貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
「今宵は我が娘アリエルの5歳の誕生日パーティーだ。皆の者、存分に楽しんでいくといい」
アスラ王直々に言った言葉によって、会場は歓声と拍手に包まれた。
パーティー会場は想像の2倍広い。体育館二個分の大きさぐらいあるんじゃないか?
「ヘルス、今日はかなり人が多い、怪しい動きをしている者がいたらそいつからアリエル様を遠ざけろ」
俺の後ろでデリックが耳打ちした。
「了解」
「ヘルス、何をしていますの?早く行きましょう」
「ああごめんごめん、じゃあ行こうか」
デリックに手でさよならを言った後、俺はアリエルと手を繋ぎパーティー会場の真ん中へと進んだ。
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パーティーが始まる数時間前、俺はデリックと作戦を立てていた。
俺たちの今日の任務はいつもと変わらない、アリエルの護衛。
だが今日はアリエルの誕生日パーティー
俺とデリックがアリエルの後ろにいれば、権力に飢えた貴族は話しかけてくるだろうが、アリエルと同じくらいの子供は話しかけづらいだろう。
それはアリエルにとって可哀想だ
しかし遠くから見てるだけなら、何が起きた時すぐ助ける事ができない。
そしてでた結論は、俺がアリエルと二人でパーティーを回る事だ。
デリックは護衛感が出てしまうが、まだ9歳になったばかりの俺は、ただアリエルのそばにいる少年に見えるだろう。
アリエルはパーティー会場の真ん中で踊る予定がある。
踊るのは会場にいる同じ年代の子だ。
スケジュール的にたぶん2、3人と踊れるかぐらいの時間だ。
ダンスに関しては俺が一緒に練習した。
アリエルは物覚えが早く、凄まじいスピードで踊り方を覚えていった。
これなら俺がやらなくてももう十分だろう
そして問題なのがアリエルの兄弟、他の王子王女達だ
デリック曰くアリエルの命を狙うならこのパーティーか、パーティーが終わった後だろうという事らしい
どうやら王子達は、最近さらに人気を集めてきたアリエルを鬱陶しく感じているらしい。アリエル本人は王になる事に興味はないらしいが、そんな事彼等にはお構いなしだろう。
それにしても兄弟同士で殺し合うってのは酷いな
今のアスラ王もそうやって兄弟を蹴落としあってついた座らしい。
想像してみる
ディエゴ ルークと共に命を奪い合う
想像であると分かっていても怖い
そうやって考えていると部屋にアリエルが入ってきた
アリエルはいつにも増して豪華な衣装を着ているが
いつもよりは動きやすそうだ
「さあ、お父様が既に待っているらしいので、会場へ行きましょう」
「分かりました」
「分かった」
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パーティー会場の真ん中についた俺とアリエル
案の定、大量の貴族が押し寄せてきた。
「おめでとう御座いますアリエル様」
「あの美声をもう一度」
アリエルを賛美する声が次々と浴びせられる。
「皆さん、ありがとうございます」
そんな貴族をアリエルは営業スマイルで撃墜した。
さすがはアリエル王女様、このアスラ王国の生き方をよく知っている。
「アリエル様、おめでとうごさいます」
その賛美の中に女の子の声が聞こえた
俺とアリエルはその声の主の方をみた
「あなたは?」
優しくアリエルが問いかけると、少女は恥ずかしいそうに答えた。
「私はトリス……トリスティーナ・パープルホースです」
トリスティーナという女の子はアリエルと同じぐらいの歳の子だった
パープルホース家、聞いたことない家系だな
「是非ともアリエル様とお近づきになりたくて、」
その言葉は弱々しく諦めているような感じだった。
多分、この子は本当にアリエルと友達になりたいのだろう。
しかしそれは絶対に叶わない
自分の身分とアリエルとの差を知っているからこそ、トリスティーナはこんな諦めたような声になっているんだろう
「もちろんですトリスティーナ!お友達になりましょう!」
それをアリエルも察知したようだ
トリスティーナは少し驚いた顔をして、次は顔を赤くしてアリエルと話しをしていた。
俺はそれを微笑ましくみていた
「ありがとうございましたアリエル様」
「こちらこそありがとうトリスティーナ、またお話しましょう」
そうしてトリスティーナが離れてしばらくはアリエルと同じ年代の子達が集まりアリエルに話しかけている
アリエルはそれを営業スマイルではない、いつも俺やデリックに見せている笑顔で話をしている。
随分と、楽しそうだな。
そうして一通り話を終えると、アスラ王が上から話し始めた。
「では、これよりこのパーティーのメインイベント、我が娘アリエルのダンス披露の時間だ」
『おお!』
そういうアスラ王に皆が拍手をする。
こうしてダンス披露が始まった、まずはアリエルと同い年の男の子だ。
ダンスは順調に進み、2人目の男の子もなんなくクリア
俺は最後のダンス相手に選ばれようと我先にとアリエルの前にでる男達を眺めていた。
「アリエル王女、是非わたくしと最高のダンスを……」
アリエルはモテモテだな、そう考えていると、そのアリエルと目が合った
そしてアリエルは俺の方にきた。
「一緒に踊ってくださいませんか?」
アリエルは満面の笑みでこちらを見る。
おいおい、逆ナンかよ。
ふざけた思考が頭を回った。俺は護衛の身、断ってもいいが、アリエルがせっかく俺を選んでくれたんだ。
素直に嬉しいし、期待されたなら応えてあげたい。
「喜んで」
満面の笑みで俺は差し出された手を取った
始まったダンスだが、アリエルとのダンスは息ピッタリなものだった。
まあ当然だ
俺はアリエルとこの日のためにほぼ毎日やっていたのだから
でもそれは他の貴族や子供が知っているはずもない
ダンスが終わった時、すごい拍手と歓声があって恥ずかしかった
アリエルの方も顔を赤くして恥ずかしがっていた
予想外な事が起きたが、アリエルの誕生日パーティーは無事に成功した。
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夜、パーティーが終わり、俺とデリックはアリエルの部屋にいた
「アリエル、誕生日おめでとう」
「アリエル様、誕生日おめでとう御座います」
「ありがとうヘルス、デリック」
「実は我々からアリエル様にプレゼントがあるのです」
「プレゼント、ですか?」
「ああ、俺たち頑張ったんだぜ」
まずはデリックからプレゼントを渡した
デリックが用意したものは短剣だった
「アリエル様はいずれ王になるお方、この短剣は....」
そこからデリックによるアリエルへの王の指導が始まったがそこは割愛させてもらおう。
そして30分程度の指導が終わり
「改めましてアリエル様、誕生日おめでとう御座います」
「ありがとうデリック」
アリエルはこんな長い指導を食らっても笑顔を絶やさずに幸せそうな笑みをしていた。
「最後は俺だな、最後に相応しいかわからないけど、はい、これだ」
俺はアリエルに指輪を渡す。
「すごい、綺麗ですね」
アリエルは指輪を上に持ち上げて眺めながら感動したように言う
「この指輪には機能があってだな、アリエル、これに魔力を少し込めてみろ」
アリエルが力を入れると指輪の色が赤色に変わった
「すごい」
「だろ、しかもこの指輪の色は俺の付けてる指輪と連動してるから、危険を知らせるのにも使えるんだぜ」
「え?つまりヘルスも同じのを付けてるってことですか?」
「え?そうだけだど、まずかったか?」
「いえ、そうではないんですが」
まあ、確かによく考えたら好きでもないやつと一緒の指輪つけても嫌だよな
また今度改良したやつを渡すか
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深夜だろうか、俺は魔力が左手に集まるのを感じて目を覚ました
左手を見てみる、寝る前にはめた指輪がある、しかし、それは赤黒く染まっていた
俺は急いでアリエルの部屋に向かった、アリエルの部屋は俺の部屋のすぐ隣、
「おい、それは後でいいだろ」
「馬鹿が、この王女様の部屋でやるからこそ魅力があるだよ」
「あんまり調子にのるなよ、護衛が来るぞ」
扉を開けると3人の男がアリエル周りを囲んでいた
アリエルは口を抑えられ組み伏せられている
そしてその1人はアリエルの服を剥ぎ取ろうとしている所だ
俺は咄嗟に変身魔法を使った
人獣フォルムになった俺はまず俺に向かってきた男の顔面に一発お見舞いしてやった。
そいつは壁に吹き飛んで気を失った
続けて俺はベットに飛び込み、アリエルの服を剥ぎ取ろうとしているやつの腕を掴み、折った。
声にならない叫び声をあげる男を踏みつけもう1人の男をみた。
もう1人の男はアリエルを担ぎ、部屋の壁際に移動している
アリエルが人質にとられた!
「お前、その子が誰だかわかってるか?」
「あぁ、分かってるさ、アリエル様だろ」
「なら尚更お前が凄いことをしてるって事がわかるだろ」
男は一歩ずつ慎重に割れている大きな窓の方に移動を始めている
あそこから逃げるつもりか、
「その子を離せ、今ならまだ間に合う」
「そりゃ無理な相談だ。こっちは金ももらってんだ」
「他王子の差し金か?」
「それは言えねぇな」
絶対にそうだ。
パーティー中にアリエルを殺す機会を失ったから
寝込みを襲うことにしたんだ、狡猾な奴らだ
どうする?今は時間を稼いでいるが、このままいけばアリエルは殺されるかもしれない、デリックは多分来ない、どうすれば
これならいけるか?、
俺は頭を下げた
「なんだ?ここまできて頭を下げてお願いする気か?」
男はそれを鼻で笑いながら見ている
完全に油断している
俺は伸びているキリンの首を縮ませる
相手は俺の頭を正面で見ているから、そんなことわからないはずだ
縮ませる、さらに縮ませる
人型と同じくらいの長さになった
ここだ!
「おいおい、そんな角度で下げられてもまだ足りね...」
「麒麟マン槍櫓!」
俺は縮ませた首を一気に伸ばした!
伸びた頭はくるくると回りながら直進してく
俺の頭は男の顔面に直撃した
「...!?」
男はよろけながらそのまま後ろに吹っ飛び、窓を超え、落ちていった。
俺は頭を元の長さに戻し、人型の姿にもどる
やった、やったのだ
俺はアリエルを守り、そして、人を殺した
あの高さから生き残れる人間なんていないだろう
いいようのない気持ち悪さが全身に巡るがそれを抑え、俺はアリエルに近づこうとする
「アリエル、だいじ...」
その瞬間
俺は腹にとてつもない痛みを感じた
腹をみてみる
剣が突き出ている
なんで?
首だけで後ろをみる
そこには片腕が曲がり、膝をつきながら俺に剣を突き刺している男がいた
「へへ、甘いな、坊主」
男は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、剣を俺から抜いた
死ぬ
そう感じた俺は人型のまま男の顔面を最大火力で殴った
男はそのまま頭から壁に衝突し、死んだ
「ヘルス!大丈夫ですか!?」
アリエルが俺に近づいてくる
俺は膝を崩す
「ッゲフ……アリエル……無事か?」
「今は自分の心配を!すぐ助けを呼んできます!」
俺は意識を失った。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん