貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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38話 披露宴

「まあなんだ、俺はシルフィとやっていく。何かあったら力になってくれ、よろしく」

 

「よし!若き二人の行く末に、乾杯である!」

  

『乾杯!!』

 

ルーデウスの宣言とバーディガーディの合図で、ルーデウスとシルフィの披露宴が始まった。

 

ルーデウスとシルフィが結婚してから披露宴まで、結構な時間がかかった。

 

まずは二人のマイホーム探し。

ルーデウスが呪われていると噂の格安の物件をみつけ、ザノバとクリフと俺の男3人組を招集し、調査に向かった。

 

一晩をそこで過ごし、そこで噂の原因となっていた自立型人形?まあほぼロボットみたいなものを捕まえた。

 

ザノバが神子の特性である頑丈な体で、襲って来たロボットを返り討ちにしてくれたのだ。

 

ザノバの戦闘シーンを初めて見たが、見た目に反して完全な脳筋の立ち回りで少々面白かった。

 

俺とクリフはその人形を壊すか、捨てようと提案したが、ルーデウスとザノバの猛抗議により、持ち帰って研究するという形になり、ザノバが片手で人形が入ったケースを運んで行った。

 

あの時のルーデウスとザノバの興奮している姿には驚いてしまった。

確かに、人形が意思を持って動くっていうのにはロマンがある。

しかし自分達を殺そうとして来た人形にあそこまで近づいて、ベタベタと触るのを見ていると、もはや二人に恐怖まで感じた。

 

 

「麒麟?何突っ立てるのよ、あなたも食べないの?とっても美味しいのよ」

 

思い出にふけていると、笑顔のサテラが俺の肩を叩いて来る。

 

「ああ!そうだな、シルフィの手作りなんだよな、どんな味なんだろう」

 

俺はテーブルにあった豚肉を皿に乗せ食べてみた。

 

・・・うまいな

 

俺はシルフィが料理をする所なんて見た事がなかったから、正直期待はしていなかった。

 

だがこの一口でシルフィは俺の料理の技術を上回っているという事を理解させられてしまった。

 

魔力総量はおろか料理でも負けるなんて、ちょっと悔しい。

 

でもまあそれくらいの才能を持った妻がルーデウスには丁度いいだろう。

 

「ボス!その肉あちしにも残しといて欲しいニャ!」

 

「そうなのボス、私達にも分けて欲しいの」

 

俺の後ろでヨダレを垂らすリニアとプルセナ

 

「別に食いたいなら食えばいいだろ?なんでそんな俺の後ろにいるんだよ」

 

「ボスの許可がなきゃ、あちしらは食べられニャイ、それがあちしらのルールニャ」

 

なるほど、そういう風習、みたいなものなのか。面倒くさいものだな

 

「それは分かったが、今日の主役はルーデウスとシルフィだ。俺の許可とか取らずに、好きなもんを食えよ」

 

「本当かニャ!?じゃあ早速・・」

 

そういってリニアとプルセナは各々食べたい食べ物を皿にどんどんと乗せていった。

 

「群れのボスは大変ですね」

 

また後ろから声がかかる。

 

「本当にな」

 

後ろにいたのはアリエルとルーク、エルモアとクリーナもいる。

以前の様な不快な感じはない。

 

「それで麒麟、あなたは二人へのプレゼントは決まりましたか?」

 

「ああ、喜んでもらえるかは分からんが」

 

「今の二人には、何をあげても喜ぶと思いますがね」

 

俺はルーデウスの方を見る、シルフィと共にザノバ達と笑いながら話し合っている姿は、本当に幸せそうだ。

 

「そこ、ちょっといい?」

 

俺とアリエルの間に突然手が入って来た。その手は一つの皿をとると、引っ込んでいく。

 

「ナナホシか、それ、全部1人で食うのか?」

 

「ええ、何か文句でもあるの?」

 

「いや、ないんだが、俺も一つ貰ってもいいか?」

 

俺がそう言うとナナホシは仮面越しからでも分かる嫌そうな顔をしながらポテチをくれた。

 

そう、ナナホシが取った皿の中に入っていたのは、ポテトチップスだったのだ。

 

俺も料理を見た時に驚いた。まさかこの世界でまた巡り会うことになるとは、、まあ俺も出す事もできるが、マジもんをみるとやっぱり感動する。

 

味も俺が知っているポテチにそっくり、昔に戻ったみたいだ。

 

ナナホシはしばらく部屋の隅で1人、ポテチを貪り食っていたが、途中でジュリが参戦し始めて、争奪戦のようになっていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

宴も終盤を迎え、終わりが近づいて来た。

エリナリーゼが途中で泣き始め、二階に連れて行かれると同時に、リニアとプルセナが帰って行った。

次にナナホシ、ザノバとジュリ、バーディガーディとメンバーが一人、また一人と消えていく。

 

残る俺達は料理の片付けを手伝い、今は少しお茶の時間だ。

 

「懐かしいですねルーク、こんな優雅にお茶をするなんて、いつぶりでしょうか?」

 

「そうですね、ここに来てからそんな余裕は全くありませんでしたから」

 

「アリエルさんっていつもこう過ごしてると思ってたのに、違うんですね」

 

隣にいるサテラが不思議そうな顔をしている。

 

「ええ、いつもお茶をする時は、相手は貴族の方でしたからね。この様なお茶をしたのは、、ヘルスといた時ぐらいでしたね」

 

その言葉にサテラとルーデウスが俺の方を向いてくる。

やめろよ、気まずいじゃないか。

 

「しかし北部で情報を募っても、兄上の居場所は全く分からない、そうなるとやはり、ミリス大陸辺りにいるでしょうか?」

 

「恐らくはそうでしょう。今度、ギルドの方へ捜索のお願いをしましょうか」

 

「アリエル様とルーク先輩は、ヘルスの事を大切に思ってるんですね」

 

ルーデウスが二人の会話に入った。

 

「ええ、ヘルスは私にとっての仲間、ルークの兄ですからね。当然の事です」

 

そうやって柔かに笑うアリエル。

 

まずいなこの状況、居心地が悪くなり始めてる。

ここはまず、雰囲気を変えよう。

 

「そ、そうだルーデウスとシルフィ!お前らにまだプレゼントを渡していなかったんだ。すまないな」

 

俺は立ち上がり、持って来たカバンから、小さな箱をルーデウスに渡した。

 

「すまんな、二個は用意できなかったんだが、俺の最高傑作だ」

 

「いえいえ、ありがとうございます。中を開けても?」

 

「ああ」

 

ルーデウスが箱を開けると、結ばれている紐が出て来た。

 

「これは?」

 

「ルーデウス、お前がこれから命の危機に迫った時、いざって時に、その紐を解いてみろ、必ずお前の助けになる」

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

ルーデウスはやや不思議な顔で結ばれた紐を眺めている。

 

箱に入っている紐には、俺の覇気を纏わせておいた。

 

覇気を結ぶ、それは当然簡単な事ではなく、俺が出来たのもほぼ偶然に等しい。

 

その大切な紐をルーデウスにあげたんだ。

 

まず命の危機に迫る様な事が起こって欲しくないんだが。

 

「じゃあ俺達もそろそろ帰るか、サテラ、行くぞ」

 

「え?ええ」

サテラは何か言いたそうだったが、それは後で聞くとしよう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

シルフィはエリナリーゼと話があるらしく、俺達はルーデウスに見送られ、ルーデウス邸を後にした。

 

「・・・麒麟、あなたも酷いわね。せっかく正体を明かせそうな機会を用意してあげたのに」

 

しばらく無言で歩いていると、後ろにいるサテラが話しかけて来た。

 

「俺は俺のペースでやりたいんだ。あそこはまだ違う」

 

「でもいい加減、アリエルさんが可哀想よ、あなただって、もうアリエルさんをあまり嫌とは感じてないんでしょ」

 

「まあ、そう、そうだよな」

 

なんで俺は、あそこで正体を明かさなかったのだろう。

サテラに言われてもう一度考えてみる。

 

別に明かして、それで終わりじゃないか、アリエル達が俺を憎んでいる訳でもない。むしろ俺の正体を知れば、喜んでくれるかもしれない。

 

でも、心のどこかにある、何か黒いモヤの様なものが、ブレーキの様にそれを妨げてくる。

 

「はあ、無理にとは言わないけれど、手遅れになる前に伝えてよ」

 

「・・・分かった」

 

このモヤの正体、

ダメだ、今考えるのはよそう

今日は最高の日だったんだ。その気分を台無しにしたくない。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「へえ、それでルーデウスの妹二人がシャリーアに来るのか?」

 

「はい、ですが一つ問題がありまして・・・」

 

「一人の妹にすごい嫌われてるって事ね」

 

披露宴から数日程経ち、いつもの日常に戻り、今は特別生の教室でルーデウスの悩みを聞いている。

 

二人の妹がこのシャリーアに来て、一緒に生活をする。その内の一人がルーデウスの事が嫌い。

 

単純な話だが、難しい話だ。

 

「名前はなんて言うんだ?」

 

「ノルンとアイシャ、二人とも同じ日に生まれましたが、一応ノルンの方が姉です」

 

アイシャは知らないが、ノルンは見た事がある。あのパウロの足に抱きついていた女の子だ。

 

それにしても双子か、

 

「なるほど、双子か」

 

「いえ、母親が違うんですよ」

 

「そうか、母親が・・・ん?」

 

母親が違う!?

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

話を聞くと、内容は酷いものだった。

 

パウロは簡潔に言うと、浮気したのだ。

 

メイドであるリーリャに、

 

リーリャ、聞いた事がある。アリエルが小さい頃に仕えていた一人だった気がする。

 

だが今はそんなことどうだっていい、問題はパウロがメイドであるリーリャを襲い、関係を迫ったと言うのだ。

 

それによりルーデウスの母の妊娠と同時期にリーリャの妊娠も発覚、危うく家族崩壊しかけたらしい。

 

「本物のクズね」

 

ドン引きしたサテラが言う

 

「ああ、これに関しては、擁護のしようがないな」

 

それに俺は頷く

 

サテラは一応ミリス教徒だ。

俺はミリス教徒ではないが、流石に不倫は、殺すことにも寛大なこの世界でも許されないだろう。

 

「でもルーデウス、お前の母親もミリス教徒だったろ?それは許されたのか?」

 

「ええ、母様は本当に優しい方なので」

 

「すごいわね、そんなの許せるなんて、ミリス様の生まれ変わりかしら」

 

「まあなんだ、パウロはクズとしても、子供に罪はないしな。よし、じゃあ俺も妹と仲良くなる方法を考えておくよ」

 

「私も頼りにはならないかも知れないけど、やれる事はやってみるわ」

 

「ありがとうございます二人とも」

 

ルーデウスの妹達か、早く会ってみたいものだ。

 

 

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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