貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
書き直した事でちょっと変になってるかもしれないので、教えてくれると嬉しいです。
どうすればいい……
俺はベットの上で苦しむ二人の姿を見ながら頭を抱えていた。
サテラがここに連れてこられた日、俺はすぐにペルギウスの配下を呼び、サテラの容態を見てもらった。
幸いな事に、数日でサテラの病が判明した。
サテラが患ってしまったのは、アモール病。性病だ。
「性病……まさか……俺のせいか!?」
俺か?俺はサテラ以外とした事はない筈だ。
「いや、恐らく違うだろう。この病の進行は遅い、ここまで酷くなっておると言う事は、少なくとも感染してから十年以上は経っているだろうな」
「そ、そうか」
十年以上前となると、サテラがまだ奴隷だった時か、その時に感染してしまったのだろうか?
心配する俺を無視し、ペルギウスは淡々と話を続ける。
「この病は男には無症状だが、もし人族の女に感染した場合、咳から始まり、ゆっくりとその体を蝕み、昏睡状態になった後、緩やかな死を遂げる」
なんだよそれ……女にだけ症状が現れるのかよ。非常に厄介な病気だ。
しかしそんな事はどうだっていい。俺が今知りたいのは一つだけだ。
「……治るのか?」
「専用の解毒魔術を使えばな。ここにはないが」
「そうか、ないか……」
俺がそう言うと、ペルギウスは難しい表情をしながら頷く。
「うむ。しかし心当たりならある。かつて我がアスラ王国の王都で過ごしていた際に、上級貴族の一人が持っていたのを覚えておる。そやつらの一族が今尚持っているのかは知らんがな」
「王都……ですか」
アリエルが苦い顔をしながら呟く。
「私もできる限りの協力はさせていただこうと思ったのですが、王都となると……」
アリエルはアスラから亡命という形でラノアに来た。そんな身で王都に戻った所で、自分の命を守るだけで精一杯だろう。
となるとアリエルとルークは無理だ。顔が割れているフィッツもだ。
ルーデウスとパウロも一応俺と同じノトス家だが、当主である俺の父が、パウロに喜んで手を貸すとは思えない。
そしてクリフとザノバはそれぞれ王族だ。そんな大層な身分がアスラに来ると、色々と面倒な事になるに決まってる。
それにナナホシも助けなければならない。ドライン病の治療法も分からない以上、サテラだけに時間を掛ける訳にもいかない。
つまりサテラを助けられるのは現状俺しかいない。出奔した身ではあるが、一応これでもノトス家当主の息子だ。話をするぐらいはしてくれるだろう。
あんな掃き溜めのような場所になんざ、二度と戻りたくはなかったが、サテラが助かる可能性があるなら話は別だ。
サテラを救えるなら、あいつらの靴でもなんでも舐めてやろう。
「……ペルギウス、王都に近い転移魔法陣はどこだ?」
「そうだな、確か王宮の地下に転移魔法陣が置いてあった筈だ」
「そうか、早速使わせてくれ」
ペルギウスは不快そうな顔をする。
「魔族などに力を貸すのは癪に障るが、まあいい、ナナホシに協力していた礼だ。いいだろう」
「感謝する」
サテラには時間がない。時間のスケアコートの時止めは一人までだ。つまり悠長に考えている場合ではない。
誰も行けないなら俺は一人でも行く。それだけだ。
「落ち着いてください麒麟、今あなたが王宮に行ったところで、不法侵入と見なされ捕まるだけです」
アリエルが俺の前に立ち塞がる。
そうか、まだ俺は麒麟なんだったな。たが今ここで正体を明かして、場を混乱させる訳にはいかない。
もっと早く明かしていればスムーズに行けたが……まあいい。言い訳なんていくらでも思いつく。
「そこは大丈夫だ。王都の貴族に俺の知り合いがいる。そいつになんとか会えば……」
「だとしてもです。まずは一度落ち着いてみなさんで計画を立てましょう」
アリエルが俺の両手を強く握りしめる。
「サテラには時間がないんだ。そんな事してる余裕なんて……」
「麒麟、アリエル様の言う通りです。サテラを助けたいと言う気持ちは分かりますが。今は待つべきです」
「ルーデウス……」
どうやらルーデウスも、アリエルの意見に賛成のようだ。
まあ確かに、アリエルの言い分はもっともだ。俺が王都に到着し、実家に協力を求めた所で、確実に協力してくれる保証はない。
最悪の場合、利用されるだけされて、見放されるかもしれない。
ならどうすればいい?
他に解決策はあるのか?
考えろ……考えろ……
トン
その時、俺の肩に手が乗せられた。
鍛え抜かれたがっしりした手。見なくても分かる。パウロだ。
「麒麟、お前は頑張りすぎなんだよ。一旦休め、な?」
パウロはため息混じりに話す。
「頑張りすぎ?そんな筈ない。体はまだまだ動けるぞ」
「体の事じゃねぇ、お前の心の問題だ」
そういって俺の胸を叩いて来た。
「お前、サテラがここに来てから、ずっと寝てねぇだろ?」
「………まあ、そうだ」
俺はサテラが来てからここ数日、ずっとここの図書館に入り浸っていた。不思議と眠気は来なかったから、気にする程ではなかったが。やはり寝ていなかったせいか、最近はボーっとしてる時間が増えた気がしている。
「なら尚更だ。そんなボロボロの状態だったら、助けられるもんも助からんねぇだろ?」
「だがサテラは……」
「サテラの事は、一旦俺達に任せとけ。このパウロさんが、責任もって面倒見といてやるからよ」
そう言うパウロの顔は笑顔で、自信に満ち溢れている。
それに対して、今の俺はどうだろう。人獣型なので本当の顔は良く分からないが、情けない顔をしてるのは確かだ。
今の俺がいた所で、恐らく役には立たないだろう。
なら少しくらいなら、任せてもいいか……
「……分かった、ならパウロ、お前にサテラを任せてもいいか?」
「へへ、任せとけよ。だから今はとりあえず、お前はゆっくり休んどけ」
「あぁ、ありがとな……」
そうだった。久しく忘れていた。
頼りになるリーダー気質の男。それがパウロだったのだ。やはり、父とは違う才能を感じる。
「では麒麟様、お部屋にご案内致します」
こうなる事を予測済みだったかの様に、俺はさっと現れたシルヴェリルに連れられ、自分の部屋へ案内された。
部屋へ入ると、俺はそのままベットへ倒れ込む。
柔らかい。きっと良いとこの素材を使ったものなのだろう。まあこんな素材でなくても、今の俺ならゴツゴツした岩の上でも寝れるんだが。
しばらくの間、くだらない思考が頭をよぎってきたが。次第に視界がぼやけ始め、俺は深い眠りに落ちた。
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目を開けると、真っ白な空間。
またか……今回は早かったな。
自分の手を見てみる。やはり前世の姿ではない。
しかし変だ、俺の心臓あたりが黒く、いや穴の様になっている。
「はぁ……はあ……やっとできたよ……全く……」
正面を見ると、いつも通り、ヒトガミがいた。
たが奴も今回はなんか変だ、やけに疲れ切ってる様に見える。体が真っ白だから本当に疲れてるのかどうかは分からんが。
今日はなんだよ。哀れな俺の姿でも拝みにきたのか?
「はあ……ごめんけど、今日はそんな安い挑発に乗ってあげる時間はないんだよね……」
どうやら本当に疲れている様だな。
「本当だよ、全く……君の体は……はあ……」
俺の体の事……知ってんのか?なら教えてくれよ、いつもの助言みてぇによ。ヘラヘラしなが……
「言ったよね、今はそんな挑発に乗ってあげる時間はないって。サテラを助けたかったら黙って話を聞けよ」
………
こいつ、こんなに怖かったっけか?いやいや、そんな事はどうでも良い。今こいつ、サテラを助けたかったらって言わなかったか?
サテラを……助けれるのか?
「ああ、君が僕の言うとおりに動けばね」
……胡散臭いな。でもまあ、今の俺は行き詰まり状態だ。
しかもこいつの助言の的中率は、認めたくはないが、恐ろしいほど良く当たる。
なら聞いてみるぐらいなら……
「そうかい、じゃあまず結論から言おう。このままいくと、サテラは確実に死ぬよ」
まあ、そうだろうな。だから今こうやって皆んなで、治療法を探してんだろ?
「そうだね、でもここで待っててもサテラを助けに行く人はいないよ。みんなナナホシを助けに行っちゃうからね」
そうなのか……?
「うん。ナナホシを助けるには、魔大陸に行かなきゃならないからね。サテラを助けるのは、後回しになるはずさ」
魔大陸だと?あんな過酷な土地で、ドライン病の治療法が分かるのか?
「それにあのメンバーで安全に王都へ行ける奴なんて、君かエリナリーゼしかいない。エリナリーゼにはクリフもいるし、結局、王都へ行けるのは君しかいなくなっちゃうだろうね」
………
「待っていても結果は変わらない。だったら今すぐにでも行動を起こしてみるべきじゃないかい?」
ヒトガミが俺の肩に手を乗せる。だが乗せられたという感覚はない。
つまり、今すぐ王都へ行けってことか?
「フフ、話が早いじゃないか。そうだよ。サテラを助けたければ今すぐ王都へ向かいなよ」
そうか、王都か……
認めたくはないが、ヒトガミの言う通り王都へ迎えば、サテラが助かる可能性は高いだろう。ナナホシには悪いが、あいつにはルーデウス達がついてる、心配はいらない。
しかし、もしそれがヒトガミの仕組んだ罠だったら?
本当は王都に行った所でサテラを助ける事はできず、大人しくペルギウスの元で待っていたら助けられた。なんて事が起きたらどうする?
クソ!
ダメだ。この話を信じるには、まだ情報が少なすぎる。こいつの目的が何かすら分からない以上、迂闊に信じる事は非常に危険だ。
ヒトガミ……お前は何を企んでるんだ?
「君がそれを知った所で、君がやるべき事は変わらないだろ?それに、何度も言っているだろう?僕には時間がないんだ。さっさと決めなよ」
ヒトガミは少し不機嫌そうだ。俺の方を見ずに、腕を組みながら何もない横を眺めている。
仕方がない。ここはヒトガミを信じよう。奴の考えはよく分からんが、ここで大人しく待つんだったら、一度王都を確認してみるべきだ。
分かったよ……お前を信じる。
「ああ、決めるのが随分と遅いね」
ヒトガミはまだ不機嫌そうだ。
「まあいいや、とりあえず今日中にでも王都へ向かいなよ。詳しい話は王都にいる僕の友達に聞くと良い」
おい待て待て、お前、友達いるのか?
「あんまりバカにしないでくれるかい?僕にだって友達の一人や二人……おっと、もう限界みたいだね」
限界?どう言う事だよ
その瞬間、俺の胸にあった黒い穴が、一気に全身へ広がっていく。
手、足、首、そしてゆっくりと俺の顔を覆い始めていく。
おい!ヒトガミ、これはどう言う事だよ!?
「さあね、僕が知る筈ないだろ?とりあえず、君は僕の言う通りにすれば良い」
ヒトガミが不愉快そうな顔をしているのを見ながら、俺の視界は再び真っ暗になっていった.
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん