貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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36話 ナナホシ

『それにしてもあなた、生まれはどこ?アメリカ?ヨーロッパ?でも日本語は分かるし・・もしかしてハーフ?』

 

ナナホシは笑顔でルーデウスに質問攻めをしている。

確かに俺もルーデウスの正体が気になるな。あんな才能を持っていたんだ。前世も相当なハイスペックな人間だったんだろう。

毎回赤点ギリギリでバカやってた俺とは違ってな。

 

・・・

 

俺もここで、答えるべきだろうか?

俺も実は日本人で、この世界に転生して来たと。

 

いやいや、やめておこう、第一伝えてなんになる?

元の世界に戻れる訳でもあるまいし、話が余計ややこしくなるだけだ。ここは黙っておくのが正解だ。

 

別に正体を明かすのは、いつだってできるからな。

 

『なんにせよ、これで一歩進展、やっぱ生かしてもらって正解だったわ。オルステッドが知らないって言った時点で、なんとなくそんな気がしたのよね』

 

ナナホシはルーデウスが動揺しているのを無視して一人で話を進めている。

 

こいつ、高校生ぐらいだろうか?俺と同じだよな、前会った時と、全然成長していない気がする。そういう能力でも使っているんだろうか?

 

『これからよろしくね、あと、名前教えてよ』

 

『・・・ルーデウス、ルーデウス・グレイラット』

 

『それはこっちでの偽名よね、本名は・・・ああ、警戒してるのね。分かるわよ、あんな事があったんだし。でも安心して、私は味方だから』

 

そう言ってルーデウスの手をとる。

 

『私以外にも飛ばされた人がいるなんて、なんだか頼もしい。元の世界に帰るため、お互い協力しよう、ね?』

 

そう迫るナナホシの手をルーデウスはどけた。

 

『俺は・・俺は、元の世界になんて、帰りたくない』

 

ナナホシの笑顔が消えた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

しばらくはルーデウス達の会話を聞いていた。

ナナホシは転生者ではないらしい、気づいたらこの世界に飛ばされていた、いわゆる転移者って奴だ。

ナナホシは友達と下校してる最中にトラックに突っ込まれ、気づいたらこの世界にいたらしい。ルーデウスもそんな感じでここに来たという。

 

俺もトラックに轢かれてここに転生したんだよな、トラックに何か関係あるのか?

それは絶対にないな、だったらこの世界は転生者と転移者で溢れかえってるはずだ。

 

ナナホシは転生した時、アスラ王国にいたという。そこで龍神であるオルステッドに保護され、2年間アスラで言語を学んだりして過ごし、その後は世界中を旅していたらしい、旅の道中では戦いの連続だったらしく、ルーデウスとの一戦もそれの一つだと、しかしナナホシは違和感を感じ、ルーデウスを生き返らせてもらったのだ。

 

ヒトガミとオルステッドの因縁についても少し分かった。

なんでも個人的な恨みらしいが、そんな理由で俺の親友を傷つけるとは、やっぱり許せん奴だな。

 

『ヒトガミはさておき、元の世界に帰るための情報集めと、メモの二人を捜すために、一年で世界中を旅したわ』

 

『一年で世界を?』

 

そんなの不可能だ。ルーデウスも魔大陸から中央大陸まで戻ってくるのに二年もかかったんだ。それより早く世界中を回るなんてどう考えても有り得ない。

 

『そう、特殊な方法を使ってね』

 

『どういう方法で?』

 

ルーデウスの質問に少し渋るナナホシ

 

『転移魔法陣ってしってる?』

 

『ええ、名前だけは、でも、すでに存在しないと聞きましたけど」

 

転移魔法陣……!俺が知りたかったものだ

 

『人魔大戦の頃に造られた遺跡には残ってるらしいわよ』

 

『遺跡、どこにあるんですか?』

 

ナイスだルーデウス!そのまま場所を聞き出せるぞ

 

『それは口止めされてるから言えない』

 

『口止め、、』

 

くそ、まあ確かにそうだな、そう簡単に教えていいものではないだろう。

 

『第一、私はついて回っただけだから、覚えてないしね』

 

『いいえ、でも、そこで会ったとある人に、こんな事を言われたわ』

 

"お前は何者かの手によって、この世界に召喚されたのではないか"

 

『とある人って、誰ですか?』

 

『言えないわ、自分の事は誰にも言うなって言われたの』

 

ナナホシの知り合いのある人が言うには俺たちはこの世界にとっての異物らしく、歴史を大きく変えようとすれば、世界に排除されてしまう。と言う事らしい。信用ならないが、

 

そしてもう一つの重要な事実が、ナナホシには魔力がないと言う事だ。

全くないとかではない、0なのだ。

 

この世界は死体にも魔力が宿っているのにも関わらず、ナナホシにはない。その代わりなのかは分からないが、歳を取らないらしい。

 

それなら初めて会った時から姿が変わってないのも納得だな、

 

『どう?少しは信用してくれたかしら?』

 

『はい』

 

『じゃあ、取引をしましょう』

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「今日は、ちょっとよく分からない日だったわね」

 

サテラが夕焼けの道を歩きながら言った。

 

「ああ、、そうだな、、」

 

「すいません、麒麟達にはよく分からなかったですよね」

 

ルーデウスがフィッツをおんぶしながらそう返した。

 

あの後ルーデウスとナナホシは取引をした。

 

ルーデウスは魔力を提供する

 

ナナホシは転移についての情報を教える

 

まさにギブアンドテイクの取引だ。

 

そこまではまあ良かった。

しかしナナホシの最後の言葉で台無しになった。

 

フィットア領で起こった大規模な魔力災害、あれの原因はナナホシが起こしたものであると、ナナホシ自身が言ったのだ。

 

それにフィッツが激昂し、俺はフィッツを気絶させ、今はルーデウスにおんぶしてもらっている。

 

「ルーデウス、お前はナナホシの事、どう思ってるんだ」

 

「・・そうですね、気に食わない部分はありますが、信用します。一応」

 

「そうか、ルーデウスがいいなら、いいんだが」

 

俺は少し心に曇ったものが出来ていたが、まあいい、それもいつかはなくなるだろう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

最近、フィッツの元気がない、どこか気の抜けた、失恋したかのような顔をしている。

 

理由は分かっている。ナナホシとルーデウスだ。

 

あいつらは最近二人でいる事が多い、まあ別にやましいことをしている訳ではなく、ただルーデウスがナナホシの使った魔法陣に魔力を注いでいるだけだが、それを知っていてもフィッツの顔色は良くならない。

 

俺もルーデウスとナナホシの実験によく立ち会わせてもらっている。魔法陣について学びたいからだ。ナナホシからは見るなら手伝えと言われたが、俺は魔法陣を十枚目を使ったあたりで魔力枯渇を起こした。

 

その時に俺の人獣型が解除されて、ナナホシに素顔がバレたが、それは口止めをしておいた。もしあの場にアリエルかフィッツがいたら終わっていただろう。

 

フィッツはそんなルーデウスとナナホシの姿を羨ましそうに見ている。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ある日、生徒会室で俺が荷物を整理していると、アリエルが呼んできた。

 

部屋には俺とアリエルだけ。

 

「麒麟、あなたはフィッツが女、だと言う事はしっていますよね」

 

「ああ、最近知った」

 

「本来この事は誰にも知られてはいけない事実です。麒麟とサテラはいいとして、最近、それをもう一人の人物にバレてしまったのです」

 

「そうなのか、誰だ?」

 

「ルーデウスです」

 

「!?」

 

フィッツ、とうとう正体を明かすのか?

半年間音沙汰が無かった二人に進展が?

だめだ、ここはポーカーフェイスを保たねば、

 

「ルーデウスはそんな事を広める様な奴ではないから、大丈夫だろ」

 

「ええ、確かにそうです。彼はそんな人物ではない事は分かっていますが、問題は、フィッツの正体がルーデウスの幼馴染だと言う事です」

 

「・・・そうか」

 

「あら?思っていたより反応が薄いですね」

 

俺を見て薄く笑うアリエル。

この笑顔にもだいぶ慣れて来たな。

 

「フィッツの行動を見てたら、ルーデウスの事が好きってのは分かってたからな、幼馴染ってんなら納得だ」

 

「やはりバレていましたか、しかし私はそんなフィッツとルーデウスの関係が進展しない事に、少々もどかしく感じているのです」

 

「それには同感だな、」

 

「麒麟もそうでしたか、なら、一緒に二人をくっつける事ができる様に協力しませんか?」

 

アリエルはさっきより笑顔が濃くなっている。

 

アリエルと協力、本来なら即答で断るが、俺もルーデウスとフィッツ、もといシルフィには二人で幸せになって欲しい。

ずっと離れ離れになってた幼馴染同士だ。

俺が二人の恋が成就するのを見たいって言うのが大部分だが、

 

「何故俺なんだ?ルークでいいだろう、あいつは恋愛に関して右に出る奴はいないだろうし」

 

「そうですね、ルークの方がいいかもしれません。しかし私は麒麟と協力したいんです」

 

「どうしてだ?」

 

「なんとなくです」

 

なんだそれ、話にならねぇな。

 

「はあ、分かった。協力しよう」

 

「フフ、ありがとうございます。じゃあ早速なのですが・・」

 

そういって俺の横に座ってくるアリエル、

 

『ヘルス!この問題がわからないのですけれど・・・』

 

『ここか?ここはな、こうして・・・』

 

うッ

 

急に記憶が蘇って来たな、

アリエルから甘ったるい匂いがする。

それは不快で、どこか懐かしい匂いがした。

 

その時、アリエルの手に付いている、指輪が目に入った。

それは、俺がアリエルに5歳の誕生日に送った指輪だ。

 

「お前、その指輪」

 

思わず口にしてしまう。

 

「ああ、これですか?麒麟も知っているですね」

 

「ヘルスのやつ、か?」

 

「はい、彼は多分もう付けていないでしょうから、本来の目的にはもう使えないでしょうが、これを付けてると、ヘルスが近くにいる気がして、」

 

「・・・」

 

指輪は新品の様に綺麗だった。

中に入っている魔石には艶がある。

毎日手入れしているのだろう。

 

 

「すいません、私らしくないですね。話に戻りますが・・・」

 

俺は胸にまた何か刺された様な感覚が走った。

 

しばらく俺はアリエルと共にフィッツとルーデウスを結ばせる方法について、議論していた。

 

しかし俺は、途中から、いつもの不快感がなくなっている事に気づいた。

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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