貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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54話 空中城塞

数日後、甲龍王ペルギウスに謁見するメンバーが決まり、今俺達はペルギウスが住んでいると言う空中城塞ケィオスブレイカーに向かっている。

 

謁見メンバーはナナホシと俺、ルーデウス、シルフィ、ザノバ、ロキシー、クリフとエリナリーゼ、そして何故かアリエルとルークもついてくる事になった。

 

まあ王都でもペルギウスは凄い有名だった。俺もよく寝る前に父や母に話を聞かされた。

 

そんな人気な人物が友達と知り合いなんだ。会いたいと思うのは普通か……

 

サテラには家で留守番をしてもらう事にした。本人は元気だから行きたいとお願いされたが、サテラの咳はさらに酷くなっていて、連れてくにはちと不安がある。それに万が一にもペルギウスに病気をうつしでもしたらたまったものではない。本人には辛いだろうが、待っていてもらおう。

 

でも流石に可哀想だから、土産くらいは持って帰ってやろう。ケィオスブレイカーにお土産屋があるかは知らんが。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

空中城塞ケィオスブレイカーに向かうといったが、着いた場所は遺跡だった。

 

遺跡から見て、以前は立派な建物だったのだろう。

 

「スコット城塞の跡ですね。ラプラス戦役……」

 

アリエルが誰かに言われるでもなく、解説を始めた。随分と博識だな。

 

「アリエル様、よくご存知ですね」

 

そのアリエルの隣を歩いていたルーデウスが俺の気持ちを代弁してくれた。

 

「この辺りの民謡にもよく出てくる場所ですからね」

 

「民謡に興味があるんですか?」

 

「この辺りの貴族の方々と仲良くするためには、そうした事も必要ですからね」

 

貴族。

 

なんだ、アリエルはまだ王になろうと画策しているのか。

 

アリエルもここに来て随分と時間が経った。考えも変わってると考えてたんだが、無駄な様だな。

 

まあ別に俺にはもう関係ない事だ。アリエルが王になろうが、死のうが関係ない……

 

 

 

アリエルが死ぬ……か

 

胸の奥がモヤモヤする。なんというか、不思議な感情だな。

 

「麒麟?何をしているのですか?置いていかれますよ」

 

急に手を掴まれた事で、俺は現実に引き戻れる。

 

俺の手を掴んだのは、アリエルだった。

 

「ああ、すまん、少し考え事をしていてな」

 

「お前が考え事とは、珍しいな」

 

ルークが爽やかな笑顔で俺の方を見る。 

 

……アリエルが死ぬという事は、ルークも死ぬんだよな。

 

俺の弟が……

 

いや、弟だけでは済まないだろう。アリエル側についている父も兄も、母にすら被害が及ぶ可能性もある。

 

俺の家族が全滅……それだけは避けたい。

 

せめて手伝いぐらいはしてやった方がいいのか?でも俺にはサテラがいる。彼女を巻き込む訳には……

 

……今考えるのはよそう、頭が痛くなってくる。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「着いたわ」

 

ナナホシが遺跡の真ん中辺りで止まった。しかし周りには一つの石碑以外何もない。

 

「着いたって、なんもねぇぞ?」

 

「まあ待ちなさいよ、今呼ぶわ」

 

ナナホシはそう言うと持ってきていたバックから金属の笛を取り出した。ホイッスルか?

 

ナナホシがそれを口に咥え、大きく息を吹きこむ。

 

フスーッ!

 

何も聞こえない。壊れてんのか?

 

「音が鳴ってないぞ?」

 

俺の隣にいるクリフが怪訝そうな顔でナナホシに言った。

 

「人には聞こえない音が鳴ったのよ。これで、少ししたら来るはずよ」

 

なるほど、魔力付与品、マジックアイデムか。

 

ナナホシが近くの石に腰掛けるのをみるに、少しと言っても結構かかるのだろう。

 

〜〜〜

 

「なんだ、あの光?」

 

「来たわね」

 

しばらく雑談をしていると、ナナホシがそう呟いた。

 

次の瞬間、遠くにあった光は、いつの間にか消え、俺達の目の前には人がいた。

 

金髪に白い学生服の様な服を着た、男?

キツネの仮面を被っているので素顔が分からんが、体格的に男なんだろう。

 

しかしそんな事はどうだっていい。

 

こいつのこのスピード、これはまさに、

 

「ピカピカの実!?」

 

「ピカピカ……?我は光輝のアルマンフィだ」

 

その声で、仮面越しでも不快そうな顔をしてるのが分かる

 

いかん、思わず口に出てしまった。しかしこいつの名前的に、確実に光の能力を持っているのだろう。ピカピカの実の能力かぁ、そういう能力もありだな。

 

「……多いな。随分と」

 

アルマンフィは周りを見ながらナナホシに言う。

 

「ええ、問題ないでしょう?12人まではいいって言ってたし」

 

「人数は構わぬ。だが……」

 

そこまで言うと、アルマンフィは俺とロキシーを見てきた。

 

「魔族はダメだ」

 

「えっ、な、なんでですか?」

 

ロキシーは困惑の表情をしている。当然だろう。俺も同じ顔だ。

 

俺は今まで顔とかを馬鹿にされた事はあっても、魔族と差別される様な事はされた事がなかった。ロキシーは知らないが。

 

「我ら空中城塞に魔族を入れる訳にはいかん」

 

「そう、ですか…」

 

ロキシーは打ちひしがれた様に肩を落としている。

 

「おいおい、差別は良くねぇぜ?」

 

「貴様、客人だからと調子に乗ってる様だが、別にここで殺してもいいのだぞ?」

 

フレンドリーに行こうと思ったが、殺意増し増しの声で怒られてしまった。流石に不死身でも、光の速さで動く奴には勝てんだろう。ここは大人しくロキシーと帰るしかないか……

 

「まあまあ、ねえアルマンフィ、どうにかならないの?」

 

「ペルギウス様は寛大なお方であるが、魔族はお嫌い………しばし待て」

 

アルマンフィは何かに気づいた様に上を向くと、その場から消えてしまった。

 

「一体どうしたんだ?」

 

「よく分からないけど、多分ペルギウス様に呼ばれたんでしょうね」

 

アルマンフィは社畜なのか?ならさっきのピリピリした感じにも納得だ。

 

そんな事を考えていると、アルマンフィが再び姿を現し、俺を指差してきた。

 

「おい、貴様、名前はなんと言う?」

 

「……麒麟だ」

 

「麒麟、ペルギウス様のご厚意に感謝しろ。魔族である貴様が我ら空中城塞に入る事を許可された」

 

「本当か!?」

 

「ただし場内で許可なく喋る事は許されん。勝手な行動をする事もだ」

 

何故かは知らんが、どうやら俺は空中城塞に行ける様だ。さっきまであんなにおれ魔族はいらないとか言ってたが、一体どういう風の吹き回しだ?

 

 

 

「あ、あの」

 

「貴様はダメだ」

 

アルマンフィの即答に再度肩を落とすロキシー。すまんね、俺だけオッケーみたいだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その後、バトンみたいな棒を渡され、気づけば俺達は空中城塞にいた。

 

目の前にあるのは巨大な城、前世の記憶を辿っても、これほどに大きい城は見た事がない。

 

後ろには空雲が広がっている。落ちたら人の形は保てないだろう。俺は変身があるから大丈夫だが。

 

「空中城塞ケィオスブレイカーからの風景は、お気に召していただけましたでしょうか?」

 

空雲を見ていると、後ろから声が聞こえた。

 

振り返ってみると、そこにはアルマンフィとは違う別の仮面を被った人物がいた。今度は一目で女性だと分かる。

 

その女は真っ白な服を着ていて、手には杖を持っている。

 

あの杖、相当高いんだろうな。

 

そして何より、女の背中には羽がある。真っ黒…いや漆黒というべきか?

ちょっと失礼だが、堕天使みたいだ。

 

「皆様、本日はようこそおいでくださいました」

 

女は頭を下げる。そんな動作も美しいと感じるほど、洗練された礼だった。

 

「わたくしはペルギウス様の第一の僕、空虚のシルヴァリルと申します。皆様を空中城塞ケィオスブレイカーへと、ご案内させていただきます」

 

「自分はこちらにおわすアスラ王国第二王女の騎士、ルーク・ノトス・グレイラットと申します。ご丁寧な挨拶痛み入ります。よしなに」

 

「アスラ王国第二王女、アリエル・アネモイ・アスラでございます」

 

突然の自己紹介に対応したのはルーク、それに続きアリエルも自己紹介を始めた。

 

「はい、皆様、どうぞよろしくおねがいします」

 

シルヴァリルの表情がよく分からんが、一応歓迎はされてる様だ。

 

「久しぶりにね、シルヴァリルさん」

 

「はい、ナナホシ様も……お元気ではなさそうですね」

 

「ちょっと調子が悪いだけよ」

 

シルヴァリルにはナナホシが具合悪そうに見えるのか?俺にはいつも通りにしか見えんが。

 

「それでは、こちらへどうぞ」

 

そしてシルヴァリルにより、俺達はペルギウスの元へと移動を始めた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

圧倒的。

 

その一言に尽きていた。

 

城壁、門、室内、全てにおいて規格外のデカさだ。ここはエルバフなのか?巨人でも住んでんのか?

 

案内されている間、みんな驚きの声をあげていたが、ザノバが特にうるさかった。

 

叫び声を上げたと思ったら、突然悲しみ出したり、兎に角もの凄い勢いで部屋を観察していた。流石にシルヴァリルに怒られるんじゃないかと心配したが、シルヴァリルは怒るどころか、ニコニコしながら一つ一つ作品の説明をしている。

 

俺もみんなと一緒に驚いたりしたいんだが、許可なく喋れないので、大人しく最後尾の方で歩いている。

 

何も喋れないってのもきついもんだ。

 

門を潜り抜けた瞬間、シルヴァリルの動きが止まり、ルーデウスとシルフィの方を向いた。

 

「何かありましたか?」

 

一番前にいたルーデウスが気まずそうに聞く。

 

「いいえ、さしたる問題はありません。あなたのような方は、地上に大勢いますので」

 

あなたのような方?なんの事だ?

 

「ですが、お二方に、一つだけ質問をしてもよろしいですか?」

 

「なんでしょうか?」

 

「ヒトガミという名前に、聞き覚えはありますか?」

 

俺は後ろの方で、静かに身構えた。

 

以前、ルーデウスは龍神に殺されかけた。その原因が、ヒトガミを知っているか、という質問だったらしい。

 

ペルギウスも一応龍の血を引く人物だ。

 

ルーデウスの返答によっては、敵対する可能性もある。

 

「いえ、ありません」

 

悩んでいるルーデウスの代わりにシルフィが答えた。

 

「では、その名前を聞いて、胸の奥から例えようもない怒りや殺意が湧き出してきたりは、しますか?」

 

その問いにも首を横に振る二人。

 

「でしたら、わたくしから申すべき事はございません」

 

シルヴァリルはそう言ってまた振り向き、静かに歩き始めた。

 

俺も警戒を緩める。よかった、なんとか乗り切ったようだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

しばらく歩くと、とうとうペルギウスがいるという部屋の前まで来た。広すぎて部屋と呼べるかも分からん。

 

アリエルはシルヴァリルに頼み込んで、上着を脱いだりしている。そうとう気合い入ってんな。ルーデウスも肩についている埃を払ってる。

 

「ありがとうございます。では行きましょうか」

 

アリエルの準備が終わり、とうとう扉の前まで来た。

 

扉が開く瞬間、誰かに手を握られた。

 

「ごめんなさい。少々緊張していて」

 

犯人はアリエルだった。

 

アリエルの手から汗が出ている。

 

仕方ない、今回だけの特別サービスだ。

 

俺はその手を握り返す。

 

「!?」

 

アリエルが一瞬真顔になったが、すぐにいつもの営業スマイルに戻る。

 

俺達は手を繋いだまま、部屋へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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