貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
「ここだぜ」
ギースに連れられてきた所、そこはどこにでもある普通の店だった。
こんなところに、パウロがいるのか。
あいつらしいと言えば、あいつらしいな
「入る前にちょっといいか?」
入る前に、ギースが止めてきた。
「まあ伝えたいのは先輩とエリナリーゼなんだが。今回、パウロも相当参ってるからな、エリナリーゼよ、おめぇも言いたい事はあるだろうが、ちっとばかし抑えてくれ」
「約束しかねますわ」
まあそう言われても仕方ないよな
俺はエリナリーゼとパウロの関係は知っている。
二人は冒険者時代、黒狼の牙のパーティーメンバーとして活動していた時、パウロと関係を持っていたそうだ。同じく俺の師であるギレーヌとも、それで3人はドロドロの関係となり、パーティー解散、パウロが妻のゼニスと結婚した時に、喧嘩別れのような形になってしまったらしい。
はっきり言ってパウロが悪い、100%な、
「先輩もだ、前みたいな喧嘩はやめてくれよ?」
「はい」
やっぱりルーデウス、喧嘩していたのか、あの温厚なルーデウスがキレるんだ。相当な事をやらかしたんだろう。後で詳しく聞いてみるとしよう。
ギースはそういうと、扉のドアを開けた。
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中は広く、結構オシャレだった。
しかし人は少ない。
貸し切ったんだろうか?
横の窓が付いている明るい部屋をみる。
そこにはサテラに似た髪型の女の子と、メイド服を着た、アイシャによく似ているメガネをかけた女性がいる。
そして、椅子に座り机に伏せている男、、
髪型的に、パウロだろうか?
「あ、旦那様、ルーデウス様がおいでになられました」
メイド服の女性がパウロらしき男に声をかける。
「ん・・?」
男は寝起きであろう体をゆっくりと上げ、俺達の方を見た。
やはりその男はパウロだった。顔と体は健康体だが、目をよくみるとクマが出来ている。恐らくしばらくの間、まとな睡眠をとっていなかったのだろう。かなり弱々しく見える。
「ルディ・・?夢じゃあねぇのか?」
「本物ですよ。父さん、お久しぶりです」
ルーデウスはパウロに近づく。
「来てくれたのか?早いな」
「少々、特殊な方法で来ました。帰りに、話す事になると思います」
「まあ、お前なら、そういう事もあるのか」
パウロは立ち上がり、おぼつかない足どりでルーデウスの前へ行くと膝を床につけ、ルーデウスに抱きついた。
そこからパウロの懺悔が始まった。
自分一人では何も出来なかったと、決めた事すら守ることができないと。
そんなパウロの姿を見ていると、以前のあのリーダーシップのあるパウロの姿は消え去り、今は自信をなくした弱者男性にしか見えない。
「ルディ、お前、大きくなったなぁ」
「大きくなりましたよ、もうすぐ子供も生まれるんです。だから、後は俺に任せてゆっくり休んでください」
「こ・・・子供?お前、本当に立派になったんだなぁ」
パウロは瞳から涙が溢れ出ていた。
やっぱりパウロも色々問題がある男だが、家族への愛情はとても深い人物なのだろう。
最高で最悪な父親だな。
その後、エリナリーゼとパウロの話し合い・・・一方的なパウロの謝罪だったが、なんとか和解して、場は和み始めた。
「ところで、そこの二人は誰なんだ?」
「俺は麒麟だ、ルーデウスの仲間で、協力しにきた」
「私はサテラ・・まあ、彼と同じ理由ね」
「彼らは俺の、いや、俺の家族のために、ずっと協力してきてくれた親友達です」
「そうなのか、ルディ、お前、いい友達をもったなぁ」
また涙を流すパウロ、こいつ、涙腺緩すぎるだろ。
俺も人の事を言えねぇが
「まあとりあえずよ、一旦状況を説明すべきなんじゃねぇか?パウロ」
椅子に座るギースがため息をつきながら言った。
「あ、ああそうだな、じゃあ机を並べてくれ、状況を説明する」
そして机を並べると、パウロは持っていた地図を広げて、会議を始めた。
パウロ達の情報によると、ルーデウスの母ゼニスは、ここから一日程かかる場所の迷宮で行方不明になっている。
一体いつからその迷宮で行方不明になったのか、何故そこに行ったのか、全てが不明、もう既に死んでいると結論付けるのが普通だが、最近になって、ゼニスらしき人物を迷宮で見たとの情報もあり、死んでいない可能性もあるらしい。
しかしその迷宮はかなり厄介な所らしく、プロが四人集まって一年かけても、半分も攻略ができていないとのこと。
「難しいな、俺達は迷宮なんてほぼ入った事もないし、力になれそうもない」
俺は冒険者時代、迷宮系は避けていた。
サテラにとって危険すぎるってのもあるが、俺自身、結構な方向音痴なのだ。
途中で買い出しに行っていたタルハンドという男と、サテラと髪型が似ていた女の子シェラの姉であるヴェラも会議に参加した。
タルハンドは最初、やたらとルーデウスのケツを見ていた気がするが、まあ気にしないでおこう。
「よし、全員そろったところで、話を続けるぞ、いいな」
「・・・?、ちょっと待ってください、ロキシー師匠はどうしたんですか?」
ルーデウスのその言葉に、パウロの顔が険しくなる。タルハンドとギースも同様にだ。
「え?嘘でしょう?」
ルーデウスは察してしまったようだ。
「ロキシーは一ヶ月前、迷宮で罠にかかって・・・」
「し、死んだんですか?」
「いや、転移魔法陣を踏んで行方不明になっただけだ、まだ死んだと決まった訳じゃねぇ」
「おいパウロ、そりゃ無理だ。いくらロキシーでもその確率は・・」
「いや、ロキシーは魔術師として規格外じゃ、生き延びている可能性も・・」
ギースがそういうとタルハンドが反論をした。
ロキシー、確かルーデウスの魔術の師匠だったか?
ルーデウスの師匠であるなら、規格外というのにも納得がいくし、まだ生きている可能性もあるだろう。
タルハンドとギースが言い争っているのを無視し、ルーデウスの方をみる。
ルーデウスは目を見開き、絶望の表情をしている。
俺はルーデウスの肩に手を置いた。
「麒麟・・・」
ルーデウスはハッとした表情で俺を見た。
「大丈夫だ、お前の師匠なんだろ?だったらきっと、今頃迷宮で呑気に飯でも食ってるに違いない」
俺が笑顔でそういうと、ルーデウスも少し顔を和らげた。
「ええ、そうですよね、すいません皆さん。話の腰を折ってしまいましたね」
「大丈夫だ、俺の方こそすまない、心無い事を言ってしまったな」
そして、話は再び迷宮の攻略に戻った。
ここで、とんでもない幸運が起きた。ルーデウスが学校から拝借した本に、転移の迷宮に関する本があったのだ。
それにより、半分も攻略できていない迷宮は、一気に第六階層までは攻略したも同然となった。
ルーデウス、やはり神が味方しているな。
その神が、ヒトガミでなければいいんだが、
それにより一気に緊張が解けた俺達は、皆どこか、安心した状態で、迷宮探索のフォーメーションを組むことができた。
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夜、俺達はパウロ達が拠点にしている寝床を貸してもらう事にした。
そして神はどうやら、俺には厳しい試練を与えたいらしい。
サテラと二人っきりの個室で眠る事になった。
いやまあ、俺達はいつも一緒にいるから、二人にされるのは必然なんだが、
ベットは二つ、離れている事がせめてもの救いなのだろうか?
俺達は部屋に入ってから実に一時間、一言も話していない。
サテラはずっと窓側の机で持ってきた本を使い治癒魔術の勉強をしている。
寝ようにも、気まず過ぎて寝れない。
かと言って部屋を変えようなんて言ったら、俺とサテラの関係は完全に崩れてしまう。
・・・話さなきゃな、俺とサテラの二人きりの時間は、多分今日だけだ。明日からはもう迷宮に向かう。そうなれば二人の時間なんてなくなる。
今話さなくては、後悔する事になる気がする。
「なあ、サテラ?」
「何?」
サテラはこちらを見ずに反応する。
「少し話したいんだが、いいか?」
「私、今忙しいんだけど?」
「・・・すまん」
失敗か、これは、かなり長期戦になりそうだ。
だが諦めちゃいけない、今日は無理だったが、明日、明後日、時間はたっぷりある。
ゆっくり話し合っていこう。
そうすれば、仲直りできるはずだ。
・・・本当にできるのか?
込み上げてくる不安と共に、睡魔がやって来た。
ここに来て眠たくなるのかよ、
自分の無神経さに呆れつつ、俺は深い眠りに落ちた。
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迷宮探索は、順調に進んでいった。
ルーデウスの本が役に立ったのもあるが、パウロやエリナリーゼ、元黒狼の牙メンバーが相当な強者だったのが大きいだろう。
エリナリーゼはともかく、パウロの腕は別格だった。
剣神流 水神流 北神流
全て上級、またはそれ以上の実力者だ。
剣術だけでいえば、俺を遥かに上回っている。
そんな男が俺たちの前を歩き、まるで野菜のように魔物を切り裂いていく。回復役のサテラはいいとして、俺とルーデウスの出番は無さそうだな。
とても頼もしい存在でもあるが、息子に良いところを見せたいのか、少し調子に乗り過ぎてるのが心配だ。
さっきもエリナリーゼから叱責を受けていた。
「パウロは息子も同然なんですから、叱りもしますわ」
「なあにが息子だよ、なあルディ?」
パウロのニヤリとした表情に苦笑するルーデウス。
パウロ、お前はもう知らないところで、エリナリーゼの親戚となっているだ。
第二階層に入ると、その緩んだ緊張感も無くなり、みんな真剣に周りを確認している。
しばらく歩き、もうそろそろ第三階層への転移魔法陣に着くという時、
ルーデウスが急に立ち止まった。
「ん?どうした?」
「なんだ?ルディ」
ルーデウスは壁は歩いていき、手を壁につけた。
「・・・あ、ああ」
「どうしたのよ、ルーデウス」
「・・・父さん!神の気配がします!」
はあ?
俺はルーデウスが最初、ふざけているのかと思った。
こいつはたまに、変な所でふざけはじめるからな。
しかし、ルーデウスの目は本気だった。
「麒麟!この壁、壊せますか?」
ルーデウスが俺に聞いて来た。
よく分からないが、ルーデウスは本気なのだ。だったら俺も、それに応えてやろうじゃないか。
「もちろんだ、壊すか?」
「お願いします」
「おいおい、待てよ!迷宮で壁なんか壊したら崩落の・・・」
ギースが俺を止めようと言葉をかけたが、もう手遅れだ。
俺の周りには紅色の覇気が出ている。
ドォォォォン!
俺が壁を殴る、いや、壁から少し離れたところで壁に向かって拳を振ると、黄色いレーザのような衝撃波が、壁にぶち当たった。
しばらくして、砂埃が散り、俺が開けた穴の方を見ると、人が横に三人は並べそうな穴が空いた。
「ありがとうございます、麒麟!」
ルーデウスはそういうと、穴の奥へと走って行った。
俺がそれを見ていると、エリナリーゼから拳骨をされた。
「あなた!何を考えているんですの!?迷宮は脆いんですのよ?」
「すまん、でも、壊れなかったろ?」
「結果の話をしてるんじゃありませんの!はあ、とりあえず、ルーデウスを追いかけますわよ」
「ああ、そうだな、」
俺達は遅れて、ルーデウスの後を追いかけて行った。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん