貴殿転生 元の知識で本気出す 作:MENOUENOTANKOBU
ロキシー・ミグルディアが魔石病にかかった。
その夫であるルーデウス・グレイラットは、友人であるクリフ・グリモル、父のパウロ・グレイラットを引き連れ、ミリス神聖国へ向かった。
パウロの妻がミリスの有力貴族、ラトレイア家の血筋であった為、魔石病を治療するスクロールを手にする事が出来たが、それをよしとしない、ラトレイア家とは敵対関係である教皇派が仕向けた、指折りの暗殺集団の襲撃により、クリフとパウロは命を落としてしまう。
その後、なんとか自分の家へと帰ったルーデウスだが、時すでに遅く、ロキシーは魔石病により死亡。結果としてルーデウスは、友人と家族を同時に失ってしまった。
その3人の死は、ルーデウスの精神を崩壊させるのには十分すぎるものだった。
ルーデウスはそこから酒場に入り浸る様になり、捻くれた性格へと変貌してしまう。
最初は同情していたルーデウスの家族も、次第に呆れ始め、家庭崩壊へと繋がっていく。
その中でもシルフィは、なんとかルーデウスを励まそうと切磋琢磨するのだが、彼女の行動は全て失敗に終わり、その出来事は二人の関係をさらに悪化させていった。
同時期、エリス・グレイラットがシャリーアに到着した。彼女もまたルーデウスを励まそうとあれやこれやと試すのだが、彼女の短気すぎる性格は、逆にルーデウスの怒りを買ってしまい、二人の仲も最悪なものになってしまう。
そして、ルーデウスが酒場で出会った女と関係を持った事が家族内で明るみに出た時、ついに家庭は崩壊した。
シルフィはアリエルの所へ、アイシャ、ノルン、ルーシー、リーリャ、ゼニスは実家であるラトレイア家へと行ってしまった。
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ペルギウスからの協力を得られないと悟ったアリエルは、ルークの進言により、シルフィを連れ、王都へと向かった。
それを遅れて知ったルーデウスは、シルフィを助ける為、3人の跡を追った。
しかしアリエルは第一王子などからの敵襲を避ける為、情報を撹乱させていた。それにルーデウスは翻弄される事になってしまい、ノトス家が領主であるミルボッツ領に行ってしまう。
そこで監禁され、数日間足止めを喰らっていると、アリエルが王都でクーデターを起こしたとの情報が入る。
ルーデウスはなんとかミルボッツ領から脱出し、王都へと急ぐ、しかしルーデウスが王都へ到着した直前に、クーデターは鎮められた。
クーデターを鎮めたのは、ノトス家で歴代最高の当主と言われているヘルス・ノトス・グレイラット。
クーデターを企てたルーク、シルフィ、二人の従者はその場で死亡。アリエルは捕らえられ、後日処刑される。
最愛の妻であるシルフィの死体を目の当たりにしたルーデウスは暴走し、死体が見せしめに吊るされていた場所一帯を、火の海へと変えた。
そこで、ルーデウスは事実上の国際指名手配犯となった。
その後、生きる希望を失ったルーデウスは家へ帰ると、一つの情報が入って来た。
ルーデウスが王都を火の海にした数週間後、アスラ王国王都が滅亡したと言う。
首謀者はヘルス・ノトス・グレイラット
彼はどこから現れたのかも分からない巨大な四体の魔物を引き連れ、数日かけて王都に住む貴族、国民を皆殺しにしたそうだ。その後、ヘルスはその場に居合わせた龍神オルステッドにより殺された。
彼が何故その様な行動に出たのか、未知の魔物とはなんなのか、それを知るものは誰ひとりとしておらず、後にこの歴史的大事件は『アリエル王女の怨』として語り継がれる事となった。
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"ヒトガミに騙された"
そう確信したルーデウスは、ヒトガミ打倒の為、画策を始めた。
ペルギウスの協力により、世界中へと冒険を始めたルーデウス。ヒトガミの元へ辿り着くために、情報を集める。
しかし彼は指名手配をされている身、当然狙われる。
ルーデウスは向かって来た全ての敵を殺し、殲滅した。それが女だろうが男だろうが関係ない。皆等しく殺した。
しかし、エリスだけは殺さなかった。殺せなかったのだ。
彼女はルーデウスの行く先々で出会い、出会う度に殺し合いに発展した。剣王である彼女は強く、いつもルーデウスを簡単に無力化する。だがエリスは、ルーデウスを殺さなかった。殴る事はあっても、剣を突き刺すような事は決してしなかった。
彼女はただ、ルーデウスと一緒に居たかった。共に冒険したかった。それだけだったのだ。
しかし、憔悴しきっていたルーデウスに、その意図を汲み取れる程の余裕はない。
次第にルーデウスは、常に自分の行く場所を把握しているエリスを、ヒトガミの使徒だと思い込み始めるようになる。
そして、ルーデウスが魔王アトーフェ・ラトーフェらと死闘を繰り広げ、ルーデウスは劣勢へと追い込まれた。
アトーフェが振り下ろした剣がルーデウスに当たるその瞬間、エリスは彼を庇って死んだ。
その時になってようやく、ルーデウスはエリスの気持ちを理解した。
だが、もう遅い。
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彼は全てを失った。全てを捨てた。
友人であったザノバ、ジュリ、ジンジャーも死んだ。
肉親であるゼニス達も、暗殺集団により殺されたとの情報も入った。
もう彼に、生きる希望などなかった。
ヒトガミには会えない、少なくとも彼が生きている内は……
そこでルーデウスは最後の望みをかけ、ある魔法の研究を行った。
過去転移魔法、これならば全てを失う前に戻る事ができ、この惨劇をなきものにする事ができると考えたのだ。
成功する望みは薄い、残りの人生を賭けても完成するかは分からない。
しかし彼にはもうこれしかないのだ。これ以外に、生きる目的がない。
ルーデウスの執念は凄まじく、本当に自らの寿命が尽きる前に、過去転移魔法を完成させた。成功するかは分からない。失敗して終わりなんてこともあるかもしれない。
だが彼はそれでも良かった。もう、終わりにしたかったのだ。
『なんとか、なるだろ』
彼は自分の軌跡を綴った日記を持ち、魔法陣の上にのる。
行き先は、この日記を書き始めた日。全てが狂い始めたあの日だ。
できるなら、もう一度、シルフィやロキシーに……
紙一枚にも満たない望みを賭けながら、彼は全力で魔力を込めるのだった。
それが、ルーデウス・グレイラットが辿った、ありえたかもしれない……いや、本当にあった未来。
ハイテンポで行かせてもらいました。
手遅れかもしれないんですけど一応
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戦闘描写たくさん
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話し合い、イチャイチャたくさん