貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
ルーデウスの後を追いかけると、広い空洞にでた。
周りには魔物が大量にいる。
しかし、全員が氷漬けにされている。まだ微かに動こうとしている奴もいるが、そいつらもいずれ動かなくなるだろう。
恐らくルーデウスの仕業だろう。
それにしても、相変わらずすごい魔力総量だな。
こんな技を平気でやるとは、、
崖の上に、ルーデウスがいるのを見つけた。
ルーデウスは上の方で、何やら突っ立っている。
俺が崖へ飛び、ルーデウスの横に行くと、前に立っている青髪の少女に気づいた。
なぜこんな小さい少女がここに?服も汚れている、相当長い時間ここにいたのだろうか。
「ルーデウス、大丈夫か?」
「ああ麒麟!さっきは助かりましたよ」
「良いってことよ、それよりその子は・・・」
「あ、あの!」
青髪の少女がルーデウスに向かって話しかけた。
「助けていただいて、ありがとうございます」
「いえいえ、当然の事をしたまでです」
ルーデウスはいつも通り謙虚だ。
少女は咳払いをする。
「初めまして、私の名前はロキシー・ミグルディアと言います。できれば、あなたのお名前を聞かせていただけないでしょうか?」
こんな状態でも挨拶を忘れないなんて、きっと良いとこの生まれで教育を受けて来たんだろう。
・・・?
今、この子、ロキシーって言わなかったか?
ロキシーって、あのルーデウスの師匠の?
いやいや、ただの偶然だろう。
「なあルーデウス・・これはただの偶然だよな・・」
ルーデウスは杖を落としていた。
「お、お、俺を、、覚えて・・・いない?」
痙攣するルーデウス。
「え?今あなた、ルーデウスと言いましたか?」
少女が俺の方を向いて、詰め寄って来た。
「ああそうだ。こいつがルーデウスだぞ?なあ?ルーデウス・・・」
「お、覚え、覚えて、、、ない?」
ルーデウスは後ろに下がり始め、、そして、
オロロロロロロロロ
吐いた。
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どうやら、青髪の少女の正体は、本当にルーデウスの師匠の、あのロキシー・ミグルディアだそうだ。
小さいのは、ロキシーの種族であるミグルド族の特徴らしい。
「こんなちっさいのがルーデウスの師匠!?」
俺がそう言った時、ロキシーにムッと険しい表情をされた。
コンプレックスなんだろうか?
とりあえず俺達は疲れ切っているロキシーを連れて、町へ戻る事になった。
ロキシーは俺が思っている以上に衰弱していて、数日の間、安静にしてもらう事になった。
その数日の夜は、俺はパウロ達と飲み屋で朝を待つという自堕落な生活を繰り返していた。
仕方ない、部屋に戻っても辛いだけなんだから。
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ロキシーが調子を取り戻し、三日後に探索の再会をする事になった。
三日、パウロは早いと言ったが、俺にとっては遅すぎるくらいだ。
三日か、飲み屋に入り浸れる金、足りるか?
ロキシーは勉強熱心な人だ。
パウロに読んでおけと言われた本を、今は食堂でずっと見ている。
その周りでウロウロしているルーデウス、師匠との再会が嬉しいのだろう。微笑ましい光景だ。
俺はそれを上の階でバレないよう眺めている。
あ、ルーデウスがロキシーの隣に座った。
本の内容を教えているのか?
ルーデウスが熱心に解説する様子を、ロキシーは少し頬を赤らめて見ている。
ルーデウス、また女を落としたのか?
相変わらずモテるな、
でも確かに、あんな魔物に囲まれた危機的状況を救ってくれた奴が現れたら、俺だって惚れてしまう。
しかし残念だなロキシーよ、あいつにはもう妻がいるんだ。
白髪の可愛いエルフの妻が。
叶わない恋、これもまたロマンチックだ。
俺はそんな二人の光景を、椅子に座りながらずっと眺めていた。
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数日後
俺達は迷宮探索を再開し、第三階層まで突入した。
流石に第三階層ともなると、敵のレベルも上がる。
俺達の役目も増えて来た。まあほぼ、ルーデウスとロキシーの魔術で大体終わってしまうが、
二人のコンビネーションは抜群だ。
ロキシーが魔物の足を凍らせ、ルーデウスがストーンキャノンでトドメを刺す。生き残った奴らもパウロとエリナリーゼにより一掃される。
事前に打ち合わせしていた訳でもない。
流石師弟の関係、常人にはできない芸当だ。
「まったく、わしらの出番も少しは欲しいものじゃのぉ」
「そうね、私もまだまともな回復すら出来てないわ」
俺は楽なので構わないが、タルハンドとサテラは少し不満があるようだ。
その後、俺たちの出番はなく、第四階層まで来てしまった。
「よし、今日はここら辺で終わるとしよう!帰るぞ」
何もせずに終わってしまった。構わないと言ったが、流石にここまで何も活躍が出来ないと、俺も少し不満が出てくる。
次はフォーメーションを変えてもらうのもありかもしれない。
物資調達の為、一日だけまた町に戻る事になった。
俺はルーデウスと共に買い出しに行こうと思ったが、ルーデウスは既にロキシーと二人で行ってしまったらしい。
俺は親友を取られたみたいで嫉妬してしまう。
これがNTRか、、
そんな冗談を考えつつ、俺は一人で昼の町を探索し、夜はいつも通り飲み屋に行くと、ルーデウスとロキシーがいた。
「よおルーデウス、お前が飲みに来るなんて珍しいな」
「麒麟!良かったら麒麟も一緒に飲みませんか?」
ルーデウスは俺に酒の入ったコップを渡して来た。
「・・・たまには、良いかもな」
俺はそのコップをもらい、ルーデウスの隣に座った。
酒を一口飲んでみる。
・・・やっぱり口に合わねぇ。
そこからしばらくは三人で迷宮について話し合っていた。
「ところで麒麟さんって、何処の生まれなんですか?」
少し酔っているロキシーが聞いてきた。
「麒麟でいいぞ、俺はアスラ王国出身だ」
「そうなんですか?てっきり、私と同じ魔大陸出身だと、」
「ふふ、まあこの姿なら仕方ねぇか」
俺の発言にロキシーはきょとんとした顔をしている。
「ルーデウス、俺もロキシーについて詳しく聞きたいんだが?お前からみて、ロキシーはどんな感じなんだ?」
「ふふん!良いですよ!麒麟にもロキシー師匠の素晴らしさを教え尽くしてあげましょう!」
「・・・たの、しみだな」
地雷を踏んでしまった気がする。
その後、ロキシー・・・ロキシー様の伝説をルーデウスが帰るまで聞かされ続けた俺は、そのまま疲れ果てて、酒場で寝てしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「麒麟様!起きてください!」
「んん?」
重い瞼を開けると、アイシャによく似た女性がいる。
こいつは確か、リーリャさん、だったか?
「麒麟様、もう出発のお時間ですよ」
「はあ?」
俺は窓を見てみる、既に日が昇っていた。
まじかよ・・・
俺は久々の寝坊をかましてしまった。
「分かった、ありがとうリーリャ!」
俺は慌ててメンバーがいる所に向かった。
その後、エリナリーゼとパウロからの叱責をくらい、荷物持ちの刑に処された俺を、ルーデウスは申し訳なさそうな顔で見ていた。
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「この魔法陣で、第四階層は終わりだ」
ギースが本に印をつけてそう言った。
第四階層も難なくクリア、途中フォーメーションを変えてもらい、俺が前衛に参加し、サテラ、タルハンドが後衛を任される事になった。
これにより、ルーデウスとロキシーの重要な戦力に魔力を使わせる事を防ぎ、俺たちも活躍の場が設けられて、一石二鳥と言う訳だ。
「なあ麒麟、お前、剣は使わないのか?」
パウロが不思議そうに聞いてきた。
「剣も使えるには使えるんだが、拳の方が威力が出るんだよ」
「そうなのか?だが剣もいいもんだぞ?拳よりもリーチは長いし、切れ味もある」
パウロの言う通り、剣の方が圧倒的に有利だろう。
俺も剣をもっとうまく扱えれば、確実に強くなる。
しかし、俺の知る最強の剣士、ギレーヌはいない。
ならパウロはどうだろうか?
剣神 水神 北神
全て上級のこの男
ギレーヌには勝てないと以前言っていたが、俺はこいつがギレーヌより格下だとは思えない。
何かこう、ギレーヌと同等、それ以上の才能を秘めている気がする。
あくまで俺の直感に過ぎないんだが。
頼んでみるか・・
「・・・パウロ、これはお願いなんだが、この迷宮攻略が終わったら、俺に剣術を教えてくれないか?」
「あぁ?ふふ、もちろんいいぜ!」
意外とあっさり承諾してくたな。
パウロは満面の笑みで返してきた。
承諾してくれたのには感謝するが、また調子に乗る訳じゃねぇよな?
「おい!パウロ、麒麟、何無駄話してんだよ!早く来い!」
そうして俺とパウロは、ギースの声がする方向へと向かっていった。
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「ガーディアン前ですわね」
「この雰囲気は、そうだな」
まるで神殿のような部屋に入ると、そこには三つの転移魔法陣が置いてある。
ルーデウスの持ってきた本の著者も、ここで攻略を諦めたらしい。
つまり、ここからは俺たちが考えて行動しなければならない。
転移魔法陣は二つが正解、一つは罠。
確率的には正解の方が高いが、ここは必ず正解できるようにしたい。
「こんな時、ギレーヌがいてくれたらな」
パウロがため息混じりに言った。
「なんでここでギレーヌの話が出てくるんだよ」
「ん?お前知らないのか?こういう二択の場合、ギレーヌに選ばせなきゃ、失敗するんだよ」
なんだよその無茶苦茶な説は、ギレーヌの野生の勘と言うやつか?
「結論を出すのは、待ってもらえませんか?もう少し調べて見たいんです」
ルーデウスがそういうと、全員が承諾する。
「ルーデウス、何か案でもあるのか?」
俺はルーデウスに聞いてみる。
「いえ、そう言う訳ではないんですが、どこか引っかかるんですよね」
ルーデウスも勘なのかよ、まあいい、俺達も行き詰ってるし、ここは任せよう。
ルーデウスが部屋の中央で座り込み考えている間、俺達は各々自分の武器や装備を整えたりしている。
俺は特にやる事はないので、あぐらをかいてルーデウスを眺めている。
気がつくと、隣にはサテラか立っていた。
サテラは下を向きながら杖を抱きしめている。
今度こそ、、
「・・・」
「サテラ・・・あの時は・・・」
「麒麟、お前に相談したい事があるんだが、今、いいか?」
俺が言いいかけ時、パウロが俺の前に来て話しかけてきた。
「パウロか、今はちょっと・・・」
サテラはもう隣にはいない、エリナリーゼの方へ行ってしまった。
パウロ、最悪のタイミングだな、
「はあぁぁ、なんだよ」
「なんでそんな不機嫌なんだ?まあいい。麒麟、お前はルディとロキシーの関係についてどう思ってる?」
「ルーデウスと、ロキシー?」
パウロは頷く
「ああ、お前も気づいてると思うが、ロキシーはルディの事が好きだ。恋愛的にな」
「そうだな、二人はずっと一緒にいるし、ロキシーはルーデウスと話す時、いつも幸せそうだったしな」
「そうだろ?俺としてもロキシーは、ずっと俺の家族を探してくれた恩人だ。その恋を応援してやりてぇ」
そこまで言われて、俺は察した。
「まさか、ルーデウスに、ロキシーを妻に迎えさせると?」
「そのまさかだ」
この世界の結婚は、元の世界とは少々感覚が異なる。
一夫多妻なんてよくある事だ。
しかし、シルフィとルーデウスは結婚してまだ少ししか経っていない。
そんな新婚ホヤホヤの所に、新たな妻を迎え入れる。
シルフィの意思はどうなる?
「でもお前、ルーデウスが結婚したのは知ってるだろ?それが幼馴染だってことも、、」
「知ってるよ、全部な、それを理解した上で俺は言ってるんだよ」
「なら尚更難しいだろ、ルーデウスの気持ちも考えなければいけないし」
「そうだ、だからお前に相談したんだよ」
パウロはいつものふざけた感じではない、真剣な表情をしている。
「お前もルーデウスに提案してくれないか?ロキシーを妻に迎えたらどうだってな」
俺はその提案を聞き、考えてみた。
自分ならどうだ?
結婚したての相手が、新しく夫を迎えたいと言ってきたら。
俺の事も愛してるし、相手の事も愛してる。だから許してほしい。
「・・・最低だな」
だめだ、何回考えても、それしか出てこない。
「ああそうだ、俺は最低で最悪の父だ。何一つ守れねえ男だ、だけどよ、後悔はしてねぇ。リーリャを妻として迎えた時、俺は幸せだった。もしあの時リーリャを追い出していたら、俺は絶対に後悔したはずだ」
過去にゼニスと結婚したパウロは、リーリャと不倫し家庭崩壊しかけた事がある。その時の事を言っているのだろう。
あの時リーリャが追い出されていたら、アイシャはこの世にいなかっただろう。そう考えると、確かに後悔するだろう。
「ルディもそうだ。ここでロキシーを捨ててしまったら、きっと後悔する事になる」
「・・・」
「俺はルディにそんな後悔はして欲しくない。だから頼む、協力してくれ」
「・・・シルフィはどうするんだ?ノルンとアイシャも何か言ってくるだろう」
「シルフィ達は、俺が説得する。それでもダメだった時は、、お前からも頼む」
「なんだよそれ」
そう言われて、俺は思わず笑ってしまった。
「・・・分かった、協力するよ」
「本当か!?助かるぜ」
パウロは笑って俺の肩を叩く。
こいつは確かに最低な男だ。
ルーデウスにロキシーを妻として迎えさせるなんて、シルフィからしたらたまったものでない。
でも、パウロとリーリャ、ルーデウスも全員幸せそうだった。
妻が二人いても、ルーデウスならなんとかやっていけるだろう。
「皆さん!分かりました!」
ルーデウスの声が響く。
ルーデウスが隠し階段を見つけたらしい。
階段を降りると、今までの青い光を放つ転移魔法陣ではなく、不気味な紫色の魔法陣があった。
ここが正解だ。
そう確信できる。
「よっしゃ!先に行くぜ、みんな、気引き締めろよ!」
『おう!』
俺達は魔法陣を踏み、新たなステージに向かった。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん