貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
俺達の声によって出てきた魔物達を倒し、再び焚き火の周りに座る。
「ちょっと、うるさいですわよ。もしルーデウスかロキシーが起きたらどうするんですの?」
「お前がとんでもない事言うからだろ?」
ロキシーの妊娠、あの一夜で?
まさか、ありえない。しかし絶対にないとも言い切れないのがこの世界。
この世界に避妊具はない、そういう行為をすれば必然的にその可能性は出てくるのだ。サテラだってもしかしたら出来ているのかもしれない。
「ちょっと前、ロキシーがお酒に酔った勢いで言ってましたわ。最近、"来てない"とね」
俺達はそれ以上言葉が出てこなかった。
そうか、妊娠の可能性か。
もしロキシーが妊娠しており、それで尚ルーデウスがロキシーを捨てれば、それはただのクズになる。娶ったとしてもクズに変わりはないが……
俺はそれでも問題はない。
「サテラはどう思う?」
「え?私?」
突然の問いに戸惑うサテラ。
「私は……」
どうやら本当に悩んでいる様だ。
以前の彼女なら、そんな事はありえないとキッパリ否定していた。
だけど彼女も成長したのだ。今は真剣に考えた上で決断しようとしてくれている。
「……私も、ロキシーを娶るのに…賛成……かな」
「本当か!?」
パウロが目を大きく見開く。きっと反対されると思っていたんだろう。
俺も少し驚いてる。
「ちょっと」
「あぁ、すまん」
エリナリーゼの睨みに縮まるパウロ。
「でも、サテラがそう言うなんて珍しいですわね、理由を聞いても?」
「……別にルーデウスとシルフィはミリス教徒じゃないし。それに、ロキシーがもし本当に妊娠していたら、ルーデウスも責任を取るべきだと思ったから」
「サテラ…!ありがとう……ッ!?」
サテラが横から俺を抱きしめてきた。
良い匂いがする。
……ちょっとオッサンみたいになってるな。
「サテラ、そういうのは皆んながいない時に……」
「今がいい」
どうやら、しばらく離す気はないようだ。
「サテラ、あなた本当に変わりましたわね」
エリナリーゼが俺達の方を微笑みながら見ている。
「全くだぜ、最初に会った時は死んだ様な顔してたのにな」
「ケホッ、本当の私はこうなの、今までのが変だったんだわ」
「そう言う事でしたの……フフ……確かに今のあなたの顔、本当に幸せそうですわ」
「これからはもっと幸せにしてやるよ」
その言葉で頬を赤らめるサテラ。
「……なあお前ら、話が逸れてるんだが」
パウロが退屈そうな顔をしてこちらを見ている。
「ああすまん、ルーデウスの話に戻そうか。とりあえず、ロキシーが妊娠した可能性は、ルーデウスにも報告すべきなんじゃないのか?」
「ええ、それが良いですわね。わたくしの方から伝えておきますわ」
「エリナリーゼ、助かる」
「フ、エリナリーゼは息子に甘いな」
「……ん?迷宮の時もエリナリーゼが似たような事言ってたよな?そりゃ一体どう言う意味なんだ?」
「別に大した理由じゃありませんわよ。ただ、ルーデウスの結婚相手が、わたくしの孫ってだけの事ですから」
「おおそうか、つまりシルフィの祖母はお前って事か、なるほどな………………は?」
こうしてパウロが知らぬ間にエリナリーゼと親戚なっていた事を知り、夜の作戦会議は終了した。
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「スゥゥゥゥゥゥ」
やはり空気が美味しい。
転移魔法陣を使い、俺達は無事に中央大陸に帰還する事ができた。
蒸し暑い砂漠とは違い、ここは丁度いい気温で居心地がいい。
「ヘルス、本当にその姿に変えてしまうんですか?」
「アリエルさんには、まだ隠しておくの?」
「ああ、しばらくの間はな、これからはまた麒麟って呼べよ?」
俺は中央大陸に入ると同時に、人獣型に戻った。もう姿を偽る必要なんてないが、元の姿にする必要もない、そっちの方が色々と問題が起きそうだしな。
パウロ達にも一応俺が変身する理由を教えておいたので、バレる心配は恐らくないだろう。
「ところでよぉヘル…麒麟、お前のその羽衣みたいなの、最初より色がおかしくねぇか?なんか顔も前より怖くなったていうか……不気味だぜ?」
「そうじゃの…どこか威圧感があるのぉ」
「……むぅ」
ギースとタルハンドの言う通り、俺の人獣型はかなり変わってしまった。
真っ白な羽衣は黒紫に変わり、少々怒っている様な顔つきになっている。不気味と言われても仕方ないだろう。これももう一人の俺を受け入れた影響なのだろうか?
あいつの事についても謎だ。一つを代償にとか言ってたが、今のところ悪夢を見なくなった他に変化はない。
代償は悪夢を見なくなる事なのか?それはないだろう。
あいつは記憶を見せてやったとか言っていた。恐らくそれが悪夢の原因になる。つまり代償は他にある。それは一体……
……ダメだ、ここで仮説を立て続けても、埒が明かない。
とりあえずは生き残れたんだ、今はその喜びを堪能しよう。
「別に変じゃないよ、私はその姿も好き」
こんな事を言ってくれる妻もいるんだ。前向きに考えなきゃ損だ。
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旅の道中、エリナリーゼとパウロの説得により、ルーデウスはロキシーに愛の告白をし、一応二人は結ばれてた。
「愛しています」
ルーデウスのその言葉に目を輝かせるロキシーの姿は、実にロマンチックなドラマのワンシーンだった。
しかしロキシーはまだ妻になった訳ではない。家に帰り、シルフィやノルン達に認められるまでは、
パウロと俺がフォローするとはいえ、修羅場になる事は間違いない。
シルフィとアイシャはともかく、ノルンが厄介だな、あいつは結構熱心なミリス信者だから、一筋縄ではいかないだろう。
案の定、ルーデウス邸では大騒ぎになった。
まずは俺達全員が無事だった事を、三人は喜んでくれた。
特にノルンは、久々の父との再会に涙を流すほどだ。
そしてギースやタルハンドなどが帰り、残ったのはロキシー、俺とサテラ、後はグレイラット家のメンバーだ。
俺達は応接室の様な場所に案内され、事情を既に知っているリーリャとゼニスは部屋を後にした。
俺とサテラ、そしてパウロは、ルーデウスの座る椅子の後ろの壁に立ち、ロキシーはルーデウスの横に立っている。
……始まるのか
ルーデウスがロキシーを娶りたいと言った瞬間、ノルンの表情は一気に固まった。
「……兄さん、本気で言ってるんですか?」
「ああ、俺は彼女を二人目の妻として迎え入れたいと思ってる」
ルーデウスは席を立ち、シルフィに土下座をする。
「ごめんシルフィ、操を立てるって言ったのに、約束を守れなかった」
シルフィは何も言わず、ただ土下座をするルーデウスを見ている。
その表情は、軽蔑をする様な目ではないが、納得している感じでもない。
どういう感情なんだ?
「許せる訳ないでしょ……」
長い沈黙を破ったのは、ノルンだ。
「シルフィ姉さんがどんな気持ちで兄さんを待ってたか、知ってて言ってるんですか?」
パウロが前に出た。
「その、ノルン、ルディがロキシーを娶ろうとしたのは、俺の責任でも……」
「父さんは黙っててください!!」
「あう……」
見事にパウロは撃沈され、再び部屋の隅に縮こまる。
こいつ、役に立たなすぎる。
ノルンがルーデウスの胸ぐらを掴み、説教を始める。
ロキシーはとても気まずそうにその光景を黙って見ている。
俺が助けなければ、
「ノルン、そこら辺でやめてくれ」
「麒麟さんもなんで兄さんを止めなかったんですか!?麒麟さんなら、こんな事になる前に止めれた筈です!」
「……それは無理だ」
「なんでですか!?」
「俺も、ルーデウスとロキシーには、結ばれて欲しいからだ」
「……ッ!?そんな、なんで……」
「ロキシーは今までルーデウスの家族を助ける為に、世界中を旅してくれていた。命の危険に晒される魔大陸にも、自分の仕事を放棄してでもだ。そんな頑張ってくれた奴に、全員見つかったからもう用なしってのは、あまりに可哀想すぎるだろ?」
「それは感謝してます!でも、それとこれでは話が……」
「確かにそうだ、だからって勝手に妻に迎え入れるのは違う。でも俺達にも決める権利はない、これはシルフィが決める事だ」
俺はシルフィの方を見る。
「シルフィ、お前はどう思ってるんだ?」
「………」
シルフィは表情を変えず、自分の膨らんだお腹をさすっている。
……シルフィがここでロキシーを拒絶すれば、それで終わりだ。これ以上の行為は無意味になる。 そう考えると、少々緊張する。
シルフィがゆっくりと立ち上がり、ロキシーの前に出た。
「えっと、ロキシーさんは、ルディの事、ルディの家族を助けてくれたんだよね」
「……ええ、結局一人も見つけ出す事はできませんでしたが」
「ううん、探そうとしただけでもすごいよ。僕はその時、ずっと王宮で呑気に暮らしてたのに」
「………」
「それにね、ロキシーさんの事は、ルディからいつも聞いてたんだよ。"俺の尊敬する魔術師は、あの人だけだ"って」
「そうなんですか?」
ロキシーは頬を赤くしている。
「うん、そんな凄い人と一緒に暮らせるなんて、僕としてはとても嬉しいよ」
シルフィが手を差し出した。
「ノルンちゃんはああ言ってたけど、僕は歓迎します。一緒に、ルディを支えていこう」
ロキシーは目に涙を浮かべながら、その手を掴む。
「……ありがとうございます」
どうやら、シルフィはロキシーを妻として迎え入れる事を受け入れた様だ。
「はあぁぁぁ、怖かった」
俺は膝から崩れ落ちた。かなり緊張していたので、安堵で力が抜けたのだろう。
「お疲れ様」
後ろにいたサテラが労いの言葉をくれた。
「ヘルス、すまんな、結局お前に任せっきりになっちまった」
横にいたパウロが申し訳なさそうにしている。
「別にいいさ、お前が家族の中で立場が低いのなんざ、最初から気づいてたしな」
「ぐ、そうだったのか」
「父さん、後で聞きたいことがあるので、そこで待っててください」
ノルンがゴミを見る様な目でパウロにそう言うと、部屋から出て行ってしまった。
「……ヘルス、これも手伝ってくれないか?」
「……それはお前がやれよ」
途中、ハプニングはあったが、とりあえずロキシーはグレイラット家になれたらしい。
よかったよかった。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん