わずに俺を見ていた。許されることではない事はわかっている。

 

「どんな罰でも受けるって言ったわよね」

 

「ああ」

 

「じゃあ、その頭、撫でさせて」

 

「え?」

 

「どんな罰でもって言ったわよね、ならその頭を思う存分撫でさせなさいよ」

 

俺は良く理解できていない。そんなことで許される訳ないだろう。

 

「そんなことで良いのか?本当に?」

 

「お爺様だったら、きっとそう言うわ」

 

お爺様だったら、その言葉に妙に納得してしまう。

 

そう言われて黙ってしまっていると、エリスが俺の前に来た。

 

そして、頭を撫でられた。

 

その手はまだ少女とは思えないほどに硬く、強いものだった。

 

その撫で方は、サウロスのものだった。

 

くそ、我慢するつもりだったのに、いつの間にか俺は人型の姿にもどり、気づけば大粒の涙が出ていた。

 

「なんで、元の姿に戻ってるのよ」

 

「分からない、自分でもよく分からねぇ」

 

サウロスの声が聞こえて来た。豪快で、大声で笑うあの声を、

 

俺はしばらく、静かに泣いていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そうしてしばらくすると、俺は涙を止めて、もう一度エリスに謝った。

 

「別に私は気にしないわ!サテラの言う通り、あんたのせいじゃないし」

 

「それでいいのか?」

 

「ええ!だからもう二度とそうやって謝らないで!」

 

「ああ、ありがとう。分かったよ」

 

エリスの許しは、俺の足枷になっていた罪悪感を消し飛ばしてくれた。

 

「サテラも、黙ってろなんて、キツく言ってごめんな」

 

「べ、別に私も気にしてないわ」

 

この2人、やっぱりどこか似ているな。

 

「2人とも、良く似てますね!」

 

それを言葉に出したのは、ルーデウスだった。

 

「うるさいわね!」

 

そういったルーデウスの頭に、エリスの拳が落とされた。

 

ルイジェルドはその光景をみて、薄く笑っている。

 

そんな風に過ごしていると、夜は既に明けていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ルーデウスとエリスはフィットア領へ戻るらしい。もし俺たちもついていけば、俺とサテラは引き返す事になる。

 

だが俺としては、ルーデウス達に同行していきたい。せっかく会えたんだ。

 

サテラにそれでもいいか確認をしたが、大丈夫との答えをもらったので、俺たちもその旅に同行した。

 

森を抜け、前に助けた町に買い出しの為に訪れると、手厚く歓迎された。

 

「随分とお早い帰還ですな?」

 

町人達が俺に話しかけて来た。

 

「ああ、途中で親友に会ってな、引き返す事になったんだ」

 

「親友と言いますと、その後ろの三人方ですか?」

 

町人の1人が奥のルーデウス達を指差した

 

「ああそうだ」

 

町人達はルーデウス達を見ると、何やら話し始めた。

 

「あの3人の姿、やはり間違いない」

 

「でもあいつらはついこの間ミリス大陸にいると聞いたが、」

 

なんだこいつら、ルーデウス達を知っているのか?

 

「なあお前ら、ルーデウス達を知ってるのか?」

 

「ルーデウス!?やはり本物なのか?」

 

町人達の顔には驚きと少しの恐怖が見える。

 

「麒麟様、あの方々は本当にあなたの親友なのですか?」

 

「そうだが、なんだ?なんでそんな怯えてんだよ」

 

「あの方々は冒険者のパーティー、デットエンド呼ばれています」

 

「デットエンド?」

 

「麒麟、あなた冒険者やってるのに、そう言う情報は全く知らないわよね」

 

呆れたようにサテラが言う

 

「そう言うお前は知ってんのか?」

 

「そりゃあね、冒険者は情報が命だから。私はあの人達に出会った時にわかったけどね」

 

「じゃあ教えてくれよ、」

 

「はあ、デットエンドっていうのは、最近話題の冒険者パーティーの事で、私たちみたいにこの一年でA級まで上り詰めたパーティーよ。

メンバーは飼い主のルーデウス、前まではルージェルドって間違えられてたけどね。そして狂犬エリス、最後に番犬のルイジェルド。エリスとルーデウスの評判は最悪だけど。ルイジェルドの評判はいいみたいよ」

 

まるで機械の様に説明してくるサテラ

 

「ありがとうサテラ、お陰でルーデウス達がどんな事してたか分かったよ」

 

「こんなの冒険者じゃ当たり前の情報よ」

 

サテラは少し嬉しそうにしている。

 

しかしエリスはともかく、ルーデウスの評判まで悪いとは驚きだ。あいつは聖人みたいに扱われてると思ったんだがな。

 

そうして買い出しを終えて町を再び後にする。

 

旅の最中に聞いてみたが、どうやらルーデウスの評判が悪いのは仕組まれた事らしい。なんでもスペルド族の汚名をなくす為に、いいことをしたらそれはルイジェルドのおかげ、悪いことが起きたらそれはルーデウスのせいだっという風に印象操作をしていたらしい。

 

なんて自己犠牲精神を持ってるんだルーデウスは、まだ成人してないが、すさまじい男だとまた再認識させられてしまった。

 

もちろんエリスの評判が悪いのは自分のせいだった。

 

旅の道中ではよくサテラとエリスが話していた。同じ年頃だからか、それとも冒険者として馬が合うのかどちらかは分からないが、お互い気難しい性格なのに、よくやっていると思う。

 

途中、喧嘩をおっ始める事もあったが、そこはルイジェルドやルーデウスが仲裁してくれた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして俺達はついに辿り着いた。フィットア領に、相変わらずの殺風景、緑の一つもない光景に、俺は慣れていたが、他の奴らは初めて見たせいか。すごい動揺をしていた。

 

「これがフィットア領ですか、」

 

「酷いな」

 

「ここで私達が」

 

俺の横にいたサテラも、初めての光景に驚いている

 

「これは、本当に現実なの?」

 

「ああ、現実だ。ここに村や町があって、それが1日で全て消えたんだ」

 

「そんなの、あまりに惨すぎるでしょ」

 

サテラはこういう人の苦しみを自分が経験したかの様に考えれる。

 

そこがいいところでもあり、悪いところでもある。

 

過度に自分を追い込んでしまうんだ。

 

しばらくルーデウス達は会話をしていた。

 

ルイジェルドはどうやら、ここでお別れらしい。俺とサテラは短い間だったが、ルーデウスとエリスにとっては、それはかけがえない人だった。

 

「ルイジェルドさん、」

 

「安心しろ、また会える」

 

そういうとルイジェルドはゆっくりと向きを変え、前へと進んで行った。

 

ルーデウスは目に涙を浮かべている。

 

ルイジェルドが見えなくなるまで俺達は手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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