貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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30話 恋路

夜中、12時が回っただろうか?

静かだ。誰も起きてはいないだろう。

そんな夜中に俺は今、能力の拡張を行っている。しかし、今回は凄い難しい。

数日前から始めたというのに、まだ感覚すらつかめない。

 

俺がやろうとしているのは、ものを取り出せる能力を応用したもので、出したものに能力を付与をすることだ。

 

こんなにやっても一向にできない理由、多分それは、能力を付与する能力は、元々麒麟の力にはないからだ。

 

元々ないものを作り出す。それはとても難しい事だとは分かっている。だけど能力を付与することができれば、俺の力はさらに絶大なものになるだろう。

 

イメージだイメージ。

 

剣を出そう。切った部位が凍る、剣というより、刀に近い、そんな武器を取り出そう。

 

いつも通り俺の前に刀が現れる。だがまだ持たない、さらに集中だ。刀に能力を付与、凍る能力だ。

 

いける!

 

そう思って刀を取るが、それは煙のように消え、なくなってしまう。

 

やっぱりダメか、

いつもここで失敗してしまう。これが限界なのか?もうこれ以上は、能力の幅を広げられないのか?

 

ダメだダメだ卑屈になっては、諦めてはいけない。

 

きっと何か策があるはずだ。その方法をさがそう。

 

俺は静かにその場に倒れた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「・・ルス?ヘルス!?」

 

声が聞こえるな

 

「んん、、」

 

「よかった、生きてましたか」

 

目を開けるとそこにはいい感じに汗をかいているルーデウスがいた。

 

「あ、おはようルーデウス、珍しいな、お前が俺の部屋に入るなんて」

 

「それはあなたが返事をしても出てこないからですよ、扉を開けたら床に麒麟が倒れてるんですよ、入るしかないでしょう」

 

どうやら俺の事を心配してくれてたらしい。惚れちまうよ本当

 

「それで、ヘル・・麒麟。もう行く準備はできていますか?皆はもう集合していますよ」

 

「ん?なんの事だ?今日は学校ではないはずだが・・あ、」

 

俺は自分が約束した日の事をようやく思い出した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

数日前、俺はルーデウスとフィッツと共に転移事件についての文献を読み漁っていた。

 

最初はルーデウスと俺だけだったが、図書館にきたフィッツも自分が協力したいと名乗り出たのだ。

 

「君達は嫌かな、たまに来るだけの人に口出しされたりするのは、」

 

恐らく、フィッツは表向きは転移事件の捜査を協力をしているが、本当はルーデウスと一緒に居たいだけだろう。

 

この2人を見てると、なんだかラブコメを見ている気分になる。

自分の正体を明かそうとしているが、勇気が出ないフィッツことシルフィ、それに全く気づかないルーデウス、2人の関係は成就するのだろうか?今後に期待だな。

 

「いえいえ全然、むしろありがとうございます。俺達も転移については行き詰まっていた所なので、助かります、いいですよね?麒麟?」

 

「ああ、協力者なら、何人いても助かるからな」

 

「そうかい?えっと、じゃあ、よろしくお願いします」

 

「はい!よろしくお願いします、フィッツ先輩」

 

満面のスマイルを向けるルーデウスと、それを見て耳をパタパタさせるシルフィ、やっぱり純愛はいいな、

 

そうして新たに3人で転移について調べていると、ある日ルーデウスが話をしてきた。

 

ザノバに関しての事だ。なんでもザノバはかなりの人形好き、いや狂人レベルの人形マニアらしい、それで自分も人形を作りたいらしいのだが、彼は怪力の神子という生まれ持った体質で、体が頑丈で力がすごいらしく、そのせいで彼の手では人形を作ることができないのだという。 

 

「それで俺達にどうすればいいのかアドバイスを求めたいと」

 

「はい、できれば俺はザノバを救ってやりたいんです。方法がないなら諦めてもらうしかありませんが、、」

 

自分のやりたい事をする事ができない。それは本人にとって相当なストレスだろう。俺もザノバと一緒に過ごしていて分かったが、やはりザノバは悪い奴ではなく、むしろいい奴だ。学校の事をよく教えてくれるし、別に偉そうにする素振りも見せない。

そんな友達を救ってやりたい気持ちは分かる。しかし怪力か、俺の二つ名と同じだな、きっと素で相当な力を持っているのだろう。羨ましいな、

 

いやいや羨ましがる所じゃない、今は解決策を考えなければ、、

 

考えていると、フィッツが話を始めた。

 

「そうかい、参考になるかは分からないけど、アスラの王都にも似たような人がいたよ。自分でやりたいけど、能力も技能も持ってないって人がね」

 

「なるほど、その人はどうしてたんですか?」

 

「えっと、その・・奴隷にやらせていたんだよ」

 

「奴隷、、か、」

 

いかにも王都の奴が考えそうな事だな。まあ別に王都でなくても考えそうだな、

 

この世界は前の世界とはかなり価値観が違う。殺しであったり、恋愛に対してもそうだ、そして奴隷、これも前世とは大きく扱いが違う。

 

この世界の奴隷は、結構軽いノリで買われる事が多い。なんというか、人ではなく、物として買われる感覚だ。

 

俺はその価値観に馴染んできているはずだが、やはり奴隷とか殺しに関しては、まだあまり馴染めない。

 

「奴隷・・ですか?」

 

ルーデウスはしばらく腕を組み、目を閉じていた。

 

「分かりました。次の月休みに、ザノバと奴隷市場にでも行ってみる事にします。麒麟もついてきてくれますか?」

 

「お、俺か?まあ、いいが、」

 

返ってきた返答は俺の望んだものではなかった。

 

まあ仕方ないか、ルーデウスも聖人とは言え、一応この世界の住人だ。価値観は違うからな、仕方ない。

 

「うん、いい子が見つかるといいね」

 

フィッツはそう言いながら、耳をポリポリとかいている。あの癖は変わってないな、

 

シルフィは何か言おうか悩んだりする時、よく耳をポリポリかく。それはエルフの特性なのか、シルフィの癖なのかは分からないが、とりあえずシルフィはルーデウスに何か言おうとしているらしい

 

「そ、そう言えば、僕も暇なんだよね、次のお休み」

 

お?これは、誘って欲しいのか?

これにどう返す?ルーデウス?

 

「そうなんですか?ん?」

 

ルーデウス、一体どこまで天然なんだ。察しが悪いにも程があるな、

仕方ない、ここは俺が誘ってやるか、そう思った時、ルーデウスはようやく気づいたようだ。

 

「ハッ!えっと、先輩も一緒に行きますか?」

 

「え!?いいの?邪魔にならないかな?」

 

「いえいえ、アドバイスをもらったお礼に食事でも奢りますよ。麒麟もいいですよね?」

 

「あ、ああ!いいぞ、後はサテラも誘っておこう」

 

俺はルーデウスの後ろでガッツポーズを決めた。

 

やはりこの2人の恋路は見逃せないな

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「麒麟、あなた次の月休み、どこかに行くの?」

 

次の日、サテラが授業に行く道で聞いてきた

 

「ん?どうした急に?」

 

「いや、あなたと2人でちょっと買い物に行きたいなって」

 

サテラが少し手をモジモジさせている。

 

「それはいい提案だな、しかし俺はちょっと用事があってな、、奴隷市場に行かなきゃいけないんだ、」

 

「奴隷、」

 

サテラはそう言って暗そうな顔をしている。

 

そうだ、サテラも元は奴隷として売られていたんだ。なんてモラルのない発言をしてしまったんだ。

 

「ああすまん、俺が買うわけではないんだ。ザノバが買いたいらしくてな」

 

「ザノバが?」

 

「ああ、なんでも自分の代わりに人形を作れる奴を買いたいらしい」

 

「何それ、呆れたわ」

 

怒っちゃったなサテラ、

 

「その、なんだ、サテラも来るか?昼は無理だが、夜に飯でも一緒に食って、町でブラブラする事はできるし・・・」

 

「私、奴隷市場なんて行きたくないんだけど」

 

「・・・はい、すいません」

 

「はあ、でも私も、そういう所にまた行ってみたい気持ちもあるわ。そこが、どんな状態で奴隷を管理してるか気になるしね」

 

「そうなのか・・?別に無理に誘ってるわけではないが」

 

「別に無理してるわけじゃないわ、行くわよ、でもその代わり、夜飯はあなたの奢りね」

 

「当たり前だろ」

 

そういうとサテラは少し笑顔を取り戻した

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして現在、奴隷市場に行く当日、俺はボコボコにされた顔のまま、町を歩いている。

 

「遅れてしかも私の服にいちゃもん付けるなんて、ほんっと最低」

 

「ご、ごべんなさい」

 

その横で苦笑するルーデウスとフィッツ

 

俺は案の定寝坊して、遅れてやってきた。そこまではまだ良かった。ザノバもシルフィも許してくれたし、

 

しかしサテラ、彼女の今日の服はいつもとは違った。いつものフードではなく、どこかお嬢様、とまではいかないが、女の人が普段着るような服を着ていた。

 

「やっぱりあなたと約束をする時は、30分前の時間を伝えた方がいいわね」

 

「ごめんサテラ、、お前、なんだその服?いつものじゃないな?」

 

「きょ、今日はちょっと違う服を着たい気分なのよ、そ、それで、どう?似合ってる?」

 

「んー、お前はやっぱり女の人の服ってよりかは、冒険者とかの服の方が似合うんじゃないか?お前は大体、男に・・・」

 

そこまで言ってサテラの顔を見る、次の瞬間、俺の視界は真っ暗になってしまった。

 

「はあ、そんなことよりザノバ、あなた、どんな子にするか決めたの?」

 

「はい!師匠とフィッツ殿が言うには、年齢が低いドワーフの子がいいと」

 

「ドワーフってのは納得だけど、なんで年齢が低い必要があるのよ」

 

「年齢が低い時に魔術を使い始めると、魔力総量が劇的に上がるんだよ」

 

「そうなのが!?ばつみみだぞ」

 

いってぇ、口が腫れてて喋るたびに痛いぞ、

 

しかしフィッツの今の言葉、信憑性がある。

 

俺も小さい時に魔術を使い始めたが、あの時は使えば使うほど魔力総量が増えていった。

ルーデウスも初めて会った時、まだ幼いにも関わらず、あれほどの魔力総量を持っていた。だとしたら、それは魔術の基礎を変える大きな発見になるんじゃないか?

 

「つきましたよ、ここですね」

 

そう考えていると、目的地に着いたようだ。

 

ここが、奴隷市場か、

 

懐かしいな、場所は違うが、俺はこの奴隷市場で、サテラと出会ったんだ。

 

サテラの方を見る、顔はいつもと変わらない、しかし手が少し震えている。怖いんだろう、自分はまた奴隷にされるかもしれない。そんな事絶対ないが、本人にはもうそれしか考えられない。

 

でも横には、俺がいる。

俺はサテラの震える手を握った。

サテラは俺が手を握るとビクついたが、しばらくすると、サテラも力強く握りしめてくれた。

 

そして俺達は先に入ったルーデウス達の後に続いて入っていた

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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