貴殿転生 元の知識で本気出す   作:MENOUENOTANKOBU

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書き直しました。

書き直した事でちょっと変になってるかもしれないので、教えてくれると嬉しいです。


56話 ヒトガミの提案

 

どうすればいい……

 

俺はベットの上で苦しむ二人の姿を見ながら頭を抱えていた。

 

サテラがここに連れてこられた日、俺はすぐにペルギウスの配下を呼び、サテラの容態を見てもらった。

 

幸いな事に、数日でサテラの病が判明した。

 

サテラが患ってしまったのは、アモール病。性病だ。

 

「性病……まさか……俺のせいか!?」

 

俺か?俺はサテラ以外とした事はない筈だ。

 

「いや、恐らく違うだろう。この病の進行は遅い、ここまで酷くなっておると言う事は、少なくとも感染してから十年以上は経っているだろうな」

 

「そ、そうか」

 

十年以上前となると、サテラがまだ奴隷だった時か、その時に感染してしまったのだろうか?

 

心配する俺を無視し、ペルギウスは淡々と話を続ける。

 

「この病は男には無症状だが、もし人族の女に感染した場合、咳から始まり、ゆっくりとその体を蝕み、昏睡状態になった後、緩やかな死を遂げる」

 

なんだよそれ……女にだけ症状が現れるのかよ。非常に厄介な病気だ。 

 

しかしそんな事はどうだっていい。俺が今知りたいのは一つだけだ。

 

 

 

「……治るのか?」

 

「専用の解毒魔術を使えばな。ここにはないが」

 

「そうか、ないか……」

 

俺がそう言うと、ペルギウスは難しい表情をしながら頷く。

 

「うむ。しかし心当たりならある。かつて我がアスラ王国の王都で過ごしていた際に、上級貴族の一人が持っていたのを覚えておる。そやつらの一族が今尚持っているのかは知らんがな」

 

「王都……ですか」

 

アリエルが苦い顔をしながら呟く。

 

「私もできる限りの協力はさせていただこうと思ったのですが、王都となると……」

 

アリエルはアスラから亡命という形でラノアに来た。そんな身で王都に戻った所で、自分の命を守るだけで精一杯だろう。

 

となるとアリエルとルークは無理だ。顔が割れているフィッツもだ。

 

ルーデウスとパウロも一応俺と同じノトス家だが、当主である俺の父が、パウロに喜んで手を貸すとは思えない。

 

そしてクリフとザノバはそれぞれ王族だ。そんな大層な身分がアスラに来ると、色々と面倒な事になるに決まってる。

 

それにナナホシも助けなければならない。ドライン病の治療法も分からない以上、サテラだけに時間を掛ける訳にもいかない。

 

つまりサテラを助けられるのは現状俺しかいない。出奔した身ではあるが、一応これでもノトス家当主の息子だ。話をするぐらいはしてくれるだろう。

 

あんな掃き溜めのような場所になんざ、二度と戻りたくはなかったが、サテラが助かる可能性があるなら話は別だ。

 

サテラを救えるなら、あいつらの靴でもなんでも舐めてやろう。

 

「……ペルギウス、王都に近い転移魔法陣はどこだ?」  

 

「そうだな、確か王宮の地下に転移魔法陣が置いてあった筈だ」

 

「そうか、早速使わせてくれ」

 

ペルギウスは不快そうな顔をする。

 

「魔族などに力を貸すのは癪に障るが、まあいい、ナナホシに協力していた礼だ。いいだろう」

 

「感謝する」

 

サテラには時間がない。時間のスケアコートの時止めは一人までだ。つまり悠長に考えている場合ではない。

 

誰も行けないなら俺は一人でも行く。それだけだ。

 

「落ち着いてください麒麟、今あなたが王宮に行ったところで、不法侵入と見なされ捕まるだけです」

 

アリエルが俺の前に立ち塞がる。

 

 

そうか、まだ俺は麒麟なんだったな。たが今ここで正体を明かして、場を混乱させる訳にはいかない。

 

もっと早く明かしていればスムーズに行けたが……まあいい。言い訳なんていくらでも思いつく。

 

「そこは大丈夫だ。王都の貴族に俺の知り合いがいる。そいつになんとか会えば……」

 

「だとしてもです。まずは一度落ち着いてみなさんで計画を立てましょう」

 

アリエルが俺の両手を強く握りしめる。

 

「サテラには時間がないんだ。そんな事してる余裕なんて……」

 

「麒麟、アリエル様の言う通りです。サテラを助けたいと言う気持ちは分かりますが。今は待つべきです」

 

「ルーデウス……」

 

どうやらルーデウスも、アリエルの意見に賛成のようだ。

 

まあ確かに、アリエルの言い分はもっともだ。俺が王都に到着し、実家に協力を求めた所で、確実に協力してくれる保証はない。

 

最悪の場合、利用されるだけされて、見放されるかもしれない。

 

ならどうすればいい?

 

他に解決策はあるのか?

 

考えろ……考えろ……

 

 

トン

 

その時、俺の肩に手が乗せられた。

 

鍛え抜かれたがっしりした手。見なくても分かる。パウロだ。

 

「麒麟、お前は頑張りすぎなんだよ。一旦休め、な?」 

 

パウロはため息混じりに話す。

 

「頑張りすぎ?そんな筈ない。体はまだまだ動けるぞ」

 

「体の事じゃねぇ、お前の心の問題だ」

 

そういって俺の胸を叩いて来た。

 

「お前、サテラがここに来てから、ずっと寝てねぇだろ?」

 

「………まあ、そうだ」

 

俺はサテラが来てからここ数日、ずっとここの図書館に入り浸っていた。不思議と眠気は来なかったから、気にする程ではなかったが。やはり寝ていなかったせいか、最近はボーっとしてる時間が増えた気がしている。

 

「なら尚更だ。そんなボロボロの状態だったら、助けられるもんも助からんねぇだろ?」

 

「だがサテラは……」

 

「サテラの事は、一旦俺達に任せとけ。このパウロさんが、責任もって面倒見といてやるからよ」

 

そう言うパウロの顔は笑顔で、自信に満ち溢れている。

 

それに対して、今の俺はどうだろう。人獣型なので本当の顔は良く分からないが、情けない顔をしてるのは確かだ。

 

今の俺がいた所で、恐らく役には立たないだろう。

 

なら少しくらいなら、任せてもいいか……

 

「……分かった、ならパウロ、お前にサテラを任せてもいいか?」

 

「へへ、任せとけよ。だから今はとりあえず、お前はゆっくり休んどけ」

 

「あぁ、ありがとな……」

 

そうだった。久しく忘れていた。

 

頼りになるリーダー気質の男。それがパウロだったのだ。やはり、父とは違う才能を感じる。

 

「では麒麟様、お部屋にご案内致します」

 

こうなる事を予測済みだったかの様に、俺はさっと現れたシルヴェリルに連れられ、自分の部屋へ案内された。

 

 

部屋へ入ると、俺はそのままベットへ倒れ込む。

 

柔らかい。きっと良いとこの素材を使ったものなのだろう。まあこんな素材でなくても、今の俺ならゴツゴツした岩の上でも寝れるんだが。

 

 

しばらくの間、くだらない思考が頭をよぎってきたが。次第に視界がぼやけ始め、俺は深い眠りに落ちた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

目を開けると、真っ白な空間。

 

またか……今回は早かったな。

 

自分の手を見てみる。やはり前世の姿ではない。

 

しかし変だ、俺の心臓あたりが黒く、いや穴の様になっている。

 

「はぁ……はあ……やっとできたよ……全く……」

 

正面を見ると、いつも通り、ヒトガミがいた。

 

たが奴も今回はなんか変だ、やけに疲れ切ってる様に見える。体が真っ白だから本当に疲れてるのかどうかは分からんが。

 

今日はなんだよ。哀れな俺の姿でも拝みにきたのか?

 

「はあ……ごめんけど、今日はそんな安い挑発に乗ってあげる時間はないんだよね……」

 

どうやら本当に疲れている様だな。

 

「本当だよ、全く……君の体は……はあ……」

 

俺の体の事……知ってんのか?なら教えてくれよ、いつもの助言みてぇによ。ヘラヘラしなが……

 

「言ったよね、今はそんな挑発に乗ってあげる時間はないって。サテラを助けたかったら黙って話を聞けよ」

 

………

 

こいつ、こんなに怖かったっけか?いやいや、そんな事はどうでも良い。今こいつ、サテラを助けたかったらって言わなかったか?

 

サテラを……助けれるのか?

 

「ああ、君が僕の言うとおりに動けばね」

 

……胡散臭いな。でもまあ、今の俺は行き詰まり状態だ。

 

しかもこいつの助言の的中率は、認めたくはないが、恐ろしいほど良く当たる。

 

なら聞いてみるぐらいなら……

 

「そうかい、じゃあまず結論から言おう。このままいくと、サテラは確実に死ぬよ」

 

まあ、そうだろうな。だから今こうやって皆んなで、治療法を探してんだろ?

 

「そうだね、でもここで待っててもサテラを助けに行く人はいないよ。みんなナナホシを助けに行っちゃうからね」

 

そうなのか……?

 

「うん。ナナホシを助けるには、魔大陸に行かなきゃならないからね。サテラを助けるのは、後回しになるはずさ」

 

魔大陸だと?あんな過酷な土地で、ドライン病の治療法が分かるのか?

 

「それにあのメンバーで安全に王都へ行ける奴なんて、君かエリナリーゼしかいない。エリナリーゼにはクリフもいるし、結局、王都へ行けるのは君しかいなくなっちゃうだろうね」

 

………

 

「待っていても結果は変わらない。だったら今すぐにでも行動を起こしてみるべきじゃないかい?」

 

ヒトガミが俺の肩に手を乗せる。だが乗せられたという感覚はない。

 

つまり、今すぐ王都へ行けってことか?

 

「フフ、話が早いじゃないか。そうだよ。サテラを助けたければ今すぐ王都へ向かいなよ」

 

そうか、王都か……

 

認めたくはないが、ヒトガミの言う通り王都へ迎えば、サテラが助かる可能性は高いだろう。ナナホシには悪いが、あいつにはルーデウス達がついてる、心配はいらない。

 

しかし、もしそれがヒトガミの仕組んだ罠だったら?

 

本当は王都に行った所でサテラを助ける事はできず、大人しくペルギウスの元で待っていたら助けられた。なんて事が起きたらどうする?

 

 

クソ!

 

ダメだ。この話を信じるには、まだ情報が少なすぎる。こいつの目的が何かすら分からない以上、迂闊に信じる事は非常に危険だ。

 

 

 

ヒトガミ……お前は何を企んでるんだ?

 

「君がそれを知った所で、君がやるべき事は変わらないだろ?それに、何度も言っているだろう?僕には時間がないんだ。さっさと決めなよ」

 

ヒトガミは少し不機嫌そうだ。俺の方を見ずに、腕を組みながら何もない横を眺めている。

 

 

仕方がない。ここはヒトガミを信じよう。奴の考えはよく分からんが、ここで大人しく待つんだったら、一度王都を確認してみるべきだ。

 

 

 

分かったよ……お前を信じる。

 

「ああ、決めるのが随分と遅いね」

 

ヒトガミはまだ不機嫌そうだ。

 

「まあいいや、とりあえず今日中にでも王都へ向かいなよ。詳しい話は王都にいる僕の友達に聞くと良い」

 

おい待て待て、お前、友達いるのか?

 

「あんまりバカにしないでくれるかい?僕にだって友達の一人や二人……おっと、もう限界みたいだね」

 

限界?どう言う事だよ

 

その瞬間、俺の胸にあった黒い穴が、一気に全身へ広がっていく。

 

手、足、首、そしてゆっくりと俺の顔を覆い始めていく。

 

おい!ヒトガミ、これはどう言う事だよ!?

 

「さあね、僕が知る筈ないだろ?とりあえず、君は僕の言う通りにすれば良い」

 

ヒトガミが不愉快そうな顔をしているのを見ながら、俺の視界は再び真っ暗になっていった.

 

 

 

手遅れかもしれないんですけど一応

  • 戦闘描写たくさん
  • 話し合い、イチャイチャたくさん
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