貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
「3人とも、準備はいいか?」
俺は手に木刀を握りながら、3人に確認をとる。
「いいわよ!」
「後悔しないでくださいね?」
「……ふう」
エリス イゾルデ ニナは互いに顔を見合わせ、各々が一番戦いやすい構えをとった。
「全く……馬鹿な事するねぇ」
「へへ、いいじゃねぇか。これくらいの傲慢さが丁度いい」
水神と剣神は離れた場所で座りながら、俺たちの決闘を見学している。
剣聖二人と水王一人、本来ならば圧倒的にこちらが不利な状況。こんな無謀な戦いをする事になったのには、深い深い理由がある。
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エリスがルーデウスに会うと決めた後、俺は話を戻して、水神と北帝に再度王都へ来てもらうよう頼み込んだ。
断られる事も想定していたんだが、意外にも彼らは協力的だった。
「某以外の北神三剣士が王都に揃っているのならば、こちらから出向く他ないでしょうな」
「あたしもダリウスには借りがある。本人は忘れてるかもしれないが、恩は返さなくちゃ、ミリス様に顔向けできんさね」
北帝はともかく、ダリウスが水神に借りを作っていたとは驚きだった。昔から姑息な奴で、水神になる前の彼女に、借りを作っていたのか、純粋に昔はいい奴だったのかは知らんが、水神が仲間になった事に変わりはない。
「けど、条件とまではいかないが、一つ頼みを聞いてもらえるかい?」
「勿論だ、できる限りの事はしよう。本当、できる限りだが……」
水神からの頼み、それは俺が可能な事なのだろうか?
「まあそんな警戒する事はないよ。ただあんたと、うちの孫娘で手合わせをして欲しいんだよ」
「わ、私ですか!?」
突然の指名に、イゾルデは跳ね上がった。
「手合わせ……か?」
「こいつは、あんたと同じで王級になったばかりなんだけどね、まだまだ爪が甘い所が多いんだよ。オーベールだと実力が違いすぎるし、ニナやエリスとはもう飽きるほどやってきたんだ。これ以上伸びる事はないだろうね」
なるほど、だから同じ王級で、尚且つあまり戦った事のない北王級の俺は、イゾルデの成長を促すのに最適って訳か。
「分かった、そういう事なら、喜んで受け入れよう」
「そうかい、感謝するよ」
俺としても、久々にイゾルデと戦ってみたい気持ちはあった。自分の実力を知るのにもいい機会だ。
「なら、私もやるわ!!」
その時、一人の女が声を上げた。
エリスだ。
その隣にいたニナは、突然のエリスの奇行に驚いている。
「エリス!?あんた何言って……」
「ヘルスもそれでいいわよね!」
「あ、ああ、構わないが……」
距離感と言うものを知らず、俺の目の前にまで詰め寄ってくるエリスの気迫に負け、俺は承諾してしまったが、まあいい。二人になった所で俺のやる事は……
「な、なら、私もやります!」
「え……えぇ」
エリスに負けまいと、ニナも声を張り上げて参加の意思を表明した。しかし、流石に3人は……
「すまないが……3人は……」
俺が断ろうとした時、離れた場所に座っている剣神から、凄まじい殺気が飛んできた。
『断ったら殺す』
絶対にそういう意味だろう。
「……はあ……分かった。3人ともやってやるよ……」
俺がそう言うと、剣神から出ていた殺気はスッと消え、俺の中で止まっていた時間が動き出す。
しかし3人か……1人ずつ相手してやってもいいが、これからはきっと多対1の戦いも出てくるだろう。ならばこういう所で一度、戦術を確認をするのもありかもな。
「ただしこちらからも条件がある。戦うならお前ら3人、まとめて来い」
『!?』
俺がそう言うと、周りにいた剣聖達が騒ぎ始めた。
「そんな無茶な……!」
「相手は剣聖と水王だぞ!?」
「自身の力を過信すぎてる……」
「腰抜け共は黙ってろよ」
無理だなんだと言いまくる剣聖達を、剣神は一言で黙らせた。
「へへ、こいつらを同時に相手しようなんて、最高じゃねぇか」
剣神は満面の笑みを浮かべながら、俺に木刀を投げる。
受け取った木刀は通常の物より重い、中に金属でも入ってるんだろうか?
「けどよ、本当に勝てんのか?」
「勝てない戦いを挑む程、俺は愚かではない」
俺は3人とも以前に戦った事がある。全く勝てなかったイゾルデはともかく、ニナとエリスの行動パターンは既に分かっている。
それに今の俺には再生能力がある。この木刀が通常よりも威力が高いとはいえ、相当良いところに入らなければ、即座に回復できるだろう。
つまり勝機は十分にあるのだ。
「へへ、そうこなくっちゃな。じゃあお前ら、早速外に出ろ」
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そう言う訳で、今こうやって3人と決闘をする形となっている。
深い深い理由とか言ったが、訂正しよう。完全に俺の傲慢さでこうなった。
しかしさっきも言ったが、俺は負ける気なんてない。絶対に勝つ、それだけだ。
「では、始めますよ?」
決闘の合図をするのは、史上最年少で剣聖になったジノ・ブリッツ
彼もまた、エリス、ニナに続く相当な実力者だ。本人にやる気はなさそうだが、成長性はダントツでこいつだろうな。
「始め!!」
ジノが言うと同時に、エリスの姿が消えた。
想定通り、最初に動くのはエリス。
しかし速い!人間って初速でこんな動けんのか?
「でやあぁ!」
「ッぬお!?」
俺が木刀でガードを取るよりも速く、エリスは俺の目の前に現れ、腹に向けて剣を振る。
俺に体を武装色で硬化させる暇など無く、無防備な状態でモロに攻撃を喰らった。
ボキボキ
これは……肋骨あたりが逝ったか?
吹き飛びながらも体制を整え、俺は再び剣を構える。
「こりゃあまた、一段と速くなったな」
「私、前とはもう違うんだから!」
流石、剣神から直々に教えを受けていただけはある。以前のエリスとは比べ物にならない程強くなっている。剣聖と言われてはいるが、もう剣王と遜色ないレベルだ。
だが、成長したのは、俺も同じ事。
「じゃあ、次はこっちから行かせてもらうぞ?」
「いいわ……来なさい!!」
俺はしゃがみ込み、体をエリスの方へ向ける。
"剃"
俺はその場から消え、次の瞬間にはエリスの目の前に来ていた。
「な!?」
人体を武器に匹敵させる六つの体技の六式。
その内の一つである剃は、瞬時に地面を10回以上蹴りを入れ、その反動を使い、爆発的なスピードを出す。簡単に言えば、高速移動だ。
剃の他にも、俺は鉄塊、風脚を習得している。
実践で使うのは初めてだが、まあまあ上出来だろう。
「まずは一人」
予想外のスピードに対応できないでいるエリスの腹に、死なない程度の力を込め、剣を振り斬ろうとした。
しかし、それはエリスと俺の間に入って来たイゾルデに止められた。
イゾルデは俺の剣を受け流し、流れるような動きで、俺の頭へ剣を当てる。
「鉄塊!」
「水神流奥義 流!」
ガチガチに固めた鉄塊のおかげで、ダメージは抑えれたが、俺は再度吹き飛ばされてしまう。
「気をつけてくださいねエリス、今のを返せたのはまぐれに近いので……」
「分かってるわ!」
攻撃特化のエリスに、防御特化のイゾルデ、厄介なコンビだ。
でも待てよ?一人足りない。ニナはどこだ?
俺がニナを探そうとした時、背後から人の気配がしている事に気づいた。
咄嗟に後ろに剣を向け、振り向こうとしたが、時すでに遅し。
「光の太刀!」
ニナによって放たれた光の太刀により、ガードを取ろうとした俺の右腕は、ありえない曲がり方をして折れた。
俺は落としかけた剣を左手で持ち、ニナに向け剣を振ったが、利き手ではない為か、軽く避けられてしまい、ニナはエリスとイゾルデの方へ下がった。
その時、視界がぼやけ、俺は地面に倒れた。イゾルデから喰らった頭の一撃が、今になって響いたのだろう。痛みが感じなかっただけで、ダメージは蓄積していたのだ。
しかし、全く気づかなかった……
人間、戦う時には必ず殺気が出る。エリスがいい例だ。あいつは常に殺気がダダ漏れで、隠す気すらない。イゾルデですら、攻撃の瞬間には殺気がでている。
しかしニナは、攻撃の動作をする時も、攻撃をする時も、全く殺気を漏らさなかった。
覇王色も、武装色も使えるのに、見聞色だけ未だに使えない俺にとって、透明人間のようなニナは天敵とも言えよう。
攻撃自体が難しいエリス、イゾルデコンビに、どこから来るかも分からないニナ。
想像以上にまずい、負ける可能性大だ。
「勝負あ……」
パキパキパキ
ジノが試合終了の合図を言う前に、俺はゆっくりと立ち上がる。
「私の渾身の光の太刀でも、まだ立ち上がるの?」
「落ち着いてくださいニナ、ダメージは絶対に入っているはずです」
残念だが、そのダメージも既に回復してしまった。しかしこのままでは埒が明かない。俺も必殺技を使わせて貰うとしよう。
俺は3人に向け、剣を振る構えをとる。
「何か来るわね」
それにエリスは何かを察知したのか、俺に向かい走って来た。
イゾルデとニナも、互いに防御の体制に入る。
俺の握る木刀は武装色で覆われ、周りからは紅色の覇気が溢れ出始めている。
……今だ
俺はその瞬間、構えていた剣を全力で放った。
「
ドン!!!
「ッガハ!」
俺から放たれた横薙ぎの斬撃が、エリスに衝突する。
エリスを貫通した斬撃は、そのままイゾルデの方へ飛ぶ。
「こ、これは受け流せ……!」
エリスに当たっても尚威力の衰えない斬撃を受け流せず、イゾルデも吹き飛ばされた。
斬撃が消える頃に立っていたのはニナただ一人。
「な、何が起きた……あ……」
同様するニナに背後から軽く剣を振ると、呆気なく気絶してしまった。
「しょ、勝負あり!」
その言葉を言うと同時に、ジノはニナに向かって走り、手当を行っている。
俺は試合終了の合図がされても、しばらくはその場に立ち尽くしていた。
「……ふう」
危なかった……
再生能力というチート能力まで持っていたのにも関わらず、必殺技を使わなければ俺は勝てなかった。
いや、そんな俺を追い込んだ彼女達を凄いと称賛するべきか?
「へぇ、やるじゃねえか」
剣神は愉快そうに笑いながら、近くに倒れていたエリスを見る。
「正直、エリスがお前に一撃を入れた時点で、お前が負けると思っていたんだが、まさか奥の手を持ってるなんてな」
「そうかい?あたしゃあ最初からこの坊やが勝つと思ってたよ」
水神は特に面白みもなさそうな声で言った。
「イゾルデ……あんたにはまだまだ教える事がありそうさね」
「ボスはやっぱり凄いニャ!」
立ち尽くしている俺は、リニアから背中を叩かれた。
「剣聖二人と水王と同時に戦って勝つなんて、子分のあちしも鼻が高いニャ!」
「ギリギリだったけどな……」
俺はそのまま水神の方へ向き、木刀を落とした。
「さあ水神、これで満足か?」
「ああ、むしろ十分すぎる程だね」
水神にはどうやらご満足頂いたらしい。結構結構。
こうして、俺の剣の聖地での決闘は幕を下ろした。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん