貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
奴隷市場の中は意外と綺麗だった。
中は奴隷や客などいろんな人で溢れていて賑やかだ。
奴隷は裸になり、立っていたり檻の中に入れられたりしている。
「わあ、おっきい、こんな風になっているんだ」
シルフィが感動するように男の奴隷を見ている、見ているっていっても恐らく、男を見ているのではなく、男の下の方を見ているんだが、
サテラは少し顔を赤らめている。さっきまであんなに怯えていたのに、
やっぱりまだまだ子供だな。
そうやって俺達は周りを観察した後、奴隷商人の紹介により、ある少女に会った。年齢が低いが、それはルーデウスとシルフィがそう提案したからだ。
それにしても小さいな、まだ10歳にもなっていないんじゃないか?
しかし10歳にもならない子だとは思えないほど、その子の目は死んでいた。体は痩せこけて、今にも倒れてしまいそうだ。
栄養失調とは聞いていたが、ここまでとはな。
ルーデウスが獣神語で会話を始めた
『こんにちは、お嬢さん。僕はルーデウス、君は?』
「・・・」
少女からの返答はない。
『お兄さん達は君にやってもらいたい事があるんだ』
「・・・」
やはり返答はない。奴隷商人が手を挙げようとしたが、ルーデウスに止められた。
「師匠、どうしました?」
「かなり絶望してますね、死にたい奴の顔です」
俺もその顔は見た事がある。サテラを買った日、あいつもそんな顔をしていた。生きる意味は自分にはもうない、本当に殺して欲しそうな顔だった。
「ルーデウス、俺の経験談だが、こういう奴は、買わずにそっとしといた方がいいんじゃないか?好きでもないものをやらしても、なんの解決にもならないしな・・」
「そうですね、可哀想ですが、それがこの子のためなんでしょうね、」
俺達はこの子に生きるチャンスは与えれても、生きる意味を与える事はできない、そんなの、この子にとっては生き地獄だ。
だったら、ここで過ごした方が楽だよな、
「ふざけないでよ・・」
サテラが震えた声でそう言って、少女の胸ぐらを掴んだ。
少女は驚いた顔でサテラを見ている
「サテラ・・?」
「自分が世界で一番辛いですって顔して、、辛いのはあんただけじゃない、、あんたより酷い事されてる人達もいるのに、、あんたは差し伸べられたチャンスを無駄にしようとしてる」
少女は涙目になって震えている。
サテラは人間語で話しているので、何を言ってるのかは多分少女には分からないだろう。しかしサテラはそんなこと関係なしだ。
「サテラ、それ以上はやめておけ、その子が・・・」
「私がこの中で一番この子の気持ちが分かるって、麒麟も知ってるでしょ」
サテラは俺を見ずに、少女を見つめ続けている。
「・・・そうだな」
サテラは元奴隷だ。
奴隷だったからこそ理解できるものがあるのだろう。
だったらここは、サテラに任せるべきだ。
「助けてって言いなさい、そして生きるのよ。今日も、明日も、、必死に足掻いて足掻いて、生き抜きなさい」
そう言って少女と見つめ合うサテラ
少女はしばらくすると、震える口を開いた
『・・たくない』
「なんだ?」
『死に、たくない』
その言葉に、俺とルーデウスは安堵する。
良かった、この子はサテラに救われたんだ。生きる希望を見つれたんだ。
「ルーデウス、この子はなんで言ってるの?」
「死にたくない、と言ってます」
「そう、なら良かった」
サテラは少女を深く抱きしめた。
「それなら、もう買うしかないね」
フィッツがそう言った。
「ええ、余もそれしかないと思います」
横にいたザノバも承認する。
「ザノバの為に来ましたからね、ザノバがそう言うのであれば、この子を買いましょう」
そうして少女はザノバによって買われた。
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ルーデウス達は少女に夜飯を食わせるらしく、俺とサテラはそこで別れることにした。
「さてサテラ、約束通り飯に行こうか、どこか行きたいところはあるか?」
「ケホ、今日はいつもより疲れたわ、そうね、沢山食べれる所がいいわ」
「なるほどな、ならいい場所を知ってるぞ。そこへ行くか」
そうして俺たち歩き始めて、少し小さな店の個室に入った。
個室をとったのはサテラの指示だ。
何か話したい事でもあるのか?
注文をし、しばらくすると、大盛りの料理がテーブルを埋める。
これ、全部食えるのか?
味はうまい、しかし肉に脂が多すぎる。これではすぐ満腹になっちまうぞ、
「麒麟、あなたに聞きたい事があるんだけど」
料理を食べて少しすると、サテラが話してきた。
「ん?なんだ?」
「その、これは麒麟としてじゃなく、ヘルスとして聞いて欲しいの」
「??、分かった、話してみろ」
「あなた、アリエルさんをどう思ってるの?」
その言葉に、口に運んでいた手を止める。
「サテラ、なんでそんな事聞くんだ?」
「前、あなたがフィッツと一緒にアリエルさんの所に行ったじゃない?その数日後ぐらいに、私も呼ばれたのよ。多分ルーデウスもそうなんじゃないかしら」
あいつ、サテラとルーデウスにも聞いたのか、だとしたら厄介だな。
「アリエルさん、すごいヘルスの事を褒めてたわ。それに、謝りたいって」
「・・・」
「ヘルス、あなたは一体何があって、あの人と喧嘩したの?あの人とは、どう言う関係だったの?」
「・・・あいつは、もういいんだ」
「何よそれ、ちゃんと教えてよ、仲間でしょ?」
「・・・」
サテラは少し怒りと、悲しみの入った顔で俺を見ている。
隠した所で、いずれバレるよな。
だったらアリエルが話して美化する前に、俺が真実を語った方がいい。
でも、怖いな、否定されそうで、嫌われそうで、
「ヘルス、私はあなたがアリエルさんとどんな関係だろうが、どんな理由で喧嘩してようが、それを否定したり、肯定したりなんかしないわ。ただ、話してくれるだけでいいの、お願い」
俺はしばらく下を向いていた。
全く、サテラには敵わないな、
「・・・はあ、、あいつ、アリエルとは、守護術師の関係だったんだ」
俺はため息と共に語り始めた。
「守護術師?あのフィッツと同じだったの?」
「ああ、俺が守護術師についたのはそうだな、あいつが4歳、俺が8歳の時だな、」
「じゃあ長い付き合いなのね」
「そうだな、あいつとは8年間一緒だったな、その間に俺はフィットア領に行って、ルーデウスとエリス、そしてギレーヌとも繋がりを持ったんだ」
思い出してみると懐かしいな、あの時は強さを少し求め過ぎてた部分があったな。若気の至りという奴だ。
「じゃあなんでアリエルさんと喧嘩したの?」
「お前、さっきからなんでアリエルにさん付けなんだよ、」
「アリエルさんは、私、尊敬してるのよ」
なんであいつを尊敬できるんだ?
洗脳でもされたのか?
だとしたらあいつを問答無用で殴るが、
話が逸れたな。
「まあいい、そして俺がフィットア領から帰る時に、例の魔力災害が起きて、フィットア領が消えたんだ。その時にフィッツの前の守護術師だった、デリックという男が死んだんだ」
死という言葉に、サテラは下を向く。
「デリックは死ぬ前に、アリエルに王になるように託したんだ。アリエルはそこから、王になる事に執着していった。俺はそれが心底気持ち悪かったんだ。欲に溺れる貴族の連中に、まったく笑ってない笑顔に、思ってない事を平然と口にするあいつに」
「でもそれは、アリエルさんの自由なんじゃないの?」
「確かに王になるならないは自由だ、だったら俺もそれに従うだけだ。でもあいつは、デリックの言葉で王になろうとしたんだ。自分の意思ではない、見る見るうちにアリエルに疲労が溜まっていったよ。俺はそれが耐えられなかった、止めたかったんだ」
「・・・」
「だけどあいつは、やめなかった。その時のあいつの目、あれは、俺の見てきた醜い貴族達の目だった。だから俺はあいつに見切りをつけて、家を飛び出したんだ」
話を終える、少し疲れたな。
久々にこんな話した気がする。
「そう、なのね」
サテラはゆっくりと口を開いた。
「ちなみに、アリエルさんと和解する気はないの?」
「ない」
俺は断言しておいた。
「そう、でも、私としては、あなたとアリエルさんは、もう一度話し合ってほしいと思ってるわ」
「・・なんでだよ」
「私はあなたが本気でアリエルさんを嫌ってるわけじゃないって思ってるからね」
「は?」
こいつ、話を聞いてたのか?俺は断言したぞ、あいつと和解する気はないと、あいつを捨てたと。
そんな俺が、まだあいつを本気で嫌いだと思ってないって?
そんなはずないだろ
「だってあなた、いつもアリエルさんと話した後、どこか寂しそうな顔してたわよ」
「・・そんな顔、してねぇよ」
「あなたが分かってないだけで、私には分かるわ。あなたは多分、アリエルさんを諦めてきれてないんじゃないの?また昔のあの人に戻ってるんじゃないかって」
「・・・」
クソ、なんだ、何も反論が出てこない。
言い返せない
「まあ今すぐとは言わないわ、でも、いつかまた、アリエルさんと話して、今度は麒麟としてではなく、ヘルスとして」
「なんでそこまでお前が言うんだよ?アリエルにそう言われたのか?」
いかん、疑問がそのまま口に出てしまった。
「そんなわけないじゃない、私は、私の好きな人同士が仲良くなって欲しいって思ってるだけよ」
まずいと思った俺とは裏腹に、サテラは少し嬉しそうだ。
「そうか、、まあ、、考えとくよ」
「ふふ、ありがとう麒麟」
アリエルともう一度話す。
ヘルスとして、
それは多分、まだ遠い先の話になるだろう。
だけど話す時は、今度は逃げないように頑張ろう。
「あ、飯、冷めてるな」
「あ!そうじゃない!私まだ一口も食べてない!」
お互いに話し合った後、大量にある冷めた料理を食いながら、
俺はそう決心した。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん